令和7年度 第11問 設問2 解説
問題文
経常収支および貿易収支に関する下記の設問に答えよ。 円建ての貿易収支NX が、以下のように表されるとする。 NX =PX(e) -eP*M(e) ただし、X(e) は輸出量、M(e) は輸入量、e は円建て為替レート、P は円建 て輸出財価格(一定)、P*はドル建て輸入財価格(一定)である。 為替レートの変化が貿易収支に及ぼす影響に関する記述の正誤の組み合わせと して、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 a 為替レートが変化しても輸出量と輸入量は変化しないとき、為替レートの円 安・ドル高への変化は、貿易収支を悪化させる。 b 輸入の価格弾力性と輸出の価格弾力性がいずれも1より大きいとき、為替 レートの円安・ドル高への変化は、貿易収支を改善させる。 c 輸入の価格弾力性と輸出の価格弾力性の合計が1に等しいとき、為替レート の円安・ドル高への変化は、貿易収支を悪化させる。
解説
正解はイである。判断の基準はマーシャル・ラーナー条件、すなわち「輸出の価格弾力性+輸入の価格弾力性」が1を超えるかどうかである。aについては、弾力性がゼロ(量が変化しない)場合、円安(eの上昇)はeP*Mの項を増加させるため、NXは減少し貿易収支は悪化する。よって正しい。bについては、輸出・輸入の価格弾力性がいずれも1より大きいなら合計は明らかに1を超えるため、マーシャル・ラーナー条件を満たし、円安は貿易収支を改善させる。よって正しい。cについては、弾力性の合計がちょうど1のときはマーシャル・ラーナー条件の境界値であり、円安による輸出増加効果と価格上昇による輸入額増加効果が相殺し、貿易収支は変化しない(中立)。したがって「悪化させる」という記述は誤りである。 覚え方としては、弾力性の合計を1と比較し、1より大きければ改善、1より小さければ悪化、ちょうど1なら不変、という三分類をまず押さえることが有効である。加えて、弾力性ゼロのケースは合計が明らかに1未満なので悪化に含まれると理解すれば、a〜cを一貫した論理で判断できる。
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