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学習ガイド

中小企業診断士試験とは?

試験の概要・1次と2次の形式・合格基準・合格率・難易度・日程まで、受験を決める前に知っておきたいことを一気に確認できます。まずは全体像をつかみましょう。

試験日(1次)

8月上旬

土・日の2日間

受験料(1次)

¥14,500

2次は¥17,800

1次合格率

約26%

2次は約19%

1次満点

700点

合格ライン:420点

中小企業診断士ってどんな資格?

中小企業診断士は、日本で唯一の「経営コンサルタント」の国家資格です。中小企業支援法に基づき、中小企業の経営診断・助言を行う専門家として国が認定します。弁護士・税理士・社労士のような「独占業務」こそ持ちませんが、逆に言えば活躍の場が限定されず、経営・マーケティング・財務・組織・生産・法務・ITと全方位の経営知識を持つジェネラリストとして重宝されます。

主な活躍の場は、中小企業への経営診断・補助金申請支援・事業計画策定・経営改善計画書の作成・金融機関のコンサルタント・セミナー講師など。近年は「副業診断士」として週末に活動する会社員も急増しています。

資格取得後のキャリアパス

独立開業

経営コンサルタントとして事務所を開設。補助金申請・経営改善・セミナー講師などで活躍。

企業内診断士

勤務先でのキャリアアップ。経営企画・営業企画・新規事業部門での活躍や昇進・転職に有利。

副業・複業

本業を持ちながら週末コンサルタントとして活動。副業解禁の流れで取得者が急増中。

中小企業支援機関

商工会議所・よろず支援拠点・中小機構等の公的支援機関での専門家登録・相談員として活躍。

試験の全体像:1次→2次(筆記)→2次(口述)の3段階

中小企業診断士試験が他の国家試験と大きく異なるのは、1次試験(知識確認)と2次試験(思考・論述)でまったく別の能力が試される点です。1次で合格しても「2次で何度も落ちる」人が後を絶たないのはこのためで、受験対策もそれぞれ全く別のアプローチが必要です。

8月

1次試験

多肢選択式(マークシート)7科目・2日間

700点満点(各科目100点)。合格基準は「各科目40点以上かつ合計420点以上(60%)」。科目合格制度あり(60点以上の科目は翌年・翌々年免除)。

10月

2次試験(筆記)

論述式4事例・1日間(計5時間20分)

400点満点(各事例100点)。合格基準は「各事例40点以上かつ合計240点以上(60%)」。正解・採点基準は非公開。1次とは全く別の「思考力・文章力・与件文の読解力」が問われる。

1月

2次試験(口述)

口頭試問(約10分)

2次筆記合格者が対象。担当官2名による質疑応答。2次筆記の事例をもとにした質問に答える。合格率は例年99%以上。2次筆記を通過した受験生が落とされることはほぼない事実上の確認ステップ。

登録

登録・実務補習

実務補習 or 実務従事(15日以上)

口述合格後、①実務補習(診断協会主催の15日間研修、費用約5万円)または②実際の企業への経営診断を15日以上実施。これを経て中小企業診断協会へ登録申請し、正式に「中小企業診断士」として登録される。

令和8年度(2026年)試験スケジュール

1次試験 申込受付2026年4月〜5月頃(予定)
1次試験2026年8月8日・9日(土・日)予定
1次試験 合格発表2026年9月上旬頃(予定)
2次試験(筆記)申込2026年8月〜9月頃(予定)
2次試験(筆記)2026年10月25日(日)予定
2次筆記 合格発表2026年12月下旬頃(予定)
2次試験(口述)2027年1月下旬頃(予定)
最終合格発表2027年2月上旬頃(予定)

※正式な日程は(一社)中小企業診断協会HPで必ずご確認ください。

1次試験:7科目の特徴と難易度

7科目すべてを1・2日目に分けて受験します。各科目は独立した出題であり、「専門学校でも1科目ずつ1年かけて学ぶ」ような内容が圧縮されています。全科目を横断的にバランスよく仕上げる計画力が、1次突破の鍵です。

