システム構成技術
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プレミアムで見る前の節では、障害にどう向き合うかという考え方を整理しました。この節では、その考え方を実現する具体的な技術を見ていきます。停電に備えるUPS、ディスクの故障に備えるミラーリングとRAID、システムそのものを二重にするデュアルシステムとデュプレックスシステム——いずれも「壊れても動き続ける」というフォールトトレランスを形にしたものです。RAIDの区分とスタンバイ方式の3種類は、令和5年度の本試験でそのまま問われました。何を二重化しているのかを1つずつ確かめながら読み進めてください。
簡単にいうと
停電に備えるのがUPS、ディスクの故障に備えるのがミラーリング。そしてインタフェースカードまで二重にしたのがデュプレキシング!「何を二重にしているか」を数えると、違いがはっきりするよ。
① この節で扱うもの
ここでは、フォールトトレランスを実現する具体的な技術について見ていきます。
② UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)
停電などのときに、一定時間電力の供給を行う装置です。
停電などが発生すると、コンピュータの主記憶の内容(作業中のデータ)は、ハードディスクに記憶されることなく失われてしまう可能性があります。
このようなときに、UPSは「システムを正常に終了させるのに必要な時間だけ」電力を供給します。
③ UPSの目的を正確に押さえる
ここが試験で問われる点です。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 停電中も業務を続けられる | システムを正常に終了させる時間だけ |
UPSは、停電中に業務を継続するための装置ではありません。電池の容量には限りがあり、数分から数十分しか持ちません。
その間に何をするか
具体例
UPSの容量を考える
中小企業でサーバにUPSを導入する場面を考えます。
確認すること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 接続する機器 | サーバ、ネットワーク機器、ストレージ |
| 消費電力の合計 | 各機器の定格から算出 |
| 必要な保持時間 | シャットダウンに要する時間+余裕 |
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|

UPS・ミラーリング・デュプレキシング(1/3)

UPS・ミラーリング・デュプレキシング(2/3)

UPS・ミラーリング・デュプレキシング(3/3)
試験のポイント
簡単にいうと
RAIDは、複数のディスクを束ねて速くしたり丈夫にしたりする技術!使う道具は3つだけ——ストライピング(速さ)、ミラーリング(丈夫さ)、パリティ(丈夫さ)。この3つの組み合わせで0・1・5・6が決まるんだ。
① RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks:レイド)
RAIDは、複数ディスク装置を用いて読み書きの高速化や障害に対する信頼性を高める技術です。
冗長構成の方法、データの記憶方法、パリティビット(誤り訂正情報)の有無、記憶位置の違いにより、RAID 0〜6に分類されます。
② 試験で押さえるべき4つ
RAID 0〜6のうち、実務的にほとんど使用されていないものもあり、試験対策上押さえる必要はありません。
押さえるべきは次の4つです。
| 名称 |
|---|
簡単にいうと
ディスクだけでなく、システムまるごと二重にするのがこのテーマ!同じ処理を2つでやって照合するのがデュアル、片方を待機させるのがデュプレックス。スタンバイ方式の3種類は、電源と起動の組み合わせで決まるよ。
① システムの2重化
システムを2重化することで、システムの障害に備える技術です。
② デュアルシステム
システムを構成する全装置を2重化し、各系統が同じ処理を行って、その処理結果を照合するシステム構成方式のことです。
処理結果が不一致の場合、診断用ソフトウェアが働き、障害が発生したシステムを切り離す措置を行ってから正常なシステムで処理を続行します。
切り替え時間を必要とせず、障害が起きていないか常に監視しているので、デュプレックスシステムよりは信頼性は高くなります。
しかし、1つの処理を2系統で実行するため、高価です。
たとえば、人工呼吸器などの高い信頼性が要求されるシステムで採用されています。
簡単にいうと
最後は関連用語のまとめ!複数のコンピュータを1台のように見せるクラスタリングとグリッド、そして災害に備えて別の場所にシステムを用意しておく各種サイトだよ。
① クラスタリング
複数のコンピュータを相互に接続し、あたかも1台の高性能なコンピュータのごとく利用できるように構成したシステムのことです。
