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プレミアムで見るインターネット層までで、データは目的のコンピュータにたどり着きました。しかしそのコンピュータでは、ブラウザもメールソフトも同時に動いています。届いたデータをどちらに渡すべきかを決めるのが、トランスポート層の仕事です。この節では、確実さを取るTCPと速さを取るUDPという2つの選択肢を比べ、アプリケーションを見分けるための番号であるポート番号を押さえます。最後に、この章でばらばらに学んできたDHCP・DNS・ARPが1本の流れにつながる様子を確かめます。TCPとUDPの違いは令和7年度に、ポート番号は令和元年度に出題されました。
簡単にいうと
確実に届けたいならTCP、速さが命ならUDP!メールは多少遅れても届いてほしい、IP電話は多少欠けても遅れないでほしい。使い分けの理由まで分かると、絶対に忘れないよ。
① TCP(Transmission Control Protocol)
TCPは、トランスポート層におけるコネクション型のプロトコルです。
コネクション型とは、通信に先立って相手先と仮想的な専用通信路(コネクション)を確立し、データの送受信を行う方式を指します。
データの到着確認や誤り訂正などの通信制御を行うため、確実にデータが相手先に届く信頼性の高い通信を実現できますが、データを送受信する度に確認のやり取りが発生するため、通信速度を向上させにくいというデメリットがあります。
② UDP(User Datagram Protocol)
UDPは、トランスポート層におけるコネクションレス型のプロトコルです。
コネクションレス型とは、通信相手の状況を確認せずにデータを送信する方式です。
データ伝達において信頼性よりも速度を重視し、通信の確認や再送制御を行わず、リアルタイム性が求められる場面で用いられます。
③ 2つを比べる
| 名称 | 信頼性 | 速度 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| TCP(コネクション型) |
具体例
設例 TCPとUDPの入れ替え
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和7年度第5問 改題)
> TCPは、データ転送において信頼性よりも速度を重視し、通信の確認や再送制御を行わず、リアルタイム性が求められる場面で用いられる通信プロトコルである。
解答 ×
UDPの内容です。TCPは、データの到着確認や誤り訂正などの通信制御を行い、信頼性の高い通信を実現します。
判別のキーワード
| 選択肢の語 | 対応するプロトコル |
|---|---|
| コネクション型、到着確認、誤り訂正、信頼性 | TCP |
| コネクションレス型、速度を重視、確認や再送制御を行わない、リアルタイム性 | UDP |
「リアルタイム性」という語が出たらUDP——これだけで判定できる設問も多くあります。

TCPとUDP
試験のポイント
簡単にいうと
IPアドレスが建物の住所なら、ポート番号は部屋番号!80番はHTTP、25番はSMTP——この対応表は、そのまま出題されるよ。
① なぜポート番号が必要なのか
インターネット層では、IPアドレスによって通信相手のホストを識別し、IPパケット伝送によってホスト間の通信を行います。
トランスポート層では、インターネット層のIPパケット転送を前提に、アプリケーション間での論理的な通信を行います。そのためには、ホスト内に実装されている通信相手のアプリケーションプロセスを識別する必要があります。
IPアドレスで「どのコンピュータか」までは決まりますが、そのコンピュータのどのアプリケーションに渡せばよいかは決まりません。そこでもう1段階の識別が必要になります。
② ポート番号
ポート番号は、TCPやUDP通信において通信相手のアプリケーションを識別するために利用される番号であり、送信元ポート番号と宛先ポート番号の両方を指定する必要があります。
送信元と宛先のポート番号を組にすることで、アプリどうしをつなぐ道筋ができます(これをTCPコネクション、またはTCPポートといいます)。この道の上で、届いたかどうかの確認、流す速さの調整、誤りの検出までを面倒見ます。
簡単にいうと
ここまで学んだDHCP・DNS・ARPが、1本の流れにつながるよ!URLを打ち込んでからページが出るまでに何が起きているか、順番に追いかけよう。
① 通信に必要な4つの情報
