関係性マーケティングとデジタルマーケティング
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プレミアムで見る昨今の情報技術の飛躍的な発展と普及は、関係性マーケティングの実践をより効果的・効率的にしています。
また、消費者同士の横のつながりを生み出すことにも寄与し、マーケティングは企業と消費者という縦の関係だけで論じるものではなくなっています。
この節では、デジタルマーケティングに関する用語を取り上げます。
数が多いので、似た者同士を組にして整理します。
O2OとOMO、ソーシャルグラフとインタレストグラフは、名前が似ているうえに意味も近いので、どこが違うのかをはっきりさせてください。
簡単にいうと
広告を見せない技術と、広告だと隠す手法。どちらも広告が嫌われることから生まれたよ!
① アドブロック
ネットの広告をブロックできるソフト(あるいは技術)のことです。
消費者はインターネット上で不快な広告をブロックすることで、快適にウェブサイトを閲覧することができます。
② ステルスマーケティング
「ステマ」とも呼ばれ、何らかの宣伝・広報であることを消費者に隠して行う活動です。
ヤラセやサクラなどもこの一例です。
③ 2つは同じ事情から出ています
並べて置いたのは、どちらも広告が避けられることへの反応だからです。
向きが逆なだけで、出発点は同じです。
④ ただし評価は分かれます
アドブロックは、消費者が快適に閲覧するための手段です。
一方、ステルスマーケティングは隠すこと自体が問題視されます。
具体例
ある健康飲料をめぐって起きたことです。
アドブロック
この会社はニュースサイトにバナー広告を大量に出しましたが、表示回数が想定の6割にしか届きませんでした。
読者の多くがアドブロックを入れていたからです。
読者からすれば、記事を読んでいる途中で動画広告が割り込んでくるのは不快です。
それをブロックして、快適に閲覧しているわけです。
ステルスマーケティング
広告が届かないので、この会社は別の手に出ました。
レビューサイトに、社員が一般利用者を装って高評価の投稿をしたのです。
読む側は、企業が書いたものだと気づきません。
宣伝であることを隠して行う活動です。
ヤラセとサクラ
さらに、

デジタルマーケティングの主要用語
試験のポイント
簡単にいうと
ネットから店へ呼び込むのがO2O、境目をなくすのがOMOだよ!
① O2O
ネット上(オンライン)から、ネット外の実店舗(オフライン)に消費者を呼び込むものです。
② OMO
オンラインの接点と、実店舗などのオフラインの接点を融合させて、顧客がチャネルの違いを意識せずにサービスを受けられるようにマーケティング戦略を構築していく考え方です。
③ 2つの違い
名前が似ているので、ここをはっきりさせてください。
O2Oには向きがあります。
オンライン → オフラインという一方向の誘導です。
簡単にいうと
もともと知り合いか、趣味が似ているか。この違いでグラフの名前が変わるよ!
① ソーシャルグラフ
インターネット上での交友関係による結びつき方のことで、学校の友達、職場の同僚、家族などオフライン上で交友関係がある人々が、オンライン上でも結びつくような社会的関係のことをいいます。
② インタレストグラフ
インターネット上で自分と似た趣味や興味を有している人々との結びつき方のことです。
③ 2つの違い
もともと知り合いかどうかで分かれます。
簡単にいうと
乗り換えにかかる手間と、質そのものの評価。デジタル化で、どちらも変わったよ!