つまり、複数台のコンピュータに分散処理させたり、1台のコンピュータが故障しても他のコンピュータで処理を代行させるなど、処理性能の向上と信頼性の向上の両方を追求するシステム構成技術です。
② 2つの目的を同時に満たす
| 目的 | どう実現するか |
|---|---|
| 処理性能の向上 | 複数台に分散処理させる |
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| 内容 |
|---|
| ① | 停電を検知する |
| ② | 作業中のデータを保存する |
| ③ | システムを正常に終了させる(シャットダウン) |
④ なぜ「正常に終了させる」ことが重要なのか
第1章で学んだとおり、主記憶装置(DRAM)は揮発性です。電源が切れれば内容が消えます。
| 終了の仕方 | 何が起きるか |
|---|---|
| 突然電源が切れる | 作業中のデータが失われる。ファイルが壊れることもある |
| 正常に終了する | データが補助記憶装置に書き出される |
第3章で学んだデータベースの話でいえば、書き込みの途中で電源が落ちると、トランザクションが中途半端な状態になります。ロールバックで戻せるとはいえ、正常に終了できるならそのほうがはるかによいわけです。
⑤ ミラーリング
ハードディスクを2重化することで、ハードディスクの障害に備える技術です。
ミラーリングでは、1枚のインタフェースカード(SCSIカードなど)に2台のハードディスクを接続して、同一のデータを書き込みます。
これにより、一方のハードディスクに障害が発生しても、他方のハードディスクを読み書きすることで業務を中断なく続行することができます。
⑥ 構成のイメージ
| 要素 | 台数 |
|---|---|
| サーバ | 1台 |
| インタフェースカード | 1枚 |
| ハードディスク | 2台 |
同じデータを2台に書き込むため、mirror(鏡)という名前が付いています。
⑦ デュプレキシング
ハードディスクおよびインタフェースカードを2重化することで、ハードディスクの障害に備える技術です。
デュプレキシングでは、2枚のインタフェースカードに2台のハードディスクを接続して、同一のデータを書き込みます。
インタフェースカードも2重化されているので、インタフェースカードの障害にも対処することができます。
⑧ 構成のイメージ
| 要素 | 台数 |
|---|---|
| サーバ | 1台 |
| インタフェースカード | 2枚 |
| ハードディスク | 2台 |
⑨ ミラーリングとデュプレキシングの違い
| ミラーリング | デュプレキシング | |
|---|---|---|
| ハードディスク | 2台 | 2台 |
| インタフェースカード | 1枚 | 2枚 |
| 対処できる障害 | ハードディスクの障害 | ハードディスク+インタフェースカードの障害 |
違いはインタフェースカードが1枚か2枚か——この1点です。
⑩ なぜカードも二重にするのか
ミラーリングでは、インタフェースカードが1枚しかありません。
| 故障した部品 | ミラーリングでは | デュプレキシングでは |
|---|---|---|
| ハードディスク1台 | もう1台で継続できる | もう1台で継続できる |
| インタフェースカード | 両方のディスクが使えなくなる | もう1枚で継続できる |
ディスクを二重にしても、その先が1つなら、そこが単一障害点になる——第4節で学んだ直列の考え方です。
ディスク部分を並列にして稼働率を上げても、カードが直列で1枚なら、その稼働率が上限になります。だからカードも並列にする、というのがデュプレキシングの発想です。
⑪ 名前の由来
| 用語 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| ミラーリング | mirroring | 鏡のように同じものを映す |
| デュプレキシング | duplexing | 2組(duplex)にする |
duplex は「二重の、2つの部分から成る」という意味です。組ごと二重にするというニュアンスが、カードまで含めて二重にすることを表しています。
⑫ どちらを選ぶか
| 状況 | 選択 |
|---|---|
| ディスクの故障に備えたい | ミラーリングで足りる |
| カードの故障にも備えたい | デュプレキシング |
| 費用を抑えたい | ミラーリング |
実務では、ディスクのほうが故障しやすい(可動部品があるため)ので、ミラーリングで十分なことも多くあります。ただし、止まると損害の大きいシステムでは、デュプレキシングやさらに上位の冗長化が選ばれます。
| 数分〜数十分しか持たない |
| 大容量にすれば業務を続けられる | 費用が跳ね上がる。発電機が必要になる |
| つないでおけば自動で終了する | 設定しなければ終了しない |
3つ目がとくに重要
UPSを設置しただけでは、停電を検知してもサーバは終了しません。
