開発方法論
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プレミアムで見るシステム開発は、ひとりで行うものではありません。使う側と作る側が組んだプロジェクト組織で進められ、そこには立場も関心も異なる人々が参加します。誰がどの役割を担い、どういう順番で話が進むのかを知らないまま開発に関わると、話が噛み合わないまま進んでしまいます。この節では、システム開発の全体像を4工程で押さえたうえで、関係者の顔ぶれと、発注に至るまでの文書(RFIとRFP)を扱います。診断士として企業のシステム導入に助言する場面で、そのまま使える知識になります。
簡単にいうと
システム開発は「分析 → 設計 → プログラミング → テスト」の4工程!そして、それを進めるのは使う側と作る側が組んだプロジェクト組織だよ。誰が何を担当するかを、まず押さえよう。
① システム開発の手順
システム開発の手順は大まかに次のように分けることができます。
| 順番 | 工程 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 分析 | ユーザ(システムの利用者)の要求を明確にして開発するシステムを定義する(要件定義) |
| ② | 設計 | 段階的に詳細化を行う |
| ③ | プログラミング | システムに必要な各部品を作り上げる |
| ④ | テスト |
具体例
販売管理システムを導入する場面
従業員50名の卸売業が、販売管理システムを新しく導入する場面を想定します。
関係者の顔ぶれ
| 立場 | 誰が | 関心事 |
|---|---|---|
| 経営者 | 社長 | 費用に見合う効果が出るか |
| システム部門 | 総務課長(兼務) | 予定どおり動くか。運用できるか |
| 事業部門 | 営業課長、営業担当2名 | 現場の仕事がやりやすくなるか |

システム開発の全体像と関係者(1/2)

システム開発の全体像と関係者(2/2)
試験のポイント
簡単にいうと
ベンダは一次請け、サブベンダはその下請け!そして、海外に出すのがオフショア、国内の遠隔地に出すのがニアショア。「オフ」と「ニア」の違いは、距離の遠さだよ。
① ベンダとサブベンダ
ベンダとはユーザ企業の一次請けとなるシステム会社を指し、サブベンダとはベンダから発注を受ける子会社や協力会社を指します。
| 用語 | 位置づけ |
|---|---|
| ベンダ | ユーザ企業の一次請け |
| サブベンダ | ベンダから発注を受ける子会社や協力会社 |
簡単にいうと
発注する前に、まず自社で構想を練るの。それがシステム構想フェーズ!そして「提案してください」がRFP、「情報をください」がRFI。情報を集めてから提案を求める、という順番だよ。
① 2つのフェーズ
システムが開発されていく過程は、ユーザ企業内でシステム化の計画が行われるシステム構想フェーズと、ユーザ企業およびベンダから成るプロジェクト組織にてシステムを構築していくシステム構築フェーズに分けることができます。
| フェーズ | 誰が行うか |
|---|---|
| システム構想フェーズ | ユーザ企業内 |
| システム構築フェーズ | ユーザ企業およびベンダから成るプロジェクト組織 |
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② 4工程の流れを読み解く
| 工程 | 何が決まるか |
|---|---|
| 分析 | 何を作るか |
| 設計 | どう作るか |
| プログラミング | 実際に作る |
| テスト | 正しくできたかを確かめる |
「何を」→「どう」→「作る」→「確かめる」——この4拍子が、システム開発の基本形です。
③ プロジェクト組織
システムの開発は、ユーザ(システムの利用者)、ベンダ(システムの提供者)などが参画するプロジェクト組織で行われることが一般的です。
プロジェクト組織は、システム開発の発注元であるユーザ企業のシステム部門、発注先となるシステム会社(ベンダ)で構成されます。
加えて、業務システムの場合にはその利用者となり、エンドユーザに向けたシステムの場合には利用者となるエンドユーザに情報発信を行うユーザ企業の各事業部門から数名が選抜され、プロジェクト組織に参画することが多くなっています。
④ 関係者を図で整理する