インターネット上のサイトにアクセスする場合には、「宛先IPアドレス」「宛先MACアドレス」「送信元IPアドレス」「送信元MACアドレス」などが必要です。
この4つがそろわなければ、パケットを組み立てられません。では、それぞれをどうやって手に入れるのでしょうか。
② 送信元MACアドレスは最初から分かっている
ネットワーク上でデータをやり取りするためには、コンピュータ(送信元)にLANカードが設定されている必要があります。LANカードにはMACアドレスが付与されているため、「送信元MACアドレス」が取得できます。
第4章で学んだとおり、MACアドレスはLANカードに焼き付けられているので、自分のMACアドレスは調べるまでもなく分かっています。
③ 残る3つをどう手に入れるか
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| × |
| 電子メールなど |
| UDP(コネクションレス型) | × | ○ | IP電話、ストリーミング配信など |
信頼性と速度がきれいに逆になっていることが、この表の要点です。
④ なぜ逆になるのか
TCPは、1つデータを送るたびに「届きましたか」「届きました」というやり取りをします。この確認のぶん、時間がかかります。
UDPは、確認をしません。送りっぱなしです。そのぶん速いのですが、届かなくても分かりません。
| TCP | UDP | |
|---|---|---|
| 送る前 | コネクションを確立する | いきなり送る |
| 送った後 | 到着を確認する | 確認しない |
| 届かなかったら | 再送する | そのまま |
| 順番が入れ替わったら | 正しい順序に並べ直す | そのまま |
⑤ 使い分けの理由を考える
電子メールがTCPである理由
メールの本文が一部欠けて届いたら、意味が変わってしまいます。多少遅れても、完全に届くことが絶対条件です。
IP電話やストリーミング配信がUDPである理由
音声や動画は、一瞬途切れても会話や視聴は続けられます。むしろ、欠けたぶんを再送していたら、そのぶん遅れが積み重なり、会話がかみ合わなくなります。
| 欠ける | 遅れる | |
|---|---|---|
| メール | 許されない | 許される |
| IP電話 | 許される(少し聞き取りにくい程度) | 許されない(会話にならない) |
何が許されないかが正反対だから、選ぶプロトコルも正反対になる——これがTCPとUDPの使い分けの本質です。
⑥ 第3節とのつながり
IPはコネクションレス型で、到着確認を行いませんでした。その信頼性の確保をトランスポート層のプロトコルに任せていると学びました。
| 選ぶプロトコル | 結果 |
|---|---|
| TCP | 信頼性が確保される(IPの割り切りを補う) |
| UDP | 信頼性は確保されない(IPの性質をそのまま活かす) |
IPが確認機能を持たないからこそ、この選択ができるわけです。もしIPが必ず確認を行っていたら、UDPのような速い通信は不可能でした。役割を分けておくことで、選択の余地が生まれる——階層モデルの利点がここに現れています。
⑦ 名前から意味を引く
| 名称 | 展開 | 手がかり |
|---|---|---|
| TCP | Transmission Control Protocol | Control(制御)が入っている=確認や再送を制御する |
| UDP | User Datagram Protocol | Controlが入っていない=制御しない |
TCPには「Control」があり、UDPにはない——この違いが、そのまま性質の違いを表しています。
⑧ ウェルノウンポート番号との対応
次のテーマで学びますが、プロトコルによってTCPを使うかUDPを使うかが決まっています。
| プロトコル | 使う | 理由 |
|---|---|---|
| HTTP、SMTP、POP、FTP | TCP | データが欠けては困る |
| DNS(通常の問い合わせ) | UDP | 小さなやり取りを速く済ませたい |
| DHCP | UDP | 同上 |
確実さが要るものはTCP、速さと軽さが要るものはUDPという原則で、ほぼ説明がつきます。
在宅勤務で使うWeb会議を例に考えてみましょう。
| 要素 | 使われるプロトコル | 理由 |
|---|---|---|
| 音声・映像 | UDP | 遅れが許されない。多少の欠落は許容できる |
| チャットのメッセージ | TCP | 欠けては困る。多少遅れても構わない |
