ネットワーク
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プレミアムで見る無線LANは電波などを使用し、線(ケーブル)を使わないLANです。ケーブルがないという1点だけで、配線の手間も、席の移動のしやすさも、そして抱えるリスクも大きく変わります。この節では、有線とは異なるアクセス制御方式(CSMA/CA)から始めて、Wi-Fiとして知られるIEEE802.11シリーズの世代、BluetoothやNFCといった近距離無線の顔ぶれ、そして端末同士で直接つなぐのかアクセスポイントを介するのかという接続形態を押さえます。周波数帯の2.4GHzと5GHzの違いは、令和4年度の本試験で繰り返し問われた論点です。なお、無線LANのセキュリティ対策は第6章で扱います。
簡単にいうと
有線のCSMA/CDは「ぶつかってから気づく」方式だったよね。でも無線では、ぶつかったことに気づけないの。だから「ぶつかる前に避ける」CSMA/CA方式を使うんだ!
① 無線LANとは
無線LANは電波などを使用し、線(ケーブル)を使わないLANです。
なお、無線LANのセキュリティ対策については、第6章で扱います。
② IEEE802.11シリーズ
米国電気電子技術者協会(IEEE)の802委員会によって規格化された、最も普及している無線LAN規格のひとつです。
前節で学んだ有線のイーサネットがIEEE802.3であるのに対し、無線LANはIEEE802.11です。番号の対応を押さえておきましょう。
③ CSMA/CA方式(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)
IEEE802.11シリーズは、アクセス制御方式にCSMA/CA方式を用いています。
CSMA/CA方式とは、データの送信前に他の端末がデータ送信中であるかを調べ、送信中であることを検知した場合には送信終了まで待機してからデータの送信を開始する制御方式です。
④ CSMA/CDとの違い
データ送信中に衝突を検知し、衝突が発生した後にデータを再送信する、有線通信に用いられるCSMA/CD方式とは異なり、送信側に衝突の検知手段がない無線通信に用いられます。
| CSMA/CD(有線) |
|---|
具体例
電波が届かない相手がいる——隠れ端末問題
CSMA/CA方式でも解決しきれない問題として、隠れ端末問題があります。試験で直接問われることは多くありませんが、無線の難しさを理解するうえで役立ちます。
場面
アクセスポイントを中心に、端末Aと端末Cが両側にあるとします。
| 関係 | 電波が届くか |
|---|---|
| A ⇔ アクセスポイント | 届く |
| C ⇔ アクセスポイント | 届く |
| A ⇔ C | 届かない(離れすぎている) |
何が起きるか
1. Aが送信を始める
2. Cが「誰か送信中か」を調べる

無線LANとCSMA/CA方式(1/2)

無線LANとCSMA/CA方式(2/2)
試験のポイント
簡単にいうと
Wi-Fi 4・5・6・7という呼び名は、じつは正式な規格名の別名なの。数字が上がるほど速くなる——という素直な関係だから、対応表を1つ覚えれば大丈夫!
① 代表的な規格と世代
IEEE802.11の代表的な規格に、IEEE802.11n(Wi-Fi 4)、IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)、IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)、IEEE802.11be(Wi-Fi 7)などがあり、順に高速化が図られてきました。
| 正式な規格名 | 通称 |
|---|---|
| IEEE802.11n | Wi-Fi 4 |
| IEEE802.11ac | Wi-Fi 5 |
簡単にいうと
無線の規格は、届く距離で並べると整理しやすいよ!10cmのNFC、数メートルのBluetooth、そして数キロのLPWA。距離と消費電力はセットで考えよう。
① 5つの規格
IEEE802.11シリーズ以外の規格には、BluetoothやIrDA、NFCなどがあります。
② Bluetooth
2.4GHz帯域の電波を用いた無線通信規格であり、コンピュータ本体とマウスやキーボードやプリンタ、スマートフォンとワイヤレスヘッドフォンなど、さまざまな機器をワイヤレスに接続する用途で使用されています。
機器間に障害物があっても問題なく通信を行えます。IEEE802.15.1にて規格化されています。
Bluetoothに対応する機器は、周波数ホッピング機能により電子レンジや家電製品からの電波干渉を軽減できます。
周波数ホッピングとは
簡単にいうと
無線LANのつなぎ方は2つだけ!端末同士で直接つなぐアドホックモードと、アクセスポイントを介するインフラストラクチャモード。実際に使われるのは後者だよ。
① 2つの接続形態