| 側 | 組織 | 役割 |
|---|---|---|
| システム利用側 | エンドユーザ(他社、個人) | システムを使う/情報発信を受ける |
| ユーザ企業の各事業部門 | 業務の当事者。教育を受け、情報発信を行う | |
| ユーザ企業のシステム部門 | 発注元。ベンダと調整する | |
| システム提供側 | ベンダ | 発注先。開発を担う |
| サブベンダ | ベンダから発注を受ける |
⑤ 各事業部門が参画する理由
業務を実際に行っているのは事業部門です。システム部門だけで要件を決めると、
| 起きること | 内容 |
|---|---|
| 実際の業務と合わないシステムができる | 現場の実情が反映されない |
| 使われないシステムになる | 現場が抵抗する |
| あとから大きな手戻りが発生する | 稼働直前に「これでは使えない」と言われる |
使う人が設計に参加する——これがプロジェクト組織に事業部門が入る理由です。
⑥ 中小企業での現実
大企業と違い、中小企業にはシステム部門がないことが多いという事情があります。
| 大企業 | 中小企業 | |
|---|---|---|
| システム部門 | ある | ないことが多い |
| 要件をまとめる人 | システム部門 | 総務や経理が兼務 |
| ベンダとの交渉 | 専門知識がある | 知識が不足しがち |
この差が、中小企業のシステム導入を難しくしています。
⑦ 診断士の役割
システム部門の役割を、外部の専門家が補う——ここに診断士が関わる余地があります。
| 場面 | 診断士ができること |
|---|---|
| 何を作るべきか決まらない | 業務を整理し、要件をまとめる手助け |
| ベンダの提案が妥当か分からない | 比較の観点を示す |
| 見積もりが高いのか安いのか分からない | 相場観と、費用対効果の考え方を示す |
| 現場が協力してくれない | 関係者を巻き込む進め方を助言 |
技術そのものより、進め方と判断の助言——これが診断士に求められる関わり方です。
⑧ この章の位置づけ
| 章 | 扱うこと |
|---|---|
| 第1〜8章 | 技術そのもの |
| 第9〜10章 | その技術をどう作るか(開発) |
| 第11〜13章 | 経営にどう活かすか |
技術を知っているだけでは、システムは作れません。誰と、どういう順番で、どう進めるか——それがこの章のテーマです。
| 倉庫担当1名 |
| 入力の手間が増えないか |
| 経理担当1名 | 会計とつながるか |
| ベンダ | システム会社 | 要件が固まるか。期限内に終わるか |
| エンドユーザ | 取引先 | 注文しやすいか |
関心事が食い違う
| 立場 | 望むこと | 対立しうる点 |
|---|---|---|
| 経営者 | 安く済ませたい | 機能を削ることになる |
| 営業 | 今までどおり使いたい | 業務の見直しを拒む |
| 倉庫 | 入力を増やしたくない | データの精度が下がる |
| ベンダ | 要件を早く固めたい | 検討が不十分なまま進む |
この食い違いを放置すると
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 開発中 | 要件が二転三転する |
| 稼働直前 | 「これでは使えない」と言われる |
| 稼働後 | 誰も使わない。元のやり方に戻る |
プロジェクト組織を作る意味
関係者を最初から巻き込んでおけば、途中での食い違いが減ります。
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 現場の実情が反映される | 使えるシステムになる |
| 決めたことへの納得が得られる | 稼働後に協力を得やすい |
| 早い段階で問題が見つかる | 手戻りが小さくて済む |
3つ目がとくに大きい
次節で学ぶウォータフォールモデルのデメリットに、「上流工程で欠陥があってもプロジェクトの終盤まで発見できず、大きな手戻りが発生する可能性がある」とあります。
現場の人が最初から参加していれば、上流工程で気づけます。
診断士としての助言
| 段階 | 助言内容 |
|---|---|
| 検討の開始時 | 誰を巻き込むかを決める |
| 要件の整理 | 業務の流れを図にして共有する |
| ベンダ選定 | 複数社から提案を受ける |
