ネットワーク
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プレミアムで見るLANの接続機器は、覚える名前が多いわりに違いが見えにくい分野です。ところが、「何を見て、どこにデータを流すか」という1つの問いで並べ直すと、きれいな階段ができあがります。何も見ずに全部に流すのがリピータ、MACアドレスを見るのがブリッジとスイッチングハブ、IPアドレスを見るのがルータ、そしてプロトコルごと変換するのがゲートウェイです。この節では、その階段を下から順に上っていきます。令和5年度の本試験では、5つの機器の説明を入れ替える形で出題されました。
簡単にいうと
ネットワークにつながる機器には、世界にひとつだけの番号が付いているの。それがMACアドレス! 48ビットで、前半がメーカ番号、後半が製品番号だよ。
① LANの接続機器の顔ぶれ
LANの接続機器には、LANカード、リピータ/リピータハブ、ブリッジ/スイッチングハブ、ルータ、ゲートウェイなどがあります。
② LANカード
LANカードとは、MACアドレスという識別子が付与されたカードであり、LANの接続に必要なものです。ネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)ともいいます。
従来はコンピュータを購入した後に外付けで挿入することが多かったのですが、現在はネットワークに接続することが日常的になっているため、ほとんどのコンピュータは製造時にLANカードを内蔵しています。
③ MACアドレス
MACアドレスはLAN内で端末を一意に識別する番号であり、アクセス制御やセキュリティ機能の実現など、LAN内で通信を行う際に用いられるものです。
構造
MACアドレスは48ビットであり、
| 部分 | ビット数 | 内容 |
|---|---|---|
| 前半 |
具体例
自分のMACアドレスを調べてみる
MACアドレスは、パソコンの設定画面やコマンドで確認できます。表示される値は、たとえば次のようになります。
```
00-D0-59-29-0D-5F
```
これを分解すると
| 部分 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 前半24ビット | 00-D0-59 | 製造メーカ番号 |
| 後半24ビット | 29-0D-5F | そのメーカが割り当てた製品固有の番号 |
16進数2桁が8ビットなので、6組で48ビットになります。

LANカードとMACアドレス(1/2)

LANカードとMACアドレス(2/2)
試験のポイント
簡単にいうと
リピータは「信号を元気にして先へ送る」だけの機器。宛先を見ずに全部のポートに流すから、無駄なデータがLANに溢れちゃうんだ。
① ハブ(hub)
ハブとは集線装置(ネットワークケーブルを束ねる装置)のことです。リピータと同じ機能をもつリピータハブや、ブリッジと同じ機能をもつスイッチングハブなどがあります。
ハブにハブを接続することをカスケード接続といいます。
hub は車輪の中心部分(こしき)を意味する英語です。放射状に伸びるスポークの中心、というイメージから、多数のケーブルを集める装置の名前になりました。前節で学んだスター型トポロジの中心に置かれるのが、このハブです。
② リピータ/リピータハブ
LANの伝送路の長さを伸ばすための機器です。
| 名称 |
|---|
簡単にいうと
リピータの無駄をなくしたのがブリッジとスイッチングハブ!宛先のMACアドレスを見て、必要なポートにだけ流すの。この「見て判断する」ができるかどうかが、機器を分ける最大の境目だよ。
① ブリッジ/スイッチングハブ
LAN内の端末を接続する機器です。
| 名称 | 形 |
|---|---|
| ブリッジ | 接続ポートを2つ保有する機器 |
| スイッチングハブ | ハブ形式である機器 |
簡単にいうと
ルータはIPアドレスを見て、どのネットワークへ送るかを決める機器。インターネットは、このルータを無数につないだ巨大なネットワークなんだ!そしてゲートウェイは、言葉の違うネットワーク同士の通訳だよ。
① ルータ
LANとLANやLANとインターネットなど、異なるネットワークを接続するための機器です。企業のビル内などの同一構内でネットワークを分割する際、インターネットに接続する際などに用いられます。
ルータは、データに付加された宛先IPアドレスを識別し、ルーティングテーブルに照らしてデータを転送すべき経路を判断するルーティング機能をもっています。
