関係性マーケティングとデジタルマーケティング
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プレミアムで見る1990年代以降、従来型のマネジリアルマーケティング(4Pマーケティング)の限界が指摘され、インタラクション(双方向相互作用)による社会との関係を重視する関係性マーケティングへのパラダイムシフトが起こっています。
背景には、市場の成熟化、消費者ニーズの多様化、流通における大規模小売業者の台頭、社会的コミュニケーションの必要性増大といったことがあります。
もっとも、顧客との関係を重視するという考え方は従来から存在していました。
しかし近年の情報通信技術の飛躍的な発展により、さまざまなマーケティング手法が、より効率的・効果的に関係性マーケティングとのかかわりで取り組まれています。
この節では、代表的な手法をいくつか取り上げます。
簡単にいうと
1回売って終わりではなく、長くつきあうことを目指す考え方だよ!
① リレーションシップマーケティングとは
リレーションシップマーケティング(関係性マーケティング)とは、企業と外部集団(顧客、取引先、投資家、社会など)との関係性に注目するマーケティング概念です。
双方の信頼を基礎とするインタラクション(相互作用)が関係性構築の鍵となります。
② 特徴
継続的な交換関係の維持という観点から、短期的な取引を超えて、長期的な相互利益と成長を目指すところに特徴があります。
相手は顧客だけではありません。取引先、投資家、社会まで含みます。
第17章3節で見たPR活動と相手の範囲が重なることに気づくと思います。
③ 重視されるようになった背景
次の4点があげられます。
ⅰ 80対20の法則
80対20の法則(20%の顧客で80%の売上高を構成することが多い)に対する有効性の認識が高まり、20%を占める既存優良顧客の維持が重要な課題となっています。
ⅱ 製品ライフサイクルの短縮化
製品ライフサイクルが短縮化し、顧客を自社製品にとどめるための方策が必要になってきています。
ⅲ 製品の高度化
具体例
業務用コーヒーマシンを売る会社の、考え方の変化を見てみます。
昔のやり方
マシンを1台売れば、営業の仕事は終わりでした。
担当者の評価は、その月に何台売ったかだけ。
だから、できるだけ高い機種を、できるだけ多く売ることに集中していました。
80対20の法則に気づいた
顧客1,200社の売上を並べてみると、
上位240社(20%)で、売上の79%を占めていました。
この240社が1社でも離れると、新規を10社取っても埋まりません。
既存優良顧客の維持が重要な課題だと分かりました。
製品ライフサイクルの短縮化
かつては1機種を7年売れましたが、いまは2年で新機種が出ます。
新機種のたびに他社に乗り換えられては困るので、自社にとどめる方策が要ります。
製品の高度化
いまのマシンは、抽出圧力や温度を細かく制御します。

関係性マーケティングとCRM
試験のポイント
簡単にいうと
流通業者を通さず、直接お客さんとやり取りする手法だよ!
① ダイレクトマーケティングとは
ダイレクトマーケティングとは、本来、メーカーが流通業者を経由せずに直接消費者にコミュニケーションを行い、販売を実施していく手法です。
② 含まれる範囲
従来のメーカーによる直接販売や訪問販売などのほかに、今日では通信販売やインターネットマーケティング、テレマーケティング、テレビショッピングなどの無店舗販売までも指すことが多いです。
「本来」と「今日では」で範囲が広がっていることに注意してください。
③ 双方向のシステムへ
近年の情報通信技術の発達により、ひとりひとりを対象にマーケティング活動を行うことが容易になり、売り手と買い手の双方向マーケティングシステムとして、従来以上に広範囲に取り組まれています。
簡単にいうと
お客さんをランク分けして、ランクごとに扱いを変える。RFMとFSPがその代表だよ!