| 必要な設定 | 内容 |
|---|---|
| UPSとサーバをケーブルで接続 | 停電の信号を伝える |
| 管理ソフトを導入 | 信号を受けて終了処理を始める |
| 終了までの時間を設定 | 何分後に終了を開始するか |
| 動作確認をする | 実際に電源を抜いて試す |
最後の確認が抜けがち
「設置したが、実際に停電したら何も起きなかった」——これは実際に起こりうる失敗です。第6章で学んだ訓練していない手順は本番で機能しないという原則が、ここでも当てはまります。
UPSの電池には寿命がある
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電池の寿命 | おおむね3〜5年 |
| 劣化すると | 保持時間が短くなる |
| 気づかないと | いざというときに機能しない |
定期的な交換が必要です。第12章で学ぶIT資産管理では、こうした消耗品の管理も対象になります。
ミラーリングとデュプレキシングを図で確かめる
ミラーリング
```
サーバ ─── インタフェースカード ┬─ ハードディスク1
└─ ハードディスク2
```
デュプレキシング
```
サーバ ┬── インタフェースカード1 ── ハードディスク1
└── インタフェースカード2 ── ハードディスク2
```
枝分かれの位置が違う
| 枝分かれの位置 | |
|---|---|
| ミラーリング | カードの後ろ |
| デュプレキシング | サーバの直後 |
枝分かれより前にあるものは、すべて単一障害点です。ミラーリングではカードが、デュプレキシングではサーバ本体が、それぞれ単一障害点になります。
さらに上の冗長化
| 二重化する対象 | 技術 |
|---|---|
| ハードディスク | ミラーリング |
| +インタフェースカード | デュプレキシング |
| +サーバ本体 | デュアルシステム、デュプレックスシステム(第3テーマ) |
| +設置場所 | ミラーサイト、各種サイト(第4テーマ) |
どこまで二重にするかは、止まったときの損害と費用の兼ね合いで決まります。第4節で学んだ稼働率の計算が、その判断材料になります。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a UPSは、停電などのときに「システムを正常に終了させるのに必要な時間だけ」電力を供給する。
> b ミラーリングでは、2枚のインタフェースカードに2台のハードディスクを接続する。
> c デュプレキシングは、インタフェースカードの障害にも対処することができる。
解答 a:○ b:× c:○
| RAID 1 |
| RAID 5 |
| RAID 6 |
③ 使われる3つの技術
読み書きの高速化にはストライピングという技術が、信頼性向上にはミラーリング、パリティという技術がそれぞれ利用されています。
| 技術 | 目的 |
|---|---|
| ストライピング | 高速化 |
| ミラーリング | 信頼性向上 |
| パリティ | 信頼性向上 |
④ ストライピング
データを複数台のハードディスクに分散して書き込む技術です。
複数台のハードディスクに同時に読み書きすることが可能なため、アクセス性能が向上し、読み書きの高速化が図られます。
1つのデータを分けて同時に書くので速くなります。ただし、どれか1台でも壊れればデータが失われます。分かれた断片がそろわなければ元に戻せないからです。
⑤ パリティ
データ復旧用の冗長情報です。
データを書き込む際に、特定の演算によってパリティを生成して併せて記録します。
ハードディスクに障害が発生してその内容が失われた場合には、パリティから元のデータを逆算して求めて復元を行います。
⑥ パリティの考え方
簡単な例で考えます。データが「3」「5」「4」の3つで、その合計12をパリティとして記録しておくとします。
| 状況 | 復元できるか |
|---|---|
| 「5」が失われた | 12 − 3 − 4 = 5 と逆算できる |
| 2つ失われた | 逆算できない |
1つ失われても逆算で戻せるが、2つ失われると戻せない——これがパリティの性質です。
だからこそ、パリティを2か所に持つRAID 6は、2台の故障に対応できるわけです。
⑦ RAIDの区分
| 高速化:ストライピング | 信頼性向上:ミラーリング | 信頼性向上:パリティ | |
|---|---|---|---|
| RAID 0 | ● | − | − |
| RAID 1 | − | ● | − |
| RAID 5 | ● | − | ●(複数ディスクに1カ所のパリティ) |
| RAID 6 | ● | − | ●(複数ディスクに2カ所のパリティ) |
⑧ 表の読み方
| RAID | 何をしているか | 何ができるか |
|---|---|---|
| RAID 0 | ストライピングのみ | 速いが、1台壊れたら全滅 |
