独占禁止法
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プレミアムで見る独占禁止法は、正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、競争を保つための政策を担う法律として経済法制の真ん中に置かれています。規制の柱は3つ。市場を独り占めする私的独占、横並びで価格を決める不当な取引制限、そして取引相手に不当な条件を押しつける不公正な取引方法です。違反すれば、公正取引委員会から排除措置命令や課徴金納付命令が飛んできます。
簡単にいうと
ざっくりいうと、独り占め、横並び、押しつけの3つを止める法律です。取り締まるのは公正取引委員会です。
独占禁止法は、企業の事業活動のうち、独占や不正・不公正な取引などを取り締まる法律です。
目的(独占禁止法第1条)
競争を保つための政策を担う法律であり、経済政策の立法の土台として、経済法制の真ん中に位置づけられています。「公正かつ自由な競争を促す」ことによって、「一般消費者の利益」と「国民経済の民主的な発達」を図ることが目的です。守るのは個々の事業者ではなく、競争という仕組みそのものだ、と押さえてください。
規制の柱と公正取引委員会
独占禁止法が取り締まるのは「私的独占および不当な取引制限」と「不公正な取引方法」です。
公正取引委員会は、私的独占と不当な取引制限の禁止(第3条)に違反する行為があれば、その行為の差止めや事業の一部の譲渡など、違反を取り除くために必要な措置を命じられます。不公正な取引方法の禁止(第19条)に違反する行為があるときも、契約条項の削除など必要な措置を命じられます(排除措置命令)。そこまで至らない場合でも、警告、注意、要望が行われることがあります。
なお独占禁止法違反による事業者の損害賠償責任は無過失責任です。
私的独占(第2条5項)
ほかの事業者の事業活動を排除したり支配したりすることで、ある取引分野の競争を実質的に狭めることです。2つの型があります。
具体例
同じ業界の3社が集まって「来月から一斉に値上げしよう」と申し合わせれば、価格カルテルであり不当な取引制限です。有力な企業が競合に役員を送り込んで事業活動を縛るのであれば支配型私的独占になります。どちらも公正取引委員会の排除措置命令の対象です。

独占禁止法の3つの規制の柱
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、市場を独り占めするほどではないけれど、公正な競争を邪魔する行為の一覧です。「正当な理由なしに」と書かれているものは原則として違法です。
公正な競争を妨げるおそれのあるもののうち、公正取引委員会が指定したものなどが不公正な取引方法です(第2条9項および公正取引委員会の告示)。指定には、どの業種にも当てはまる一般指定と、大規模小売業など特定の業種にだけ当てはまる特殊指定があります。
ここで条文の言葉づかいに注目してください。「正当な理由なしに」と書かれている類型は原則として違法です。これに対し「不当に」「正常な商慣習に照らして不当」と書かれている類型は、個別の事情を見て判断されます。言葉の強さが、そのまま違法性の強さを表しています。
次の5つは、原則として課徴金納付命令の対象です。
共同の取引拒絶(ボイコット)(第2条9項1号)
正当な理由なしに、競争関係にある事業者と共同して、ある事業者への供給を拒んだり、供給する商品や役務の数量や中身を絞ったりすること(
簡単にいうと
ざっくりいうと、違反にはお金のペナルティがかかりますが、自分から白状すれば減らしてもらえます。1番乗りなら全額免除です。
課徴金納付命令
公正取引委員会は、不当な取引制限(カルテル、入札談合)、私的独占、そして一定の不公正な取引方法(共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用)を行った事業者に対して、課徴金を国庫へ納めるよう命じられます(課徴金納付命令)。
課徴金減免制度
自分が関わったカルテルや入札談合について、その中身を公正取引委員会へ自分から報告すれば、課徴金が減らされたり免除されたりする仕組みです。
減免の率は、申請した順位に応じた率に、事件の解明にどれだけ役立ったかに応じた上乗せ(調査協力減算制度)を加えて決まります。事業者自身に申し出させ、さらに資料を出させることで、見つけにくいカルテルや談合を表に出し、真相を効率よく突き止めて、競争の秩序を早く取り戻すことが狙いです。談合は内側からしか崩せない、という割り切りに立っています。
申請は、順位を確実に決められるよう電子メールで提出すると減免規則に定められており、
簡単にいうと
ざっくりいうと、立場の強い発注側が下請けをいじめないようにする法律です。独占禁止法の優越的地位の濫用を、もっと手早く取り締まるために作られました。
どんな法律か
下請代金支払遅延等防止法、通称下請法です。独占禁止法の優越的地位の濫用にあたる行為のうち、発注者と受注者の間で起きるものを、取引の種類と資本金で機械的に線を引いて、すばやく取り締まれるようにした特別法です。優越的地位の濫用は「正常な商慣習に照らして不当に」という評価を一件ずつ行わなければなりませんが、下請法は数字で当てはめるので判断が速い、という違いがあります。運用するのは公正取引委員会と中小企業庁です。
なお2026年1月1日から、法律の名前と呼び名が変わりました(令和7年法律第41号)。正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」、略して中小受託取引適正化法です。あわせて下請事業者は中小受託事業者に、親事業者は委託事業者に言い換えられました。中身の考え方は変わっていません。過去問は古い呼び名で出題されているので、どちらで書かれていても同じものだと分かるようにしておきましょう。
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ほかの事業者と手を組んで価格や数量などについて取り決め、互いに縛り合ったり共同で実行したりすることで、ある取引分野の競争を実質的に狭めることです。
あたるのはカルテルと入札談合です。入札談合は、国や地方公共団体などの公共工事や物品の調達の入札にあたって、参加する事業者が前もって相談し、誰がいくらで受注するかを決めてしまう行為を指します。
カルテルは、事業者や業界団体の構成事業者が連絡を取り合い、本来は各社が自分で決めるべき価格や販売・生産の数量などを共同で取り決める行為です。
メーカーが共同で安売り業者との取引を断つのが直接的取引拒絶、小売業者が共同で卸売業者に「量販店とは取引するな」と求めるのが間接的取引拒絶にあたります。
差別対価(第2条9項2号)
不当に、地域や相手によって違う対価で取引することなどです。
不当廉売(第2条9項3号)
正当な理由なしに、供給しなければ生じない費用を下回る価格で売り続け、ほかの事業者の事業活動を困難にするおそれがあることです。
再販売価格の拘束(第2条9項4号)
正当な理由なしに、取引の相手に自社商品の販売価格を決めさせ、それを守らせることなどです。メーカーが小売店に「この値段で売れ」と指示して従わせる行為が典型です。
ここで言葉を整理しておきます。メーカーが流通の各段階で設定する価格としての卸売価格や小売価格を建値制といい、メーカーが参考として小売店に示す価格をメーカー希望小売価格といいます。参考として示すだけなら再販売価格の拘束にはなりませんが、守らせた瞬間に違法になります。示すことと守らせることの間に線が引かれています。
適用除外…著作物(書籍、雑誌、新聞、レコード盤、音楽用テープ、音楽用CD)の再販売価格を維持する行為は、独占禁止法の適用から外れています(電子書籍は対象外です)。
優越的地位の濫用(第2条9項5号)
取引上の強い立場を使って、正常な商慣習に照らして不当に相手の事業活動を縛ったり、相手の会社の役員人事に口を出したりするなど、相手に不利益となる行為をすることです。具体例を挙げます。
具体例
大手スーパーが納入業者に対して、店舗の改装費として協賛金を出すよう求めれば優越的地位の濫用にあたります。またメーカーが「定価を守らない店には出荷しない」と通告すれば再販売価格の拘束です。ただし本や新聞、音楽CDは適用から外れているので、定価での販売を求めても違法になりません。

