小学生の子と暮らしながら、独学2年で合格しました。学習時間の作り方を全部書きます
リレー連載、今回はみなみが担当します。はじめまして。
38歳、地方都市で独立して診断士をしています。小規模事業者さんの補助金申請のお手伝いと、経営改善計画づくりが仕事の中心です。前職は中小メーカーの経理事務を12年。受験を始めたのは、勤めていた会社の先行きが見えなくなってきた時期で、当時は小学生の子どもがひとりいました。
独学で2年。1年目に3科目の科目合格を取り、2年目に残りの科目と2次試験を通しました。ここまで書くと計画的に見えるかもしれませんが、実際には1年目の途中で計画を丸ごと組み直しています。今日はきれいごとを抜きにして、時間をどこから捻出したのか、何をあきらめたのかを書いていきます。
みなさんの状況とぴったり同じにはならないと思いますが、「この人でもこの程度の時間だったのか」と思ってもらえたら十分です。
なぜ2年計画にしたのか
1年で全科目は無理だと早めに認めた
1次試験は7科目あります。経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策。8月上旬の2日間で、これを一気に受けます。合格には総点数の60%以上を取り、かつ40%未満の科目がないことが必要です。
勉強を始めて3週間、テキストの分量を目の前にして、私は「これは1年で全部は無理だ」と判断しました。当時の私が確保できそうな学習時間は、どう頑張っても週13時間前後。年間にして650時間ほどです。7科目を初学で回すには足りませんでした。
ここで、無理な計画を立てて自分を追い込むか、時間に合わせて計画を作るかの分かれ道がありました。私は後者を選びました。子どもがいる生活では、計画倒れの精神的なダメージが大きすぎるからです。「今日もできなかった」が積み重なると、やめる理由を探しはじめます。
科目合格制度を前提に置く
判断を支えてくれたのが科目合格制度でした。1次試験は、総合で不合格でも基準を満たした科目は科目合格となり、その合格は翌年・翌々年の2年間有効です。つまり、1年目に何科目か確保しておけば、2年目は残った科目だけに集中できます。
これを前提にすると、「1年目に何を取りに行くか」という設計の問題に変わります。私が引いた線はこうでした。
| 年 | 受ける科目 | 選んだ理由 |
|---|---|---|
| 1年目 | 財務・会計 | 前職の経理経験が使える。2次の事例IVにも効くので早く土台を作りたかった |
| 1年目 | 経営情報システム | 用語の暗記が中心で、他科目と切り離して独立して学べる |
| 1年目 | 経営法務 | 同じく暗記寄り。まとまった理解より積み上げが効く |
| 2年目 | 企業経営理論・運営管理 | 2次試験と内容が重なるので、2次対策と同時にやるほうが効率がいい |
| 2年目 | 経済学・経済政策 | 苦手科目。腰を据えて時間をかけたかった |
| 2年目 | 中小企業経営・中小企業政策 | 出題の元になる資料が毎年更新されるので、受ける年に集中して仕上げたかった |
結果として1年目は財務・会計、経営情報システム、経営法務の3科目で科目合格を取れました。狙った通りに転がったのは、正直に言えば運もあります。ただ「3科目に集中する」と決めたおかげで、1科目あたりに回せる時間が倍近くになったのは間違いありません。
1年目、週13時間をどこから作ったか
実際の時間割
平日の実像はこうでした。
| 時間帯 | 長さ | やっていたこと |
|---|---|---|
| 5:00〜6:20 | 約80分 | 財務・会計の計算問題。頭が一番動く時間をここに置いた |
| 通勤(バス) | 片道15分 | 暗記カードの見返し。経営法務の条文用語など |
| 昼休み | 20分 | 問題集の一問一答。食事は10分で済ませた |
| 21:30〜22:30 | 60分 | テキスト読み。ただし週の半分は寝落ち |
土日は、土曜の午前中に2時間、日曜の子どもが習い事に行っている間に2時間。合わせて週4時間。
平日の朝が週6.5時間、スキマが週3時間弱、夜が実質週2時間、土日が4時間。均すと週13時間から14時間でした。年間で650時間前後です。
朝型への切り替えが一番効いた
最初の2か月は夜型でやろうとして、ほぼ失敗しました。子どもを寝かしつけて、洗い物を片づけて、机に向かうのが22時。そこから集中できるほど私の体力は残っていませんでした。テキストを開いて15分で意識が飛ぶ日が続き、「今日もできなかった」が積み上がっていきました。