① マルチホーミングコスト
ユーザーが複数のプラットフォームを平行して同時に使用する際に、その行動にまつわるコストのことです。
② 含まれるコスト
たとえば携帯電話を複数の会社と契約して使用する場合、契約ごとの料金の管理やデータ量の管理など、「金銭的コスト」「心理的コスト」「手間コスト」などが発生しますが、これらのコストがマルチホーミングコストといわれます。
お金だけではありません。心理的な負担も、手間も含まれます。
③ なぜ重要なのか
このコストが高いほど、ユーザーはひとつのプラットフォームに絞ります。
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「宣伝であることを消費者に隠す」という点が、ステルスマーケティングの定義の要です。
⑤ 規制の対象になりました
なお、ステルスマーケティングは、2023年から景品表示法の規制対象となっています。
広告であるのに広告と分からない表示が、不当表示として禁止されたということです。
第17章2節で見たアドバトリアル(記事体広告)やペイド・パブリシティは、広告であることを隠しているわけではありません。
隠しているかどうかが、分かれ目になります。
いずれもステルスマーケティングの一例です。
発覚した後
投稿が社内からのものだと判明し、批判が集まりました。
広告が避けられる状況への対応として選んだ手段が、かえって信頼を失わせたわけです。
境目そのものをなくす考え方なので、どちらからどちらへ、という発想がありません。
④ 顧客から見た違い
O2Oでは、顧客はネットと店を別のものとして認識しています。
だから「ネットで見たクーポンを、店に持っていく」という行動になります。
OMOでは、顧客がチャネルの違いを意識しません。
定義に書かれているこの一文が、そのまま見分けどころになります。
⑤ データマイニング
大量の数量データの集合体を探索的に分析して洞察を得ようとする一連の作業のことです。
⑥ 「探索的に」が要点です
仮説を検証するのではなく、データのなかから思いがけない関係を見つけ出すところに特徴があります。
前の節で見たRFM分析やCRMが機能するのも、こうしてデータを分析できるようになったからです。
⑦ 綴りで覚える
2つとも、英語の綴りがそのまま意味になっています。
to か Merges かで見分けてください。
⑧ オムニチャネル
関連する用語にオムニチャネルがあります。
実店舗・ネット通販・アプリなどすべての接点を統合し、在庫や顧客情報を一元管理して、どこからでも同じ体験を提供することです。
オムニ(omni)はすべてのという意味です。
⑨ OMOとの関係
2つはよく似ていますが、見ているところが違います。
仕組みがオムニチャネル、めざす状態がOMOと整理しておくと、取り違えません。
具体例
ある衣料品チェーンの取り組みの移り変わりです。
O2Oの段階
アプリで店舗限定のクーポンを配りました。
「このコードを店頭でご提示ください。20%引き」
オンラインから実店舗へ、消費者を呼び込んでいます。
向きは一方向です。
しかし、この段階では問題が残っていました。
顧客は「ネットの店」と「実際の店」を別のものとして使い分けていました。
OMOの段階
そこで、仕組みを作り直しました。
顧客からすると、
「ネットで買ったのか、店で買ったのか」を意識しなくなりました。
チャネルの違いを意識せずにサービスを受けられるというのは、この状態のことです。
O2Oとの決定的な違い
O2Oは「ネットから店へ来てもらう」施策でした。
OMOには、そもそも「どちらからどちらへ」という向き自体が存在しません。
データマイニング
そして、たまった購買データを探索的に分析したところ、
「店で試着してからネットで買った人は、返品率が4分の1になる」
という関係が見つかりました。
最初から探していたわけではありません。
データのなかから洞察を得たわけです。
この発見をもとに、試着予約をさらに押し出すことにしました。
試験のポイント
インタレストグラフの相手は、会ったことがなくてもかまいません。
インタレスト(interest)は「興味・関心」です。名前がそのまま意味になっています。
④ インフルエンサー
元は、人々に大きな影響を及ぼす人物のことをいいますが、デジタル社会においては、インターネット上で消費者の購買意志決定に大きな影響を与える人のことを特定して指します。
⑤ 炎上
ある人物や企業が発信したメッセージや実施した行為に反応して、ソーシャルメディアに批判的なコメントが殺到する状態のことをいいます。
⑥ サイバーカスケード
集団内の個人がそれぞれインターネット上で自分自身の欲望の赴くままに振る舞った結果、集団が全体として極端な行動や主張に行き着いてしまう現象のことです。
炎上もこの現象の表れの一種といえます。