① CRMとは
CRM(Customer Relationship Management)とは、個々の顧客のロイヤルティを長期的に高め、利益の改善を図るために、顧客の過去の行動を分析したうえで、ロイヤルティ向上に有効な施策を計画し実行するマーケティング活動(手法)のことです。
関係性マーケティングの枠組みのなかでは、顧客関係の構築にフォーカスしたものです。
② 2つの手段
顧客との長期的な関係構築の手段としては、大きく層別対応と個別対応があります。
簡単にいうと
顧客シェアと市場シェアの取り違えがよく出るよ。分母が何かで見分けよう!
① 個別対応(ワントゥワンマーケティング)
個別対応とは、顧客ごとに対応を変えていくものであり、この考え方に基づくマーケティング活動がワントゥワンマーケティングです。
これはリレーションシップマーケティングの概念に立脚した考え方ということができます。
② 内容
顧客との対話により把握した個々の顧客の属性、ニーズや嗜好、購買履歴などに合わせてマーケティングを展開することです。
顧客にとっては、製品やサービス内容、提供情報などが、あたかも1対1の関係のなかで成り立っているように感じられます。
③ 何と対比されるのか
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製品の高度化に伴う、メンテナンスやアフターサービスの重要度が増し、顧客との継続的な関係を無視することができなくなってきています。
ⅳ サービスマーケティングの拡大
サービスマーケティングの拡大とともに、顧客とのリレーションシップがその成否に大きな影響を与えています。
④ 4つの背景に共通していること
並べて眺めると、どれも「売った後」が長くなったという話です。
20%の優良顧客を維持する、自社製品にとどめる、メンテナンスを続ける、サービスを提供し続ける。
取引が終わった時点が関係の終わりではなくなったわけです。
だから、1回の取引で最大の利益を取る考え方から、長期的な相互利益を目指す考え方へ移りました。
⑤ 1:5の法則
80対20の法則とあわせて、1:5の法則という言い方もあります。
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの何倍もかかるという経験則です。
この前提に立つと、新規を追いかけるより、いまの顧客と長く付き合うほうが有利になります。
関係性マーケティングが重視される理由の、もっとも分かりやすい形がこれです。
年4回の点検で訪問するので、関係は売った後も続きます。
サービスの比重
さらにこの会社は、豆の定期配送と、店ごとの抽出レシピの提案を始めました。
機械を売る会社から、淹れ方を支える会社に変わったわけです。
相手は顧客だけではない
この会社が関係を築いた相手は、
企業と外部集団との関係性に注目するというのは、こういう広がりです。
流通業者を経由すると、誰が買ったのかがメーカーに分かりません。
小売店は「100個売れた」とは教えてくれても、どの人が、いつ、何度買ったかまでは分かりません。
直接やり取りすれば、買い手が誰かが分かります。
分かるからこそ、次に見るCRMのように個々の顧客に応じた対応ができるわけです。
ダイレクトマーケティングは、関係性マーケティングの土台になっています。
具体例
ある補正下着メーカーの販売経路の変化です。
本来の形(直接販売・訪問販売)
創業時は、販売員が家庭を訪問して採寸し、その場で販売していました。
流通業者を経由していません。
百貨店に卸していたころ
その後、百貨店に卸すようになりました。
売上は伸びましたが、
誰が買っているのかが分からなくなりました。
百貨店から届くのは「今月はMサイズが340枚」という数字だけです。
買った人に連絡を取ることも、2回目を勧めることもできません。
今日の形(通信販売・インターネット)
そこで自社のECサイトとカタログ通販を始めました。
買って半年後に「そろそろ買い替えの時期です」と連絡でき、
さらに届いた声を次の製品設計に反映できるようになりました。
双方向マーケティングシステムというのは、この往復のことです。
無店舗販売の広がり
現在この会社が使っているのは、
いずれもダイレクトマーケティングに含まれます。
試験のポイント
この節では層別対応を扱い、個別対応は次のテーマで扱います。
