株式会社
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プレミアムで見る株式は、会社の持ち主としての地位を均等に割ったものです。会社法は、その株式に色を付けたり(種類株式)、会社自身が買い戻したり(自己株式)、数をまとめたり分けたり(株式併合・分割)する仕組みを用意しています。どれも株主の利害に直に響くので、「株主にとって不利か、そうでないか」で必要な決議が変わる、という筋で読むと整理しやすくなります。
簡単にいうと
ざっくりいうと、株券は出しても出さなくてもかまいません。そして新しく株を出すときは、公開会社なら取締役会、譲渡制限会社なら株主総会の特別決議です。
株券(会社法第214条・215条)
株券は、株主としての地位を表す有価証券です。出すかどうかは任意で、定款に定めれば発行できます(ただし上場会社は株券が電子化されているので発行できません)。なお株式譲渡制限会社では、定款に発行する旨を定めていても、株主から請求があるまでは出さなくてかまいません。発行する旨の定めがある会社を株券発行会社といいます。
発行可能株式総数と発行済株式総数(会社法第113条ほか)
1. 公開会社では、設立時に発行する株式の総数は発行可能株式総数の4分の1を下回れません(第37条3項本文)。株式譲渡制限会社なら4分の1を下回ってもかまいません
2. 発行可能株式総数の定めそのものを廃止することはできません
3. 定款を変えて発行可能株式総数を減らすときは、発行済株式総数を下回れません
4. 定款を変えて増やすときは、公開会社では発行済株式総数の4倍を超えられません。株式譲渡制限会社なら4倍を超えてもかまいません
公開会社にだけ枠がはまるのは、取締役会の判断だけで株を出せるからです。上限を大きく取られると、既存の株主の持ち分が一気に薄められかねません。
募集株式の発行等の手続き
募集株式の発行等には「新株の発行」と「自己株式の処分」の両方が含まれます。
株式譲渡制限会社の場合
原則として
具体例
上場企業が第三者割当増資を行うとき、時価どおりの価額なら取締役会だけで決められます。ところが時価の半額で出すとなれば、既存株主の持ち分の値打ちが目減りするので株主総会の特別決議が要ります。値段しだいで通す場所が変わる、というところが要点です。

株券と募集株式の発行
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、中身の違う株を作れる仕組みです。9種類あり、それぞれ定款に定めれば発行できます。黄金株や役員選任権付きは、発行できる会社が限られます。
種類株式とは、ある事項について違う定めを置いた中身の異なる2つ以上の株式のことです。これを発行する会社を種類株式発行会社といいます(第2条13号)。
次の9つが定められており、その中身と発行可能種類株式総数を定款に定めることで発行できます(第108条2項本文)。
1 剰余金の配当
2 残余財産の分配
この2つについて有利な中身を定めた株式を優先株、不利な中身を定めた株式を劣後株といいます。有利でも不利でもない、基準となる株式が普通株です。
3 議決権制限株式
簡単にいうと
ざっくりいうと、会社が自分の株を買い戻すことです。買いすぎると会社の財産が外へ流れ出るので、分配可能額という上限がかかっています。
自己株式とは、会社がもっている自社の株式のことです(第113条4項かっこ書き)。
取得するとき
株主との合意で有償で取得する場合は、原則として株主総会の普通決議が要ります(第156条1項)。その決議が有効なのは1年間です。そして分配可能額を超えて買い受けてはならないという財源規制がかかります(第461条1項3号)。これに反して買い受けた業務執行取締役などは、超えた額を会社に支払わなければなりません(第462条)。会社の財産が株主のところへ流れ出る行為なので、配当と同じ枠で縛られるわけです。
主な例外は次のとおりです。
1. 特定の株主から取得する場合は株主総会の特別決議になります(第160条1項、309条2項2号かっこ書き)。誰か1人だけを優遇することになりかねないからです
簡単にいうと
ざっくりいうと、併合は株を減らすので株主に不利、分割は増やすので不利ではない。だから併合だけ特別決議が要ります。単元株も同じ理屈で場合分けされます。
株式併合(会社法第180条〜182条)
複数の株式をまとめて、それより少ない数の株式に変える(10株を1株にするなど)ことで、発行済株式総数を減らす手続きです。株主の管理にかかる手間が重いときに、投資の単位を適正な大きさまで引き上げてコストを下げる、といった目的で使われます。
ただし株主の地位に重い不利益が及ぶおそれがあるので、どの型の会社でも株主総会の特別決議が要ります。
なお併合によって端数が出る場合、その端数の部分について反対株主の株式買取請求権が認められます(第182条の4〜182条の5)。