1

経済学・経済政策

1日目

難易度 ★★★☆☆

マクロ・ミクロ経済学の理論と政策。グラフ読解が中心で「暗記」より「理解」の科目。経済学部出身者には有利だが、未経験でも体系的に学べば安定得点源になる。

2

財務・会計

1日目

難易度 ★★★★☆

1次の最重要科目のひとつ。簿記・財務分析・原価計算・DCF法など幅広い。2次試験の事例IV(計算問題)に直結するため、序盤から丁寧に仕上げる価値がある。簿記2級取得者は有利。

3

企業経営理論

1日目

難易度 ★★★☆☆

経営戦略・マーケティング・組織論・人事管理をカバー。2次試験の事例I(組織・人事)・事例II(マーケティング)に直結。概念を事例に当てはめる応用力が問われる。

4

運営管理

2日目

難易度 ★★★☆☆

生産管理(工場)・店舗管理(小売)・物流の3分野。2次試験の事例III(生産・技術)に直結。QCDやIE手法など製造業の現場知識が必要。製造業経験者は得点源にしやすい。

5

経営法務

2日目

難易度 ★★★★★

会社法・知的財産法(特許・商標・著作権)・民法など。法律の暗記量が多く、年度によっては得点調整が行われるほど合格率が低い最難関科目。過去問を繰り返し解く暗記戦略が有効。

6

経営情報システム

2日目

難易度 ★★☆☆☆

IT・ネットワーク・情報セキュリティ・統計・データベース。IT系の仕事経験者には得点源。未経験でも教材を使った暗記中心で攻略可能。近年AIやDXに関する出題も増加中。

7

中小企業経営・政策

2日目

難易度 ★★☆☆☆

中小企業白書の内容・中小企業関連政策・補助金制度・支援機関が中心。毎年の白書から出題される「生もの」の科目で、前年度版の丸暗記では対応しにくい。直前2〜3ヶ月に集中するのが合理的。

2次試験:4事例の概要と落とし穴

2次試験は、架空の中小企業の経営事例文(与件文)を読み、設問に対して診断士として助言・提案を論述する試験です。各事例は約800〜1,200字の与件文と4〜6問の設問で構成され、1事例につき80分で回答します。

合格者に共通する認識は「与件文の中に解答の根拠がある」というルールです。知識を披露する試験ではなく、与件文から適切なキーワードを抽出し、設問に正面から答えることが求められます。

事例I

組織・人事

80分

製造業・サービス業等のA社について組織構造や人事制度の課題を分析し、組織改革・採用・育成・評価制度の改善策を提案する。1次「企業経営理論(組織論)」の知識が土台。

事例II

マーケティング・流通

80分

小売業・飲食業・サービス業のB社のマーケティング課題を分析。ターゲット設定・差別化戦略・顧客接点強化・地域連携などの施策を提案する。1次「企業経営理論(マーケティング)」が土台。

事例III

生産・技術

80分

製造業のC社の生産管理・品質改善・技術活用の課題を診断する。QCD(品質・コスト・納期)の視点で問題を整理し、生産効率化・外注管理・設備投資の方向性を提案する。1次「運営管理」が土台。

事例IV

財務・会計(計算あり)

80分

D社の財務諸表分析・CVP(損益分岐点)分析・正味現在価値(NPV)計算・セグメント別採算分析など。唯一の計算問題を含む。足切りリスクが最も高い事例。1次「財務・会計」が直結。

2次試験の3つの特殊ルール

  • 正解・採点基準が非公開。自分がなぜ合格・不合格になったかが試験機関からはわからない
  • 各事例40点未満は「足切り」。他の3事例が満点でも1事例が40点未満なら即不合格
  • 1次試験の「知識を詰め込む勉強法」は通用しない。与件文の読解力と論述の型が合否を分ける

合格基準(足切りに要注意!)

