産業財産権以外の知的財産権
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プレミアムで見る著作権は、産業財産権とはまるで別の顔をしています。出願も登録も要らず、作った瞬間に生まれ、作った人の死後70年まで続きます。守るのは産業ではなく文化で、だから「先に使っていた人」を守る仕組みもありません。似ているようで考え方が反対を向く場面が多いので、産業財産権と並べながら読むと頭に入りやすくなります。
簡単にいうと
ざっくりいうと、著作権法が守るのは「思想や感情を表現したもの」です。アイディアそのものや、ただのデータは守りません。
守られる範囲(著作権法第6条)
著作権法が守るのは、日本国民が創作した著作物、最初に日本国内で発行された著作物、そして条約によって日本が守る義務を負う著作物です。
目的(著作権法第1条)
著作物、実演、レコード、放送、有線放送について、著作者の権利とこれに隣接する権利を定め、こうした文化的な所産が公正に使われることに気を配りつつ著作者などの権利を守り、文化の発展に役立てる。これが目的です。産業財産権が「産業の発達」を目指すのに対し、著作権法だけが「文化の発展」を掲げています。ここが出発点の違いです。
著作物とは(著作権法第2条1項1号)
著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます。4つに割ると、それぞれ何が外れるのかが見えてきます。
1. 思想または感情を…株価の推移や財務諸表のような、ただのデータは外れます
2. 創作的に…模倣や、単なる歴史の事実は創作されていないので外れます
3. 表現したものであって…アイディアは表現の後ろにあるものなので外れます(アイディアは特許や実用新案の側で扱います)
4. 文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの…農作物や工業製品は外れます
ここでいう工業製品とは、電化製品や自動車などを指します。絵画や彫刻のような鑑賞のための美術作品は「美術の著作物」として守られますし、鑑賞用でない実用品であっても、美しさを狙った創作性のある「工芸品」であれば「美術の著作物」になり得ます。
著作物として挙げられているもの(著作権法第10条1項1号〜9号)
1. 言語
具体例
小学生が描いた絵でも、創作性があれば著作物であり、その小学生が著作者になります。芸術としての値打ちも、売れるかどうかも関係ありません。いっぽう会社の株価をそのまま並べた表は、思想や感情を表現したものではないので著作物になりません。上手か下手かではなく、そこに表現があるかどうかで決まります。

著作権法
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、作った人が著作者です。ただし会社の仕事として作ったものは、はじめから会社が著作者になることがあります。ここが特許と逆を向く場面です。
二次的著作物(著作権法第2条1項11号、11条)
二次的著作物とは、もとの著作物(一次的著作物)を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などして新しく創作した著作物のことです。外国の小説を日本語に訳したもの、小説を映画にしたもの、既にある曲を編曲したものなどが入ります。
共同著作物(著作権法第2条1項12号)
2人以上が共同で創作した著作物のうち、それぞれの寄与を切り分けて別々に使えないものをいいます。2人以上で作っても、誰がどこを担当したかがはっきり分かるものは共同著作物になりません。
簡単にいうと
ざっくりいうと、著作権は「気持ちを守る権利」と「お金を守る権利」の2階建てです。前のほうは譲れず、後ろのほうは譲れます。
著作権は「著作者の権利」と「著作隣接権」に分かれ、著作者の権利はさらに「著作者人格権」と「著作財産権」(狭い意味での著作権)に分かれます。
著作者人格権(著作権法第18条〜20条)
著作者本人にしか結びつかない、人としての利益を守る権利です。人格に貼りついているものなので、譲ることも相続することもできません(第59条)。3つあります。