| 開発中 | 定期的に現場に見せる |
| 稼働前 | 十分な教育と訓練の期間を取る |
「システムを作る」のではなく「業務を変える」——この認識を関係者で共有できるかが、成否を分けます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a システム開発の手順は、大まかに分析・設計・プログラミング・テストに分けられる。
> b 分析工程では、ユーザの要求を明確にして開発するシステムを定義する。
> c プロジェクト組織は、ユーザ企業のシステム部門のみで構成される。
解答 a:○ b:○ c:×
| 順番 | 誰が | 誰に |
|---|---|---|
| ① | ユーザ企業 | ベンダに発注 |
| ② | ベンダ | サブベンダに発注 |
多重下請けの構造になることがあり、ベンダの下にさらに複数の階層が連なる場合もあります。
③ オフショア開発
近年では、海外(中国やインド、フィリピンなど)のサブベンダに開発業務を委託するオフショア開発が進んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 委託先 | 海外(中国、インド、フィリピンなど) |
| 狙い | 人件費の削減、技術者の確保 |
④ ニアショア開発
比較的距離の近い遠隔地(国内の北海道や九州、沖縄など)のサブベンダに開発業務を委託するニアショア開発も進んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 委託先 | 国内の遠隔地(北海道、九州、沖縄など) |
| 狙い | 人件費の削減、地方の人材活用 |
⑤ 2つの違い
| オフショア開発 | ニアショア開発 | |
|---|---|---|
| 委託先 | 海外 | 国内の遠隔地 |
| 距離 | 遠い(off=離れた) | 近い(near=近い) |
| 言語 | 異なる | 同じ |
| 時差 | ある | ない |
| 費用削減の幅 | 大きい | 中程度 |
off(離れた)とnear(近い)——英語の意味がそのまま距離を表しています。
⑥ それぞれの長所と課題
オフショア開発
| 長所 | 課題 |
|---|---|
| 人件費が安い | 言語の壁 |
| 大量の技術者を確保できる | 文化や商習慣の違い |
| 時差を活かせる場合もある | 時差による連絡の遅れ |
| 品質管理が難しい | |
| 仕様の伝達に誤解が生じやすい |
ニアショア開発
| 長所 | 課題 |
|---|---|
| 言語が同じ | オフショアほど安くない |
| 時差がない | 人材の確保が地域に左右される |
| 文化や商習慣が共通 | |
| 地方の雇用に貢献 |
⑦ なぜニアショアが生まれたのか
オフショア開発が広がった結果、言語や文化の違いによる問題が表面化しました。
| 起きた問題 | 内容 |
|---|---|
| 仕様が正確に伝わらない | 想定と違うものができあがる |
| 手戻りが多い | 安くしたつもりが高くつく |
| 時差で連絡が滞る | 意思決定が遅れる |
「安さ」だけを見て委託すると、かえって高くつく——この反省から、言語と時差の問題がないニアショアが選ばれるようになりました。
⑧ 費用と意思疎通のトレードオフ
| 委託先 | 費用 | 意思疎通 |
|---|---|---|
| 社内 | 高い | 容易 |
| 国内のベンダ | 中程度 | 容易 |
| ニアショア | やや安い | 容易 |
| オフショア | 安い | 難しい |
安くなるほど、意思疎通が難しくなる——この関係を理解したうえで選ぶ必要があります。
⑨ 中小企業にとっての意味
中小企業が直接オフショア開発を行うことは多くありませんが、発注したベンダがオフショアを使っていることはあります。
| 確認すべきこと | なぜ |
|---|---|
| 実際に開発するのは誰か | サブベンダやオフショアの場合がある |
| 品質管理は誰が行うか | ベンダが責任を持つのか |
| 問題が起きたときの窓口 | たらい回しにならないか |
| 情報の取り扱い | 自社のデータが海外に渡らないか |
最後の点が重要
自社の顧客情報や設計情報が、知らないうちに海外の会社に渡る——という事態は、情報セキュリティの観点から看過できません。
