債権・契約
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プレミアムで見る損害賠償は、他人に与えた損害をお金で埋め合わせる仕組みです。生まれ方は債務不履行と不法行為の2つで、必要な要件も消滅時効の数字も違います。あわせて、相手に財産が残っていなければ取りようがないので、その財産を守るための2つの道具も見ておきます。数字が多いところなので、表と行き来しながら覚えるのが確実です。
簡単にいうと
ざっくりいうと、「そちらが出さないならこちらも出しません」と言える権利です。これを使っている間は履行遅滞になりません。
双務契約では、当事者の双方に向き合う債務が生まれます。この2つの債務は互いに結びついている(牽連している)ので、特別な取り決めがないかぎり、同時に果たすべきものとされます。
売買でいえば、代金を払うことと商品を引き渡すことは引換えで行うのが筋です。ですから、代金が支払われるまで商品の引渡しを拒んでも、それは履行遅滞にあたりません。この拒む力を同時履行の抗弁権といいます。
遅れているのに責任を問われないという点が肝心で、これがあるからこそ、先に渡して取りっぱぐれるという事態を避けられます。
具体例
前払いの取り決めもないのに買主が「先に商品を送れ」と迫ってきた場合、売主は「代金と引換えでなければ渡しません」と言い返せます。この間は納品が止まっていても履行遅滞にはならず、遅延損害金を請求されることもありません。

同時履行の抗弁権
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、埋め合わせてもらえるのは「その不履行からふつう生じる範囲」までです。時効の数字は不法行為と違うので、並べて覚えます。
どんなときに請求できるか
債務者の落ち度(故意・過失)による債務不履行で損害が出たとき、債権者は損害賠償を求められます。落ち度があったかどうかは、契約の内容と取引上の社会通念に照らして判断されます。
請求できるのは、次の3つがそろったときです。
1. 債務不履行があったこと
2. 損害が生まれたこと
3. その両者の間に因果関係があること
ここでいう損害とは、債務不履行の結果として債権者が被った不利益や損失をお金に換算し、すべて足し合わせたものを指します。
どこまで賠償してもらえるか(民法第416条)
簡単にいうと
ざっくりいうと、債務者に財産を減らさせないための2つの道具です。代位権は裁判を通さずに使えますが、取消権は必ず裁判所を通します。
相手に財産が残っていなければ、債権があっても回収のしようがありません。そこで民法は、債務者の財産を守るための道具を2つ用意しています。
債権者代位権(民法第423条〜423条の7)
自分の債権を守るために必要があるとき、債権者が、債務者のもつ権利を債務者に代わって使える権利です(民法第423条1項本文)。
債務超過に陥った請負業者が、注文者からの請負代金を取り立てずに放っているとします。その請負業者に融資している銀行は、請負業者に代わって、注文者に対する代金債権を行使できます。放っておけば自分の融資も焦げ付くからです。
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相当因果関係に立つものであれば、次のいずれも含まれます。
お金で払うのが原則、そして過失相殺
債務不履行にかぎらず、損害賠償はお金で行うのが原則です(民法第417条)。
また損害が生まれたことについて債権者の側にも落ち度があるときは、裁判所はその割合に応じて賠償額を減らせます(過失相殺。民法第418条)。
債権の消滅時効(民法第166条1項・2項、167条)
債権は、次のどちらかを過ぎると時効で消えます。早く来たほうで決まります。
なお「行使できる時」がいつを指すかは、債権の形によって変わります。
具体例
取引先の納品遅れで工場が止まったとします。止まっている間の余計な費用が積極的損害、その間につくれなかった分の利益が消極的損害で、どちらも賠償の対象です。ただし、こちらの発注指示にも誤りがあったのであれば、その分は過失相殺で差し引かれます。

債務不履行と不法行為の比較
試験のポイント
詐害行為取消権(債権者取消権)(民法第424条〜426条)
債務者が、債権者を害すると分かったうえで行った行為(詐害行為)について、債権者がその取消しを裁判所に請求できる権利です(民法第424条1項)。
債務超過の請負業者が自分の建物を配偶者にただで譲り、登記まで移してしまったとします。融資している銀行は、その贈与の取消しと登記の抹消を裁判所に求められます。
用語も押さえておきましょう。詐害行為で利益を受けた者を受益者、その受益者からさらに利益を受けた者を転得者といいます。
いつまでに訴えるか(民法第426条)
次のどちらかを過ぎると訴えを起こせません。
なお詐害行為取消権は、必ず裁判所に請求しなければ使えません。ここが代位権との大きな違いです。
転得者に請求できる場合(民法第424条の5)
受益者に請求できる場合で、その受益者から財産が転々としているときは、次のときにかぎって転得者にも請求できます。
1. 受益者から直接に譲り受けた転得者が、譲り受けたときに、債務者の行為が債権者を害するものだと知っていたとき(悪意)
2. 他の転得者から譲り受けた場合は、その転得者と、それより前のすべての転得者が、それぞれ譲り受けたときに悪意であったとき
言い換えれば、途中に1人でも事情を知らない人が挟まると、その先には届きません。
また債権者は、行為の取消しとあわせて、出ていった財産を返すよう(返すのが難しければその価額を払うよう)受益者や転得者に請求できます(民法第424条の6)。
裁判所を使う手続きには種類がある
相手が払わないとき、いきなり本格的な裁判を起こすほかにも道があります。請求する額や急ぎ具合に合わせて選びます。
通常訴訟
原則どおりの裁判です。公開の法廷で行われます。なお口頭弁論が終結したあとでも、裁判所は和解を勧めることができます(民事訴訟法第89条)。判決を言い渡す直前まで、話し合いで終わらせる道は残っている、ということです。
少額訴訟(民事訴訟法第368条〜)
60万円以下の金銭の支払いを求める場合にかぎって使える、簡易裁判所の手続きです。原則として1回の期日で審理を終えて、その日のうちに判決が出ます。同じ簡易裁判所に申し立てられるのは年10回までです。なお、簡易裁判所が扱える通常訴訟の上限は140万円で、こちらとは数字が違います。
民事調停
裁判官と調停委員が間に入って話し合いで解決する手続きです。公開の法廷では行われません。当事者が調停案を受け入れなければ不成立に終わりますが、合意ができて調書に書かれると、確定判決と同じ効力をもちます。
支払督促
書類審査だけで、裁判所書記官が相手に支払いを命じる手続きです。相手が2週間以内に異議を出すと通常訴訟に移ります。
知的財産にからむ訴訟の管轄
特許権・実用新案権・回路配置利用権・プログラムの著作物についての訴えは、東京地方裁判所と大阪地方裁判所の専属管轄です(民事訴訟法第6条1項)。東日本なら東京、西日本なら大阪、という分け方で、どちらか一方だけではありません。専門的な判断が要るので、扱う裁判所を絞っているわけです。控訴審はすべて知的財産高等裁判所が扱います。意匠権・商標権・著作権(プログラムを除く)については専属管轄ではなく、通常の管轄に加えて東京・大阪にも訴えられる、という形になっています。
具体例
債務者が建物を配偶者にただで譲って財産を減らしたなら、債権者は裁判所にその贈与の取消しを求められます。配偶者がさらに第三者へ売っていた場合は、その第三者が事情を知っていたときにかぎって取消しが届きます。間に事情を知らない人が1人でも入れば、そこで止まります。

詐害行為取消権のしくみ

債権者代位権のしくみ
試験のポイント
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