開発方法論
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プレミアムで見るこの節では、システム開発に関するその他の用語を押さえます。ばらばらに見えますが、「自分ですべて作らずに、外のものを組み合わせる」という流れ(マッシュアップ・API)と、「作った後の運用まで見据える」という流れ(DevOps・MLOps)、そして「全社の設計図を描く」という流れ(BPR・EA)の3つに整理できます。とくにDevOpsとEAは、令和3年度から7年度まで繰り返し出題されている頻出用語です。
簡単にいうと
マッシュアップは「複数のWebサービスを組み合わせて新しいものを作る」!そしてそれを可能にしているのがAPIだよ。2つはセットで理解しよう。
① マッシュアップとは
マッシュアップとは、Web上に公開されている複数のWebサービスを組み合わせて、新しいソフトウェアやサービス、データベースなどを作る手法の総称です。
② 具体例
Googleが提供する地図サービス、Amazonが提供する商品情報など、Web上の情報を活用して自社のホームページを構成する企業が増えています。
| 組み合わせる元 | 例 |
|---|---|
| 地図サービス | Googleマップ |
| 商品情報 | Amazonの商品データ |
| 天気情報 | 気象サービス |
| 決済 | 決済事業者のサービス |
③ 注目される理由
具体例
マッシュアップの具体例
不動産情報サイトを例にします。
| 組み合わせる要素 | 提供元 |
|---|---|
| 物件情報 | 自社のデータベース |
| 地図表示 | 地図サービスのAPI |
| 周辺施設(学校、病院、コンビニ) | 地図サービスのAPI |
| 通勤時間の計算 | 経路検索サービスのAPI |
| 周辺の相場 | 公開データ |

システム開発に関する用語
試験のポイント
簡単にいうと
リバースエンジニアリングは「逆向きに進む」——出来上がったものから設計を読み取る技術だよ。著作権のトラブルにつながる点も押さえよう。
① リバースエンジニアリングとは
リバースエンジニアリングとは、通常の開発手順とは逆に、現在実装されているプログラムから上流工程に向かって作業を行い、設計仕様などを抽出して、そのソフトウェアの修正や再開発を支援する技術です。
② 何をするのか
リバースエンジニアリングによって、既存ソフトウェアの動作を解析することで、プログラムの仕様やソースコードを導き出します。
| 通常の開発 | リバースエンジニアリング |
|---|---|
| 設計 → プログラム | プログラム → 設計 |
簡単にいうと
DevOpsは「開発と運用が密接に連携する」——「フェーズを明確に分離して」と書いてあったら誤りだよ! これが令和7年度に出題されたよ。EAは4つのアーキテクチャをセットで覚えよう。
① DevOps(デブオプス)
DevOps(デブオプス)とは、開発(Development)と運用(Operations)を組合せた用語であり、開発側と運用側とが密接に連携して、システムの導入や更新を柔軟かつ迅速に行う開発の方法論です。
| 要素 | 元の語 |
|---|---|
| Dev | Development(開発) |
| Ops | Operations(運用) |
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な知識 | ITの深い知識がなくてもよい |
| 期間 | 短期間で開発できる |
④ 語源
mash up は、音楽の分野で「複数の曲を混ぜ合わせて新しい曲を作る」という意味で使われていた語です。それがIT分野に持ち込まれました。
⑤ API(Application Programming Interface)
APIとは、ソフトウェアの機能や管理するデータなどを部品として、外部の別のプログラムから呼び出して利用するための仕組みです。
⑥ APIの効果
開発者はAPIに従って機能を呼び出す短いプログラムを記述するだけで、自らプログラミングを行うことなく、その機能を利用したソフトウェアを作成することができます。
| APIがない場合 | APIがある場合 |
|---|---|
| その機能を自分で作る | 呼び出す短いプログラムを書くだけ |
| 数か月かかる | 数日で済む |
⑦ マッシュアップとAPIの関係
| 用語 | 位置づけ |
|---|---|
| API | 仕組み(部品を呼び出せるようにする) |
| マッシュアップ | 手法(複数のWebサービスを組み合わせる) |
APIという仕組みがあるから、マッシュアップという手法が成り立つ——この関係です。