| 画面共有の資料ファイル | TCP | ファイルが壊れては意味がない |
| 参加者リストの更新 | TCP | 正確さが要る |
1つのアプリケーションの中で、用途ごとに使い分けているわけです。
なぜWeb会議で音声が途切れるのか
UDPを使っているため、回線が混雑するとパケットが失われ、そのまま欠落します。再送しないので、音が飛んだり、映像が乱れたりします。
「不安定だから悪い技術」なのではなく、遅れを避けるためにあえて欠落を受け入れている設計です。もしTCPを使えば、欠落はなくなりますが、代わりに音声が何秒も遅れて会話にならなくなります。
IP電話の品質を上げるには
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| 回線を太くする | パケットの損失が減る |
| QoS(優先制御)を設定する | 音声のパケットを優先的に通す |
| 有線接続にする | 無線の不安定さを避ける |
2つ目は、第7章で学ぶネットワークの品質制御にあたります。UDPのパケットは再送されないからこそ、最初から失わないようにするという考え方です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a TCPはコネクション型のプロトコルであり、通信に先立って相手先と仮想的な専用通信路を確立する。
> b UDPは、データの到着確認や誤り訂正を行うため、信頼性の高い通信を実現できる。
> c IP電話やストリーミング配信にはUDPが用いられる。
解答 a:○ b:× c:○
③ 身近な例で実感する
日常生活で、1台のPCで、ブラウザでWebサイトを見ながら、メールを送受信できます。これは、ポート番号によって識別しているためです。
もしポート番号がなければ、届いたデータをブラウザに渡すべきかメールソフトに渡すべきか分かりません。IPアドレスだけでは、コンピュータまでしか特定できないからです。
| 識別子 | 何を特定するか | たとえ |
|---|---|---|
| IPアドレス | どのコンピュータか | 建物の住所 |
| ポート番号 | そのコンピュータのどのアプリケーションか | 部屋番号 |
④ ウェルノウンポート番号
TCP/IPネットワーク上で共通的に使用する標準プロトコルには、事前にポート番号が割り当てられており、これをウェルノウンポート番号(Well Known Port Number)とよびます。
| ポート番号 | プロトコル |
|---|---|
| 20・21 | FTP(File Transfer Protocol:ファイルの転送) |
| 22 | SSH(Secure Shell)セキュリティ付き遠隔ログイン |
| 23 | Telnet(遠隔ログイン) |
| 25・587 | SMTP(Simple Mail Transfer Protocol:メールの転送) |
| 53 | DNS(IPアドレスとホスト名を対応) |
| 80 | HTTP(Webページ(HTMLファイル)の転送・表示) |
| 110 | POP(Post Office Protocol:メールの受取) |
| 546・547 | DHCP(動的にIPアドレスを採番) |
| 443 | SSL(Secure Socket Layer)、HTTPS |
⑤ ポート番号の範囲
ポート番号は、[0〜65535]番まであります。なお、[0〜1023]番がウェルノウンポート番号に該当します。
ウェルノウンポート番号を使うのは、クライアントサーバのサーバ側のみです。クライアント側のアプリケーションは、1024以上で使われていないポート番号を動的に割り当てます。
⑥ なぜサーバ側だけが固定なのか
サーバは、いつ誰が来るか分からない相手を待ち受けています。だから「Webサーバは必ず80番で待っている」と決まっていなければ、クライアントはどこに接続すればよいか分かりません。
一方クライアントは、自分から接続しに行く側です。自分の番号は、そのときに空いているものを使えば足ります。
| サーバ側 | クライアント側 | |
|---|---|---|
| ポート番号 | 固定(ウェルノウン) | 動的に割り当て(1024以上) |
| 理由 | 相手が事前に知っている必要がある | そのときに空いていればよい |
⑦ 実際のやり取り
| 通信 | クライアント側 | サーバ側 |
|---|---|---|
| メール送信 | A:50000 | B:25(SMTP) |