無線LANの主な接続形態には、アドホックモードとインフラストラクチャモードがあります。
② アドホックモード
無線LANインタフェースをもつ端末だけで構成された接続形態です。
ad hoc はラテン語で「その場限りの」という意味です。中央の装置を置かず、その場にいる端末同士で直接つなぐという性格を表しています。
③ インフラストラクチャモード
アクセスポイントを介して各端末が通信する接続形態です。
アクセスポイントとは、無線LANを構成する機器のひとつで、コンピュータなどの端末からの接続要求を受け付けてネットワークに中継する装置
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| CD/CAの意味 | Collision Detection(衝突検知) | Collision Avoidance(衝突回避) |
| 考え方 | ぶつかってから再送する | ぶつかる前に避ける |
| いつ調べるか | 送信中も監視し続ける | 送信前に調べる |
| 衝突したら | 検知して中断・再送 | 検知できない |
⑤ なぜ無線では衝突を検知できないのか
有線では、送信しながら自分が流した信号を読み返し、歪んでいれば衝突だと判断できます。
ところが無線では、自分が発している電波が強すぎて、他人の電波が聞こえません。大声で話しながら相手の声を聞き取ろうとしても無理なのと同じです。
だから無線では、送信を始める前に「誰か話していないか」を確かめ、話していれば終わるまで待つという方式を取ります。これがAvoidance(回避)です。
⑥ ACK信号で確認する
CSMA/CA方式でもデータ送信中にコリジョンが発生する可能性はあります。そこで、CSMA/CA方式はデータが正しく送信されたかについて、受信側からACK(Acknowledge)信号が返ってくるかで判断します。
受信側からACK信号が返ってこない場合は、コリジョン(または通信障害)が発生したと判断してデータの再送信を行います。
ACK(Acknowledge)は「受け取りました」という確認の応答です。
| 状況 | 送信側の判断 |
|---|---|
| ACKが返ってきた | 正しく届いた |
| ACKが返ってこない | 衝突または通信障害が発生した → 再送信 |
「返事がないから、届かなかったのだろう」と推測する——直接検知できない代わりの手段です。内容証明郵便の配達証明に似た考え方といえます。
⑦ 無線ならではの事情
なぜ無線では「回避」と「確認」という二段構えが必要なのでしょうか。無線が抱える固有の難しさがあります。
| 難しさ | 内容 |
|---|---|
| 送信中は他が聞こえない | 衝突を直接検知できない |
| 電波が届く範囲が端末ごとに違う | AとBは互いに聞こえても、AとCは聞こえないことがある |
| 障害物や距離で強さが変わる | 通信できたりできなかったりする |
| 他の機器の電波と干渉する | 電子レンジなどの影響を受ける |
有線のケーブルは「つながっているか、いないか」がはっきりしていますが、無線は「なんとなくつながっている」という曖昧さを常に抱えています。この曖昧さに対処するための工夫が、CSMA/CA方式とACK信号です。
4. Cも送信を始める
5. アクセスポイントのところで衝突する
CSMA/CA方式は「送信前に調べる」方式ですが、調べても分からない相手がいるのです。
この問題が示すこと
無線LANの性能は、端末とアクセスポイントの距離だけでなく、端末同士の位置関係にも左右されます。広いオフィスで無線LANが不安定になる原因の1つがこれです。
対策
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| アクセスポイントを増やす | 1台あたりのカバー範囲を狭くする |
| 端末の配置を見直す | 極端に離れた端末をなくす |
| 有線に切り替える | 固定席のパソコンは有線にする |
実務での判断
「無線LANにすれば配線がなくなって便利」というのは事実ですが、すべてを無線にすればよいわけではありません。
| 端末 | 向いている接続 |
|---|---|
| ノートパソコン、タブレット、スマートフォン | 無線 |
| 固定席のデスクトップパソコン | 有線(安定性と速度) |
| サーバ、プリンタ(大量印刷) | 有線 |
| 来客用の端末 | 無線(ゲスト用のネットワークを分ける) |
安定性が要るものは有線、動くものは無線——この使い分けが基本になります。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a CSMA/CA方式は、データの送信前に他の端末が送信中であるかを調べ、送信中であれば終了まで待機する。
> b CSMA/CA方式は、送信側に衝突の検知手段がある無線通信に用いられる。
> c CSMA/CA方式では、受信側からACK信号が返ってこない場合、コリジョンや通信障害が発生したと判断して再送信する。
