産業財産権
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プレミアムで見る意匠法が守るのはデザインです。技術の中身ではなく、目で見たときの姿そのものに権利を与えます。特許法とよく似た骨組みをもちながら、要件の言葉が少しずつ入れ替わり(産業上が工業上に、進歩性が創作性に)、効力は似たデザインにまで広がり、期間は4法でいちばん長い25年になります。この「似ているのに違う」ところが、そのまま出題されます。
簡単にいうと
ざっくりいうと、意匠法は見た目の美しさを守る法律です。物のかたちだけでなく、建物や画面のデザインまで入ります。
目的(意匠法第1条)
意匠を守り、また使えるようにすることで意匠の創作を励まし、産業の発達に役立てる。これが目的です。「創作を励ます」という言い回しが入る点で、特許法・実用新案法と同じ並びに置かれています。
意匠とは(意匠法第2条1項)
意匠とは、次のもののうち目を通して美しさを感じさせるものをいいます。
1. 物品(その部分を含みます)の形状、模様、色彩、またはこれらの結合(形状等)
2. 建築物(その部分を含みます)の形状等
3. 画像(機器の操作に使われるもの、または機器が機能を発揮した結果として表示されるものにかぎり、その部分を含みます)
かみ砕けば、物品・建築物(外観も内装も)・画像のデザインであって、見て美しいものということです。ここでいう美しさに、美術品のような高さは求められません。何かしら美しさを感じさせれば足ります。
特許法の「発明」、実用新案法の「考案」にあたるものを、意匠法では意匠の創作と呼びます。創作を完成させた人が創作者で、その人に意匠登録を受ける権利が生まれます(第3条)。
画像のデザイン
かつては物品と結びついていることが求められたので、情報家電の画面デザインは初期画面や部分意匠として守られる程度でした。いまの意匠法は、画像が物品に記録されているか表示されているかを問わず守ります。クラウドに置かれてネットワーク越しに届く画像も、道路に投影された画像も入ります。
ただし対象になるのは、機器の操作に使う画像(操作画像)か、機器が機能を発揮した結果として映る画像(表示画像)です。壁紙のような飾りの画像や、映画やゲームのようなコンテンツの画像は、機器の機能と関わらないので守られません。
具体例
幼稚園の教室を、机、いす、壁面収納、床のデザインまでひとつの世界観でまとめたとします。個々の家具だけでなく、この教室のしつらえ全体を「内装の意匠」として一件の意匠登録にできます。いっぽうスマートフォンの壁紙は機器の機能と関わらないので、意匠登録の対象になりません。