インターネットはたくさんのルータを接続した巨大なネットワークであり、このルーティング機能により、送信されたデータを世界中のコンピュータに届けることができます。
② ルーティングテーブル
どの宛先IPアドレスのデータを、どのノード(次の機器)へ転送するかを記録した対応表です。
| 宛先IPアドレス |
|---|
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| 製造メーカ番号 |
| 後半 | 24ビット | 製造メーカが割り当てる製品固有の番号 |
で構成されています。
表記
MACアドレスは16進数で表され、8ビット(16進数でいうと2桁)ごとに区切って表示することが一般的です。
(例)00-D0-59-29-0D-5F
④ なぜ48ビットなのか
48ビットで表せる組み合わせは 通り、およそ281兆通りです。世界中の通信機器に1つずつ割り当てても足りる規模になっています。
前半24ビットをメーカごとに割り当てることで、メーカ間で番号が重複しないようにしています。メーカは自分に割り当てられた範囲の中で、製品に番号を振っていきます。発行の権限を階層に分けることで、世界規模の一意性を保証しているわけです。
⑤ MACアドレスとIPアドレスの違い
この章と次章を通じて、2つのアドレスが登場します。混同しやすいので、早めに整理しておきます。
| MACアドレス | IPアドレス | |
|---|---|---|
| 桁数 | 48ビット | 32ビット(IPv4) |
| 表記 | 16進数(00-D0-59-…) | 10進数(192.168.1.1) |
| 付与される対象 | 機器(LANカード)そのもの | ネットワーク上の位置 |
| 変わるか | 原則として変わらない | つなぐ場所によって変わる |
| 使う範囲 | LAN内 | ネットワークをまたぐ |
| 見る機器 | ブリッジ、スイッチングハブ | ルータ |
身分証明書と住所にたとえると分かりやすくなります。
ノートパソコンを会社から自宅に持ち帰れば、IPアドレスは変わりますが、MACアドレスは変わりません。
⑥ MACアドレスの用途
定義文に「アクセス制御やセキュリティ機能の実現など」とあります。具体的には、
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| MACアドレスフィルタリング(機器) | 宛先MACアドレスを見て、必要なポートにだけデータを流す |
| MACアドレスフィルタリング(セキュリティ) | 登録されたMACアドレスの機器だけ接続を許可する |
同じ名前ですが、前者は次のテーマで学ぶスイッチングハブの機能、後者は第6章で学ぶ無線LANのセキュリティ対策です。「MACアドレスを見て、通すか通さないかを決める」という点では共通しています。
(16進数1桁は4ビットぶんの情報を表します)
なぜ16進数を使うのか
第1章で学んだとおり、16進数は2進数4桁を1桁で表せるため、長い2進数を短く書けます。
48ビットを2進数で書けば48桁ですが、16進数なら12桁で済みます。人が読み書きするうえでは、桁数が4分の1になる効果は大きいといえます。
MACアドレスが使われる場面
| 場面 | どう使われるか |
|---|---|
| 同じLAN内のパソコンにファイルを送る | 宛先MACアドレスを指定して送信 |
| スイッチングハブがデータを転送する | MACアドレステーブルを参照して転送先ポートを決める |
| 無線LANで接続を制限する | 登録されたMACアドレス以外を拒否する |
| 社内の資産管理 | 機器を一意に識別する手がかりにする |
MACアドレスは変更できないのか
原則として機器に焼き付けられていますが、ソフトウェア的に見かけ上の値を変えることは可能です。したがって、MACアドレスによるアクセス制限は完全なセキュリティ対策ではありません。
この点は第6章で改めて扱います。「MACアドレスフィルタリングだけで無線LANは安全」という選択肢は誤り、と覚えておいてください。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a MACアドレスは48ビットであり、前半24ビットは製造メーカ番号、後半24ビットは製品固有の番号である。
> b MACアドレスは10進数で表され、8ビットごとに区切って表示するのが一般的である。
> c LANカードはネットワークインタフェースカード(NIC)ともよばれる。