1. 公表権…著作物を世に出すかどうか、出すならいつ、どうやって出すかを決める権利
2. 氏名表示権…著作物に著作者名を出すかどうか、出すならどう名乗るか(本名、ペンネームなど)を決める権利
3. 同一性保持権…著作者の意に反して、中身や題名を勝手に変えられたり切り取られたりしない権利
簡単にいうと
ざっくりいうと、作った人ではないけれど、作品を世の中へ届ける役目を担った人たちの権利です。歌手、レコード会社、放送局の3つに有線放送を加えた4つだけです。
著作隣接権とは
実演家(俳優、歌手、演出家など)、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に認められた権利です。この人たちは著作物を創作したわけではありませんが、著作物を世の中へ届けるという大切な役目を担っています。そこで著作権に隣り合うものとして守られています。
認められるのは4種類だけ
1. 実演家…著作物を演じる歌手や俳優など
2. レコード製作者…音にかかる著作物を最初に固定(録音)した者
3. 放送事業者…著作物を受信者の手元まで無線で同時に送る事業者
4. 有線放送事業者…著作物を受信者の手元まで有線で同時に送る事業者
簡単にいうと
ざっくりいうと、著作権は作った瞬間に生まれます。登録はありますが、権利を生むためのものではなく、二重に譲られたときに備えるためのものです。
無方式主義(著作権法第17条2項)
著作権が生まれるのに、産業財産権のような出願も登録もいっさい要りません。創作したその瞬間に、著作者に著作者人格権と著作権が生まれます。文化の担い手に手続きの負担を課さない、という考え方です。
著作権の登録(著作権法第75条〜78条)
著作権法にも登録の仕組みはあります。ただしこれは権利を生むためのものではなく、著作権が二重に譲られたときに第三者へ主張するための手立てなどとして働きます。
簡単にいうと
ざっくりいうと、無断で使っても侵害にならない場面が法律に並べられています。企業活動で使えばほぼ侵害になる、と覚えておくと判断が速くなります。
著作権者は原則として「無断で○○されない権利」をもちますが、例外として権利が制限される場面があります。主なものを並べます。
1. 私的使用…私的に使うための複製
2. 教育…教育機関での複製や公衆送信、遠隔合同授業(オンライン授業)、検定教科書への掲載など
3. 図書館・美術館・博物館など…公立図書館などでの複製
4. 福祉…点訳(点字に訳すこと)のための複製など
5. 報道…時事の事件を報道するための利用
6. 立法・司法・行政…内部で使うための複製
7. 非営利かつ無料の場合
簡単にいうと
ざっくりいうと、著作財産権は売れますし貸せます。ただし「全部譲渡する」と書くだけでは、二次的著作物に関する権利が相手に残ってしまう、という落とし穴があります。
著作権(著作財産権)は財産権なので、産業財産権と同じように移転(譲渡)、ライセンス、質権の設定ができます(著作者人格権はできません)。
移転(著作権法第61条)
産業財産権と同じように譲れます。しかも複製権のように一部の権利(支分権)だけを譲ることもできます。著作権法は無方式主義なので、効力を生むために登録などの手続きは要りません(登録は第三者へ主張するための手立てです)。
ただし、すべての著作権を譲り受けたいときに「すべての著作権を譲渡する」と書くだけでは足りません。著作権法には、譲渡の契約で「二次的著作物の創作権(第27条)」または「二次的著作物の利用権(第28条)」が譲渡の対象としてはっきり挙げられていなければ、これらの権利は譲った側に残ったものと推定する、という定めがあるからです(第61条2項)。
ですから後日の揉め事を避けるには、「すべての著作権(第27条および第28条の権利を含む)を譲渡する」と書き込んでおく必要があります。あわせて著作者人格権は譲れないので、「譲渡人は著作者人格権を行使しない」といった一文も入れておくのが実務です。
簡単にいうと
ざっくりいうと、打てる手は産業財産権とほぼ同じですが、2つだけ違います。過失が推定されないことと、先に使っていた人を守る仕組みがないことです。
侵害にあたるもの
