第1章 中小企業概論
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「中小企業の定義」の動画を再生します。
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プレミアムで見るここから数字の話が始まります。最初に言っておくと、この分野で覚えるのは「順位」と「向き」であって、桁の細かい数値ではありません。業種の並び方と増減の向きさえつかんでいれば、それで足ります。
覚え方のコツは、まず幹になる数字を4つだけ頭に入れることです。企業数は中小企業が約340万者で全体の99.7%、うち小規模企業が約290万者で84.5%。従業者数は中小企業が約3,300万人で69.7%(約7割)、うち小規模企業が約970万人で20.5%(約2割)。「企業数ではほぼ全部、従業者数では7割」という落差が、中小企業という存在の輪郭そのものです。
そのうえで、業種別の順位を「中小企業のとき」と「小規模企業のとき」で並べ替える練習をします。中小企業と小規模企業で1位が入れ替わる場面が出題の狙い目で、小規模企業を問われたら建設業の位置が上がるという合言葉がそのまま解答につながります。
簡単にいうと
企業数は中小企業が約340万者で99.7%、小規模企業が約290万者で84.5%。業種別のトップはどちらも小売業だよ!
企業数は総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」(2021年6月時点)によります。ここでいう企業とは会社および個人事業者を指し、農林漁業を除く非一次産業を対象としています。
「中小企業は会社が多い/小規模企業は個人事業者が多い」というねじれが、そのまま設問の選択肢になります。規模が小さくなるほど法人化していない、と考えれば自然です。
| 順位 | 中小企業 | 企業数 | 小規模企業 | 企業数 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 |

企業数(2021年)
試験のポイント
簡単にいうと
従業者数は中小企業が約3,300万人で約7割、小規模企業が約970万人で約2割。企業数と違って、業種別の1位が入れ替わるところが勝負どころ!
企業数では小規模企業が個人事業者中心だったのに、従業者数では会社が上回ります。一社あたりの人数が違うので当然といえば当然ですが、「企業数は個人が多い/従業者数は会社が多い」というズレは覚えておく価値があります。
| 順位 |
|---|
簡単にいうと
推移は「一貫して増えているか、減っているか」を聞いてくる。企業数は一貫して減少、従業者数は中小企業だけ一貫して増加──この対比を押さえよう!
経済センサスは2012年・2016年・2021年の3時点が比較できるようになっています。出題は「3時点を通じて一貫して増加/減少しているのはどれか」という形が定番です。「一貫して」という言葉が出てきたら、3つの数字が同じ向きに並んでいるかを確かめる問題だと考えてください。
| 区分 | 2012年 | 2016年 | 2021年 | 向き |
|---|---|---|---|---|
| 中小企業(非一次産業計) |
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| 小売業 |
| 527,138 |
| 小売業 |
| 427,267 |
| 2位 | 建設業 | 424,976 | 建設業 | 403,449 |
| 3位 | 宿泊業、飲食サービス業 | 424,543 | 宿泊業、飲食サービス業 | 365,011 |
| 4位 | 製造業 | 335,552 | 不動産業、物品賃貸業 | 316,400 |
3位までは中小企業と小規模企業でまったく同じ並びです。違いが出るのは4位で、中小企業は製造業、小規模企業は不動産業・物品賃貸業になります。不動産業は一人親方のような小規模事業者が非常に多い業種だと考えると腑に落ちます。
なお、2位の建設業(424,976)と3位の宿泊業・飲食サービス業(424,543)はわずか433者の差しかありません。「建設業と宿泊・飲食はほぼ並んでいる」と覚えておくと、順位を入れ替えた選択肢にも動じずに済みます。
「令和3年経済センサス-活動調査」に基づき、産業別に中小企業数を比較した場合、多いものから少ないものへと並べた組み合わせとして最も適切なものはどれか。(平成26年度第2問 改題)
a 建設業 b 製造業 c 小売業
正解は「c 小売業 - a 建設業 - b 製造業」。中小企業・小規模企業を問わず企業数が最も多いのは小売業──この一点を知っているだけで、選択肢をピンポイントで絞り込めます。
| 従業者数 |
|---|
| 小規模企業 |
|---|
| 従業者数 |
|---|
| 1位 | 製造業 | 6,185,371人 | 建設業 | 2,090,255人 |
| 2位 | 小売業 | 4,462,594人 | 製造業 | 1,527,569人 |
| 3位 | 宿泊業、飲食サービス業 | 3,401,140人 | 小売業 | 1,115,177人 |
| 4位 | 建設業 | 3,339,900人 | 宿泊業、飲食サービス業 | 1,054,376人 |
企業数では小売業が1位でしたが、従業者数では製造業が1位に躍り出ます。工場は一社あたりの雇用が多いからです。
そして小規模企業に絞ると、今度は建設業が1位になります。つまり小規模企業に話が移ると、建設業の順位が一段上がるわけです。この見方は売上高でも付加価値額でも通用する万能の補助線なので、必ず頭に入れておきましょう。
「従業者数の多さ」と「その業種における中小企業の存在感」は別物です。構成比で見ると次のようになります。
| 区分 | 1位 | 2位 |
|---|---|---|
| 中小企業の構成比 | 医療、福祉(89.4%) | 建設業(68.6%) |
| 小規模企業の構成比 | 建設業(55.4%) | 不動産業、物品賃貸業(51.3%) |
医療・福祉は大企業がほとんど存在しない業種なので、中小企業の構成比が9割近くになります。一方、小規模企業の構成比では建設業が半分を超えます。
過去に、都道府県別(東京・愛知・大阪)で「従業者総数に占める中小企業の割合」が問われたことがあります。
| 都道府県 | 中小企業 | 小規模企業 |
|---|---|---|
| 愛知県 | 72.0% | 18.5% |
| 大阪府 | 68.5% | 18.1% |
| 東京都 | 44.3% | 8.2% |
正解の並びは愛知県 → 大阪府 → 東京都で、小規模企業でも同じ順番です。そして47都道府県のなかで中小企業の割合が最も低いのは東京都(小規模企業でも東京都が最低)。大企業の本社が集中しているためで、直感どおりの結論です。