第6章で学んだ情報セキュリティの管理は、委託先まで含めて考える必要があります。契約書で再委託の可否と条件を定めておくことが、実務上の備えになります。
具体例
オフショア開発で起きがちな問題
日本のベンダが、海外のサブベンダに開発を委託した場面を追ってみます。
仕様の伝達
| 日本側の指示 | 海外側の受け取り方 |
|---|---|
| 「適宜判断してください」 | 判断基準が分からない |
| 「なるべく早く」 | いつまでか分からない |
| 「一般的な画面で」 | 何が一般的か分からない |
| 「よしなに」 | 意味が通じない |
曖昧な表現が通じない
日本の商習慣では、言わなくても分かることが多くあります。しかし、文化の異なる相手には通じません。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 仕様書を詳細に書く | 曖昧さを残さない |
| 画面の見本を作る | 文章より図 |
| 判断基準を明示する | 「適宜」を使わない |
| ブリッジSE を置く | 両者の間に立つ人を配置 |
ブリッジSEという役割
日本側と海外側の間に立ち、仕様を正確に伝える技術者を、実務ではブリッジSEとよびます。
| 求められること | 内容 |
|---|---|
| 両方の言語が分かる | 翻訳ができる |
| 両方の文化が分かる | 何が通じないかが分かる |
| 技術が分かる | 仕様を正確に理解できる |
この役割にかかる費用が、オフショアの「安さ」を目減りさせます。
費用の試算
| 項目 | オフショア | 国内 |
|---|---|---|
| 開発の人件費 | 300万円 | 600万円 |
| ブリッジSEの費用 | 100万円 | 0円 |
| 仕様書の詳細化にかかる工数 | 50万円 | 20万円 |
| 手戻りの費用 | 100万円 | 30万円 |
| 合計 | 550万円 |
差が思ったほど開かない
単純な人件費では半額でも、付随する費用を含めると差は縮まります。規模が小さいほど、この傾向は強くなります。
どんな場合にオフショアが向くか
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 規模が大きい | ブリッジSEの費用が相対的に小さくなる |
| 仕様が明確 | 伝達の誤りが起きにくい |
| 繰り返し発注する | 相手が業務を理解している |
| 同じ相手と長く付き合う | 信頼関係ができる |
逆に、小規模で仕様が固まっていない開発には向きません。
ニアショアが選ばれる場面
| 条件 | ニアショアの利点 |
|---|---|
| 仕様が固まりきっていない | すぐ相談できる |
| 頻繁なやり取りが必要 | 時差がない |
| 中規模の開発 | 費用削減の効果が出る |
| 情報の取り扱いに配慮が要る | 国内法の下にある |
最後の点は見落とされやすい
個人情報を海外に移転する場合、個人情報保護法上の規制がかかります。経営法務で学ぶ論点ですが、システム開発の委託先を決めるときにも関わってきます。
中小企業への助言
| 場面 | 助言 |
|---|---|
| ベンダから提案を受けた | 実際に開発するのは誰かを確認する |
| 見積もりが極端に安い | どこで削っているかを確かめる |
| 自社データを扱う | 再委託の可否を契約で定める |
「誰が作るのか」を確認する——これは中小企業の経営者が見落としがちな、しかし重要な確認事項です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a ベンダとは、ユーザ企業の一次請けとなるシステム会社を指す。
> b オフショア開発とは、国内の北海道や九州、沖縄などのサブベンダに開発業務を委託することである。
> c サブベンダとは、ベンダから発注を受ける子会社や協力会社を指す。
解答 a:○ b:× c:○

ベンダ・サブベンダとオフショア/ニアショア開発(1/3)

ベンダ・サブベンダとオフショア/ニアショア開発(2/3)

ベンダ・サブベンダとオフショア/ニアショア開発(3/3)
試験のポイント
② システム構想フェーズ
システム利用側であるユーザ企業においてシステム化のニーズが顕在化すると、システム化計画の検討が始まります。この段階を、システム構想フェーズとよびます。