解答 a:○ b:× c:○
| リピータ | 接続ポートを2つ保有する機器 |
| リピータハブ | ハブ形式である機器 |
ケーブルを流れる信号を再生し中継することによって、LANのケーブルを延長します。
③ なぜ信号を再生する必要があるのか
電気信号はケーブルを流れるうちに、減衰し(弱くなり)、波形が崩れていきます。そのまま進むと、受け取る側が0と1を判別できなくなります。
リピータは、崩れかけた信号を読み取り、きれいな波形に整形・増幅して送り出します。これによって、規格上の伝送距離(たとえば100m)を超える距離を結べるようになります。
前節で学んだ100BASE-TXの100mという制限を、リピータを挟むことで延長できる、というわけです。
④ リピータの問題点
> リピータおよびリピータハブは、あるコンピュータから送出されたデータをすべてのポートに流してしまいます。各コンピュータは、宛先が自分のMACアドレスであるデータを受け取り、そうでないデータを破棄します。
>
> リピータおよびリピータハブを使用すると、LAN内に不要なデータが多く流れるため、衝突(コリジョン)が多く発生し、ネットワーク効率が低下するという問題点があります。
⑤ なぜこうなるのか
リピータは信号を扱っているだけで、中身を理解していません。「この波形を整えて送り出す」という電気的な処理をしているだけなので、そのデータが誰宛なのかを知りません。
だから全ポートに流すしかないわけです。受け取った各コンピュータが、自分宛かどうかを判断して、違えば捨てる——という非効率な形になります。
リピータは「データは素通し」——この一言が、リピータの性格を言い表しています。
⑥ 何が起きるか
| 起きること | 理由 |
|---|---|
| LAN内に不要なデータが多く流れる | 宛先以外にも届くため |
| 衝突(コリジョン)が多く発生する | ケーブル上のデータ量が増えるため |
| ネットワーク効率が低下する | 衝突が再送を招く(前節のとおり) |
前節で学んだCSMA/CD方式の弱点——利用が一定量を超えると急激に劣化する——が、リピータを使うと早く顕在化します。
⑦ この問題を解決するのが次のテーマ
「宛先を見て、必要なポートにだけ流せばよいのでは」——この発想から生まれたのが、次に学ぶブリッジとスイッチングハブです。
現在、家庭やオフィスで「ハブ」として売られている製品は、ほぼすべてスイッチングハブです。リピータハブはほとんど使われなくなりました。理屈のうえでは同じ「ハブ」でも、中身がまったく違うという点に注意してください。
具体例
同じ「ハブ」でも動きが違う
5台のパソコン(A〜E)がハブにつながっている状態で、AがBにデータを送る場面を考えます。
リピータハブの場合
| ポート | 何が流れるか |
|---|---|
| Aのポート | (送信元) |
| Bのポート | データが届く(Bが受け取る) |
| Cのポート | データが届く(Cが破棄する) |
| Dのポート | データが届く(Dが破棄する) |
| Eのポート | データが届く(Eが破棄する) |
4本のケーブルに無駄なデータが流れています。しかもこの間、CやDが送信しようとすれば衝突が起きます。
スイッチングハブの場合(次のテーマ)
| ポート | 何が流れるか |
|---|---|
| Aのポート | (送信元) |
| Bのポート | データが届く |
| Cのポート | 何も流れない |
| Dのポート | 何も流れない |
| Eのポート | 何も流れない |
必要な1本にだけ流れます。CとDは同時に別の通信を行えます。
この差がどれだけ効くか
10台がつながったハブで、5組が同時に通信する場面を考えます。
| リピータハブ | スイッチングハブ | |
|---|---|---|
| 同時に通信できる組数 | 実質1組(衝突するため) | 5組すべて |
| 無駄なデータ | 大量 | ほぼなし |
スイッチングハブは、リピータハブの5倍の通信を捌けることになります。しかも値段はほとんど変わりません。リピータハブが市場から消えたのは当然といえます。
リピータの役割は残っているか
距離を延ばすという役割は、いまも必要です。ただし現在は、スイッチングハブをカスケード接続することで同じ効果が得られるため、リピータ単体を使う場面はほとんどありません。