株式買取請求権とは、自分のもつ株式を公正な価格で買い取るよう会社に求められる権利です。株式は原則として払戻しを受けられませんが、株主に不利益が及ぶ一定の場面で例外的に認められる仕組みです。
株式分割(会社法第183条・184条)
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公開会社の場合
なお株式譲渡制限会社では、募集株式の発行について有利か不利かという区別がありません。手続きが株主総会の特別決議に一本化されているからです。ただし払込金額が第三者にとって有利になる場合は、取締役が株主総会でその理由を説明しなければなりません(第199条3項)。
株主名簿(会社法第121条〜126条)
株式会社は株主名簿を作らなければなりません。書くのは、株主の氏名または名称と住所、持っている株式の数と種類、株式を取得した日、株券発行会社なら株券の番号です。
会社からの通知や催告は、株主名簿に書かれた住所にあてて出せば足ります。実際に届かなかったとしても、通常届くはずの時に届いたものとみなされます。株主が何人もいる会社で、一人ひとりの今の居場所を会社が追いかけるのは無理があるからです。
名義書換(会社法第130条・133条)
株式を譲り受けた人は、株主名簿の名義を自分に書き換えてもらわなければ、会社にも第三者にも「自分が株主だ」と主張できません(第130条1項)。ただし株券発行会社では話が変わります。名義書換は会社に対する対抗要件にとどまり、第三者に対しては株券を持っていることが対抗要件になります(第130条2項、128条1項)。株券という目に見える物があるのだから、そちらで決めよう、という考え方です。
名義書換の請求は、原則として譲り受けた人と名簿上の株主が共同で行います。片方だけの言い分で名義を動かせてしまうと、なりすましを防げないからです。ただし相続や合併によって株式を取得した場合は、取得した人が単独で請求できます。前の株主はもういない、あるいは消滅しているので、共同でやりようがありません。
ここで引っかけられるのが譲渡制限株式です。相続などの一般承継で譲渡制限株式を取得したときは、会社の承認を受けなくても名義書換を請求できます。承認が要るのは「譲渡による取得」の場合であって、相続は譲渡ではないからです。
基準日(会社法第124条)
株主は市場で日々入れ替わるので、議決権や配当を「いつの時点の株主」に与えるのかを決めておかなければ、手続きが進みません。そこで会社は基準日を定め、その日の株主名簿に載っている株主を権利者として扱います。
基準日から権利を行使する日までは3か月以内でなければなりません。あまり先の話にすると、実態とかけ離れた人が議決権を持ってしまうからです。基準日を定めたときは、原則としてその2週間前までに公告します。
株主名簿管理人
名義書換などの事務は手間がかかるので、定款に定めて信託銀行などに委ねることができます(第123条)。これを株主名簿管理人といいます。
株主総会で議決権を使える事項に制限がある株式です。一部だけ制限することも、全部を制限することもできます。全部を制限したものを無議決権株式といいます。
公開会社では、議決権制限株式の数が発行済株式総数の2分の1を超えたら、ただちに2分の1以下に戻すための手(議決権を制限していない株式を出すなど)を打たなければなりません(第115条)。少数の議決権で会社を握られるのを防ぐためです。株式譲渡制限会社にこの制限はありません。
4 譲渡制限株式
譲渡による取得に会社の承認が要る株式です。発行する株式の全部がこれであれば、その会社が株式譲渡制限会社になります。
ここは大事なところですが、制限できるのは譲渡などの特定承継による取得だけです。相続などの包括承継(一般承継)による取得は止められません。
5 取得請求権付株式
株主のほうから会社に取得を求められる株式です。普通株から優先株へ、というように他の種類へ転換できる権利を与えた転換予約権付株式などがこれにあたります。
6 取得条項付株式
会社のほうが、一定の事由が起きたことを条件に取得できる株式です。あらかじめ決めた条件に従って会社が強制的に転換できる強制転換条項付株式などがこれにあたります。5と6は主語が逆になります。
7 全部取得条項付種類株式
会社が株主総会の決議によって、その種類の発行済株式の全部を取得できる株式です。6との違いは株主総会の決議を要する点で、決議は特別決議です(第171条1項、309条2項3号)。
8 拒否権付種類株式(通称)
株主総会の決議(取締役会設置会社なら取締役会の決議)が必要な事項について、その種類株主総会の決議も承認の要件に加えた株式です。株主総会が通した議案を種類株主総会で覆せるので、「黄金株」とも呼ばれます。
9 役員選任権付種類株式(通称)
取締役または監査役について(会計参与は入りません)、その種類株主総会で選任する権限を与えた株式です。指名委員会等設置会社と公開会社では発行できません。つまり株式譲渡制限会社であって、かつ指名委員会等設置会社でない場合に出せます。監査等委員会設置会社でも、公開会社でなければ出せます。
