第2章 生産の管理
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プレミアムで見る製品を1台つくるのに、部品が何百点も要る。その部品それぞれに調達のリードタイムがあり、まとめ買いの単位があり、倉庫には手持ちの在庫もある。この絡み合った条件を機械的にさばいて「どの資材を、いつ、どれだけ発注すればよいか」を出してくれるのがMRPです。この節では、MRPの4つの計算段階と、その土台になる部品構成表(BOM)を押さえます。
簡単にいうと
MRPは「何をいつ何個つくるか」を入れると「どの資材をいつどれだけ発注するか」を吐き出してくれる仕組みです。コンピュータがあって初めて実用になった手法で、1960年代初頭に生まれました。
MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)は、コンピュータの使用を前提とした生産および在庫管理の手法です。1960年代初頭に最初のシステムが開発されて以来、世界中に急速に広まりました。
JISでは「MPS、BOM、生産計画情報及び在庫情報に基づいて、資材の必要量(所要量)及び必要時期を求める生産管理体系」(JIS Z 8141-2101)と定義されています。
かみくだけば、基準生産計画(どの製品をいつまでに何個つくるか)を入力すると、資材所要量計画(どの資材を、いつ、どれだけ発注するか)が出力されるプログラムです。
計算するには、基準生産計画のほかに次の情報が要ります。
| 情報 | 中身 | 答えること |
|---|---|---|
| 部品構成表(BOM) | 最終製品がどんな部品からできているか | 必要な部品の種類と数量は |
| 各部品の在庫データ | いま資材がどれだけあるか | いくつ手当てが要るか |
具体例
自転車メーカーを思い浮かべてください。基準生産計画に「来月末までにスポーツ車を500台」と入れます。
MRPは部品構成表を開き、スポーツ車1台にフレーム1本、車輪2本、車輪1本にスポーク32本…と展開していきます。スポークなら 500台 × 2本 × 32本 = 32,000本が必要だと分かります。
次に在庫ファイルを見ると、スポークの手持ちが5,000本あり、すでに3,000本を発注済みだと分かりました。したがって新たに手当てすべきは 32,000 − 5,000 − 3,000 = 24,000本です。
スポークの発注単位が1,000本単位なら24ロット。調達リードタイムが3週間なら、必要な時期の3週間前には発注をかけていなければなりません。この一連の計算を、何百点という部品すべてについて一気にやってくれるのがMRPです。

MRP(資材所要量計画)とは
試験のポイント
簡単にいうと
MRPの計算は4段階です。必要な総数を出し、在庫を差し引き、発注単位にまとめ、リードタイム分だけ前倒しする。この順番を言えるようにしておけば、穴埋め問題は落としません。
MRPの処理は次の4段階で進みます。
① 総所要量計算
基準生産計画にもとづき、部品(構成)表を使って部品展開を行い、各工程で必要になる部品・資材の総所要量を算出します。「必要な部品の種類と数量は」に答える段階です。
② 正味所要量計算
算出された総所要量に、在庫ファイルと発注残ファイルから在庫を引き当て、発注(あるいは製造)が必要な量を出します。「手持ちと発注済みの部品在庫を除いた必要発注量は」に答える段階です。
簡単にいうと
製品がどんな部品からできているかを書いた表がBOMです。平べったく一覧にしたサマリー型と、親子関係を木の形で示したストラクチャ型の2つがあります。試験で計算させられるのはストラクチャ型のほうです。
部品構成表(BOM:Bill Of Materials)とは、「製品又は親部品を生産するのに必要な子部品の、種類及び数量を示したもの」(JIS Z 8141-3307)で、製品を完成させるために必要な材料や部品の所要量をまとめたものです。
表現のしかたで2つの型に分かれます。
| 型 | 表し方 | 分かること | 弱み |
|---|---|---|---|
| サマリー型部品表 |
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| 発注単位(100個単位など) |
| 何個単位で発注できるか |
| 調達リードタイム | 発注してから届くまでの期間 | いつまでに発注すればよいか |
MRPの入り口になるのが基準生産計画(MPS:Master Production Schedule)です。最終製品について「何を・いつまでに・何個つくるか」を決めたもので、これがずれるとその後の計算すべてがずれます。
③ ロット編成計算
各部品・資材のロットサイズ情報(発注ルール)にもとづき、ロット編成計算を行います。「何個単位で発注できるか」に答える段階です。ここで出てくるのが完了ベースの計画オーダーです。
④ 先行計算
最後に、各部品・資材の調達リードタイムを考慮してオーダーをとりまとめます。「いつまでに発注すればよいか」に答える段階で、ここで着手ベースの計画オーダーが出来上がります。
式のかっこの中は「いま自由に使える部品の数」です。
この「自由に使える数」を総所要量から差し引いた残りが、新たに手当てしなければならない正味所要量です。引当量を足してしまう、発注残を引いてしまう、という符号の取り違えがいちばん多いミスなので、意味から確かめる癖をつけてください。
具体例
ある部品について、総所要量が1,000個、手持在庫が300個、うち引当量が120個、発注残が200個だったとします。
いま自由に使えるのは、手持ちの300個から押さえ済みの120個を除いた180個と、これから入ってくる200個を合わせた380個。1,000個必要なので、残り620個を新たに手当てします。
続いてロット編成計算です。この部品の発注単位が100個単位なら、620個をまかなうには7ロット(700個)を発注することになります。
最後に先行計算です。この部品が組立工程で必要になるのが6月20日で、調達リードタイムが10日なら、遅くとも6月10日には発注をかけておく必要があります。こうして「6月10日に700個発注」という着手ベースの計画オーダーが出来上がります。