| RAID 1 | ミラーリングのみ | 速くはないが、1台壊れても大丈夫 |
| RAID 5 | ストライピング+パリティ1つ | 速くて、1台の故障に対応 |
| RAID 6 | ストライピング+パリティ2つ | 速くて、2台の故障に対応 |
RAID 0だけが信頼性を高めていない——これが最大の注意点です。「RAID=冗長化」というイメージがありますが、RAID 0は冗長性を持ちません。
⑨ 必要なディスク台数と耐えられる故障
| RAID | 必要なディスク | 対応できる故障 |
|---|---|---|
| RAID 0 | 2台以上 | なし |
| RAID 1 | 2台 | 1台 |
| RAID 5 | 3台以上 | 1台 |
| RAID 6 | 4台以上 | 同時に2台 |
⑩ イメージで押さえる
RAID 0……データA・Bを2台に分散して書き込む(ストライピング)
RAID 1……同じデータAを2台に書き込む(ミラーリング)
RAID 5……データA・B・C・Dを分散しつつ、パリティブロックを分散記録する
RAID 6……パリティを2か所持つ
⑪ なぜRAID 5・6ではパリティを分散するのか
パリティブロックを分散記録するという記述に注目してください。パリティを1台に集中させると、
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 書き込みのたびにその1台にアクセスが集中 | そこがボトルネックになる |
| その1台が壊れたら | 復元手段を失う |
分散させておけば、負荷も危険も分散します。第1章で学んだメモリインタリーブと同じ、競合を避けるための分散という発想です。
⑫ 実務での選択
| 状況 | 選ぶRAID |
|---|---|
| 速度だけが欲しい(失っても困らないデータ) | RAID 0 |
| 2台構成で確実に守りたい | RAID 1 |
| 3台以上で、速度と信頼性の両方 | RAID 5 |
| 大容量で、復旧中の故障も心配 | RAID 6 |
RAID 6が選ばれる理由
RAID 5では、1台が壊れて交換した後、残りのディスクから読み出して復元する作業が発生します。この復元作業は負荷が高く、時間もかかります。
その最中にもう1台壊れると、すべて失われます。大容量のディスクほど復元に時間がかかるため、この危険が現実的になります。だからRAID 6が選ばれるわけです。
具体例
設例 RAID 0とRAID 1
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和5年度第10問 改題)
> a RAID 1は、RAID技術の1つで、ストライピングによって管理する方式である。
> b RAID 0は、RAID技術の1つで、ミラーリングによって管理する方式である。
解答 a:× b:×
きれいに入れ替えられている
| 選択肢 | 書かれている技術 | 本来のRAID |
|---|---|---|
| RAID 1 | ストライピング | RAID 0 |
| RAID 0 | ミラーリング | RAID 1 |
番号と技術の対応を覚える
| RAID | 技術 | 覚え方 |
|---|---|---|
| RAID 0 | ストライピング | 0=冗長性ゼロ |
| RAID 1 | ミラーリング | 1=1台分の予備 |
「RAID 0は冗長性がゼロ」——番号の0と結びつけると、取り違えません。
必要な容量を計算する
1TBのディスクを使って、実際に使える容量を比べます。
| RAID | ディスク台数 | 使える容量 | 効率 |
|---|---|---|---|
| RAID 0 | 4台 | 4TB | 100% |
| RAID 1 | 2台 | 1TB | 50% |
| RAID 5 | 4台 | 3TB | 75% |
| RAID 6 |
RAID 5の効率のよさ
RAID 5では、パリティに使う容量はディスク1台分です。4台なら3台分、10台なら9台分が使えます。
| 台数 | 使える容量の割合 |
|---|---|
| 3台 | 約67% |
| 4台 | 75% |
| 10台 | 90% |
台数が多いほど効率がよくなります。これがRAID 5が広く使われる理由です。
RAID 6は2台分を使う
| 台数 | 使える容量の割合 |
|---|---|
| 4台 | 50% |
| 10台 | 80% |
安全性のために、ディスク1台分を余分に使っているわけです。
中小企業への助言
| 用途 | 推奨 |
|---|---|
| 一般的な業務サーバ(2台構成) | RAID 1 |
| ファイルサーバ(4台以上) | RAID 5 |
| 大容量のバックアップ用 | RAID 6 |
| 動画編集の作業領域(消えてもよい) | RAID 0 |
RAIDはバックアップの代わりにならない
これが実務上もっとも重要な注意点です。
| RAIDが守るもの | RAIDが守らないもの |