| Webページ閲覧 | A:50010 | B:80(HTTP) |
クライアントのポート番号が異なることで、2つの通信を同時に行っても混ざりません。メールの応答は50000番へ、Webページの応答は50010番へ返ってくるからです。
⑧ 覚えやすい対応の作り方
9つの番号を丸暗記するのは大変なので、まとまりで覚えるのが効率的です。
| まとまり | ポート番号 | プロトコル |
|---|---|---|
| 20番台前半は遠隔操作とファイル | 20・21 | FTP |
| 22 | SSH | |
| 23 | Telnet | |
| メール関連 | 25・587 | SMTP(送信) |
| 110 | POP(受信) | |
| 名前解決 | 53 | DNS |
| Web | 80 | HTTP |
| 443 | HTTPS(SSL) | |
| IPアドレス配布 | 546・547 | DHCP |
とくに80番(HTTP)と443番(HTTPS)、25番(SMTP)と110番(POP)は頻出なので、確実に押さえてください。
⑨ FTPが2つ持っている理由
FTPだけが20番と21番の2つを使います。
| ポート | 用途 |
|---|---|
| 21 | 制御用(コマンドのやり取り) |
| 20 | データ転送用(ファイルそのもの) |
指示を出す経路と、ファイルを流す経路を分けているわけです。試験で問われることは多くありませんが、「なぜ2つあるのか」を知っていると記憶に残りやすくなります。
⑩ セキュリティとの関係
第6章で学ぶファイアウォールは、ポート番号を見て通すか遮断するかを判断します。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| 80番と443番だけ許可 | Webの閲覧だけ許す |
| 25番を遮断 | メールの送信を禁止する |
| 23番を遮断 | Telnetによる遠隔操作を禁止する |
必要なポートだけを開けて、他は閉じる——これがファイアウォール設計の基本です。第2章で学んだ最小権限の原則と同じ考え方が、ネットワークにも適用されます。
具体例
設例 ポート番号
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和元年度第11問)
> ポート番号は、TCPやUDP通信において通信相手のアプリケーションを識別するために利用される番号であり、送信元ポート番号と宛先ポート番号の両方を指定する必要がある。
解答 ○
定義そのものです。「送信元と宛先の両方」という点が、見落とされやすいところです。
1台のパソコンで同時に何が起きているか
ある瞬間のパソコンの通信を覗いてみると、次のようになっています。
| アプリケーション | 自分のポート | 相手 | 相手のポート |
|---|---|---|---|
| ブラウザ(タブ1) | 50010 | Webサーバ甲 | 443(HTTPS) |
| ブラウザ(タブ2) | 50011 | Webサーバ乙 | 443(HTTPS) |
| メールソフト(受信) | 50020 | メールサーバ | 110(POP) |
| メールソフト(送信) | 50021 | メールサーバ | 25(SMTP) |
| Web会議 | 50030 | 会議サーバ | (UDP) |
同じ443番宛の通信が2つある
タブ1とタブ2は、どちらもHTTPSで通信しています。宛先ポートは同じ443番です。それでも混ざらないのは、自分側のポート番号が違うからです。
4つの組み合わせで1本の通信路が決まる
| 要素 | 値 |
|---|---|
| 送信元IPアドレス | 自分のIP |
| 送信元ポート番号 | 50010 |
| 宛先IPアドレス | サーバ甲のIP |
| 宛先ポート番号 | 443 |
この4つの組み合わせが1つでも違えば、別の通信として扱われます。だから、同じサーバに何本でも同時に接続できるわけです。
なぜ「送信元ポート番号も必要」なのか
もし送信元ポート番号がなければ、サーバからの応答がどのタブ宛なのか分かりません。応答を正しく振り分けるために、行きの時点で自分の番号を伝えておく必要があるのです。
ファイアウォールの設定を読む
会社のファイアウォールに、次の設定があったとします。
| 方向 | 許可するポート | 意味 |
|---|---|---|
| 内→外 | 80、443 | Webの閲覧を許可 |