1次試験(700点満点)

総点数 420点以上(700点満点の60%)

各科目 40点以上(どの科目も40点未満は不合格)

420点取っていても、1科目でも40点を切ると不合格。経営法務など難しい科目は「40点確保」を最低ラインに。

2次試験・筆記(400点満点)

総点数 240点以上(400点満点の60%)

各事例 40点以上(計算ミスが多い事例IVが最危険)

事例IVは計算問題が多く、1つのミスが複数問に連鎖することも。確実な計算と部分点確保の戦略が必須。

科目合格制度:賢く使えば複数年戦略が可能

1次試験で60点以上を取った科目は「科目合格」として翌年・翌々年の受験で免除されます。例えば1年目に7科目中5科目を60点以上で通過し、難易度の高い「財務・会計」「経営法務」だけ落としても、翌年はその2科目だけ受け直せばOKです。

科目合格制度を活用した2年計画例

1年目全7科目受験。財務・会計と経営法務が59点で不合格。残り5科目は60点以上で科目合格を獲得。
2年目財務・会計と経営法務のみ受験(5科目免除)。2科目に集中した対策で合格ライン突破。1次合格、2次試験へ!
注意点科目合格の有効期限は「翌年・翌々年」の最大2年間。3年目は免除が切れるため再受験が必要。長期化しすぎないよう計画を。

ただし「科目合格を積み重ねて5〜6年かけて合格する」という戦略は、途中で科目合格が失効するリスクもあり効率的ではありません。できれば2年以内に1次を突破する計画を組むのが現実的です。

合格率の推移と難易度分析

年度1次合格率2次合格率実質合格率※
令和6年度(2024)約27%約22%約6%
令和5年度(2023)約27%約22%約6%
令和4年度(2022)約28%約19%約5%
令和3年度(2021)約27%約18%約5%
令和2年度(2020)約43%約18%約8%
令和元年度(2019)約30%約19%約6%
平成30年度(2018)約24%約19%約5%
平成29年度(2017)約21%約20%約4%

※実質合格率=1次合格者×2次合格者の概算(受験申込者全体に対する割合ではない)。出典:(一社)中小企業診断協会公表データをもとに作成。

▶ 令和2年度の1次合格率約43%は例外的に高い値。問題の難易度・出題構成等の影響とみられる。

難易度の本質

1次・2次をともに突破する実質合格率は約5〜8%で、難関国家資格の一角です。ただしこの数字が意味するのは「難問を解く天才しか合格しない」ではなく、「7科目という広範囲をバランスよく仕上げる計画力」「1次と2次を別物として切り替える戦略力」が求められるということ。正しい学習法で着実に取り組めば、独学でも十分に合格を狙える試験です。

よくある質問

受験資格はありますか?+
ありません。年齢・学歴・国籍を問わず、誰でも受験できます。社会人・学生・主婦(主夫)を問わず挑戦できる間口の広さも、この資格の魅力のひとつです。
1次合格後、2次試験は何年受けられますか?+
1次試験合格は「合格年度+翌年度」の2年間有効です。例えば令和8年度に1次合格した場合、令和8年度・令和9年度の2次試験を受験できます。
科目合格制度とは何ですか?+
1次試験で60点以上を取った科目は「科目合格」として記録され、翌年・翌々年の1次試験でその科目の受験が免除されます。1年目に苦手科目で不合格でも、科目合格を積み重ねながら複数年かけて1次合格を狙う戦略が取れます。
2次試験の正解は公開されますか?+
公開されません。合否判定基準・採点方法・各問題の正答例はすべて非公開です。このため合格者の答案分析に基づいた受験予備校の解答解説や、受験生同士の情報共有が参考にされています。「絶対の正解がない試験」とも言われますが、逆に言えば与件文の根拠をしっかり引用しながら論理的に書けば安定して合格できる試験でもあります。
2次試験合格後に何が必要ですか?+
口述試験合格後、①実務補習(中小企業診断協会主催・15日間)または②実務従事(経営診断業務を15日以上実施)のいずれかを行い、中小企業診断協会への登録申請を経て、晴れて「中小企業診断士」として登録されます。
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