③ 層別対応
層別対応とは、顧客をA、B、Cといった具合にランク分けし、ランクごとに対応を変えていくというものであり、RFM分析やFSPなどがあります。
④ RFM分析
RFM分析は、顧客を次の3つの観点でそれぞれポイントを付け、その合計点により、顧客をランク付けして管理していく手法です。
RFM分析の結果、ポイントが高い層には差別的に手厚いサービスを提供します。
⑤ 3つの観点が別々に必要な理由
金額だけで判断しないところが要点です。
一度だけ高額な買い物をして、その後5年来ていない人と、毎月少額を買い続けている人では、
今後の見込みがまるで違います。
だから、
を別々に見る必要があるわけです。
⑥ FSP(Frequent Shoppers Program)
FSPとは、高頻度で自店に来店する優良顧客に注目し、その階層に応じてプロモーションを展開するというものです。
⑦ FSPと個別対応の関係
ここが細かい論点です。
FSP実施時に顧客をいくつかの層に分類し、その後、優良顧客層に属する顧客に対して個別対応(ワントゥワンマーケティング)を行うということはあります。
つまり、層別対応と個別対応は排他的ではありません。
まず層に分け、そのうえで上位の層にだけ個別対応を行うという組み合わせ方ができます。
⑧ デシル分析
層別対応の手法として、デシル分析もあります。
顧客を購買金額の多い順に10等分し、各グループが売上全体のどれだけを占めるかを見るものです。
デシル(decile)は10分位という意味です。
⑨ RFM分析との違い
デシル分析は単純なぶん、80対20の法則が自社でも成り立つかをすぐ確かめられます。
上位1〜2割のグループで売上の大半を占めていれば、そこを維持することが課題だと分かるわけです。
⑩ 顧客ロイヤルティの2軸
CRMがめざすロイヤルティは、2つに分けて考えられます。
両方が高いのが、本当のロイヤルティです。
⑪ 片方だけでは危ういこと
行動だけが高い顧客は、近いから、安いから買っているだけかもしれません。
近くに競合が出れば、あっさり離れます。
逆に、愛着はあっても買っていない顧客は、売上になりません。
繰り返し買っているという事実だけでロイヤルティを測ると、見誤るということです。
具体例
ある書店チェーンのポイント会員30万人を、どう扱ったかです。
RFM分析
3つの観点で、それぞれ5点満点をつけました。
| 顧客 | R(最終購買日) | F(購買頻度) | M(購買金額) | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 佐々木さん | 5(先週) | 5(月3回) | 3(年4万円) | 13 |
| 林さん | 1(2年前) | 2(年2回) | 5(1回で12万円) | 8 |
| 岡本さん | 4(先月) | 1(年1回) | 1(年2千円) | 6 |
林さんに注目してください。
M(購買金額)は5点で、1回の買い物額は最も大きい。
しかし2年来ていません。
金額だけを見ていたら「優良顧客」と判断してしまいますが、R(最終購買日)を見れば、すでに離れていると分かります。
3つの観点を別々に見る必要があるのは、このためです。
ランク分けと対応の差
合計点で3つの層に分けました。
| ランク | 合計点 | 対応 |
|---|---|---|
| A層 | 12点以上 | 新刊の先行案内、限定イベント招待、ポイント2倍 |
| B層 | 7〜11点 | 月1回のおすすめメール |
| C層 | 6点以下 | 全体向けのセール案内のみ |
ポイントが高い層には差別的に手厚いサービスを提供しています。
FSP
さらにこの書店は、高頻度で来店する客に注目し、
年24回以上来店する会員を「プレミア会員」として、その階層向けのプロモーションを展開しました。
層別対応と個別対応の組み合わせ
そして、プレミア会員のうちさらに上位の約800人には、担当者が個別に本を選んで案内するようにしました。
まず層に分け、上位の層にだけ個別対応を行う。
FSPのあとにワントゥワンマーケティングを行うことがある、というのはこういう使い方です。
試験のポイント
④ 何を強調するのか
ワントゥワンマーケティングでは、既存顧客の維持と顧客シェアの拡大(あるいは顧客生涯価値の最大化)を、情報技術を駆使したマスカスタマイゼーションと顧客との長期的な学習関係によって実現することが強調されます。