3か月目に朝型へ切り替えました。就寝を22時半に前倒しして、起床を5時に。最初の2週間は本当につらかったです。ただ、朝の時間には夜にはない性質がありました。
- 誰にも邪魔されない。子どもも家族も寝ている
- 「明日やろう」という逃げ道がない。今やらないと今日の分は消える
- 頭が疲れていないので、計算問題のような負荷の高いものに向かえる
夜に無理やり60分を作るより、朝の80分のほうが体感で倍の密度がありました。夜は「読むだけ」「見るだけ」の軽い作業に格下げして、できなくても罪悪感を持たないことにしました。この割り切りで気持ちがずいぶん楽になりました。
まとまった時間と細切れ時間を混ぜない
これは1年目の後半に確立したルールです。作業を性質で分けて、置く場所を固定しました。
まとまった時間(30分以上)にやること
- 計算問題を最初から最後まで通して解く
- 過去問を時間を計って解く
- 間違えた問題の原因を掘り下げる
- 理解が浅い論点をテキストに戻って読み直す
細切れ時間(5分から20分)にやること
- 暗記カード、一問一答
- 前日に解いた問題の「解き方の流れ」だけを頭の中でなぞる
- テキストの図表を眺める
- 覚えられない用語を書き出したメモを見返す
やってはいけないのが、細切れ時間に計算問題を持ち込むことでした。5分では解き切れず、中断すると再開時にまた最初から考え直すことになり、時間だけが溶けます。逆に、まとまった時間に暗記カードをめくるのも、もったいない使い方です。
「今この15分で何ができるか」を毎回考えるのではなく、あらかじめ引き出しを決めておく。この仕組み化が、疲れている日の自分を助けてくれました。
家族にどう協力してもらったか
数字で説明した
最初、夫には「診断士の勉強をしたい」とだけ伝えました。反応は「いいんじゃない」。悪くはないのですが、これでは何も決まっていません。
2週間後、あらためて紙を1枚用意して話し直しました。書いたのは次のことです。
- 2年計画であること。いつ終わるのかをはっきりさせた
- 週に何時間必要か。そのうち家族の時間から削るのは何時間か
- 具体的に何をお願いしたいか。日曜午前2時間、子どもを見てほしい
- 合格したらどうしたいか。独立して働き方を変えたい
「勉強したい」は感情の話ですが、「日曜の午前2時間」は交渉できる話です。相手が判断できる形にすると、話が前に進みました。夫からは「日曜の午前は引き受けるが、土曜は家族で過ごす」という条件が出て、それで合意しました。
子どもには隠さなかった
子どもには「お母さんも試験の勉強をしている」と話しました。同じ食卓で、子どもが宿題をして私が問題を解く時間を作ったこともあります。効果があったのは、私が机に向かう理由が家族の中で共有されたことでした。「なんでお母さんはいつも忙しいの」という不満が、「今日は何ページ進んだ?」という会話に変わりました。
これは美談として書いているわけではありません。子どもが熱を出した週は勉強がゼロになりましたし、参観日と模試が重なって模試を捨てた日もあります。それでも、隠して罪悪感を抱えるより、共有して協力を仰ぐほうが結果的に長続きしました。
2年目、週19時間へ
2年目は残り4科目と2次試験の並行対策になりました。子どもが少し大きくなったこと、1年目に学習の型ができていたことで、時間を増やせました。
| 区分 | 1年目 | 2年目 |
|---|---|---|
| 平日の朝 | 週6.5時間 | 週7.5時間(5:00〜6:30に延長) |
| スキマ時間 | 週3時間 | 週2.5時間 |
| 平日の夜 | 週2時間 | 週3時間 |
| 土日 | 週4時間 | 週6時間 |
| 週合計 | 約13時間 | 約19時間 |
| 年間の目安 | 約650時間 | 約900時間 |
2年目で意識したのは、1次と2次を切り離さないことでした。企業経営理論と運営管理は2次の事例I・II・IIIと内容が重なりますし、財務・会計は事例IVそのものです。1次のテキストを読むときも「これは2次でどう問われるか」を頭の隅に置くようにしました。
2次の本格的な演習は、1次試験が終わってからです。1次は8月上旬、2次筆記は10月なので、間はそれほど長くありません。私は7月までは1次に全振りし、1次の翌日から事例演習に切り替えました。この切り替えの速さが効いたと思っています。
うまくいかなかったこと
正直に書きます。
テキストを最初から順番に読もうとした
