第4章 販売流通情報システム
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「JITシステム」の動画を再生します。
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プレミアムで見る取引先ごとに書式の違う伝票をやり取りしていては、何度も同じ数字を打ち直すことになります。書式を決めてしまえば、そのままデータで受け渡せる。この単純な発想がEDIです。そして、業界全体で書式をそろえた標準が流通BMSです。
簡単にいうと
電子データ交換、つまり企業間の電子取引のことです。紙の伝票をやめるだけで、速さも正確さも人手も変わります。ただし、書式がそろっていなければ意味がありません。
EDIは「電子データ交換」の頭文字で、中身をひとことで言えば会社と会社のあいだの取引を、紙ではなくデータでやりとりすることです。
肝は、データの並べ方をあらかじめ決めてそろえたうえで、回線に載せて送り合うところにあります。対象になるのは、注文、見積り、支払い、入荷と出荷といった取引の各場面です。
紙の伝票をやりとりしていた従来の方式に比べ、次の効果があります。
インターネットの普及にともない、Webブラウザを使ったWeb-EDIやXMLを使ったものなどが普及しています。
EDIの定義でいちばん大事なのは、「標準的な書式に統一して」という部分です。
ただ電子化するだけでは足りません。取引先ごとに項目名も並び順も違うデータを受け取っても、結局は人が読み替えて入力し直すことになります。
書式をそろえて初めて、システムからシステムへ直接データが流れる。これがEDIの本質です。
流通BMSとは、
| 特徴 |
|---|
| メーカー・卸売業と小売業間のEDIで用いられる |
| 仕事の進め方、やりとりの種類、項目の持ち方、コードの付け方、XMLでの書き表し方まで、ひとそろいで決めてある |
| 業務プロセスの効率化、EDI導入・運用の効率化、情報連携によるSCM全体の最適化が期待できる |
| 送受信先の企業識別コードにGLN、商品コードにGTINを利用する |
最後の項目が、前節とのつながりです。
GS1が定めた識別コードをそのまま使うことで、企業をまたいでも同じ番号が同じものを指すようになります。だからデータをそのまま突き合わせられるのです。
流通BMSの効果は3段階に広がります。
1. 業務プロセスの効率化 … 受発注や検品の作業が減る
2. EDI導入・運用の効率化 … 取引先ごとに別々のシステムを作らなくてよい
3. 情報連携によるSCM全体の最適化 … メーカー・卸・小売が同じデータを見て動ける
2つ目がとくに大きな効果です。標準がなければ、取引先が100社あれば100通りの接続を作ることになります。標準が1つあれば、接続は1つで済みます。
3つ目は、この章でここまで見てきたASN、SCMラベル、一括物流とすべてつながっています。EDIで出荷データ(ASN)が先に流れるからノー検品ができ、GTINで商品が識別できるからSCMラベルが機能する。情報の標準化が、物流の効率化を下支えしているという構図です。
具体例
小売チェーンと食品メーカーのあいだの受発注を、EDI導入の前後で比べてみましょう。
導入前:紙とFAXのやり取り
1. 小売の本部が発注書を作成し、FAXで送信
2. メーカーの営業担当がFAXを受け取り、自社システムに手入力
3. 出荷時、納品書を印刷して商品に同梱
4. 店舗が納品書を見ながら検品
5. 店舗が受領印を押して返送
6. メーカーが請求書を作成し郵送
7. 小売が請求書を見て手入力し、支払い処理
手入力が2か所あり、そのたびに打ち間違いのリスクがあります。発注から納品まで3日はかかり、数量違いが見つかるのは納品後です。
導入後:流通BMSによるEDI
1. 小売のシステムが発注データを送信(相手はGLN、商品はGTINで指定)
2. メーカーのシステムが自動で受信し、受注処理
3. 出荷時、ASN(事前出荷明細)を送信
4. 店舗は商品のSCMラベルを読むだけでノー検品で受領

EDIと流通BMS
試験のポイント
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6. 請求・支払いデータも電子的にやり取り
手入力はゼロ。打ち間違いは起きません。発注から納品までが1日に縮み、在庫を減らしても欠品が出にくくなりました。
仮に、このメーカーが20社の小売チェーンと取引しているとします。
標準がない場合
小売A社は「商品コードは自社独自の8桁」、B社は「13桁のJANコード」、C社は「データ形式がCSV」、D社は「固定長テキスト」…
メーカーは20通りの変換処理を作り、維持しなければなりません。小売側が仕様を変えるたびに改修が発生します。
流通BMSがある場合
商品コードはGTIN、送受信先はGLN、データ表現はXML。すべての取引先で同じです。
メーカーが用意するのは1つの仕組みだけ。新しい取引先が増えても、GLNを登録するだけで接続できます。
これが「EDI導入・運用の効率化」の意味です。標準化の価値は、1社の中ではなく、企業と企業のあいだで生まれます。
そして、メーカー・卸・小売が同じデータを共有できるようになれば、在庫情報や販売情報をつなげたSCM全体の最適化へと進んでいきます。第1編で学んだSCMが、ここで販売側とつながるわけです。
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