なお、第5章で学ぶ光ファイバを使えば、そもそも長い距離を1本で結べるので、中継の必要性自体が減っています。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a リピータは、ケーブルを流れる信号を再生し中継することによって、LANのケーブルを延長する機器である。
> b リピータハブは、宛先MACアドレスを識別して必要なポートにのみデータを流す。
> c ハブにハブを接続することをカスケード接続という。
解答 a:○ b:× c:○

ハブとリピータ/リピータハブ
試験のポイント
② MACアドレスフィルタリング
ブリッジおよびスイッチングハブは、データに付加された宛先MACアドレスを識別し、MACアドレステーブルに照らして必要なポートにのみデータを流すMACアドレスフィルタリングという機能を持っています。
この機能によりLAN内に不要なデータが流れず、衝突(コリジョン)を抑制することができるため、ネットワーク効率を向上させることが可能になります。
③ MACアドレステーブルとは
どのMACアドレスの機器が、どのポートにつながっているかを記録した対応表です。
| 宛先MACアドレス | 接続ポート |
|---|---|
| A | 1 |
| B | 1 |
| C | 2 |
④ 動作の流れ——ブリッジの場合
ポート1側にAとBが、ポート2側にCがつながっているとします。
AがBにデータを送るとき
| 順番 | 動き |
|---|---|
| ① | データを受け取ったら、宛先MACアドレスを調べる |
| ② | MACアドレステーブルを参照する |
| ③ | 宛先MACアドレスがBなら、ポート2にデータは流さない |
BはAと同じポート1側にいるので、ポート2へ流す必要がありません。ポート2側のネットワークには、この通信がまったく影響しません。
CがAにデータを送るとき
| 順番 | 動き |
|---|---|
| ① | データを受け取ったら、宛先MACアドレスを調べる |
| ② | MACアドレステーブルを参照する |
| ③ | 宛先MACアドレスがAなら、ポート1にデータを流す |
⑤ 動作の流れ——スイッチングハブの場合
D・E・F・Gがそれぞれポート1・2・3・4につながっているとします。
DがEにデータを送るとき
| 順番 | 動き |
|---|---|
| ① | データを受け取ったら、宛先MACアドレスを調べる |
| ② | MACアドレステーブルを参照する |
| ③ | 宛先MACアドレスがEなら、ポート2にデータを流す |
ポート3(F)とポート4(G)には何も流れません。したがって、DとEが通信している間に、FとGが別の通信を行えます。
⑥ リピータとの決定的な違い
| リピータ/リピータハブ | ブリッジ/スイッチングハブ | |
|---|---|---|
| 何を見るか | 何も見ない(信号を再生するだけ) | 宛先MACアドレス |
| どこに流すか | すべてのポート | 必要なポートのみ |
| 不要なデータ | 多く流れる | 流れない |
| 衝突 | 多く発生する | 抑制される |
| ネットワーク効率 | 低下する | 向上する |
「宛先を見て判断できるかどうか」——この一点が、2つの機器を分けています。
⑦ 「データを理解する」ということ
リピータは電気信号のレベルで動いていましたが、ブリッジとスイッチングハブはデータの中身(宛先MACアドレス)を読み取っています。
これは、機器がより高い層で動いていることを意味します。次章で学ぶOSI参照モデルでいえば、
| 機器 | 動作する層 |
|---|---|
| リピータ/リピータハブ | 物理層(第1層) |
| ブリッジ/スイッチングハブ | データリンク層(第2層) |
| ルータ | ネットワーク層(第3層) |
| ゲートウェイ | トランスポート層以上 |
機器が上の層で動くほど、より賢い判断ができる——この対応関係は、第5章でOSI参照モデルを学ぶときに改めて確認します。いまは「リピータ<ブリッジ<ルータ<ゲートウェイ」の順に、見る情報が増えていく、と押さえておけば十分です。
具体例
ネットワークを分割して混雑を解消する
1台のリピータハブに30台のパソコンがつながっており、ネットワークが遅い、という相談があったとします。
現状
| 状況 | |
|---|---|
| 接続 | リピータハブ1台に30台 |
| 問題 | 誰かが大きなファイルを送ると、全員が遅くなる |
| 原因 | すべてのデータが全ポートに流れ、衝突が多発している |
対策1:スイッチングハブに交換する