|---|---|
| ディスクの物理的な故障 | 誤って削除したファイル |
| — | ウィルスによる暗号化(ランサムウェア) |
| — | 火災・水害・盗難 |
| — | RAID装置そのものの故障 |
誤って削除すれば、全台から同時に消えます。ミラーリングは「同じことを2台に書く」技術なので、削除も2台に反映されます。
第3章で学んだバックアップは、RAIDとはまったく別に必要です。
| 対策 | 守るもの |
|---|---|
| RAID | ディスクの故障(止まらないようにする) |
| バックアップ | データの消失(戻せるようにする) |
「RAIDにしているから安心」は誤り——診断士として、この点は必ず伝えるべきです。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a ストライピングは、データを複数台のハードディスクに分散して書き込む技術である。
> b RAID 5は、ハードディスクを3台以上で構成し、1台のハードディスク障害に対応できる。
> c RAID 6は、ハードディスクを2台以上で構成し、同時に2台の障害に対応できる。
解答 a:○ b:○ c:×

RAID構成比較(RAID 0/1/5/6)
試験のポイント
③ デュアルシステムの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 2系統の使い方 | 両方が同じ処理を行う |
| 結果の扱い | 照合する |
| 切り替え時間 | 不要 |
| 信頼性 | 高い |
| 費用 | 高価(1つの処理を2系統で実行) |
| 用途 | 人工呼吸器など高い信頼性が要求されるシステム |
④ 照合するという点が要
デュアルシステムの特徴は、結果を突き合わせることです。
| 状況 | 動き |
|---|---|
| 2系統の結果が一致 | 正常とみなして処理を続ける |
| 2系統の結果が不一致 | 診断用ソフトウェアが働き、障害のある系統を切り離す |
故障を検知するだけでなく、結果の正しさまで確認している——これが高い信頼性の理由です。
⑤ デュプレックスシステム
現用系と待機系の2系統のシステムから構成され、正常時は現用系でオンライン処理を行い、待機系でバッチ処理などを行うシステム構成です。
現用系が故障した場合は、待機系をオンライン処理に切り替えて処理を続行する方式になっています。
⑥ デュアルとデュプレックスの違い
| デュアルシステム | デュプレックスシステム | |
|---|---|---|
| 2系統の役割 | 両方が同じ処理(現用系・待機系の区別なし) | 現用系と待機系に分かれる |
| 待機側は何をするか | (待機ではない。同じ処理) | バッチ処理などを行う |
| 結果の照合 | する | しない |
| 切り替え時間 | 不要 | 必要(切替装置が働く) |
| 信頼性 | 高い | デュアルよりは低い |
| 費用 | 高価 | デュアルより安い |
⑦ 名前から導く
| 用語 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| デュアル | dual | 二重の、2つの(対等な2つ) |
| デュプレックス | duplex | 二重の、複式の(2つの部分) |
どちらも「二重」を意味しますが、試験では「照合するかどうか」「切り替え時間が要るかどうか」で区別します。
⑧ 待機側の使い方に注目
| 待機側の状態 | |
|---|---|
| デュアルシステム | 同じ処理を実行中(遊んでいない) |
| デュプレックスシステム | バッチ処理などを行う(別の仕事をしている) |
デュプレックスシステムでは、待機系も遊ばせていません。オンライン処理は現用系が担い、待機系は夜間バッチなどを実行します。
資源を無駄にしない工夫ですが、そのぶん切り替えには時間がかかります。
⑨ デュプレックスシステムのスタンバイ方式
デュプレックスシステムにおいて、待機系システムの待機の方式にはコールドスタンバイ、ウォームスタンバイ、ホットスタンバイの3方式があります。
| 方式 | 電源 | 現用系システム上で稼働する処理 | 障害発生時の対応 |
|---|---|---|---|
| コールドスタンバイシステム | オフ | 起動せず | 電源を入れ、現用系システム上で稼働する処理を待機系システム上で起動して処理を引き継ぐ |
| ウォームスタンバイシステム | オン | 起動せず | 現用系システム上で稼働する処理を待機系システム上で起動して処理を引き継ぐ |
| ホットスタンバイシステム | オン | 起動 | 即座に処理を切り替える |
⑩ 3方式を2つの軸で整理する
| 方式 | 電源 | 処理の起動 |
|---|---|---|
| コールド | オフ | していない |
| ウォーム | オン | していない |