著作権の侵害には直接侵害、間接侵害、みなし侵害があります。みなし侵害は、直接には侵害にあたらないけれども実質は同じなので侵害とみなされる行為で、おおむね次のとおりです(第113条)。
1. 外国で作られた海賊版(権利者の許諾なく作られた複製物)を、国内で売ったり配ったりする目的で輸入すること
2. 海賊版と知りながら(悪意で)販売、配布、貸与すること、その目的で持つこと、申し出ること、繰り返し輸出すること、その目的で持つこと
3. 海賊版のコンピュータプログラムを会社のパソコンなどで業務に使うこと(使う権原を得たときに海賊版だと知っていた場合にかぎります)
4. 違法にアップロードされた著作物へのリンクを集めた、いわゆるリーチサイト
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2. 音楽の著作物…楽曲、楽曲を伴う歌詞など
3. 舞踊、無言劇の著作物…日本舞踊、バレエ、ダンス、舞踏、パントマイムの振り付けなど
4. 美術の著作物…絵画、版画、彫刻、マンガ、書、舞台装置など(茶碗や刀剣といった美術工芸品も含みます)
5. 建築の著作物…芸術性のある建築物など
6. 地図、図形の著作物…地図、学術的な図面、図表、設計図、立体模型、地球儀など
7. 映画の著作物…劇場用映画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトの映像部分などの「固定されている動く影像」
8. 写真の著作物…肖像写真、風景写真、記録写真など
9. プログラムの著作物…コンピュータプログラム、アプリケーションソフトなど。ただしプログラム言語、規約(プロトコル)、解法(アルゴリズム)はプログラムの著作物になりません
7の映画を除けば、著作物になるために形に残っている必要はありません。原稿なしの講演も、その場で歌った即興の歌も、著作物として守られます。
著作権が及ばないもの(著作権法第13条)
1. 憲法その他の法令(地方公共団体の条例や規則を含みます)
2. 国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人の告示、訓令、通達など
3. 裁判所の判決、決定、命令など
4. 1から3の翻訳物や編集物で、国や地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人が作るもの
いずれも誰もが自由に読み、使えなければ困るものばかりです。
産業財産権では、共有者が自分で実施することは自由でした。著作権は自分で使う場合でもほかの共有者全員の同意が要るので、ここが逆を向きます。
著作者(著作権法第2条1項2号)
著作物を創作する人が著作者です。創作を職業にしていなくても、創作すれば著作者になります。
著作者と著作権者は別のもの
ふつうは著作者がそのまま著作権者です。しかし著作者は著作者人格権と著作財産権の両方をもち、このうち譲渡も相続もできるのは著作財産権だけです。著作財産権を譲れば、著作者人格権は著作者のもとに残り、著作財産権は譲り受けた人のものになります。こうして著作者と著作権者が別々になります。
創作という行為は人(自然人)にしかできないので、原則として自然人しか著作者になりません。ただし一定の条件を満たせば、法人その他の使用者が著作者になります。
法人著作(職務著作)(著作権法第15条)
従業者が職務として作る著作物は、使用者の名義で公表する場合に(プログラムについては誰の名前で公表するかを問いません)、契約や勤務規則などに別段の定めがないかぎり、はじめから使用者が著作者になります。
産業財産権(商標法を除きます)では、定めがなければ発明者である従業者が特許を受ける権利をもちました。著作権法は前提が逆で、定めがなければ使用者に著作権(著作者人格権を含みます)が生まれます。ただし従業者が自分の名前で公表する場合は、その従業者が著作者になります。
なお著作権法でいう法人には「法人格をもたない社団または財団で、代表者または管理人の定めがあるもの」が含まれます(第2条6項)。任意のグループ、自治会、PTAといった団体にも職務著作の決まりが当てはまる、ということです。
具体例