MRP(資材所要量計画)の流れ
試験のポイント
| 必要な部品の総所要量が簡単に出せる |
| 組立順序や中間部品の構成が分からない |
| ストラクチャ型部品表 | 木構造。親部品と子部品の関係を階層で示す | 中間部品の構成、共通部品の必要量まで分かる | 作成と管理に手間がかかる |
サマリー型は、部品の加工方法や組立順序とは関係なく、ある部品(製品も含む)ごとに、それを生産するのに必要な部品や材料とその所要量の総計をまとめたものです。必要量はすぐ出せますが、最終製品の組立順序や構成部品との構造が示されないため、中間部品の構成を把握することはできません。
ストラクチャ型は、部品の加工や組立の順序を考えて、部品の親子関係を保ちながら、製品構成と各段階での所要量を木構造で表現した部品表です。ツリー状に親部品と子部品の関係を示すので、中間部品の構成が把握でき、共通部品の必要量も明らかになり、きめ細かく管理できます。一方で、部品表の作成と管理には手間がかかります。
ストラクチャ型では、最終製品がレベル0、その直下の部品がレベル1、さらにその下がレベル2…と数えます。複雑な製品になると階層の数も相当なものになり、構成は一気に込み入ってきます。
各部品のかっこ内の数値は、上位品目を1個生産するのに必要な数量を表します。ここを「最終製品1個あたり」と読み違えると、計算が合わなくなります。
具体例
製品Y(1) の下に 部品α(1)・部品β(6)・部品γ(2) があり、部品β の下に 部品s(12) があるとします。
製品Yを1個つくるのに部品βが6個必要、部品βを1個つくるのに部品sが12個必要。したがって製品Yを1個つくるのに必要な部品sは、
上から下へ、かけ算でつないでいくのが基本です。
試験で差がつくのは、同じ部品が複数の経路に現れるパターンです。次の構成表で考えてみます(かっこ内は親1個に対して必要な個数)。
製品Aを2個生産するとき、部品eは何個必要でしょうか。
部品eにたどり着く経路は3本あるので、それぞれを計算して足し合わせます。
| 経路 | 計算 | 個数 |
|---|---|---|
| A → a → c → e | 1 × 4 × 3 × 2 | 24 |
| A → a → e | 4 × 3 × 2 | 24 |
| A → b → e | 4 × 2 × 2 | 16 |
| 合計 | 64 |
答えは64個です。
経路を1本でも数え落とすと答えが合いません。「その部品が図のどこに何回出てくるか」を先に全部丸で囲んでから、経路ごとにかけ算する、という順で解くと落としにくくなります。
同じ要領で他の部品も出せます。部品c は 4 × 3 × 2 = 24個、部品f は 4 × 2 × 2 = 16個、部品d は (3×4×3×2) + (2×3×2) + (3×2×2) = 72 + 12 + 12 = 96個です。

部品構成表(BOM)と所要量の計算
試験のポイント
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