| ホット | オン | している |
段階的に準備が進んでいることが分かります。
| 段階 | 準備の度合い |
|---|---|
| コールド | 何も準備していない |
| ウォーム | 電源だけ入っている |
| ホット | 処理も起動済み |
⑪ 切り替え時間と費用
| 方式 | 切り替え時間 | 費用 |
|---|---|---|
| コールド | 最も長い | 最も安い |
| ウォーム | 中程度 | 中程度 |
| ホット | 最も短い(即座) | 最も高い |
準備が進んでいるほど速く切り替えられるが、そのぶん費用がかかる——というトレードオフです。
温度のたとえが分かりやすくなっています。冷えている(コールド)ほど温めるのに時間がかかり、熱い(ホット)ほどすぐ使えるわけです。
⑫ ロードシェアシステム
処理をする系を2つ以上そろえ、ロードバランサ(負荷分散装置)などで仕事を振り分ける構成です。1台あたりの負担が減るので速くなり、1台倒れても残りで受けられるので強くなります。
負荷分散システムともよばれます。
⑬ ロードシェアの位置づけ
| デュアル/デュプレックス | ロードシェア | |
|---|---|---|
| 目的 | 信頼性の向上 | 処理効率と信頼性の向上 |
| 2系統の使い方 | 照合する/待機する | 処理を分担する |
ロードシェアは、性能向上と信頼性向上を兼ねています。第3節で学んだスケールアウトと同じ構成であり、そこにロードバランサを置いて振り分ける形です。
| 場面 | 効果 |
|---|---|
| 平常時 | 2台で分担するので処理が速い |
| 1台が故障 | 残りの1台で継続できる(性能は落ちる) |
フェイルソフト(第5節)の考え方が、ここで実現されています。
具体例
3つのスタンバイ方式を、車のたとえで
| 方式 | 車でいえば | 発車までの時間 |
|---|---|---|
| コールドスタンバイ | 駐車場に置いてある | 鍵を取りに行き、エンジンをかけ、出発 |
| ウォームスタンバイ | エンジンをかけて待機 | すぐ出発できるが、行き先の設定が必要 |
| ホットスタンバイ | エンジンをかけ、行き先も設定済み | 即座に発車 |
準備が進むほど速いが、そのぶん燃料を使う——費用との関係も、このたとえで納得できます。
どの方式を選ぶか——復旧時間から逆算する
第4節で学んだMTTRの考え方を使います。
| 業務 | 許容できる停止時間 | 選ぶ方式 |
|---|---|---|
| 社内の情報共有 | 数時間 | コールドスタンバイ |
| 受注システム | 数十分 | ウォームスタンバイ |
| 決済システム | 数秒 | ホットスタンバイ |
| 生命に関わるシステム | ゼロ | デュアルシステム |
「何分止まったら困るか」を先に決める
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① | 1時間止まったときの損害額を見積もる |
| ② | 許容できる停止時間を決める |
| ③ | それを実現する方式を選ぶ |
| ④ | 費用と損害を比べる |
費用を先に見ると、判断を誤る
「ホットスタンバイは高いから、コールドにしよう」——この判断は、停止したときの損害を計算していません。
| 方式 | 年間費用 | 年間の期待損失 | 合計 |
|---|---|---|---|
| コールド | 50万円 | 300万円 | 350万円 |
| ホット | 200万円 | 30万円 | 230万円 |
高いほうが、合計では安くなることがあります。第11章で学ぶIT投資管理では、この考え方が基本になります。
デュアルシステムが人工呼吸器に使われる理由
| 要求 | デュアルシステムが満たす理由 |
|---|---|
| 止まってはならない | 切り替え時間が不要 |
| 間違ってもならない | 結果を照合して正しさを確かめる |
| 故障に即座に気づく必要 | 常に監視している |
「止まらない」だけでなく「間違わない」ことまで保証する——これがデュアルシステムの価値です。費用が高くても採用される理由がここにあります。
中小企業で現実的な選択
| 規模 | 現実的な構成 |
|---|---|
| 従業員20名 | 1台+バックアップ+予備機(コールドスタンバイに近い) |
| 従業員100名 | クラウドの冗長構成を利用 |
| 止まると即損害 | ロードシェア(2台で分担) |
クラウドを使えば、冗長構成が標準で備わっていることも多い
第12章で学ぶクラウドサービスでは、事業者側で冗長化されているのが一般的です。自社で二重化を組むより、クラウドを使うほうが安く確実という場面が増えています。
「自前で組むか、サービスとして買うか」——この判断軸を持っておくことが、現代の診断士には求められます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a デュアルシステムは、各系統が同じ処理を行って、その処理結果を照合する。