システム化の構想はユーザ企業内で行われることが一般的であり、システム部門が各事業部門などと調整し、システム化計画書を作成します。
③ システム化計画書の内容
システム化計画書には、主に以下の内容が記載されます。
| 記載内容 |
|---|
| システム化の目的、期待する効果 |
| システムに対する要求の概要 |
| システム化予算 |
| スケジュール概要 |
| システム開発プロジェクトの体制(社内メンバ、ベンダ双方を含む) |
④ 5つの項目が答える問い
| 項目 | 答える問い |
|---|---|
| 目的、期待する効果 | なぜやるのか |
| 要求の概要 | 何を作るのか |
| 予算 | いくらかけるのか |
| スケジュール概要 | いつまでにやるのか |
| プロジェクトの体制 | 誰がやるのか |
「なぜ・何を・いくら・いつまで・誰が」——企画書の基本要素がそろっています。
⑤ 「ユーザ企業内で行われる」という点
システム化の構想はユーザ企業内で行われることが一般的です。
なぜベンダに任せないのか
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 目的は自社が決めるもの | ベンダには分からない |
| 予算は自社の事情 | 同上 |
| 業務の実情を知っているのは自社 | 同上 |
| ベンダが決めると、売りたいものになる | 自社に必要なものと一致しない |
最後の点が重要
ベンダは自社の製品やサービスを売る立場です。悪意がなくても、自社の得意な方法に寄った提案になります。
「何が必要か」を自社で固めてから、「どう実現するか」をベンダに問う——この順番が大切です。
⑥ RFP(Request For Proposal:提案依頼書)
外部委託先となるベンダを選定する際、発注先候補のベンダに具体的な提案を依頼する文書を作成することがあります。これを、RFPとよびます。
RFPには、システムの概要や主要な機能、調達条件などが記述されます。
| 記述される内容 |
|---|
| システムの概要 |
| 主要な機能 |
| 調達条件 |
⑦ RFI(Request For Information:情報提供依頼書)
一方、発注元となるユーザ企業はベンダに比べて最新技術に精通しておらず、RFPに記載する内容を明確に示せないことがあります。
その場合には、発注先候補のベンダに情報提供を依頼する文書であるRFIを作成し、調達条件などを決定するために必要な情報をベンダから収集します。
RFIにて得られた情報を元にRFPを作成し、具体的な提案と発注先の選定に移ることが多くなっています。
⑧ RFIとRFPの順番
| 順番 | 文書 | 求めるもの |
|---|---|---|
| ① | RFI | 情報(Information) |
| ② | RFP | 提案(Proposal) |
情報を集めてから、提案を求める——この順番です。
⑨ 名前から意味を引く
| 略語 | 展開 | 求めるもの |
|---|---|---|
| RFI | Request For Information | 情報 |
| RFP | Request For Proposal | 提案 |
Iが情報、Pが提案——頭文字で判別できます。
⑩ なぜRFIが必要なのか
発注元となるユーザ企業はベンダに比べて最新技術に精通していない——この非対称性があるためです。
| 知識の差 | 生じる問題 |
|---|---|
| どんな技術があるか知らない | 実現可能な選択肢が分からない |
| 相場が分からない | 予算を立てられない |
| 何を条件にすべきか分からない | RFPが書けない |
まずベンダから情報を得て、RFPを書けるようにする——これがRFIの役割です。
⑪ RFPを作ることの意味
| RFPがある場合 | RFPがない場合 |
|---|---|
| 複数社から同じ条件で提案を受けられる | 各社がばらばらの前提で提案する |
| 比較できる | 比較が困難 |
| 自社の要求が明確になる | あとから「そんな話は聞いていない」 |
| 契約の根拠になる | トラブルのもとになる |
「比較できること」が、RFPのもっとも大きな価値です。相見積もりを取っても、前提が違えば比べられません。
⑫ 中小企業でのRFP
「RFPを作る」というと大がかりに聞こえますが、A4数枚でも十分です。