⑧ APIの例
| API | できること |
|---|---|
| 地図API | 自社サイトに地図を埋め込む |
| 決済API | 決済機能を組み込む |
| 翻訳API | 文章を翻訳する |
| 音声認識API | 音声を文字にする |
| 生成AIのAPI | 文章の生成や要約を組み込む |
⑨ インタフェースという語
第1章で学んだインタフェース(USBなど、機器同士をつなぐ規格)と、考え方は同じです。
| 種類 | つなぐもの |
|---|---|
| ハードウェアのインタフェース | 機器と機器 |
| API | プログラムとプログラム |
「決められた形でやり取りする取り決め」という点が共通しています。
⑩ APIエコノミー
APIを公開して他社に使ってもらうことで、経済圏を作る動きをAPIエコノミーとよびます。
| 立場 | 得られるもの |
|---|---|
| APIを公開する側 | 自社サービスの利用が広がる。利用料収入 |
| APIを使う側 | 短期間・低コストで機能を得られる |
⑪ 中小企業にとっての意味
| できること | 例 |
|---|---|
| 自社で作らず、借りる | 決済、地図、認証 |
| 短期間で試せる | まず作って、反応を見る |
| 費用を抑えられる | 使った分だけ払う |
自前主義から脱する
| 従来 | API活用 | |
|---|---|---|
| 考え方 | すべて自社で作る | 借りられるものは借りる |
| 費用 | 初期投資が大きい | 使った分だけ |
| 期間 | 長い | 短い |
⑫ 注意点
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 提供元に依存する | 提供が終了したら使えなくなる |
| 仕様変更に振り回される | APIの仕様が変わると改修が必要 |
| 料金が上がる | 提供元の都合で変わる |
| データが外部に渡る | 個人情報の扱いに注意 |
依存のリスクをどう見るか
| 機能 | 借りてよいか |
|---|---|
| 地図、天気 | 借りてよい(代替が効く) |
| 決済 | 借りてよい(自前は現実的でない) |
| 自社の競争力の源泉 | 慎重に判断 |
「他社と差がつく部分は自前、差がつかない部分は借りる」——これが実務的な判断基準です。
| 自前 | 借りている |
|---|---|
| 物件情報 | 地図、周辺施設、経路、相場 |
それでも価値のあるサービスになる——これがマッシュアップの力です。
自前で作ったらどうなるか
| 機能 | 自前で作る費用 |
|---|---|
| 地図データの整備 | 数億円規模 |
| 経路検索の開発 | 数年がかり |
現実的ではありません。
中小企業でのマッシュアップ
| 業種 | 組み合わせ |
|---|---|
| 飲食店 | 自社サイト+予約サービス+地図+SNS |
| 小売 | 自社サイト+決済+配送追跡+レビュー |
| 製造 | 自社サイト+在庫API+見積もり計算 |
始めやすい理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 無料のAPIが多い | 試すのに費用がかからない |
| ITの深い知識が要らない | 設定だけで済むものもある |
| 短期間で形になる | 数日で試せる |
ノーコード・ローコードとの関係
第8章で学んだノーコード/ローコード開発も、同じ流れにあります。
| 内容 | |
|---|---|
| マッシュアップ | 既存のサービスを組み合わせる |
| ノーコード | プログラムを書かずに作る |
どちらも「自分でゼロから作らない」という発想です。
APIを使う側の実務
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① | 使いたいAPIを探す |
| ② | 利用登録してキーを取得する |
| ③ | APIに従って呼び出すプログラムを書く |
| ④ | 結果を自社のサービスに組み込む |
③が「短いプログラム」で済む
| 自前で作る場合 | APIを使う場合 |
|---|---|
| 数千行のプログラム | 数行から数十行 |
APIを公開する側の実務
自社のデータや機能をAPIとして公開する場合。
| 検討事項 | 内容 |
|---|---|
| 何を公開するか | 自社の強みが失われない範囲 |
| 誰に使わせるか | 登録制か、誰でもか |
| 料金をどうするか | 無料か、従量課金か |
| セキュリティ | 認証、利用回数の制限 |
中小企業がAPIを公開する例
| 業種 | 公開するもの |