> b ウォームスタンバイシステムでは、待機系システムの電源はオフである。
> c ロードシェアシステムは、ロードバランサなどを用いて各処理系に負荷を分散させる。
解答 a:○ b:× c:○

システムの2重化
試験のポイント
| 信頼性の向上 | 1台が故障しても他が代行する |
前のテーマで学んだロードシェアシステムと、目的も構成もよく似ています。
cluster は「房、集まり」という意味です。ぶどうの房のように、複数のコンピュータをひとかたまりに見せるというイメージです。
③ グリッドコンピューティング
ネットワークでつないだ何台ものコンピュータを、見かけ上1台の高性能機として扱うやり方です。1台では歯が立たない規模の計算を、数で押して片づけます。
分散しているサーバや安価なパソコンなどを集約し分散処理することで、1拠点に高性能なプロセッサや大容量メモリを集積したコンピュータと同等の処理能力を低コストで実現できます。
④ クラスタリングとの関係
グリッドコンピューティングとクラスタリングは、両者を明確に区別するものはなく、互いにグレーゾーンが存在します。
この一文は重要です。定義の側が明確な線引きを置いていないため、試験でも厳密な区別を問う出題は考えにくいといえます。
強いて違いを挙げれば、
| クラスタリング | グリッドコンピューティング | |
|---|---|---|
| 主な狙い | 処理性能+信頼性 | 大規模な計算処理 |
| 構成するもの | 同種のコンピュータが多い | 分散しているサーバや安価なパソコン |
| 地理的な広がり | 同一拠点が多い | ネットワーク上に分散 |
grid(格子、送電網)という名前は、電力網のように、必要なときに計算能力を引き出せるという発想に由来しています。
⑤ ミラーサイト
同じWebコンテンツをもつサーバを遠隔地に配置したものです。
信頼性向上のほか、アクセス集中化に対処する目的で設置することも多くなっています。
⑥ ミラーサイトの2つの目的
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 信頼性向上 | 1か所が使えなくなっても、他で提供できる |
| アクセス集中化への対処 | 負荷を分散し、近い場所から配信できる |
2つ目は、第3節で学んだレイテンシとも関係します。遠い場所のサーバにアクセスすると遅延が大きくなるため、利用者に近い場所にコピーを置くことで応答を速くできます。
⑦ 災害対策のための各種サイト
災害などでシステムが使えなくなったときに備え、別の場所に代替の設備を用意しておく考え方があります。準備の度合いによって、3つに分けられます。
| 名称 | 準備の度合い | 復旧までの時間 | 費用 |
|---|---|---|---|
| コールドサイト | 場所と電源のみ確保 | 長い(機器の搬入から) | 安い |
| ウォームサイト | 機器を設置し、定期的にデータを反映 | 中程度(データを復元して起動) | 中程度 |
| ホットサイト | 稼働可能な状態で待機 | 短い(即座に切り替え) | 高い |
⑧ ウォームサイト
災害発生時に、バックアップされたデータやプログラムを活用してシステムを復旧させることを前提に、機器などをあらかじめ用意しておく施設です。
機器は用意されているが、データは定期的に反映されるだけなので、切り替えには復元の作業と時間が必要になります。
⑨ 3つのサイトとスタンバイ方式の対応
前のテーマで学んだスタンバイ方式と、同じ考え方で整理できます。
| 準備の度合い | スタンバイ方式 | サイト |
|---|---|---|
| していない | コールドスタンバイ | コールドサイト |
| 途中まで | ウォームスタンバイ | ウォームサイト |
| 完全 | ホットスタンバイ | ホットサイト |
コールド・ウォーム・ホットという呼び分けは、同じ発想で使われている——この対応を押さえておけば、どちらも同じ理屈で理解できます。
⑩ 違いは何を二重化しているか
| スタンバイ方式 | 各種サイト | |
|---|---|---|
| 二重化するもの | システム(同一拠点内が多い) | 拠点そのもの |
| 備える対象 | 機器の故障 | 災害など拠点全体が使えなくなる事態 |
⑪ BCPとのつながり
災害に備えて別の拠点を用意しておく取組みは、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の一部です。
| 検討すること | 内容 |
|---|---|
| どの業務を優先して復旧するか | すべてを同時には戻せない |
| どれだけの時間で戻すか | RTO(目標復旧時間) |
| どの時点まで戻すか | RPO(目標復旧時点) |
| どこで再開するか | 代替拠点の確保 |