| 内→外 | 25、110、587 | メールの送受信を許可 |
| 内→外 | 53 | DNSの問い合わせを許可 |
| 外→内 | なし | 外部からの接続はすべて拒否 |
この設定から読み取れること
| 読み取れること | 根拠 |
|---|---|
| 社員はWebとメールが使える | 80・443・25・110・587が開いている |
| ファイル転送(FTP)はできない | 20・21が開いていない |
| 外部の端末を遠隔操作できない | 22・23が開いていない |
| 外部から社内サーバにアクセスできない | 外→内がすべて拒否 |
ポート番号を知っていると、セキュリティ設定の意味が読める——これが実務での価値です。
第6章でファイアウォールを学ぶとき、この節のポート番号の知識が前提になります。番号と用途の対応を、いま押さえておきましょう。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a ポート番号は0〜65535番まであり、0〜1023番がウェルノウンポート番号に該当する。
> b ウェルノウンポート番号を使うのは、クライアントサーバのクライアント側のみである。
> c HTTPのウェルノウンポート番号は80番、HTTPSは443番である。
解答 a:○ b:× c:○

ポート番号
試験のポイント
| 手に入れる方法 |
|---|
| 送信元MACアドレス | LANカードに付与済み |
| 送信元IPアドレス | DHCPで割り当てられる |
| 宛先IPアドレス | DNSで問い合わせる |
| 宛先MACアドレス | ARPで問い合わせる |
この章で学んだ3つのプロトコルが、それぞれ1つずつを担当していることが分かります。
④ 一連の流れ
例:ある企業のホームページへアクセスする場合
① DHCPによるIPアドレス割当
DHCPサーバから送信元IPアドレスが割り当てられます。
このとき、あわせて次の情報も取得します。
これで送信元IPアドレスと送信元MACアドレスがそろいました。
② DNSによる宛先IPアドレスの取得
宛先のドメイン名(例:www.tac-school.co.jp)を指定しDNSより接続したい宛先IPアドレスを取得します。
| 動き | 内容 |
|---|---|
| 宛先IPアドレスの問合せ | 「このドメイン名のIPアドレスは?」 |
| 宛先IPアドレスの取得 | 「202.215.249.99 です」 |
これで宛先IPアドレスがそろいました。
③ ARPによる宛先MACアドレスの取得
宛先IPアドレスを取得後、ARPにより宛先MACアドレスを問合せます。
| 動き | 内容 |
|---|---|
| 宛先MACアドレスの問合せ | 「このIPアドレスのMACアドレスは?」 |
| 宛先MACアドレスの取得 | 「00:a0:c2:0b:0a:70 です」 |
これで宛先MACアドレスがそろい、4つすべてが集まりました。
④ データの転送
宛先IPアドレスおよび宛先MACアドレスを入手しデータを転送します。
⑤ 順番には意味がある
この順番は入れ替えられません。
| なぜこの順番か | 理由 |
|---|---|
| DHCPが最初 | 自分のIPアドレスがなければ、何も送れない |
| 次にDNS | 宛先IPアドレスが分からなければ、ARPで何を聞けばよいか分からない |
| 次にARP | 宛先IPアドレスが分かって初めて、そのMACアドレスを聞ける |
| 最後に転送 | 4つそろって初めてパケットを組み立てられる |
DNS → ARP の順番が決まっているのがポイントです。ARPは「このIPアドレスのMACアドレスは?」と聞くので、先にIPアドレスを知っている必要があります。
⑥ IPアドレスとMACアドレスの役割の違い(再確認)
第3節でも触れましたが、ここで改めて確認します。
ルータXを中継して送信する場合、IPアドレスは変わらずAだが、MACアドレスは次の中継先であるzを指定します。
| 区間 | 宛先IPアドレス | 宛先MACアドレス |
|---|---|---|
| 送信元 → ルータX | A(最終目的地) | x(ルータXのもの) |
| ルータX → 次へ | A(変わらない) | z(次の中継先のもの) |
| 最後の区間 | A(変わらない) | a(目的地のもの) |
IPアドレスは最終目的地を指し続け、MACアドレスは区間ごとに書き換わります。
⑦ なぜこうなるのか
| アドレス | 通用する範囲 | 役割 |