解答 a:○ b:× c:○
| IEEE802.11ax | Wi-Fi 6 |
| IEEE802.11be | Wi-Fi 7 |
正式名称は末尾の英字(n、ac、ax、be)で区別されますが、覚えにくいため、世代番号を付けた通称(Wi-Fi 4〜7)が使われるようになりました。
② 伝送速度と無線周波数
| IEEE802.11n | IEEE802.11ac | IEEE802.11ax | IEEE802.11be | |
|---|---|---|---|---|
| 伝送速度 | 最大600Mbps | 最大6.9Gbps | 最大9.6Gbps | 最大46Gbps |
| 無線周波数 | 2.4/5GHz帯 | 5GHz帯 | 2.4/5/6GHz帯※ | 2.4/5/6GHz帯 |
※6GHzの周波数帯を利用する場合は、Wi-Fi 6Eを利用します。
③ MIMOとマルチユーザMIMO
IEEE802.11ac、IEEE802.11ax、IEEE802.11beでは、IEEE802.11nで採用されていた複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げるMIMO(Multiple Input and Multiple Output)を発展させたマルチユーザMIMOなどの技術を用い、大幅な高速化を実現しています。
MIMO(マイモ)は、複数のアンテナで同時に送受信する技術です。1本の道を広げる代わりに、道の本数を増やすという発想です。
マルチユーザMIMOは、これをさらに発展させ、複数の端末に対して同時に送信できるようにしたものです。1台ずつ順番に相手をするのではなく、同時に複数の相手と通信できるため、端末が多い環境で効果を発揮します。
④ 2.4GHz帯と5GHz帯の違い
表に出てくる2つの周波数帯には、それぞれ長所と短所があります。この違いが試験で繰り返し問われます。
| 2.4GHz帯 | 5GHz帯 | |
|---|---|---|
| 電波の届く距離 | 遠くまで届く | 近い |
| 障害物 | 回り込みやすい(壁に強い) | 遮られやすい |
| 他の機器との干渉 | 電子レンジなどの影響を受ける | 受けにくい |
| 使える機器 | 多い(対応機器が豊富) | 限られる |
| 速度 | 遅め | 速い |
2.4GHz帯の弱点——電子レンジ
2.4GHz帯は、電子レンジが使う周波数と同じです。そのため、電子レンジを使っている間は無線LANが不安定になる、という現象が起こります。
この点は、令和4年度の本試験で「電子レンジなどの家電製品から電波干渉を受ける」という形で出題されました。電波干渉を受けるのは2.4GHz帯、受けにくいのは5GHz帯と、確実に押さえてください。
⑤ 表の読み方
| 規格 | 周波数帯の特徴 |
|---|---|
| IEEE802.11n(Wi-Fi 4) | 2.4/5GHzの両方に対応 |
| IEEE802.11ac(Wi-Fi 5) | 5GHzのみ |
| IEEE802.11ax(Wi-Fi 6) | 2.4/5/6GHz |
| IEEE802.11be(Wi-Fi 7) | 2.4/5/6GHz |
IEEE802.11acだけが5GHz帯のみという点に注目してください。速度を優先した結果、干渉の少ない5GHz帯に絞った世代です。その後のWi-Fi 6以降では、再び2.4GHz帯にも対応し、用途に応じて使い分けられるようになりました。
⑥ 速度の伸びを見る
| 世代 | 最大伝送速度 | 前世代比 |
|---|---|---|
| Wi-Fi 4 | 600Mbps | — |
| Wi-Fi 5 | 6.9Gbps | 約11倍 |
| Wi-Fi 6 | 9.6Gbps | 約1.4倍 |
| Wi-Fi 7 | 46Gbps | 約4.8倍 |
Wi-Fi 7の46Gbpsは、第2節で学んだ有線の10GBASE-T(10Gbps)を上回る数字です。無線が有線の速度を超えつつあるというのが、現在の状況です。
ただしこれは理論上の最大値であり、実際の速度は距離、障害物、接続台数、干渉の状況によって大きく下がります。「カタログの数字がそのまま出るわけではない」という点も、実務では重要です。
具体例
設例 無線LANとBluetoothの周波数帯
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和4年度第1問 改題)
> b 無線LAN規格IEEE802.11gに対応する機器は、5GHz帯を利用するので電子レンジなどの家電製品から電波干渉を受ける。
> c Bluetoothに対応する機器は、周波数ホッピング機能により電子レンジなどの家電製品からの電波干渉を軽減できる。
> d Bluetoothに対応する機器は、5GHz帯を利用するので電子レンジなどの家電製品から電波干渉を受ける。
解答 b:× c:○ d:×