従業者数(2021年)
試験のポイント
| 3,578,176 |
| 3,364,891 |
| 一貫して減少 |
| うち小規模企業 | 3,342,814 | 3,048,390 | 2,853,356 | 一貫して減少 |
| 中小企業のうち会社数 | 1,677,949 | 1,599,436 | 1,746,540 | 減って増えた |
| 中小企業のうち個人事業者数 | 2,174,985 | 1,978,740 | 1,618,351 | 一貫して減少 |
3時点を通じて一貫して増加している業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」のみ(中小企業も小規模企業も同じ)。電力自由化で新規参入が相次いだためで、「一貫して増加=電気・ガス・熱供給・水道業」はそのまま暗記してよい項目です。
2016年と2021年の比較で増加している業種は、次の5つです(中小・小規模とも同じ)。
| 区分 | 2012年 | 2016年 | 2021年 | 向き |
|---|---|---|---|---|
| 中小企業(非一次産業計) | 32,167,484 | 32,201,032 | 33,096,442 | 一貫して増加 |
| 中小企業のうち会社 | 25,864,443 | 26,550,602 | 28,591,674 | 一貫して増加 |
| 中小企業のうち個人事業者 | 6,303,041 | 5,650,430 | 4,506,768 | 一貫して減少 |
| 小規模企業(非一次産業計) | 11,923,280 | 10,437,271 | 9,725,922 | 一貫して減少 |
ここが企業数といちばん違うところです。
中小企業で3時点とも一貫して従業者数が増加している業種は、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門技術サービス業、教育・学習支援業、医療・福祉、その他──と多岐にわたります。一方、小規模企業で一貫して増加しているのは「電気・ガス・熱供給・水道業」のみで、企業数と同じです。
「企業の数は減っているのに、中小企業で働く人の数は増えている」。これは廃業によって事業者が減る一方で、生き残った企業が規模を大きくし、個人事業者が法人化していることを示しています。第2章以降で学ぶ「企業の規模間移動」「休廃業・解散」の議論は、この数字の裏側で何が起きているのかを説明するものだと考えると、つながりが見えてきます。

企業数・従業者数の推移
試験のポイント
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