|---|---|---|
| IPアドレス | 世界中 | 最終的にどこへ届けたいか |
| MACアドレス | 同じLAN内だけ | 次にどこへ渡すか |
MACアドレスは同じLAN内でしか通用しないので、ネットワークをまたぐたびに書き換える必要があるのです。
リレー競走にたとえると、IPアドレスはゴールの位置、MACアドレスは次の走者です。ゴールは変わりませんが、バトンを渡す相手は区間ごとに変わります。
具体例
実際に何が起きているかを時間軸で追う
朝、ノートパソコンを開いてニュースサイトを見るまでの数秒間を追ってみましょう。
| 経過 | 起きていること | 使われるプロトコル |
|---|---|---|
| 0.0秒 | Wi-Fiに接続する | IEEE802.11 |
| 0.1秒 | IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバのIPアドレスを受け取る | DHCP |
| — | (この時点で送信元IPアドレスと送信元MACアドレスがそろう) | — |
| 1.0秒 | ブラウザにURLを入力する | — |
| 1.1秒 | ドメイン名からIPアドレスを調べる | DNS |
| 1.2秒 | 宛先が自分のネットワーク外だと判断する | サブネットマスク |
| 1.2秒 | デフォルトゲートウェイ(ルータ)のMACアドレスを調べる | ARP |
| 1.3秒 | TCPコネクションを確立する | TCP |
| 1.4秒 | 80番ポート宛にHTTPリクエストを送る | HTTP |
| 1.6秒 | HTMLが返ってくる | HTTP |
| 1.8秒 | 画像やスクリプトを追加で取得する | HTTP |
| 2.0秒 | ページが表示される | — |
「宛先」がルータになっている点に注意
1.2秒の段階で調べているのは、最終目的地のMACアドレスではなく、ルータのMACアドレスです。
最終目的地は別のネットワークにあるので、そのMACアドレスを直接知ることはできません(ARPは同じLAN内にしか届かないため)。だから「まずルータに渡す」ために、ルータのMACアドレスを調べるのです。
サブネットマスクがここで効いてくる
| 判定 | 結果 | 次の動き |
|---|---|---|
| 宛先が同じネットワーク内 | — | その端末のMACアドレスをARPで調べる |
| 宛先が別のネットワーク | — | デフォルトゲートウェイのMACアドレスをARPで調べる |
サブネットマスクは、この判定のために必要なのです。DHCPが配る4つの情報のうち、サブネットマスクとデフォルトゲートウェイが、ここで働いています。
トラブルの原因を、この流れから逆算する
| 症状 | どの段階で止まっているか | 疑うべきもの |
|---|---|---|
| IPアドレスが割り当てられない | ① | DHCP |
| 名前では開けないがIPアドレスなら開ける | ② | DNS |
| 同じネットワーク内はつながるが外に出られない | ③ | デフォルトゲートウェイ/ルータ |
| 特定のサイトだけ開けない | ④以降 | 相手側、またはファイアウォール |
流れを知っていれば、症状から原因の範囲が絞れる——これがこの節を学ぶ実務上の意味です。
この章で学んだことが1つにつながる
| 学んだこと | この流れでの役割 |
|---|---|
| 第1節 IPアドレス | 端末を識別する |
| 第2節 DNS・DHCP | 名前を引く/設定を配る |
| 第3節 ARP・IP | MACアドレスを引く/経路を選ぶ |
| 第4節 TCP・ポート番号 | 確実に届ける/アプリケーションを見分ける |
| 第5節 HTTP | Webページを取得する |
ばらばらに見えた用語が、1本の流れの中でそれぞれの役割を果たしている——この全体像を持っておくと、個々の用語が忘れにくくなります。
確認してみましょう
> インターネット上のサイトにアクセスする際、次の情報はどうやって取得するか。
> a 送信元IPアドレス b 宛先IPアドレス c 宛先MACアドレス
解答 a:DHCP b:DNS c:ARP
3つのプロトコルが、3つの情報を分担している——この対応を押さえておきましょう。

サイトにアクセスするまでの一連の流れ
試験のポイント
プレミアムプラン
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