|---|---|
| 卸売 | 在庫状況を得意先に公開 |
| 物流 | 配送状況を荷主に公開 |
| 製造 | 見積もり計算を代理店に公開 |
得られる効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 問い合わせが減る | 相手が自分で確認できる |
| 取引が増える | 相手のシステムに組み込まれる |
| 乗り換えられにくくなる | 組み込まれると外しにくい |
3つ目がとくに大きい
相手のシステムに組み込まれると、スイッチングコストが生じます。企業経営理論で学ぶ囲い込みの考え方が、ここで実務に結びつきます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a マッシュアップとは、Web上に公開されている複数のWebサービスを組み合わせて、新しいソフトウェアやサービスなどを作る手法の総称である。
> b APIとは、ソフトウェアの機能や管理するデータなどを部品として、外部の別のプログラムから呼び出して利用するための仕組みである。
> c マッシュアップは、ITの深い知識を持つ技術者でなければ扱えないため、大企業を中心に普及している。
解答 a:○ b:○ c:×
| 上流 → 下流 | 下流 → 上流 |
reverse は「逆の」という意味です。
③ フォワードエンジニアリング
なお、通常の手順によって開発を進めることをフォワードエンジニアリングとよびます。
| 用語 | 方向 |
|---|---|
| フォワードエンジニアリング | 通常の手順(設計 → プログラム) |
| リバースエンジニアリング | 逆の手順(プログラム → 設計) |
④ 著作権の問題
ソフトウェアパッケージなどの製品化されているソフトウェアについてもリバースエンジニアリングを行うことが可能なため、プログラムの著作権をめぐってトラブルが発生することもあります。
| 用途 | 評価 |
|---|---|
| 自社の古いシステムの設計を復元する | 問題ない |
| 他社の製品を解析して模倣する | 著作権のトラブルになりうる |
経営法務で学ぶ著作権とつながる論点です。
⑤ リバースエンジニアリングが必要になる場面
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 設計書が残っていない | プログラムから設計を起こす |
| 担当者が退職した | 中身が分からなくなった |
| 古いシステムを作り直す | 今の仕様を確認する |
中小企業でよくある状況
| 状況 | 起きていること |
|---|---|
| 10年前に作ったシステム | 設計書がない |
| 作った人がいない | 誰も中身を知らない |
| 直したいが触れない | 何が起きるか分からない |
レガシーシステムの問題の、技術的な側面がここにあります。
⑥ BPR(リエンジニアリング)
収益や顧客満足度の向上を目的として、業務内容や業務の流れを抜本的に見直すことを意味します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 収益や顧客満足度の向上 |
| 対象 | 業務内容や業務の流れ |
| 程度 | 抜本的に見直す |
⑦ ITとの関係
ITはビジネスプロセスを迅速に変更する有効なツールであるため、ERPパッケージなどを全面的に導入し、業務の流れを同時に変える手法が一般的です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① | ERPパッケージなどを全面的に導入する |
| ② | 業務の流れを同時に変える |
⑧ なぜERPと同時なのか
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| パッケージには標準的な業務の流れが組み込まれている | それに合わせると、業務が標準化される |
| 個別に作り込まなくて済む | 費用と期間を抑えられる |
⑨ Fit&Gapという考え方
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| Fit | パッケージの機能が自社の業務に合う部分 |
| Gap | 合わない部分 |
Gapへの対応
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 業務を変える | パッケージに合わせる(BPR) |
| パッケージを変える | カスタマイズする(費用が増える) |
| 諦める | その業務は手作業のまま |
「業務を変える」が原則