bとdの誤りの構造
どちらも「5GHz帯を利用するので電子レンジから電波干渉を受ける」と書かれています。ここに2つの誤りが重なっています。
| 誤り | 内容 |
|---|---|
| 周波数帯 | どちらも実際は2.4GHz帯 |
| 因果関係 | 5GHz帯は電子レンジの干渉を受けにくい。「5GHzだから干渉を受ける」という理屈自体が成り立たない |
電子レンジと同じ周波数帯は2.4GHz——この1点を押さえておけば、この種の選択肢はまとめて切れます。
オフィスの無線LANを設計する
30名のオフィスに無線LANを導入する場面を考えます。
周波数帯をどう使い分けるか
| 用途 | 推奨する周波数帯 | 理由 |
|---|---|---|
| 会議室(動画配信、画面共有) | 5GHz帯 | 速度が要る。干渉が少ない |
| 執務室のノートパソコン | 5GHz帯 | 同上 |
| 倉庫のハンディターミナル | 2.4GHz帯 | 広い範囲をカバーしたい。速度は不要 |
| 来客用 | 分離したネットワーク | セキュリティ上の理由 |
アクセスポイントの台数
1台あたり何台まで捌けるかは規格によりますが、同時接続数が増えるほど1台あたりの速度は落ちます。30名なら、フロアの形にもよりますが2〜3台が目安になります。
「1台で足りる」と考えて導入したら遅かった——という失敗は、次の要因から起こります。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 電波は壁で減衰する | カタログの到達距離は見通しでの数字 |
| 同時接続が増えると分け合う | 1台の帯域を全員で共有する |
| 遠い端末が全体を遅くする | 通信速度の遅い端末に合わせて待ち時間が生じる |
実測して確かめることが欠かせません。設計段階の計算だけで済ませない、という姿勢は、第7章で学ぶシステムの性能評価にも通じます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a IEEE802.11acはWi-Fi 5とよばれ、5GHz帯を利用する。
> b IEEE802.11nはWi-Fi 6とよばれる。
> c MIMOは、複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる技術である。
解答 a:○ b:× c:○

無線LANの規格
試験のポイント
Bluetoothは2.4GHz帯を使うため、本来なら電子レンジの干渉を受けるはずです。その弱点を、周波数を飛び移ることで補っている——これが周波数ホッピング機能の意味です。
③ IrDA
赤外線を用いた無線通信規格です。機器間に障害物があると通信に支障を来します。
Bluetoothとの対比が重要です。
| Bluetooth | IrDA | |
|---|---|---|
| 使うもの | 電波(2.4GHz帯) | 赤外線 |
| 障害物 | あっても問題なく通信できる | あると通信に支障を来す |
電波は回り込むが、光は回り込まない——この物理的な性質の違いが、そのまま表に現れています。テレビのリモコンを壁越しに操作できないのと同じ理屈です。
④ NFC(Near Field Communication)
2003年12月にISO/IEC 18092として勧告された、近距離無線通信の国際標準のひとつです。
非接触ICカードやスマートフォンなどで用いられています。通信距離は10cm程度に限定され、かざすだけで簡単にデータ通信を行えることが特徴です。
「10cm程度」という短さは欠点ではなく、むしろ特徴です。
| 短距離であることの利点 | 内容 |
|---|---|
| かざす動作が意思表示になる | 意図しない通信が起きにくい |
| 傍受されにくい | 10cm以内に近づかないと読めない |
| 対象が明確 | 複数の相手と混線しない |
交通系ICカードや電子マネーで使われているのは、この性質によります。財布の中のカードが勝手に読み取られては困るからです。
⑤ Wireless USB
USBを拡張した無線通信規格です。大容量のデータ転送用途を想定しています。
第1章で学んだUSBの無線版にあたります。
⑥ LPWA(Low Power Wide Area-network)
省エネルギーと長距離無線通信の能力により、IoT(Internet of Things)デバイスの広範囲な普及を支えるための通信技術の総称です。
IoTデバイスが世界中で数十億台にものぼる規模で展開される時代に向け、LPWAの低消費電力、広範囲なカバレッジ、コスト効率の高さが注目されています。
⑦ LPWAが必要とされる理由
第13章で学ぶIoTでは、センサーを大量に設置します。そのとき問題になるのが電源です。
| 従来の無線 | LPWA |
|---|---|
| 高速だが電力を食う | 速度は低いが極端に省電力 |
| 数十m〜数百m | 数km |