1年目の最初の1か月、テキストを1ページ目から律儀に読み進めました。分量に対して進みが遅すぎて、しかも読み終わったころには最初の内容を忘れていました。途中から「テキストを読む → その範囲の問題を解く」を短いサイクルで回す形に変えました。1章読んだら必ずその章の問題に手を付ける。これだけで定着がまるで違いました。
苦手科目を後回しにしすぎた
経済学は最後まで苦手でした。グラフが出てくると気持ちが後ずさりして、つい他の科目を先にやってしまう。2年目の春になっても手つかずの論点が残っていて、慌てました。苦手科目は「気が向いたらやる」では絶対にやりません。私は結局、毎週水曜日の朝は必ず経済学、と曜日で固定して解決しました。
ノートを作りすぎた
きれいなまとめノートを作る作業は、勉強した気分になれる割に定着しません。1年目に作ったノートは、2年目にはほとんど開きませんでした。2年目は、テキストに直接書き込む形に変えて、新しいノートは間違えた問題の記録だけに限定しました。
模試の判定に一喜一憂した
市販の模試を受けて、判定が悪くて2日ほど手が止まったことがあります。今思えば時間の無駄でした。模試は「どこができていないか」を教えてくれる道具であって、順位を確かめる場所ではありません。判定欄は見ずに、間違えた問題の一覧だけを見るようにしてからは気持ちが安定しました。
同じ状況のみなさんへ、チェックリスト
私が2年間で身につけたことを、確認しやすい形にまとめておきます。
計画を立てるとき
- 1週間の中で「確実に取れる時間」を実測した(理想ではなく実績で)
- その時間で1年に何科目まで扱えるか、逆算して決めた
- 1年で無理なら、科目合格制度を前提にした複数年計画に切り替えた
- 2次と重なる科目を、どの年に置くか意識して配置した
日々の運用
- 頭が一番動く時間帯を特定して、そこに一番重い作業を置いた
- 細切れ時間にやることを、あらかじめ決めて固定した
- 「まとまった時間用」と「細切れ用」の教材を混ぜていない
- 苦手科目を曜日や時間帯で固定して、意思に頼らない仕組みにした
家族との関係
- いつ終わる計画なのかを家族に伝えた
- 「何をしてほしいか」を具体的な時間と曜日で頼んだ
- 相手からの条件も聞いて、合意の形にした
- できなかった週があっても、自分を責めない前提を共有した
気持ちの持ち方
- 予定の8割できたら合格、と考えている
- 模試や答練は順位ではなく弱点の一覧として使っている
- 「今日できなかった」を翌日に持ち越さない仕組みがある
全部にチェックが付く必要はありません。ひとつでも「これは自分に足りていなかった」と思えるものがあれば、そこから直してみてください。
よくある質問
Q. 学習時間は結局どれくらい必要でしたか?
私の場合は1年目に約650時間、2年目に約900時間で、合計1500時間ほどでした。ただしこれは独学で、しかも財務・会計に前職の下地があった人の数字です。人によって前提が違いますから、そのまま当てはめないでください。大事なのは総量そのものより、「自分が確実に確保できる週あたりの時間」を先に測って、そこから計画を逆算することだと思っています。
Q. 1年目に何科目取るのが正解ですか?
正解はありませんが、考え方の軸はあります。ひとつは、他の科目と切り離して独立して学べる暗記寄りの科目は先に片づけやすいこと。もうひとつは、2次試験と内容が重なる科目は、2次対策と同じ年にやると相乗効果が出やすいこと。この2つを自分の得意不得意と突き合わせて決めると、迷いが減ります。私は暗記寄りの科目と得意科目を1年目に置きました。
Q. 朝型に切り替えられる自信がありません。夜型のままではだめですか?
だめではありません。私が朝型を選んだのは、夜に集中力が残っていなかったからです。夜のほうが頭が動く方は、夜に重い作業を置くべきです。判断の基準は「何時に起きるか」ではなく、「一日のうちで一番頭が動く時間に、一番重い作業が置けているか」です。2週間ほど記録を取ると、自分がどの時間帯に何をやれているかが見えてきます。
Q. 子どもの都合で勉強が飛んだ週は、どう取り返しましたか?
取り返しませんでした。これは意識して決めたことです。取り返そうとすると翌週が過密になり、そこでまた崩れて、負のループに入ります。私は「飛んだ週は飛んだままにする。翌週は通常運転に戻す」と決めていました。計画は月単位で見て、多少の凸凹は許容する。2年という長さで走るなら、この余白がないともちません。
長くなりました。ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回はたけさんが書いてくださいます。私とはまた違う環境で走り抜けた方なので、どんな話が出てくるか私も楽しみにしています。