独占禁止法

再販売価格の拘束
試験のポイント
なお対象になるのは不当な取引制限(カルテル、入札談合)だけです。優越的地位の濫用は入りません。
適用除外(第21条〜23条)
形の上では違反のように見えても、独占禁止法の違反にならない行為が3つあります。
1. 知的財産権(著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権)の正当な権利行使とみられる行為
2. 中小企業等協同組合など組合の行為
3. 著作物の再販売価格を維持する行為(電子書籍は対象外)
具体例
談合に加わっていた会社が、調査が始まる前に真っ先に公正取引委員会へ電子メールで報告すれば、課徴金は全額免除されます。2番目なら20%、3番目から5番目なら10%という具合に下がっていき、協力の度合いに応じてさらに最大40%が上乗せされます。早い者勝ちの仕組みにすることで、仲間割れを起こさせる狙いです。

課徴金減免制度と適用除外
試験のポイント
対象になるのは製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の4つです。そのうえで、当事者の資本金で線を引きます。
委託側に課される4つの義務
1. 書面の交付…発注のとき、ただちに取引条件を書いた書面を渡す(第3条)
2. 書類の作成と保存…給付の内容や代金などを記録し、2年間保存する(第5条)
3. 支払期日を定める…給付を受領した日から60日以内の、できるかぎり短い期間内に定める(第2条の2)
4. 遅延利息の支払い…支払いが遅れたら、受領から60日を過ぎた日から年14.6%(第4条の2)
委託側の11の禁止行為(第4条)
受領拒否、支払遅延、代金の減額、返品、買いたたき、購入・利用の強制、報復措置、有償支給原材料等の対価の早期決済、割引困難な手形の交付、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更ややり直し。
合意していても逃げられない
ここが勘どころです。禁止行為は、当事者が合意していても許されません。「60日を超えて支払う」と両者で取り決めていても下請法違反になりますし、受注側が納得して値下げを受け入れていても買いたたきは買いたたきです。立場の強い側に押し切られた合意を「合意だから」と認めてしまえば、この法律を置いた意味がなくなるからです。
買いたたき
通常支払われる対価に比べて著しく低い代金を、不当に定めることをいいます。近年とくに問われるのが価格転嫁の場面で、労務費や原材料費、エネルギー費の上昇を理由に受注側が値上げを求めたのに、転嫁しない理由を書面や電子メールなどで説明しないまま、従来どおりの価格に据え置く行為は、買いたたきにあたるおそれがあります。交渉のテーブルに着いたかどうかではなく、理由を書いて返したかどうかが見られます。
具体例
部品メーカーが大手取引先から発注を受け、納品したのに支払いが遅れているとします。「当月納入分を翌月納入分として扱ってほしい」と頼まれて応じていた場合でも、実際に受領した日から数えて60日を超えていれば下請法違反です。両者が合意していたことは言い訳になりません。また、原材料費の上昇を説明して値上げを求めたのに、理由の説明もないまま価格が据え置かれたなら、買いたたきにあたるおそれがあります。

下請法のしくみ
試験のポイント
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