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不法行為

債権・契約

不法行為とは、故意または過失によって他人の権利を侵害し損害を与える行為です。債務不履行とともに損害賠償請求権の重要な発生原因であり、両者の要件の違いを正確に理解することが試験対策のカギです。

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不法行為の成立要件

簡単にいうと

簡単にいうと、不法行為が成立するには①故意・過失があること、②因果関係があること、③違法な行為であること、④相手に責任能力があること、の4つの条件がすべて揃う必要があります。

不法行為が成立するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

❶ 加害行為が加害者の故意または過失に基づくものであること

故意とは『わざと』侵害すること、過失とは『不注意によって』侵害することです。

❷ 損害の発生と加害行為との間に因果関係があること

損害の発生と加害行為の間に相当因果関係があることが求められます。不法行為に基づく損害賠償に関する明文はないが、債務不履行の場合の民法416条が類推適用されます(判例・通説)。

❸ 加害行為が違法なものであること

他人の権利または法律上保護される利益を違法に侵害することが要件です。具体的には生命・身体・健康、所有権など各種の財産権、さらには名誉・氏名・肖像などの人格的利益も含まれます。なお、正当防衛や緊急避難には違法性がないため、不法行為は成立しません。

❹ 加害者に責任能力があること

おおむね12歳程度(小学校卒業程度)の精神能力とされています。

具体例

AさんがBさんの車に追突して壊してしまった場合、Aの不注意(過失)による行為で、Bの財産(車)に損害が生じ、追突と損害の間に因果関係があり、Aには責任能力がある──4要件を満たすため不法行為が成立し、BはAに損害賠償を請求できます。

試験のポイント

  • ・不法行為の4つの成立要件を正確に覚えましょう
  • ・正当防衛と緊急避難は不法行為にならない点を押さえましょう
  • ・不法行為の立証責任は被害者側(債権者)にある点が債務不履行との大きな違いです
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債務不履行と不法行為の比較

簡単にいうと

簡単にいうと、債務不履行と不法行為は損害賠償請求権が発生する2大ルートですが、立証責任の負担や時効期間が異なります。この違いが試験の定番テーマです。

債務不履行と不法行為の主な違いは以下のとおりです。

立証責任

  • 債務不履行:債務者が『自分に帰責事由がないこと』を立証する(債務者側に立証責任
  • 不法行為:被害者が『加害者に故意・過失があること』を立証する(被害者側に立証責任

消滅時効

  • 債務不履行:権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年
  • 不法行為:損害と加害者を知った時から3年(生命・身体は5年)、不法行為時から20年

過失相殺

  • 債務不履行:裁判所が任意に過失相殺できる
  • 不法行為:裁判所が過失相殺をしなければならない(被害者に過失がある場合)

損害賠償の範囲

いずれも相当因果関係のある損害が対象です。

具体例

ある建設業者に建物の建築を依頼したが欠陥があった場合、施主は債務不履行に基づく損害賠償(契約関係あり)も、不法行為に基づく損害賠償(違法な加害行為)も、両方の根拠で請求できるケースがあります(請求権の競合)。どちらの根拠を選ぶかによって、立証責任や時効期間が変わってきます。

比較項目
債務不履行
不法行為
立証責任
債務者が帰責事由の不存在を立証
被害者が故意・過失を立証
時効(知った時から)
5年
3年(生命・身体は5年)
時効(客観的起算点)
10年
20年
過失相殺
裁判所の任意
裁判所の義務

試験のポイント

  • R6-24(不法行為)、R4-18(債務不履行と不法行為の比較)で出題実績あり
  • ・立証責任の違い(債務不履行=債務者が帰責事由の不存在を立証、不法行為=被害者が故意・過失を立証)は超頻出です
  • ・時効の違い、過失相殺の任意/必須の違いも重要です
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特殊の不法行為

簡単にいうと

簡単にいうと、従業員が仕事中に他人に損害を与えた場合に会社が責任を負う『使用者責任』や、複数人が共同で損害を与えた場合の『共同不法行為』があります。

❶ 使用者責任(民法第715条)

被用者(従業員など)を使用する者(使用者)は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。たとえばX社に勤務するAが、勤務中に社用車を運転し、不注意によって歩行者Bにけがを負わせた場合、直接の加害者であるAに不法行為が成立するほか、X社も使用者責任を負う場合があります。

❷ 共同不法行為(民法第719条)

数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負います。

具体例

宅配便の配達員が配達中に自転車で歩行者にぶつけてけがをさせた場合、配達員本人だけでなく、雇用している運送会社にも使用者責任が生じます。被害者は配達員にも運送会社にも損害賠償を請求できます。

試験のポイント

  • ・使用者責任は『事業の執行について』という要件がポイントです
  • ・共同不法行為では各加害者が連帯して責任を負う点を覚えましょう
  • ・テキストの不法行為セクションにはR6-24の出題マーカーあり

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