意匠法
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、要件の並びは特許と似ていますが、言葉が3か所入れ替わります。産業上が工業上に、進歩性が創作性に、そして「類似」という考え方が新しく出てきます。
工業上の利用可能性があること(意匠法第3条1項柱書)
特許や実用新案の「産業上」とは違い、意匠では工業上の利用可能性が求められます。中身は「同じものを複数つくれること」です。
ですから自然物を主な要素として同じものを複数つくれないものや、純粋美術に属する著作物は、この要件を満たさず登録を受けられません。
新規性があること(意匠法第3条1項)
出願前に国内でも国外でも次にあたるものは、原則として登録されません。
簡単にいうと
ざっくりいうと、意匠は図面を見れば分かるので、明細書も請求の範囲も要りません。そして出願公開も審査請求もなく、出したものは全部審査されます。
出願(意匠法第6条)
意匠登録を受ける権利のある人(創作者またはその承継人)が、次を特許庁長官に出します。
1. 願書(出願人・創作者の氏名や名称、住所居所、意匠にかかる物品または建築物・画像の用途)
2. 図面(必須。ただし写真、ひな形、見本でもかまいません)
特許や実用新案と違って「明細書」も「意匠登録請求の範囲」も求められません。意匠は外形を見れば十分に判断できるからです。新規性を失ったときの救済は、特許・実用新案と同じように置かれています(第4条)。
審査(意匠法第16条)
特許と同じく方式審査と実体審査が行われ、拒絶の理由がなければ登録査定になります。ただし意匠法には出願公開も審査請求もありません
簡単にいうと
ざっくりいうと、意匠権はそっくりさんにまで効きます。特許や実用新案が同じものにしか効かないのと比べて、ここがいちばん大きな違いです。
効力(意匠法第23条)
意匠権者は、業として登録意匠および登録意匠に類似する意匠を実施する権利を専有します。特許権や実用新案権が同じものにしか効かないのに対し、意匠権は似ているものにまで効く。ここが決定的に違います。デザインは少し変えるだけでいくらでも似せられるので、同じものだけを守っても意味がないからです。
意匠の実施にあたる行為は次のとおりです。
1. 意匠にかかる物品の製造、使用、譲渡、貸渡し、輸出・輸入、譲渡や貸渡しの申出(そのための展示を含みます)
2. 意匠にかかる建築物の建築、使用、譲渡、貸渡し、譲渡や貸渡しの申出
3. 意匠にかかる画像(その画像を表示する機能をもつプログラム等を含みます)の作成、使用、電気通信回線を通じた提供、その申出。加えて、画像を記録した記録媒体や内蔵する機器の譲渡、貸渡し、輸出・輸入、譲渡や貸渡しの申出
簡単にいうと
ざっくりいうと、意匠には「一部だけ」「セットで」「バリエーションで」「しばらく隠して」という4つの変わり種があります。数字の組合せで問われるので、表で押さえましょう。
部分意匠(意匠法第2条1項かっこ書き)
物品などの全体から物理的に切り離せない部分について登録を受けられる仕組みです。切り離せて単独で取引できるものは、部品や付属品として通常の意匠の対象になります。
特徴のあるデザインの一部だけを押さえておけば、全体としては違う形にして権利をすり抜ける、という手を封じられます。
組物意匠(意匠法第8条)
同時に使われる2つ以上の物品などで、経済産業省令が定める組物にかかる意匠が、組物全体としてまとまりがあるときに、
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内装の意匠(意匠法第8条の2)
机やいすといった複数の物品、壁や床の装飾といった建築物、画像などで構成される内装のデザインも、内装全体としてまとまりがあるときは、内装の意匠として登録を受けられます。
1. 公然と知られた(公知)意匠
2. 頒布された刊行物に載った、または電気通信回線を通じて公衆が見られるようになった意匠
3. 1や2に類似する意匠(新規性を失ったときの救済の対象にはなりません)
特許や実用新案にあった「公然と実施された(公用)」が並んでいないのは、意匠が物品などの外観で判断されるからです。公然と実施されれば、その時点で見えてしまい公知になります。そして特許や実用新案には出てこない「類似」という考え方が、ここで初めて登場します。
創作性があること(意匠法第3条2項)
意匠では進歩性を求めません。代わりに創作性を求めます。創作性があるとは、出願前に国内外で知られていた形状等や画像をもとに、その分野のデザイナーがたやすく創作できるものではないことをいいます。
先に出願した意匠であること(意匠法第9条)
先に出願された意匠と同一または類似の意匠をあとから出しても登録されません。同一または類似の意匠について同じ日に2つ以上の出願があったときは、時間の前後に関わりなく出願人どうしの協議で決めた1人だけが登録を受けられ、まとまらなければ誰も受けられません(第9条2項)。ここは特許と同じ扱いです。
不登録事由にあたらないこと(意匠法第5条)
次のものは公益の見地から登録を受けられません。
1. 公序良俗を害するおそれがある意匠
2. 他人の業務にかかる物品・建築物・画像と混同を生じるおそれがある意匠。他社の立体商標に似た意匠は、出どころを取り違えさせるので登録されません
3. 物品の機能を確保するために欠かせない形状、建築物の用途にとって欠かせない形状、画像の用途にとって欠かせない表示だけからなる意匠。JISやISOの寸法どおりに作るしかない形状(コンセントのプラグなど)や、道路標識の画像だけの意匠がこれにあたります。誰が作っても同じ形になるものを1社に独占させるわけにいかないからです
具体例
ある家具メーカーが、人気のチェアの脚の角度をわずかに変えただけの椅子を出願しても、デザイナーならたやすく作れる範囲とみなされ、創作性を欠くとして登録されません。また規格で寸法が決まっているプラグの形だけを出願しても、機能を確保するために欠かせない形なので登録されません。

