令和5年度 第15問 設問1 解説
問題文
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 現在、Y社は総資本10 億円(時価ベース)の全額を自己資本で調達して事業活動 を行っており、総資本営業利益率は10 %である。また、ここでの営業利益は税引 前当期純利益に等しく、また同時に税引前キャッシュフローにも等しいものとす る。Y社は今後の事業活動において、負債による調達と自己株式の買い入れによっ て総資本額を変えずに負債と自己資本との割合(資本構成)を1: 1に変化させるこ とを検討しており、その影響について議論している。 税金が存在しない場合、Y社が資本構成を変化させたとき、ROE の値として、 最も適切なものはどれか。ただし、負債利子率は3%であり、資本構成の変化 によって総資本営業利益率は変化しないものとする。
解説
正解は17%(ウ)である。総資本10億円、総資本営業利益率10%なので営業利益(税引前当期純利益)は1億円。資本構成を1:1に変更すると負債5億円、自己資本5億円となる。負債利子率3%なので支払利息は5億円×3%=0.15億円となり、税金がないため当期純利益は1億円-0.15億円=0.85億円となる。ROEは当期純利益÷自己資本で求めるため、0.85億円÷5億円=17%となる。 誤答について、アの13%やイの13.5%は支払利息の計算過程や自己資本額の設定を誤った場合に生じやすい数値であり、エの17.5%は総資本営業利益率をそのまま自己資本利益率に近い形で誤用した場合に出やすい。 この論点は、負債の活用によりROEが総資本営業利益率を上回る「財務レバレッジ効果」を問うものである。判断の手順としては、まず総資本×総資本営業利益率で営業利益(税引前利益)を求め、次に負債額×利子率で支払利息を引いて当期純利益を算出し、最後に自己資本で割ってROEを求めるという流れを機械的に押さえておくとよい。負債利子率が総資本営業利益率より低い場合、負債比率を高めるほどROEは上昇するという関係性も併せて覚えておくと応用が利く。
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