| 最低限書くこと |
|---|
| いま何に困っているか |
| どうなりたいか |
| 必要な機能 |
| 予算の目安 |
| 希望する時期 |
| 既存システムとの関係 |
これだけでも、提案の質と比較のしやすさが大きく変わります。
診断士が中小企業を支援する場面で、RFPの作成を手伝うことは、具体的で効果の高い関わり方です。
具体例
RFIからRFPへの流れを追う
在庫管理システムの導入を検討する中小企業の例です。
第1段階:社内で構想する(システム構想フェーズ)
| 検討項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 在庫の精度を上げ、欠品と過剰在庫を減らす |
| 期待する効果 | 在庫金額を20%削減、欠品を半減 |
| 要求の概要 | 入出庫の記録、在庫照会、発注点管理 |
| 予算 | 300万円程度 |
| スケジュール | 6か月後に稼働 |
| 体制 | 総務課長(責任者)、倉庫主任、営業担当 |
第2段階:情報を集める(RFI)
| ベンダに尋ねること | 得たい情報 |
|---|---|
| どんな製品・サービスがあるか | 選択肢を知る |
| 導入実績 | 同業他社の例 |
| 費用の目安 | 予算が妥当か確かめる |
| 導入期間の目安 | スケジュールが妥当か |
| 既存システムとの連携可否 | 実現可能性 |
RFIで分かること
| 発見 | 対応 |
|---|---|
| 予算300万円では足りないと分かった | 機能を絞るか、予算を見直す |
| クラウドなら月額で使えると分かった | 初期費用を抑える選択肢が増える |
| 既存の会計ソフトと連携できると分かった | 要件に加える |
第3段階:提案を求める(RFP)
| 記載項目 | 内容 |
|---|---|
| システムの概要 | 在庫管理システム。拠点1か所、利用者10名 |
| 主要な機能 | 入出庫記録、在庫照会、発注点管理、会計連携 |
| 調達条件 | 予算、納期、保守条件、提案書の提出期限 |
第4段階:提案を比較する
| 観点 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 280万円 | 180万円 | 350万円 |
| 月額 | 2万円 | 5万円 | 1万円 |
| 5年間の総額 | 400万円 | 480万円 | 410万円 |
| 会計連携 | ○ |
総額で比べる
初期費用だけ見ればB社が安く見えますが、5年間の総額ではA社が最も安いという結果になりました。
第11章で学ぶTCO(総所有コスト)の考え方が、ここで効いています。
RFPがあったから比較できた
もしRFPを作らずに各社に相談していたら、
| 起きること | 内容 |
|---|---|
| 前提がばらばら | A社は5年、B社は3年で見積もる |
| 含まれる範囲が違う | 教育費用が入っているか不明 |
| 比較できない | 高いのか安いのか判断できない |
同じ条件を示すことで、初めて比較が成立します。
診断士としての関わり方
| 段階 | できること |
|---|---|
| 構想 | 目的と効果を数字で表す手助け |
| RFI | どんな情報を集めるべきかを示す |
| RFP | 文書の作成を支援する |
| 提案の比較 | 比較の観点を示す(総額、実績、連携) |
| 契約 | 確認すべき条項を示す |
技術に詳しくなくてもできる支援が多くある——この点は、診断士がIT分野に関わるうえで心強い事実です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a RFPは、発注先候補のベンダに具体的な提案を依頼する文書である。
> b RFIは、発注先候補のベンダに情報提供を依頼する文書である。
> c 一般に、RFPを作成して提案を受けた後に、RFIを作成して情報を収集する。
解答 a:○ b:○ c:×

システム開発の関係者とRFI・RFP
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
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| ×(別途開発) |
| 実績 | 同業5社 | 同業20社 | 他業種中心 |