意匠の登録要件
試験のポイント
登録査定と設定登録
おおむね特許と同じです(第18条、20条、43条)。ただし初回の登録料は第1年分だけでよく、特許のように第1年から第3年分をまとめて納める必要はありません。
意匠登録無効審判(意匠法第48条)
実用新案と同じく、原則として誰でも、いつでも請求できます。なお意匠法に登録異議の申立てはありません。
具体例
新しい調理器具のデザインを意匠登録出願する場合、用意するのは願書と、六面図などの図面(写真でもかまいません)だけです。特許のように「どういう技術か」を文章で説明する明細書は要りません。出願すれば、審査請求をしなくても自動的に審査が始まります。

意匠権の取得手続
試験のポイント
「物品等が同じか似ているか」と「形が同じか似ているか」の掛け合わせで決まります。どちらかが似ていなければ効きません。
似ているかどうかを判断するのは、デザイナーではなく需要者、つまり最終消費者や取引者の目を通して起きる美感です(第24条2項)。買い手が取り違えるかどうかが問題だからです。
制限(意匠法第36条)
実用新案と同じです。「試験または研究のためにする実施」には効力が届きません。「医師などの処方せんによる調剤やその医薬」は、物品でもなく目を通して美しさを感じさせるものでもないので、そもそも効力が働く場面がありません。
存続期間(意匠法第21条)
意匠権は登録によって生まれ、出願の日から25年で満了します。4法のなかでいちばん長い期間です。消える事由は、存続期間の満了、登録料を納めなかったこと(第44条4項)、無効の審決の確定(第49条)、放棄、相続人がいないこと(第36条)です。
活用のしかた
移転(第36条)は特許・実用新案と同じで、譲渡も相続や合併による承継もでき、効力は一般承継の場合を除き登録によって生じます。意匠登録を受ける権利に登録の仕組みがないことも同じです。
ライセンス(第27条・28条)には専用実施権、通常実施権、仮通常実施権があり、当然対抗制度も置かれています。仮専用実施権はありません。また裁定通常実施権については、実施されていない場合と公共の利益のための場合の規定がありません(自分が実施するための裁定は意匠法にもあります)。
質権(第35条)、共同創作と意匠権の共有、職務創作、先使用権は、特許と同じに考えてかまいません。
具体例
ボールペンのデザインで意匠登録を受けたなら、同じ形のボールペンはもちろん、線の本数だけを変えたそっくりなボールペンにも効きます。ただし同じ形をした「食器」のように物品が似ていなければ効きません。似ているかどうかを見るのは、デザイナーではなく買い手の目だ、というところが要点です。

意匠権の効力が及ぶ範囲
試験のポイント
関連意匠(意匠法第10条)
ある意匠(本意匠)に類似する意匠(関連意匠)についても登録を受けられる仕組みです。
ひとつのデザインの考え方から、いくつものバリエーションが同じ時期に生まれることがあります。意匠権は似ているものにまで効くので、先願主義をそのまま当てはめると、最初に出願した意匠に似たものは登録できなくなります。しかし同じ出願人にまでその原則を貫くのは酷なので、この仕組みが置かれました。関連意匠として登録された意匠も、それぞれ独自に権利を行使できます。
秘密意匠(意匠法第14条)
設定登録の日から3年を限度として、意匠を秘密にしておける仕組みです。意匠は特許や実用新案に比べて真似がたやすいので、公報に載った途端に模倣されるおそれがあります。自動車のモデルチェンジなどで使われます。
具体例
自動車メーカーが新型車のデザインを意匠登録するとき、発表前に公報で見られては困るので、出願と同時に秘密意匠を請求して2年ほど伏せておく、という使い方をします。また同じ考え方で色違いやグレード違いをそろえるときは、最初の1台を本意匠、残りを関連意匠として、本意匠の出願日から10年以内に順に出していきます。

関連意匠制度
試験のポイント
プレミアムプラン
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