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 不要なデータが流れなくなる | 宛先のポートにだけ流れる |
| 同時通信が可能になる | 別々の組が同時に通信できる |
| 衝突が抑制される | ケーブル上のデータ量が減る |
これだけで劇的に改善します。機器を1台交換するだけなので、費用対効果はきわめて高いといえます。
対策2:部署ごとにネットワークを分ける
| 部署 | 台数 | 接続 |
|---|---|---|
| 営業部 | 12台 | スイッチングハブA |
| 製造部 | 10台 | スイッチングハブB |
| 管理部 | 8台 | スイッチングハブC |
| 全体 | — | 3台を親のスイッチで接続 |
部署内の通信が部署内で完結するため、他部署に影響しません。営業部で大きなファイルをやり取りしても、製造部のネットワークは何ともありません。
この考え方の名前
ネットワークを分割することで、衝突が及ぶ範囲(コリジョンドメイン)を小さくする——これがスイッチングハブの本質的な役割です。
設例
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和5年度第12問 改題)
> a スイッチングハブは、ケーブルを流れる信号を再生し中継することによってLANのケーブルを延長する機器である。
> b ブリッジは、データに付加された宛先MACアドレスを識別し、必要なポートにのみデータを流す。
解答 a:× b:○
この種の入れ替え問題を確実に取るには
「何を見るか」で5つの機器を並べた表を、頭の中に持っておくことです。
| 機器 | 見るもの |
|---|---|
| リピータ/リピータハブ | 何も見ない |
| ブリッジ/スイッチングハブ | MACアドレス |
| ルータ | IPアドレス |
| ゲートウェイ | プロトコル(変換する) |
選択肢に「信号を再生」とあればリピータ、「MACアドレス」とあればブリッジかスイッチングハブ、「IPアドレス」とあればルータ——と、キーワードから機器が一意に決まります。

ブリッジ/スイッチングハブとMACアドレスフィルタリング(1/2)

ブリッジ/スイッチングハブとMACアドレスフィルタリング(2/2)
試験のポイント
| 転送先ノード |
|---|
| XXX | ルータ1 |
| YYY | ルータ2 |
③ 動作の流れ
| 順番 | 動き |
|---|---|
| ① | データを受け取ったら、宛先IPアドレスを調べる |
| ② | ルーティングテーブルを参照する |
| ③ | 宛先IPアドレスがXXXならルータ1側へ、YYYならルータ2側へ転送する |
④ スイッチングハブとの違い
動作の形はよく似ています。「受け取る→アドレスを調べる→表を参照する→転送先を決める」という流れは同じです。
違いは見るアドレスの種類です。
| スイッチングハブ | ルータ | |
|---|---|---|
| 見るアドレス | MACアドレス | IPアドレス |
| 参照する表 | MACアドレステーブル | ルーティングテーブル |
| つなぐ範囲 | 同じLAN内 | 異なるネットワーク間 |
MACアドレスは同じLAN内でしか通用しません。離れたネットワークへ届けるには、ネットワークをまたげるアドレス——IPアドレス——が必要です。
郵便にたとえると
| たとえ | |
|---|---|
| MACアドレス | マンションの部屋番号。その建物の中でしか意味がない |
| IPアドレス | 住所。全国どこへでも届けられる |
| スイッチングハブ | 建物内の配達係 |
| ルータ | 郵便局。次にどの局へ送るかを判断する |
⑤ インターネットの正体
> インターネットはたくさんのルータを接続した巨大なネットワークです。
この一文は、インターネットの本質を端的に言い表しています。世界中のLANが、無数のルータを経由してつながっている——それがインターネットです。
1台1台のルータは、「次にどこへ送るか」しか知りません。最終的な経路全体を知っている装置はどこにもありません。それでもデータが世界の反対側まで届くのは、各ルータが自分の担当範囲で正しい判断を積み重ねるからです。
この分散的なしくみが、インターネットが巨大化しても機能し続けている理由です。中央の管理者がいないため、一部が壊れても全体は止まりません。
⑥ ゲートウェイ
OSI基本参照モデル7層すべてのプロトコル変換機能をもつが、主にトランスポート層以上で使用されるプロトコルが異なるLAN同士を接続する機器です。