| こまめな充電や給電が必要 | 電池で数年動く |
たとえば農地の土壌センサーや、水道メーターの検針データを送る用途では、「1時間に1回、数バイトのデータを送れればよい」のです。高速通信は要りません。そのかわり、電池交換なしで何年も動き、遠くまで届くことが求められます。
この要求に応えるのがLPWAです。名前のとおり Low Power(低消費電力)Wide Area(広範囲)。
⑧ 距離で並べ直す
| 規格 | 通信距離の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| NFC | 10cm程度 | 非接触ICカード、電子マネー |
| IrDA | 数十cm〜数m(見通し) | 赤外線通信 |
| Bluetooth | 数m〜十数m | マウス、キーボード、イヤホン |
| 無線LAN(Wi-Fi) | 数十m | パソコン、スマートフォン |
| LPWA | 数km | IoTデバイス |
距離が長いほど速度が低く、消費電力も抑えられているという傾向が読み取れます。用途に応じて距離・速度・電力のどれを優先するかが違うわけです。
具体例
設例 LPWA
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和7年度第8問 改題)
> LPWA(Low Power Wide Area)は、広範囲をカバーし、低消費電力で運用できる通信技術である。
解答 ○
名前がそのまま定義という、もっとも素直な出題です。
| 略語 | 展開 | 意味 |
|---|---|---|
| LP | Low Power | 低消費電力 |
| WA | Wide Area | 広範囲 |
身の回りの機器と規格を対応させる
| 機器・場面 | 使われている規格 |
|---|---|
| ワイヤレスイヤホン | Bluetooth |
| 無線マウス、無線キーボード | Bluetooth |
| 交通系ICカードで改札を通る | NFC |
| スマートフォンでコンビニ決済 | NFC |
| 社員証をかざして入室する | NFC |
| ノートパソコンでインターネット | 無線LAN(Wi-Fi) |
| 農地の土壌センサーからのデータ送信 | LPWA |
| 水道メーターの自動検針 |
中小企業での活用を考える
顧問先から「工場の設備の稼働状況を把握したい」という相談を受けた場面を想定します。
どの無線技術を使うべきか
| 状況 | 適した技術 | 理由 |
|---|---|---|
| 工場内で、電源が取れる場所 | 無線LAN | 高速で、既存の設備を使える |
| 工場内で、電源が取れない場所 | LPWAまたはBluetooth | 電池で動く必要がある |
| 屋外の広い敷地に点在する設備 | LPWA | 距離が長く、省電力 |
| 作業者が持ち歩く端末で読み取る | NFC | かざすだけ。設備側に電源不要 |
4つ目の「設備側に電源不要」が重要
NFCの非接触ICカードには電池が入っていません。読み取る側の機器が出す電波から電力を得て動作します。だからカードは何年でも使えるのです。
この性質を使えば、電源のない設備にNFCタグを貼っておき、点検のたびに読み取るという運用ができます。第13章で学ぶIoTの中でも、もっとも導入しやすい形といえます。
「まず何から始めるか」という助言
IoTの導入を検討する顧問先には、電源と通信のどちらが制約になるかを先に確かめるよう助言できます。
| 制約 | 打つ手 |
|---|---|
| 電源がある、通信もある | 無線LANで高頻度に計測 |
| 電源はあるが通信が届かない | LPWAを検討 |
| 電源がない | 電池+LPWA、またはNFCタグ+手動読み取り |
技術ありきではなく、現場の制約から選ぶ——この順番が、失敗しないIT導入の基本です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a Bluetoothは機器間に障害物があっても問題なく通信を行える。
> b IrDAは電波を用いた無線通信規格であり、障害物があっても通信できる。
> c NFCの通信距離は10cm程度に限定される。
解答 a:○ b:× c:○

Wi-Fi以外の無線規格と接続形態
試験のポイント
一般的に無線LAN通信をする場合にはインフラストラクチャモードが用いられ、アクセスポイントとして無線LANルータを設置します。
infrastructure は「基盤、社会資本」という意味です。あらかじめ用意された基盤(アクセスポイント)を経由するという性格を表しています。
④ 2つを比べる
| アドホックモード | インフラストラクチャモード | |
|---|---|---|
| 中心の装置 | なし | アクセスポイントが必要 |
| つながり方 | 端末同士が直接 | アクセスポイントを介して |
| 有線LANとの接続 | できない | できる |