⑦ 2つの関係
サイバーカスケードのほうが広い概念です。
炎上は、そのうちの一種という位置づけになります。
カスケード(cascade)は段々になった滝のことです。上から次々と流れ落ちて、同じ方向に集まっていくイメージです。
⑧ 個々人は極端ではありません
定義をよく読むと、ひとりひとりは「自分自身の欲望の赴くままに振る舞った」だけです。
それなのに、集団が全体として極端な行動や主張に行き着いてしまう。
誰かが先導したわけではないところが、この現象の特徴です。
具体例
ある登山用品のブランドをめぐって起きたことです。
ソーシャルグラフ
大学の山岳部で一緒だった6人は、卒業後もSNSでつながっています。
オフラインで交友関係がある人々が、オンラインでも結びついているわけです。
ほかにも、職場の同僚、家族とのつながりがこれにあたります。
インタレストグラフ
一方、同じSNSで、この人は会ったことのない数百人ともつながっています。
共通点は「低山の縦走が好き」という一点だけ。
名前も職業も知りません。
自分と似た趣味や興味を有している人々との結びつき方です。
どちらが影響したか
新しいザックを買うとき、参考にしたのは
インタレストグラフのほうでした。
山岳部の友人の多くは、いまは登っていません。
趣味が同じ相手の情報のほうが役に立ったわけです。
インフルエンサー
そのつながりのなかに、山行の記録を発信している人がいて、
この人が「背負い心地が別物」と書いた型は、3日で品切れになりました。
インターネット上で消費者の購買意志決定に大きな影響を与える人です。
炎上
のちに、このブランドが「初心者は山に来るな」と受け取れる投稿をしたことで、
批判的なコメントが殺到しました。
サイバーカスケード
注目すべきは、その広がり方です。
最初に書いた人は、「言い方がきつい」と感じただけでした。
それを見た人が「自分も不快だった」と書き、
さらにそれを見た人が過去の投稿を探し出し、
最終的には不買を呼びかける主張にまで行き着きました。
誰も最初から不買を考えていたわけではありません。
ひとりひとりは自分の感じたままに振る舞っただけです。
それなのに、集団が全体として極端な主張に行き着いた。
これがサイバーカスケードであり、炎上はその表れの一種です。
試験のポイント
プラットフォーム側から見れば、マルチホーミングコストを高く保てるかどうかが顧客をつなぎとめられるかを左右します。
④ 絶対価値
顧客が体験する「製品の質」のことです。
⑤ 何が変わったのか
従来は価格などの相対価値で判断することが有効でした。
買う前に質が分からないので、値段が高いほど良いのだろうと推測していたわけです。
しかし、
デジタル社会においては、高度な検索エンジンや顧客のレビュー、専門家や友人とのつながりやすさなどのデジタル社会の特徴によって、絶対価値情報を入手しやすくなっています。
⑥ 意味するところ
質そのものが分かるようになったので、値段やブランドで推測する必要が減りました。
第17章5節で見た共同格付けが、まさにこれを支えています。
買う前に判断が難しかったものが、他人の評価によって判断できるようになったわけです。
⑦ メイカームーブメント
ものづくりのデジタル化といわれ、従来1人で作業していた世界中のDIY実践者が、メイカーとして世界規模で協力し合うようになった現象のことです。
⑧ 3つの特徴
次の3つの特徴を持ちます。
ⅰ デスクトップでのデジタル工作機械によるモノのデザインや試作
ⅱ ネットコミュニティでのデザインの共有
ⅲ 標準化されたデザインファイルによる製造の簡便化
具体例
3つの用語が、それぞれ実際にどう表れるかを見てみます。
マルチホーミングコスト
ある飲食店が、料理の宅配を3つのサービスに同時に出しています。
そこで発生しているのは、
これらがマルチホーミングコストです。
結局この店は、手間に耐えられず1社に絞りました。
コストが高いと、ひとつに絞るという働き方が出ています。
絶対価値
この店の近所に、2軒の蕎麦屋があります。
昔なら、
と価格という相対価値で判断していました。
いまは、
その結果、700円の店のほうが、蕎麦粉も打ち方も優れていると分かりました。
顧客が体験する「製品の質」そのものを、買う前に知ることができるようになったわけです。
メイカームーブメント
この蕎麦屋の店主は、蕎麦を均等に盛るための器具を自作しています。
(デジタル工作機械によるデザインや試作)
(ネットコミュニティでのデザインの共有)
(標準化されたデザインファイルによる製造の簡便化)
昔なら1人で工夫して終わっていたものが、世界規模で協力し合う形になっています。
ものづくりのデジタル化、というのはこういうことです。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。