たとえば、ベンダ独自のプロトコルを用いたサーバ上で稼働するアプリケーションを、TCP/IPに対応したコンピュータから利用する場合、TCP/IPと独自プロトコルには互換性がないため、通常は通信することができません。このような場合でも、ゲートウェイでプロトコルを変換することによって相互通信が可能となります。
⑦ 通訳としてのゲートウェイ
ルータまでの機器は、同じ言葉(プロトコル)を話す相手同士をつないでいました。ゲートウェイは、違う言葉を話す相手同士をつなぎます。
| 機器 | つなぐもの |
|---|---|
| リピータ | 同じネットワークの、離れた場所 |
| ブリッジ/スイッチングハブ | 同じLAN内の端末 |
| ルータ | 異なるネットワーク(同じプロトコル) |
| ゲートウェイ | 異なるプロトコルのネットワーク |
翻訳が必要かどうか——これがゲートウェイとルータを分ける点です。
⑧ 5つの機器を1枚の表で
| 機器 | 何を見るか | 何をするか |
|---|---|---|
| リピータ/リピータハブ | 何も見ない | 信号を再生・中継して距離を延ばす |
| ブリッジ/スイッチングハブ | MACアドレス | 必要なポートにのみ流す |
| ルータ | IPアドレス | 異なるネットワークへ経路を判断して転送 |
| ゲートウェイ | プロトコル | プロトコルを変換して相互通信を可能にする |
この表を再現できるようにしておけば、この論点はほぼ取れます。
具体例
設例 LANの接続機器
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和5年度第12問 改題)
> a ゲートウェイは、LANの伝送路の長さを伸ばすための機器である。
> b ルータは、データに付加された宛先IPアドレスを識別し、ルーティングテーブルに照らしてデータを転送すべき経路を判断する。
> c ルータは、プロトコルが異なるLAN同士を接続し、プロトコルを変換する機器である。
解答 a:× b:○ c:×
cのような選択肢に注意
ルータもゲートウェイも「異なるものをつなぐ機器」なので、混同しやすくなっています。決め手は「プロトコルを変換するか」です。
| ルータ | ゲートウェイ | |
|---|---|---|
| つなぐもの | 異なるネットワーク | 異なるプロトコルのネットワーク |
| 変換 | しない | する |
家庭にあるルータで確かめる
自宅のインターネット接続に使っている機器(いわゆる無線LANルータ)は、実は複数の機能を兼ねています。
| 機能 | 対応する機器 |
|---|---|
| インターネットと宅内LANをつなぐ | ルータ |
| 有線の複数ポートで機器をつなぐ | スイッチングハブ |
| 無線で機器をつなぐ | アクセスポイント(次節) |
| 光信号と電気信号を変換する(別筐体のことも) | ONU(第5節) |
1台の箱の中に、この章で学ぶ機器が複数入っているわけです。次節で学ぶ「無線LANルータ1台でルータの役割と、有線と無線をつなぐスイッチングハブの役割を果たす」という記述は、まさにこのことを指しています。
ゲートウェイが必要になる場面
現在はほとんどの通信がTCP/IPに統一されているため、プロトコル変換が必要な場面は減りました。それでも、
| 場面 | 何を変換するか |
|---|---|
| 古い基幹システムと新しいシステムをつなぐ | ベンダ独自プロトコル ⇔ TCP/IP |
| 工場の制御機器とITシステムをつなぐ | 制御用プロトコル ⇔ TCP/IP |
| 社内メールシステムとインターネットメールをつなぐ | 独自形式 ⇔ SMTP |
といった場面では、いまもゲートウェイが使われます。第13章で学ぶIoTでは、センサーの独自プロトコルをインターネットにつなぐ「IoTゲートウェイ」が重要な役割を果たします。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a インターネットはたくさんのルータを接続した巨大なネットワークである。
> b ゲートウェイは、OSI基本参照モデル7層すべてのプロトコル変換機能をもつ。
> c ルータは、MACアドレステーブルを参照して転送先のポートを決める。
解答 a:○ b:○ c:×

LANの接続機器とOSI参照モデル
試験のポイント
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