第3章のバックアップの節で触れたRPOとRTOが、ここで具体的な設備の選択につながります。
| 目標復旧時間(RTO) | 選ぶサイト |
|---|---|
| 数日 | コールドサイト |
| 数時間 | ウォームサイト |
| 数分 | ホットサイト |
⑫ 中小企業にとっての現実解
自社で代替拠点を持つのは、中小企業には負担が大きすぎます。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| クラウドを利用する | 事業者が複数拠点で冗長化している |
| 遠隔地にバックアップを置く | 最低限の備え |
| 同業他社と相互支援の協定を結ぶ | 設備を融通し合う |
2つ目が最低ライン
第3章で学んだバックアップを、同じ建物の中だけに置いていては、火災や水害で一緒に失われます。遠隔地に1組を置いておくだけで、最悪の事態は避けられます。
クラウドのストレージサービスを使えば、費用をほとんどかけずに遠隔地保管が実現できます。費用対効果のきわめて高い対策として、診断士が助言すべき内容です。
具体例
クラスタリングとグリッドを、身近な例で
クラスタリング
| 場面 | 構成 |
|---|---|
| Webサービスのサーバ群 | 同じ構成のサーバを10台束ねて、1台のように見せる |
| 効果 | 処理が10倍捌ける/1台壊れても止まらない |
グリッドコンピューティング
| 場面 | 構成 |
|---|---|
| 大規模な科学技術計算 | 世界中の遊休パソコンの計算能力を借りる |
| 効果 | スーパーコンピュータ並みの処理を低コストで |
「集めて1台に見せる」という点は同じ
だからこそ「明確に区別するものはなく、互いにグレーゾーンが存在する」とされています。試験では、それぞれの定義文を押さえておけば十分です。
ミラーサイトが効く場面
通販サイトを運営する会社で、テレビ番組で商品が紹介された場面を想定します。
| 時刻 | 起きること |
|---|---|
| 20:00 | 番組で商品が紹介される |
| 20:01 | アクセスが平常時の100倍に |
| 20:02 | サーバが処理しきれず、サイトが表示されない |
| 20:30 | 番組の効果が消え、アクセスが戻る |
最大の販売機会を逃した
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| ミラーサイトを複数用意 | アクセスを分散できる |
| CDN(コンテンツ配信網)を使う | 世界中の拠点から配信 |
| クラウドで一時的にスケールアウト | 必要な時間だけ増やす |
3つ目が現在の主流
第3節で学んだスケールアウトと、第12章で学ぶクラウドを組み合わせれば、必要な数分間だけサーバを増やすことができます。常時用意しておく必要がないため、費用を抑えられます。
災害対策を段階的に進める
中小企業が、どこから手をつけるべきかを整理します。
| 段階 | 対策 | 費用 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 遠隔地へのバックアップ | 低 | データは守れる |
| 第2段階 | 復旧手順書の整備と訓練 | 低 | 復旧時間が短くなる |
| 第3段階 | 代替機の確保 | 中 | コールドサイト相当 |
| 第4段階 | クラウドへの移行 |
第1段階と第2段階は、ほとんど費用をかけずにできる
| 対策 | 具体的に |
|---|---|
| 遠隔地バックアップ | クラウドストレージに毎日自動で送る |
| 手順書の整備 | 誰が・何を・どの順で行うかを書き出す |
| 訓練 | 年1回、実際に復旧を試す |
訓練で分かること
| 気づき | 内容 |
|---|---|
| 手順書どおりにできない箇所がある | 修正できる |
| 必要なパスワードが分からない | 事前に整理できる |
| 想定より時間がかかる | 目標を見直せる |
| 担当者が不在だと復旧できない | 複数人が対応できるようにする |
最後の点が重要
災害は、担当者が出社できる状況で起きるとは限りません。1人しか手順を知らない状態は、それ自体が大きなリスクです。
第11章で学ぶIT組織・人材育成でも、属人化の解消は重要な論点として扱われます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a クラスタリングは、処理性能の向上と信頼性の向上の両方を追求するシステム構成技術である。
> b グリッドコンピューティングとクラスタリングは、明確に区別され、グレーゾーンは存在しない。
> c ミラーサイトは、信頼性向上のほか、アクセス集中化に対処する目的で設置することも多い。
解答 a:○ b:× c:○

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| 2TB |
| 50% |
| ウォーム〜ホット相当 |