公開会社で認めると、株主総会がもつ役員を選ぶ力が事実上そがれ、経営者の支配が強くなりすぎるからです。指名委員会等設置会社で認められないのは、人事を委員会に委ねるという建て付けと噛み合わないからです。
種類株主総会
種類株式をもつ株主(種類株主)ごとに開かれる株主総会です。役員選任権付種類株式をもつ種類株主が取締役や監査役を選ぶ総会などがこれにあたります。会社法に定めのある事項と、定款で定めた事項に限って決議できます(第321条)。
具体例
創業者が経営の主導権を手放したくないとき、合併など重い議案について自分だけが拒否できる黄金株を1株持っておく、という使い方があります。また譲渡制限株式を使っていても、株主が亡くなって相続で株が渡るのは止められません。相続に備えるには売渡請求など別の仕組みが要ります。

株式と種類株式
試験のポイント
3. 市場取引または公開買付けで取得する場合は、取締役会設置会社であれば取締役会の決議で取得できる旨を定款に定められます(第165条)
売主追加請求権(会社法第160条2項・3項、162条、164条)
上の1の場合、その特定の株主以外の株主は「自分も売り手に加えてほしい」と会社に求められます。これを売主追加請求権といいます。
ただし、株主の相続人その他の一般承継人が相続などで取得した株式を、株式譲渡制限会社が自己株式として取得する場合には認められません。
この権利は定款で外せますが、そのための定款変更には株主全員の同意が要ります。
処分するとき(会社法第199条1項本文)
原則として募集株式の規定に従います(自己株式の処分は募集株式に含まれます)。つまり募集株式の発行と同じ扱いです。
消却するとき(会社法第178条)
株式の消却とは、株主の地位を消し、発行済株式総数を減らすことです。会社が消却できるのは自己株式だけです。ですから発行済みの株式を消したいのであれば、まず自己株式として取得するのが前提になります。
消却にあたっては消却する自己株式の数などを定めますが、取締役会設置会社で取締役会の決議が要るほかは、とくに定めはありません。
相続人等に対する売渡請求(会社法第174条〜177条)
会社は、相続その他の一般承継で譲渡制限株式を取得した者に対して、その株式を売り渡すよう請求できる旨を定款で定められます。請求するには株主総会の特別決議による承認が要ります。また相続などがあったことを知った日から1年を過ぎると行使できません。
譲渡制限では止められない相続からの流入を、あとから引き戻すための道です。
そのほか
自己株式には議決権がなく(第308条2項)、剰余金の配当も残余財産の分配も受けられません(第453条かっこ書き、504条3項)。会社が自分に議決権を持てば、経営陣が自分で自分を信任できてしまうからです。
具体例
同族会社の株主が亡くなり、経営に関心のない相続人へ株が渡ったとします。定款に売渡請求の定めがあれば、会社はその株を買い取れます。ただし相続があったと知った日から1年のうちに動かなければ、この道は閉じます。定めを置いておくだけでなく、気づいたら早く動くことが要ります。

自己株式
試験のポイント
株主にとって不利益にならないので、取締役会設置会社では取締役会の決議、取締役会を置いていない会社では株主総会の普通決議でできます。
なお分割によって発行済株式総数が定款の発行可能株式総数を超えることになるときは、原則として株主総会の決議によらずに(取締役会の決議などで)発行可能株式総数を変える定款変更ができます。
単元株(会社法第188条〜195条)
単元株とは、一定の数の株式をひとまとまりとして、それに1個の議決権を与える仕組みです。10株を1単元とすれば、10株もつ株主の議決権は1個、100株もつ株主は10個になります。
定款に定めることで採用できますが、1,000、および発行済株式総数の200分の1にあたる数を超える数を1単元にはできません(会社法施行規則第34条)。種類株式があるときは、種類ごとに単元株式数を定めます。
1単元に満たない株式をもつ株主(単元未満株主)は、会社にその株式の買取りを請求できます(第192条)。また会社は、定款に定めることで、単元未満株主に対して単元未満株式を売り渡すよう請求できます。
具体例
1株1万円では買いにくいというとき、1株を2株に分割すれば1株5,000円になり手に取りやすくなります。株主から見れば持ち株数が倍になるだけで損はないので、取締役会だけで決められます。反対に10株を1株にまとめると、9株しか持っていない人は株主でなくなってしまいます。だから株主総会の特別決議が要る。同じ数の操作でも、向きによって重さが変わります。

株式併合と株式分割
試験のポイント
プレミアムプラン
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