| 業務を変える | パッケージを変える | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 安い | 高い |
| 保守費用 | 安い | 高い(更新のたびに改修) |
| 難しさ | 現場の抵抗がある | 技術的には可能 |
「本当にその業務のやり方でなければならないのか」を問う——これがBPRの発想です。
⑩ BPRの難しさ
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 現場の抵抗 | 慣れたやり方を変えたくない |
| 抜本的すぎる | 一度にすべてを変えるのは負担が大きい |
| 経営者の関与が必要 | 現場だけでは決められない |
経営者が関与しないBPRは失敗する
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| システム部門だけで進める | 現場が従わない |
| 各部門の要望を全部聞く | 今までと同じ業務になる |
| 経営者が方針を示す | 進む |
⑪ BPRとカイゼンの違い
| BPR | カイゼン | |
|---|---|---|
| 程度 | 抜本的 | 少しずつ |
| 主体 | 経営主導 | 現場主導 |
| 速さ | 速い | 遅い |
| リスク | 大きい | 小さい |
どちらが優れているというものではなく、状況に応じて選ぶものです。
具体例
リバースエンジニアリングの実務
20年前に作られた在庫管理システムを作り直す場面を考えます。
直面する問題
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 設計書がない | どんな仕様か分からない |
| 作った会社がない | 聞ける相手がいない |
| 担当者が退職 | 社内にも分かる人がいない |
| しかし動いている | 業務は回っている |
リバースエンジニアリングで行うこと
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① | プログラムを解析する |
| ② | どんなデータを扱っているか把握する |
| ③ | どんな処理をしているか把握する |
| ④ | 設計書を復元する |
| ⑤ | 新システムの仕様を決める |
解析で見つかること
| 発見 | 内容 |
|---|---|
| 使われていない機能がある | 新システムでは作らなくてよい |
| 特定の得意先だけの例外処理がある | 今も必要か確認する |
| 手作業で補っている部分がある | 新システムで自動化できる |
2つ目がとくに多い
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| 「A社だけは締日が違う」 | プログラムに直接書かれている |
| もうA社とは取引がない | 不要な処理が残っている |
リバースエンジニアリングは、業務の棚卸しにもなる——これが実務的な価値です。
著作権のトラブル
| 場面 | 問題 |
|---|---|
| 他社のパッケージを解析して同等品を作る | 著作権侵害になりうる |
| 利用規約で禁止されている | 契約違反になる |
多くのソフトウェアの利用規約では、リバースエンジニアリングが禁止されています。
BPRの事例:受注業務の見直し
現状
| 手順 | 内容 | 所要 |
|---|---|---|
| ① | FAXで注文を受ける | — |
| ② | 担当者が内容を確認する | 10分 |
| ③ | システムに手入力する | 15分 |
| ④ | 在庫を確認する | 10分 |
| ⑤ | 受注確認書をFAXで返す | 10分 |
1件あたり45分。1日30件で22.5時間。
カイゼンで進めると
| 改善 | 効果 |
|---|---|
| 入力画面を使いやすくする | 15分 → 12分 |
| 在庫確認を自動化する | 10分 → 5分 |
45分 → 37分。18%の削減。
BPRで進めると
| 改善 | 内容 |
|---|---|
| 得意先に受発注システムを使ってもらう | FAXと手入力をなくす |
| 在庫を自動で引き当てる | 確認をなくす |
| 確認メールを自動送信する | 返信をなくす |
45分 → 5分。89%の削減。
BPRの難しさもここに表れる
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 得意先に協力してもらう必要がある | 自社だけでは決められない |
| FAXでないと困る得意先がある | 併存させる必要がある |
| 担当者の仕事がなくなる | 配置転換が必要 |
現実的な進め方