| 使われ方 | 限定的 | 一般的 |
| トポロジの対応 | — | 有線のスター型に相当 |
⑤ なぜインフラストラクチャモードが一般的なのか
アドホックモードには、次の制約があります。
| 制約 | 内容 |
|---|---|
| 有線LANやインターネットにつながらない | 中継する装置がない |
| 端末が増えると管理が難しい | 全員が全員と直接つながる必要がある |
| 通信範囲が端末の性能に左右される | 遠い端末とは通信できない |
一方、アクセスポイントを置けば、
という利点が得られます。前節で学んだ有線のスター型トポロジと同じ構造で、中心に集約するほうが管理しやすいわけです。
⑥ 無線LANルータの2つのモード
市販の無線LANルータはインターネットへ接続するためのルータ機能が備わっており、有線との接続も可能であるため、無線LANルータ1台でルータの役割と、有線と無線をつなぐスイッチングハブの役割を果たします。
この場合、前者をルータモード、後者をブリッジモードとして利用します。
| モード | 果たす役割 |
|---|---|
| ルータモード | ルータの役割(異なるネットワークを接続する) |
| ブリッジモード | 有線と無線をつなぐスイッチングハブの役割 |
⑦ 2台目以降はブリッジモード
また、無線の到達距離を伸ばしたい場合は、複数の無線LANルータを設置します。この場合、2台目以降の無線LANルータは、ルータモードではなく、ブリッジモードで使用するのが一般的です。
なぜ2台目はブリッジモードなのか
ルータは異なるネットワークを接続する機器です(前節のとおり)。ルータを2台つなげると、ネットワークが2つに分かれてしまいます。
| 構成 | 結果 |
|---|---|
| 1台目:ルータモード、2台目:ルータモード | ネットワークが2つに分かれ、互いの機器が見えなくなる |
| 1台目:ルータモード、2台目:ブリッジモード | 1つのネットワークのまま範囲が広がる |
「1階と2階で別のネットワークになってしまい、ファイル共有ができない」——という症状は、2台目もルータモードにしてしまったことが原因です。電波を伸ばしたいだけなら、2台目はブリッジモードと覚えておきましょう。
⑧ 第3節との対応
前節で学んだ機器の役割が、ここで実際の製品の設定として現れています。
| モード | 対応する機器 | 何を見るか |
|---|---|---|
| ルータモード | ルータ | IPアドレス |
| ブリッジモード | ブリッジ/スイッチングハブ | MACアドレス |
同じ箱が、設定によって別の機器として振る舞う——これが現在のネットワーク機器の実態です。用語を個別に暗記するのではなく、どの層で何を見る機器なのかという軸で理解しておくと、こうした場面でも迷いません。
具体例
自宅やオフィスで実際に起きること
場面1:Wi-Fiが2階に届かない
| 症状 | 1階に置いた無線LANルータの電波が、2階まで届かない |
|---|---|
| 対策 | 2階にもう1台、無線LANルータを設置する |
| 設定 | 2台目はブリッジモードにする |
もし2台目もルータモードにすると、
という問題が起きます。
場面2:インターネット回線の機器が2台ある
プロバイダから貸与された機器にルータ機能が入っている場合、そこに市販の無線LANルータをつなぐと、ルータが2台直列になります。
| 構成 | 結果 |
|---|---|
| 貸与機器(ルータ)+市販ルータ(ルータモード) | 二重ルータ。通信が不安定になったり、特定の機能が使えなくなったりする |
| 貸与機器(ルータ)+市販ルータ(ブリッジモード) | 正常 |
この判断ができるかどうかが、実務で効く
「インターネットにはつながるが、なぜか一部のサービスだけ使えない」という相談の原因が、二重ルータだった——という例は少なくありません。
第3節で学んだ「ルータは異なるネットワークを接続する機器」という定義を理解していれば、ルータを2台直列にすればネットワークが3つになる(プロバイダ側、1台目の内側、2台目の内側)ことが分かり、原因にたどり着けます。
用語を覚えることと、理解することの差が出る場面です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a アドホックモードは、無線LANインタフェースをもつ端末だけで構成された接続形態である。
> b インフラストラクチャモードでは、アクセスポイントを介して各端末が通信する。
> c 無線の到達距離を伸ばすために2台目の無線LANルータを設置する場合、ルータモードで使用するのが一般的である。
解答 a:○ b:○ c:×

無線LANの接続形態(1/2)

無線LANの接続形態(2/2)
試験のポイント
プレミアムプラン
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| LPWA |