システム会社の従業員が業務で書いたプログラムは、勤務規則に別段の定めがなければ、はじめから会社が著作者になります。会社が著作者人格権まで持つので、第三者に勝手に手を加えられたときは、会社が同一性保持権を根拠に差止めを請求できます。特許であれば従業者に権利が残るところなので、逆向きだと意識してください。

著作者と法人著作
試験のポイント
著作財産権(著作権法第21条〜28条)
創作した著作物を勝手に使われないようにして、経済的な利益を守る権利です。条文は「著作者は、その著作物を○○する権利を専有する」という形で並んでおり、要するに「無断で○○されない権利」の一覧です。こちらは譲ることも相続することもできます。
1. 複製権(第21条)…印刷、写真、複写、録音、録画、ハードディスクやサーバへの蓄積などによって、形のあるものとして写し取る権利。脚本などの演劇用の著作物は、上演や放送されたものを録音・録画することも複製にあたります。建築の著作物は、その図面どおりに建物を建てることも複製にあたります(図面そのものは「図形の著作物」として守られます)
2. 上演権・演奏権(第22条)…公衆に直接見せたり聞かせたりするために、演劇を上演し、音楽を演奏する権利。CDやDVDを再生することも含みます
3. 上映権(第22条の2)…映画や写真などを映写する権利。インターネットで手に入れた動画や静止画を画面に映すことも含みます
4. 公衆送信権・伝達権(第23条)…著作物を公衆に送信する権利と、送信されたものをテレビなどの受信装置で公に伝える権利。無線でも有線でも、放送、インターネット、電話やファックスまであらゆる送信の形が対象です。インターネットでは、サーバから送り出すことだけでなく、その手前の「蓄積(アップロード)」も対象になります(送信可能化権)。つまり無断でアップロードすれば、まだ誰もダウンロードしていなくても侵害です
5. 口述権(第24条)…小説などの言語の著作物を、朗読や講演によって公衆に口で直接伝える権利
6. 展示権(第25条)…美術の著作物や、まだ発行されていない写真の著作物を、その原作品によって公に展示する権利
7. 頒布権(第26条)…映画の著作物を、その複製物によって頒布(譲渡・貸与)する権利。ビデオのレンタルも入ります
8. 譲渡権(第26条の2)…映画以外の著作物について、原作品や複製物を譲り渡して公衆に提供する権利
9. 貸与権(第26条の3)…映画以外の著作物について、複製物を貸して公衆に提供する権利
10. 二次的著作物の創作権(第27条)…著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などして、新たに創作を加えて二次的著作物を作る権利。変形は絵画を写真にしたり写真を絵画にしたりすること、翻案は小説を脚本にすることなどで、いずれも中身を変えずに表現を変えることです
11. 二次的著作物の利用権(第28条)…二次的著作物のもとになった著作物の著作者(原作者)が、その二次的著作物の利用について、二次的著作物の著作者と同じ権利をもつという権利
映画だけ頒布権という別の条文が立っているのは、かつてフィルムが配給網に乗せて回されるものであり、渡したあとの行方まで押さえる必要があったからです。
具体例
小説をそのまま写せば複製権、朗読会で読み上げれば口述権、無断でウェブに上げれば公衆送信権(送信可能化権)に触れます。映画のDVDを貸し出せば頒布権、小説の本を貸し出せば貸与権と、映画かどうかで条文が分かれます。同じ「貸す」でも、中身が映画かどうかで見るべき条文が変わります。

著作者人格権と著作権

著作権の全体の体系
試験のポイント
どこまで認められるか
具体例
歌手が自分の歌を勝手に録音されるのを止められるのは、許諾権(録音権)があるからです。いっぽうCDがラジオで流れたときに使用料を求められるのは報酬請求権によるものです。止められるのか、お金を請求できるだけなのか。同じ財産権でも効き方がまるで違います。

著作隣接権
試験のポイント
保護期間(著作権法第51条ほか)
保護は著作物を「創作したとき」に始まり、原則として著作者が「生きている間と、死後70年」続きます。
具体例
小説家が2000年に書いた小説は、書いた瞬間から著作権が生まれます。その小説家が2030年に亡くなれば、2031年1月1日から数えて70年後の2100年末まで守られます。ペンネームだけで発表して本名を明かさなかった場合は、死後ではなく公表から70年という別の物差しになります。