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 主要な得意先から始める |
| ② | FAXも併存させる |
| ③ | 徐々に移行する |
| ④ | 余った時間を営業に回す |
「業務がなくなる」ではなく「時間が生まれる」と伝える
| 伝え方 | 受け取られ方 |
|---|---|
| 「この業務を自動化します」 | 自分の仕事がなくなる |
| 「この時間を営業に回せます」 | より価値のある仕事ができる |
BPRを進めるうえで、この伝え方が実務的に効きます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a リバースエンジニアリングとは、通常の開発手順とは逆に、現在実装されているプログラムから上流工程に向かって作業を行い、設計仕様などを抽出する技術である。
> b 通常の手順によって開発を進めることをフォワードエンジニアリングとよぶ。
> c BPRとは、業務の流れを部分的に少しずつ改善していくことを意味する。
解答 a:○ b:○ c:×

リバースエンジニアリングとBPR(1/2)

リバースエンジニアリングとBPR(2/2)
試験のポイント
② アジャイルとのつながり
アジャイル開発プロセスに通じる概念であり、プログラムの変更とリリース(運用開始)を頻繁に繰り返すアジャイル開発においては、開発担当者と運用担当者の連携を密に行う必要があります。
③ なぜ連携が必要か
| 頻度 | 必要なこと |
|---|---|
| 年に1回のリリース | その都度調整すればよい |
| 週に何度もリリース | 連携の仕組みが必要 |
アジャイル開発でリリースが頻繁になったから、DevOpsが必要になった——この順序で理解できます。
④ 「密接に連携して」がキーワード
令和7年度の本試験では、「開発と運用のフェーズを明確に分離して」という誤った記述が出題されました。
| 誤り | 正しくは |
|---|---|
| 開発と運用のフェーズを明確に分離して | 開発側と運用側とが密接に連携して |
「分離」と書いてあったら誤り——この一点で判定できます。
⑤ 従来の開発と運用
| 開発側 | 運用側 | |
|---|---|---|
| 目標 | 新しい機能を早く出す | 安定して動かす |
| 変更への姿勢 | 変えたい | 変えたくない |
この2つは対立しがち
| 場面 | 起きること |
|---|---|
| 開発が新機能をリリースしたい | 運用が「障害が起きたら困る」と止める |
| 運用が障害に対応する | 開発が「仕様どおり」と取り合わない |
DevOpsは、この対立を解消する考え方です。
⑥ DevOpsのサイクル
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | アイデア |
| 開発 | アイデアから動くソフトウェアへ |
| 実装 | — |
| 運用と監視 | — |
| 運用 | ソフトウェアの本番運用により、実際の価値を提供 |
この輪を回し続ける——一方通行ではなく、循環するのがDevOpsの図です。
⑦ MLOps(エムエルオプス)
MLOps(エムエルオプス)とは、機械学習(Machine Learning)と運用(Operations)を組み合わせた用語であり、データサイエンティスト(機械学習エンジニア)と運用担当者がお互いに連携し、コミュニケーションを取りながら行う開発の方法論です。
DevOpsから発展して生まれた考え方です。
| 用語 | 組み合わせ |
|---|---|
| DevOps | 開発(Dev)+運用(Ops) |
| MLOps | 機械学習(ML)+運用(Ops) |
⑧ MLOpsで行うこと
機械学習チームと開発チームは、最終的なソリューションの一機能となる機械学習モデルの作成とデプロイを自動化し、リリースサイクルを早めます。
運用チームは、刻々と変化するビジネス要求を捉えて、機械学習チームにフィードバックしながら、より付加価値の高いソリューションをエンドユーザーに届けます。
| チーム | 役割 |
|---|---|
| 機械学習チーム・開発チーム | 機械学習モデルの作成とデプロイを自動化し、リリースサイクルを早める |
| 運用チーム | ビジネス要求を捉えて機械学習チームにフィードバックする |
⑨ なぜ機械学習に専用の考え方が必要か
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| モデルは劣化する | データの傾向が変わると精度が落ちる |
| 作って終わりではない | 継続的に学習し直す必要がある |
