障害対策の考え方
システム構成技術
障害は必ず起きるもの!大事なのは「起きたときにどう対処するか」の設計方針だよ!フェイル○○系の用語を整理しよう!
障害対策の考え方
簡単にいうと
障害は必ず起きるもの!大事なのは「起きたときにどう対処するか」の設計方針だよ!フェイル○○系の用語を整理しよう!
① フォールトトレランスとフォールトアボイダンス
障害(フォールト)に対するシステム設計の基本姿勢は、大きく2つに分かれます。
フォールトトレランス(Fault Tolerance)は、「障害は必ず発生する」という前提のもと、障害が発生してもシステム全体への影響を最小限に抑える設計思想です。機器の冗長化(二重化・多重化)やデータのバックアップなどにより、一部が壊れても全体が止まらない仕組みを構築します。飛行機のエンジンが1基停止しても残りのエンジンで飛行を継続できるように、重要なシステムほどフォールトトレランスの考え方が重視されます。
フォールトアボイダンス(Fault Avoidance)は、障害の発生自体を極力防ぐことを目指す設計思想です。高品質な部品の採用、厳格な品質管理、予防保全(壊れる前に交換する)などにより、故障の発生確率そのものを低減します。宇宙ロケットのように交換や修理が困難な環境では、この思想が特に重要になります。
実際のシステムでは両方のアプローチを組み合わせて設計します。故障しにくい部品を使いつつ(アボイダンス)、それでも故障した場合に備えて冗長化する(トレランス)のが定石です。
② フェイルソフトとフェイルセーフ
障害が発生したときの「振る舞い方」として、2つの対照的な方針があります。
フェイルソフト(Fail Soft)は、障害発生時に一部の機能を縮退(低下)させてでもシステム全体の稼働を継続する方針です。たとえば、ECサイトで商品のレコメンド機能が故障した場合、レコメンドは表示せずとも商品検索や購入の基本機能は維持し、サービスを止めないことを優先します。
フェイルセーフ(Fail Safe)は、障害発生時にシステムを安全な状態で停止させることを最優先する方針です。被害の拡大を防ぐことが最も重要な場面で採用されます。たとえば、信号機が故障した場合に全方向を赤信号にして交通を停止させるのは、信号なしで交差点に車が進入する危険を避けるためのフェイルセーフ設計です。
③ その他の障害対策用語
試験では上記に加えて、以下の用語も頻出です。名前が似ているものが多いため、それぞれの違いを明確にしておきましょう。
| 用語 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| フールプルーフ | ユーザーの誤操作を物理的・論理的に防止する仕組み | 電子レンジはドアを開けると自動停止する。USBは向きが合わないと挿さらない |
| フォールバック | 障害発生時に故障部分を切り離し、残りの部分で運用を継続すること | サーバ3台中1台が故障したら、その1台を切り離して2台で運用継続 |
| フェイルオーバ | 稼働中のシステム(現用系)が障害を起こした際に、待機系のシステムに自動的に切り替えること | メインサーバ障害時にバックアップサーバが自動的に処理を引き継ぐ |
| フォールトマスキング | 障害が発生してもその影響をシステム内部で隠蔽し、外部からは障害が見えない状態を維持すること。自律的に修復を試みる | RAID構成でHDD1台が故障しても、残りのディスクでデータを再構成し、利用者には障害を感知させない |
整理すると、フールプルーフは「事前防止」、フェイルソフト・フォールバックは「縮退運転」、フェイルセーフは「安全停止」、フェイルオーバは「自動切替」、フォールトマスキングは「障害隠蔽」と覚えると区別しやすくなります。
具体例
フェイルソフトとフェイルセーフの違いを、身近な例で比較してみましょう。
フェイルソフトの例: カーナビ
走行中にGPS信号が途切れた場合、カーナビは地図上の現在地表示が不正確になりますが、「GPS信号を受信できません」と表示しつつ、直前の位置情報と速度センサーからおおよその位置を推定して案内を継続します。精度は下がっても止まらないのがフェイルソフトの考え方です。
フェイルセーフの例: エレベーター
エレベーターの制御システムに異常が検出された場合、最寄り階で停止してドアを開放します。移動中に突然停止するのは不便ですが、異常な状態のまま運転を続けてケーブルが切れたり、ドアが開いたまま動いたりする危険を回避することが最優先です。
このように、「サービス継続」と「安全確保」のどちらを優先するかがフェイルソフトとフェイルセーフの本質的な違いです。ECサイトならフェイルソフト(売上を止めない)、原子力発電所の制御システムならフェイルセーフ(安全を最優先)が適しています。
試験のポイント
- ・要は「フェイルソフト=機能低下しても継続重視、フェイルセーフ=安全重視で停止、フールプルーフ=誤操作そのものを防止」
- ・フェイルオーバ=待機系への自動切替、フォールバック=故障部分を切離して縮退運転
- ・フォールトトレランス=障害前提で被害最小化、フォールトアボイダンス=障害自体を防ぐ
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