著作権の発生・登録・保護期間
試験のポイント
8. 引用・転載…出所を明らかにすることなどが要ります
9. 美術品・写真・建築…絵画や写真の展示など
10. デジタル化やネットワーク化に伴うもの…著作物に表現された思想や感情を味わうことを目的としない利用など
11. コンピュータプログラム…複製物の所有者による複製など
12. 放送局・有線放送局…一時的な録画や録音など
このうち試験でとくに大事なものを詳しく見ます。
私的に使うための複製(著作権法第30条)
私的使用とは、個人的または家庭内、そしてそれに準じるごく限られた範囲で使うことです。ですからその範囲を超えれば、営利か非営利かを問わず、繰り返しているかどうかも問わず、制限の対象から外れます(つまり侵害になります)。
試験対策としては、企業活動が絡めば対象外と考えてよいでしょう。会議や研修会、採用や昇進の試験のために複製すれば、私的使用の範囲を超えるので侵害です。
また、違法にアップロードされたものだと知りながらダウンロードすること(違法ダウンロード)は、私的に使う目的であっても違法です(第30条1項3号・4号)。対象は音楽、映像、漫画、書籍、論文、コンピュータプログラムなど著作物全般に広がっています。
非営利かつ無料の上演・演奏・上映・口述・貸与など
学校の学芸会、市民グループの発表会、公民館での上映会のように、非営利で無料であれば侵害になりません。ただし「複製や譲渡」と「公衆送信」は、無料でも侵害になります。手元に残る形や、広く出回る形は別扱いだ、ということです。
また喫茶店に置いてあるテレビのように、受信機を使って放送や有線放送を「公に伝える」ことも侵害になりません。ただし家庭用の受信機(テレビ、ラジオなど)であることが必要で、それを超える設備を使えば対象外です(ビデオの上映やCDの演奏など)。
プログラムの複製物の所有者による複製や翻案(著作権法第47条の3)
バックアップを取ったり、修正や改良をしたりするための制限です。これは複製物の所有者が使うために必要な範囲にかぎられるので、所有者であっても複数台のパソコンで使うために複製すれば対象外、つまり侵害です。なおオリジナルやバックアップを他人に譲れば、その人はもう所有者ではないので、無断で複製できなくなります。
写り込みなど(著作権法第30条の2〜30条の4)
次の使い方は侵害になりません。
1. 付随対象著作物としての利用…写真を撮るときなどに、本来の被写体以外の著作物がたまたま写り込むことです。写真、録音、録画だけでなく、スクリーンショットやインターネットの生配信での写り込みも広く認められています
2. 許諾をもらうかどうかを検討する過程で必要な利用(許諾前の資料づくりなど)
3. 著作物に表現された思想や感情を味わうことを目的としない利用など…所在検索サービス(書籍の検索結果と一緒に一部分を表示する行為)、情報解析サービス(大量の論文を集めて学生の論文と突き合わせ、盗用がないか確かめて原典の一部を示す行為)など
美術品・写真・建築に関するもの(著作権法第45条・46条・47条)
美術品や写真のオリジナル(原作品)の所有者などが公に展示する場合や、屋外で一般の人が見やすい場所にずっと置かれている美術品や建築の著作物を利用する場合(公園の銅像や彫像を写真に撮る場合など)は侵害になりません。写り込みでなくても、公開されている美術品を主役として撮ってかまいません。
ただし、彫刻を増やして作る場合、まったく同じ建築の著作物を建てる場合、屋外で一般の人が見やすい場所にずっと置くために複製する場合、美術品について複製物を売ることだけを目的とする場合は、侵害になります。
著作者人格権の制限(著作権法第20条2項)
著作物の性質や使い方に照らしてやむを得ないと認められる場合(福祉のため、学校教育のためなど)、バグの修正のようなプログラムの改変、建築物の増築・改築・修繕・模様替えによる改変などは、同一性保持権の制限にあたり侵害になりません。
具体例