| データが変わる | 入力データの性質が変化する |
通常のソフトウェアとの違い
| 通常のソフトウェア | 機械学習モデル | |
|---|---|---|
| 変えなければ | 同じ動作を続ける | 精度が落ちていく |
| 必要なこと | 保守 | 継続的な再学習 |
⑩ EA(Enterprise Architecture)
エンタープライズアーキテクチャとは、企業の業務プロセスや情報システムの標準化、組織の最適化を進めることにより、効率的な組織構造を実現するためのフレームワークです。
⑪ EAの背景
企業の事業発展とそれを支援する情報システムとの結びつきは強化されており、洗練された形へと進化する必要があります。
今後は情報システムだけでなく、ビジネスプロセスと関連づけ、分析し、統一していくことが重要です。
情報システムとビジネスプロセスを集約することで、企業全体の設計図(=エンタープライズアーキテクチャ)が完成することになります。
⑫ 4つのアーキテクチャ
エンタープライズアーキテクチャでは、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つのアーキテクチャを用いて、企業が組織の構造と機能を全体最適の観点から分析する枠組みです。
4つのアーキテクチャで用いる文書類を定義しています。
| アーキテクチャ | 作成する文書類 |
|---|---|
| 政策・業務体系(BA:Business Architecture) | 業務説明書、機能構成図、機能情報関連図(DFD)、業務流れ図 |
| データ体系(DA:Data Architecture) | 実体関連ダイアグラム(ERD)、情報体系整理図(UMLクラス図)、データ定義表 |
| 適用処理体系(AA:Application Architecture) | どんなシステムがあって、どうつながり、どんな機能を持つか(情報システム関連図・機能構成図) |
| 技術体系(TA:Technology Architecture) | それを何の上で動かすか(ネットワーク・ソフトウェア・ハードウェアの構成図) |
⑬ 4つの階層の順序
| 順 | アーキテクチャ | 見るもの |
|---|---|---|
| ① | BA(政策・業務体系) | 業務 |
| ② | DA(データ体系) | データ |
| ③ | AA(適用処理体系) | 情報システム |
| ④ | TA(技術体系) | 技術基盤 |
上から下へ:業務 → データ → システム → 技術
業務が先にあり、それを支えるためにシステムがある——この順序が、EAの考え方を表しています。
⑭ 文書類に出てくる図
この節までに学んだ図が、そのまま文書類として指定されています。
| 図 | どこで学んだか |
|---|---|
| DFD(機能情報関連図) | 第5節 モデリング技法 |
| ERD(実体関連ダイアグラム) | 第5節 モデリング技法 |
| UMLクラス図(情報体系整理図) | 第6節 UML |
⑮ EAの出題
令和6年度の本試験では、EAの説明が「ビジネスモデルキャンバス」の説明として出題され、誤りとされました。
| 誤り | 正しくは |
|---|---|
| ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つのアーキテクチャを用いて…… | エンタープライズアーキテクチャの説明 |
「4つのアーキテクチャ」という語が出たらEA——この結びつけが判別の決め手です。
具体例
設例1 DevOps
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和7年度第13問 改題)
> DevOpsでは、開発と運用のフェーズを明確に分離して、システムの導入や更新を柔軟かつ迅速に行う。
解答 ×
開発側と運用側とが密接に連携して、システムの導入や更新を柔軟かつ迅速に行う開発の方法論です。
誤りの作り方
| 本文 | 選択肢 |
|---|---|
| 密接に連携して | 明確に分離して |
正反対に書き換えている——これがこの設問の作り方です。
設例2 EA
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和6年度第12問 改題)
> ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つのアーキテクチャを用いて、企業が組織の構造と機能を全体最適の観点から分析する枠組みである。
解答 ×
エンタープライズアーキテクチャの説明です。
ビジネスモデルキャンバスとは
企業経営理論で学ぶ、ビジネスモデルを9つの要素で整理するフレームワークです。