⑤ 顧客生涯価値(LTV:Customer Lifetime Value)
顧客が新規に購買してから、顧客ライフサイクルあるいは一定年数を通じて、その企業にもたらす総利益を、現時点における正味現在価値で表した金銭的指標です。
⑥ 顧客シェア
1人の顧客が特定の製品分野に対して生涯を通じて支出する総金額のうち、自社に支払った金額が占める比率です。
顧客と企業との関係の深さを測る指標となります。
⑦ 顧客シェアと市場シェアの違い
ここが繰り返し問われます。
分母が何かで見分けてください。
次の記述は誤りです。
「関係性が構築され、それがさらに維持、強化されることで、特定顧客における同一製品カテゴリーの購買全体に対して自社製品が占める割合、つまり市場シェアの拡大が見込める」
→ 市場シェアではなく顧客シェアです。
説明文のほうは正しいので、最後の語だけが入れ替わっています。「特定顧客における」と書いてあったら顧客シェアです。
⑧ アップセル
ある商品を購入した顧客に、同種のさらに高額の商品を推奨して販売する行為です。
⑨ クロスセル
ある商品を購入した客に、その商品に関連した別種の商品を推奨して販売する行為です。
顧客シェアを上げるための取り組みとしては、アップセルやクロスセルがあります。
⑩ 2つの見分け方
同種か別種かで分かれます。
⑪ マスカスタマイゼーション
大量生産とカスタム化を合成したものです。
部品のモジュール化によって大量生産による低コスト化と豊富な製品バリエーションを実現することで、本来高コストである個々の顧客ニーズへの対応を可能とします。
⑫ 名前のとおりの意味
マス(大量生産)とカスタマイゼーション(個別対応)は、本来は両立しません。
個別に作れば高くつくからです。
それを部品のモジュール化で両立させます。
部品は共通にして大量に作り、組み合わせ方で違いを出す。
ワントゥワンマーケティングが現実に成り立つのは、この仕組みがあるからです。
具体例
万年筆を扱う専門店の例です。
顧客シェアで考える
この店の常連である森田さんは、筆記具に年間およそ6万円を使っています。
そのうち、この店で買っているのは1万8千円。
残りの4万2千円は、他店やネットで買っていました。
顧客シェアは30%です。
市場シェアとの違い
この店の市場シェアは、地域の筆記具市場全体のうち、この店の売上が占める割合です。
顧客シェアは、森田さん1人の支出のうち、この店が占める割合。
分母がまるで違います。
新しい客を増やせば市場シェアは上がりますが、森田さんの顧客シェアは1ミリも動きません。
アップセル
1万2千円の万年筆を買った森田さんに、
「次は、こちらの3万5千円の軸はいかがでしょう。ペン先の金の含有率が違いまして……」
同種の、さらに高額な商品を勧めています。これがアップセルです。
クロスセル
同じ森田さんに、
「このペンには、この濃さのインクが合います」「持ち歩かれるなら、革のケースを」
その商品に関連した別種の商品を勧めています。これがクロスセルです。
どちらも顧客シェアを上げる
森田さんが他店で買っていた分を、この店で買うようになれば、
支出の総額は変わらなくても、顧客シェアは上がります。
実際、顧客シェアは30%から68%になりました。
顧客生涯価値
森田さんが今後15年この店を使い続けるとして、もたらす総利益を現時点の正味現在価値で表すと、およそ34万円でした。
1回の売上ではなく、生涯の総額で見るための指標です。
長期的な学習関係
この店は、森田さんの購入履歴とともに、
といったことを記録しています。
やり取りを重ねるほど、提案が的確になる。
これが長期的な学習関係です。
森田さんから見れば、あたかも1対1の関係のなかで成り立っているように感じられます。
マスカスタマイゼーション
この店が扱う国産万年筆のメーカーは、
をそれぞれ大量に作り、注文に応じて組み合わせています。
組み合わせは90通りですが、部品は14種類しか作っていません。
部品のモジュール化によって、低コスト化と豊富なバリエーションを両立させているわけです。
試験のポイント
プレミアムプラン
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