小学校の教科書に小説を載せるとき、難しい漢字をひらがなに直す行為は、学校教育の目的からしてやむを得ない改変として同一性保持権を侵しません。いっぽう会社の研修会で配るために本をコピーする行為は、私的使用の範囲を超えるので侵害です。同じ「原文に手を加える」「複製する」でも、誰のために何をしているかで結論が分かれます。

著作権の制限
試験のポイント
ライセンス(著作権法第63条)
著作権者は他人に利用を許諾できますが、産業財産権と違って専用実施権と通常実施権のような区別がありません。
著作権法ならではのものとして出版権があります。複製権をもつ者が、その著作物を文書や図画として出版する者に対して設定できる排他的な権利です。設定は複製権者(ふつうは著作権者)と出版者との契約で行います(第79条以下)。
存続期間は設定のときに決めますが、決めていなければ、設定後に最初の出版などがあった日から3年を経た日に消えます(第83条1項・2項)。
また、いわゆる電子出版についても出版権を設定できます。電子書籍をインターネットで送ることを引き受ける者に設定しておけば、ネット上に出回る海賊版に対して出版権者が差止めを求められます。
質権(著作権法第66条)
産業財産権と同じで、契約に別段の定めがないかぎり、質権を設定したあとも著作権を行使できるのは質権者ではなく著作権者です。
具体例
デザイン会社にロゴの制作を頼み、契約書に「著作権を全部譲渡する」とだけ書いたとします。このままでは、そのロゴを加工して別のバージョンを作る権利(二次的著作物の創作権)は制作会社に残っていると推定されます。「第27条および第28条の権利を含む」と書いておかなければ、あとから自社で使い回せません。一行の書き漏らしが効いてくるところです。

著作権の活用
試験のポイント
5. 視聴を制限する技術(いわゆるアクセスコントロール)を、権原なく回避すること
6. ライセンス認証を回避するための不正なシリアルコードを譲り渡したり貸したりすること、その目的で製造・輸入・所持すること、公衆に使わせること、公衆送信すること
7. 著作物などに付けられた権利管理情報(電子透かしなど)を不正に付け加えたり、取り除いたり、書き換えたりすること。不正に手を加えられていると知りながら販売や送信をする行為も含みます
8. 国内で市販されているものと同じ市販用CDなどを、輸入してはならないと知りながら(悪意で)国内販売のために輸入し、販売・配布し、そのために持つこと(国内で売り出されてから4年を経る前に販売されたものが対象です)
9. 著作者の名誉や声望を害する方法で著作物を使うこと
侵害されたときに打てる手
基本は産業財産権と同じです。民事では損害賠償請求(民法第709条)、差止請求(著作権法第112条、116条)、不当利得返還請求(民法第703条・704条)、名誉回復等の措置の請求(著作権法第115条、116条)ができます。
ここで1つめの違いです。損害額の推定はあります(第114条)が、過失の推定はありません。著作権は登録なしに生まれるので、使う側があらかじめ調べようにも調べようがないからです。
また一定の場合には刑事告訴もできます(第119条〜124条)。著作権の侵害罪は原則として親告罪ですが、違法性のとくに高い行為は非親告罪になります。特許権の侵害罪が非親告罪なのとちょうど逆です。
警告を受けたとき
おおむね産業財産権と同じですが、ここが2つめの違いです。著作権法に先使用という考え方はありません。
産業財産権が排他的で独占的な権利であるのに対し、著作権は相対的に独占的な権利だからです。同じ著作物を別々の人がそれぞれ作り上げたとしても、そこに模倣も盗作もなければ、作った順番に関わりなくそれぞれに同じ著作権が生まれます。ですから侵害にもなりません。先に作った人が後の人を締め出す構図にならないので、先使用を守る仕組みも要らない、という筋です。
具体例
同じ景色を同じ構図で撮った写真が2枚あっても、互いに真似をしていなければ、両方の撮影者にそれぞれ著作権が生まれ、どちらも侵害になりません。特許なら先に出願した人だけが権利を得るところです。同じ「知的財産」でも、独占のさせ方がまるで違います。

著作権の侵害と打てる手
試験のポイント
プレミアムプラン
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