| ビジネスモデルキャンバス | EA | |
|---|---|---|
| 分析するもの | ビジネスモデル | 組織の構造と機能 |
| 構成 | 9つの要素 | 4つのアーキテクチャ |
「4つのアーキテクチャ」が目印
DevOpsを中小企業で考える
| 規模 | 状況 |
|---|---|
| 大企業 | 開発部門と運用部門が分かれている |
| 中小企業 | 同じ人が両方やっていることが多い |
中小企業はすでにDevOps的
| 大企業 | 中小企業 | |
|---|---|---|
| 開発と運用 | 部門が分かれている | 同じ人 |
| 連携 | 仕組みが必要 | 自然にできている |
ただし、別の問題がある
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 1人に依存している | その人が辞めると止まる |
| 手順が記録されていない | 本人しか分からない |
| 本番環境で直接作業する | 失敗すると業務が止まる |
DevOpsの実践から学べること
| 実践 | 中小企業での応用 |
|---|---|
| 手順を自動化する | 手作業を減らす |
| 記録を残す | 属人化を防ぐ |
| テスト環境を用意する | 本番で試さない |
「本番環境で直接作業しない」だけでも効果が大きい
| 状況 | リスク |
|---|---|
| 本番のデータベースを直接書き換える | 間違えると復旧できない |
| 本番のプログラムを直接直す | 業務が止まる |
MLOpsが必要になる場面
| 用途 | モデルが劣化する例 |
|---|---|
| 需要予測 | 消費者の好みが変わった |
| 不良品検出 | 製造ラインを変えた |
| 与信判断 | 経済環境が変わった |
劣化に気づく仕組みが要る
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 精度を継続的に測る | 予測と実績を突き合わせる |
| 閾値を決める | 精度が下がったら警告 |
| 再学習の手順を決める | 誰がいつ行うか |
「AIを導入したら終わり」ではない
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 一度作れば動き続ける | 継続的な手入れが必要 |
| 精度は変わらない | データが変われば落ちる |
AI導入を検討する企業への助言として、この点は重要です。運用の体制と費用を、導入時に見込んでおく必要があります。
EAを中小企業で使う
大がかりなEAの導入は難しくても、4つの階層で整理する発想は使えます。
| 階層 | 中小企業での問い |
|---|---|
| BA(業務) | どんな業務があるか。誰がやっているか |
| DA(データ) | どんなデータがあるか。どこにあるか |
| AA(システム) | どんなシステムがあるか。何をしているか |
| TA(技術) | どんな機器・ソフトを使っているか |
整理すると見えること
| 発見 | 内容 |
|---|---|
| 同じデータが複数箇所にある | DAの問題 |
| システムが連携していない | AAの問題 |
| 古い機器が残っている | TAの問題 |
| 業務がシステムに合っていない | BAとAAの不整合 |
最後の1つが最も多い
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| システムに合わせて業務を歪めている | 本来の業務ができていない |
| システムを使わず手作業に戻っている | 投資が無駄になっている |
業務(BA)から順に見る
| 順 | 問い |
|---|---|
| ① | その業務は本当に必要か |
| ② | どんなデータが要るか |
| ③ | どんなシステムが支えるか |
| ④ | どんな技術で実現するか |
技術から入らない——EAの4階層は、この順序を示しています。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a MLOpsは、機械学習と運用を組み合わせた用語であり、DevOpsから発展して生まれた考え方である。
> b EAでは、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つのアーキテクチャを用いる。
> c EAのデータ体系(DA)では、業務説明書や業務流れ図を作成する。
解答 a:○ b:○ c:×

エンタープライズアーキテクチャ
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