債権・契約
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プレミアムで見る契約でつながっていない相手から損害を受けたとき、頼りになるのが不法行為です。交通事故のように、契約責任では手の届かない場面を受け止める仕組みだと考えてください。債務不履行と並べて、要件、立証の負担、消滅時効、過失相殺の4点がどう食い違うかを押さえることが、そのまま試験対策になります。
簡単にいうと
ざっくりいうと、他人に損害を与えたときの責任です。成り立つには5つがそろう必要があります。
不法行為とは、故意または過失によって他人の権利や法律上守られるべき利益を侵し、それによって損害を与えることをいいます。これが成り立つと、加害者は被害者が被った損害を賠償する義務を負います(民法第709条)。
わき見運転で歩行者をはねてけがをさせれば、加害者は被害者の損害を賠償することになります。ここには契約など何もありませんが、それでも義務が生まれます。
契約から生まれた損害であれば、債務不履行の責任で処理できます。しかし交通事故のように契約を介さずに生まれた損害には、その道が使えません。つまり不法行為は、契約責任では救えない場面を受け止める仕組みとして置かれています。
成り立つには、次の5つがそろう必要があります。
1. 被害者に損害が生まれていること
対象になる損害は、債務不履行の場合と同じく、財産的損害(積極的損害と消極的損害)と精神的損害を含みます(民法第710条)。
2. 加害行為が加害者の故意または過失によるものであること
故意はわざと侵すこと、過失は不注意で侵すことです。近代私法の三大原則のうち過失責任の原則が、ここに顔を出しています。
3. 損害と加害行為の間に因果関係があること
相当因果関係があることが必要です。不法行為について因果関係の条文は置かれていませんが、債務不履行についての民法第416条が類推適用されると考えられています(判例・通説)。ですから不法行為でも、相当因果関係に立つ損害だけが賠償の対象になります。
4. 加害行為が違法であること
具体例
わき見運転で歩行者にけがをさせれば、治療費という積極的損害、働けなかった分の収入という消極的損害、そして苦痛に対する慰謝料という精神的損害のすべてが賠償の対象になります。いっぽう、襲いかかってきた相手をかわすためにやむなく他人の物を壊した場合は緊急避難にあたり、違法性がないので不法行為になりません。

不法行為の成立要件と特殊の不法行為
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、契約があるかないかが出発点で、そこから立証の負担も時効も過失相殺の扱いも枝分かれします。
債務不履行と不法行為は、損害賠償請求権が生まれる2つの大きな入口です。順に並べて違いを見ます。
当事者のつながり
心の面の要件
外形の面の要件
簡単にいうと
ざっくりいうと、本人以外にも責任が及ぶ場面です。会社が従業員の不始末を背負う使用者責任がその代表です。
使用者責任(民法第715条)
ある事業のために他人(被用者)を使っている者(使用者)は、その被用者が事業の執行について第三者に与えた損害を賠償する責任を負います。
X社に勤めるAが、勤務中に社用車を運転していて不注意から歩行者Bにけがをさせたとします。直接の加害者であるAに不法行為が成り立つのはもちろんですが、X社も使用者責任を負うことがあります。
「事業の執行について」という条件が肝心です。仕事から離れた私用の場面であれば、使用者まで責任が及ぶわけではありません。
共同不法行為(民法第719条)
数人が力を合わせるような形で他人に損害を与えたときは、それぞれが連帯して賠償する責任を負います。誰がどれだけ寄与したかを被害者に切り分けさせるのは酷だからです。
具体例
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5. 加害者に責任能力があること
おおむね12歳程度、小学校を卒業するくらいの判断力があることとされています。
誰が立証するか
契約でつながっている相手には説明責任を負わせ、つながりのない相手には無理を言わない、という振り分けです。実務ではこの向きの違いが大きく効きます。
過失相殺の効き方
いつから履行遅滞になるか
履行の期限を定めなかったときは、債務者は履行を請求された時から遅滞の責任を負うのが原則です(民法第412条3項)。
ところが不法行為による損害賠償債務は例外で、不法行為の要件がそろった時に生まれ、その時点で当然に遅滞に陥るとされています(判例)。遅滞になれば遅延損害金が付くので、被害者を厚く守るための扱いです。
具体例
交通事故の賠償では、被害者の側が「加害者に過失があった」と証明しなければなりません。ところが納品遅れの賠償では、売主の側が「自分に落ち度はなかった」と証明することになります。立証の向きがちょうど逆になるので、同じ賠償でも戦い方がまるで変わります。

債務不履行と不法行為の比較
試験のポイント
従業員が配送中に起こした事故では、被害者は運転していた従業員にも、雇っていた会社にも賠償を求められます。人を使って利益を上げている以上、そこから生じる危険も引き受けなさい、という考え方が会社の責任を支えています。

特殊の不法行為
試験のポイント
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