債権・契約
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プレミアムで見る約束が必ず守られるとは限りません。ここからは、守られなかったときに債権者が打てる手を順に見ていきます。無理にでもやらせる(強制履行)、契約そのものをやめる(解除)、そして中身の足りない物を渡されたときの後始末(契約不適合責任)の3本立てです。それぞれ何がそろえば使えるのか、とくに落ち度が要るのか要らないのかが、出題の急所になります。
簡単にいうと
ざっくりいうと契約違反です。遅れた、できなくなった、中身が足りない。この3つの顔をもちます。
債務不履行は、ひらたくいえば契約違反のことです。債務者が約束どおりの履行をしない、あるいは履行できなくなったとき、そこに債務者の落ち度(故意・過失)があれば、債権者はそれによって生じた損害の賠償を求められます(民法第415条1項)。落ち度があったかどうかは、その契約の内容と取引上の社会通念に照らして判断されます。
落ち度があるかないかの見分け方
売ったパソコンを引き渡せなくなった場面で、売主に落ち度があるかを考えてみます。
債務不履行が起きたとき、債権者が打てる手は3つです。本来の履行をあくまで求める(強制履行)、損害の賠償を求める、契約をやめる(解除)。この3本が並びます。
そして債務不履行には、次の3つの顔があります。
履行遅滞(民法第412条)
履行の時期が来て、やろうと思えばできるのに、債務者が動かない状態です。債権者は履行請求、損害賠償請求(債務者に故意・過失があるとき)、契約の解除(ただし催告が必要)ができます。
なお金銭債務では、履行遅滞が不可抗力によるものであっても、債務者は損害賠償の責任を免れません(民法第419条3項)。お金は用意できないはずがない、という建前です。
具体例
納品日を過ぎても部材が届かないのは履行遅滞です。催促したうえでなら契約を打ち切れます。いっぽう、その部材が唯一の在庫で火災により焼失したのなら履行不能で、催促する意味がないのでいきなり打ち切れます。同じ「届かない」でも、まだ届く余地があるかどうかで打てる手が変わります。

債務不履行の3類型
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、裁判所の力を借りて無理にでもやらせることです。自分の力ずくで取り立てることは認められていません。
強制履行は「約束した中身をそのまま実現せよ」と迫るものです(履行不能の場合を除きます)。損害賠償と違って、債務者に落ち度があったかどうかは問われません。
ただし、債務者が動かないからといって、債権者が自分の腕力で取り立てることはできません。これを自力救済の禁止といいます。そこで債権者は、民事執行法などの手続に従い、国家機関である裁判所の力を借りて実現させることになります。これが強制履行、別の呼び方では強制執行です。
やり方は3つあります。
1. 直接強制…裁判所に申し立て、債務者の気持ちに関わりなく、国の手で債権の中身をそのまま実現してもらうやり方です
2. 代替執行…裁判所に申し立て、債権者または第三者が債務者の代わりに実現し、かかった費用をあとから債務者に負担させるやり方です
3.
簡単にいうと
ざっくりいうと、契約を最初から無かったことにする手です。催促が要る場合と、いきなり切れる場合があります。
解除にはどんな種類があるか
契約解除とは、いったん結ばれた契約について、一定の条件のもとで片方が一方的に意思を示し、その契約の効力を失わせることです。種類は3つあります。
解除すると、当事者はすでに受け取ったものを互いに返し合うことになります(原状回復義務。民法第545条1項本文、2項・3項)。
債務不履行を理由とする解除
債務不履行があると、債権者に解除権が生まれます(法定解除)。売買であれば、買主は契約を打ち切って自分の代金支払義務から抜け出せます。
簡単にいうと
ざっくりいうと、渡された物が約束と違っていたときに買主が打てる4つの手です。誰に落ち度があるかで、使える手が変わります。
売買では、売主は買主に対して、種類・品質・数量について契約どおりの物を引き渡す義務と、契約どおりの権利を移す義務を負っています。
これが果たされなかったとき、つまり引き渡された物の種類・品質・数量が契約と合っていない、あるいは移された権利が契約と合っていないとき、買主は売主に次の4つを求められます。これが売主の契約不適合責任です。この仕組みは売買以外の有償契約(請負など)にも原則としてそのまま使われます(民法第562条、565条)。
追完請求(民法第562条、565条)
きちんとした履行をやり直すよう求めるものです。修理、代わりの物の引渡し、足りない分の引渡しなどがこれにあたります。なお不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであれば、買主はこれを使えません。
代金減額請求(民法第563条、565条)
まず相当の期間を定めてやり直しを催告し、その期間内にやり直されなければ、不適合の程度に応じて代金を減らすよう求められます。
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そもそも履行ができなくなった状態です。債権者は損害賠償請求(債務者に故意・過失があるとき)と契約の解除(催告は不要)ができます。もう実現できない以上、履行請求は残りません。
ここで注意したいのが金銭債務です。世の中からお金が消えることはないので、金銭債務の不履行は履行不能にならず、履行遅滞として扱われます。金銭を給付する債務の不履行による賠償額は、債務者が遅滞に陥った最初の時点の法定利率によります。ただし契約で決めた利率(約定利率)が法定利率を上回るときは、そちらによります(民法第419条1項)。
不完全履行(契約不適合)
履行はあったけれども、その中身が不完全だった場合です。この場合は、あとで見る契約不適合責任の規定が働きます。
債務の中身によって向き不向きがあります。お金や物を取り立てるなら直接強制、建物の取り壊しのように誰がやっても結果が同じなら代替執行、本人でなければ意味がないものには間接強制、という当てはめになります。
具体例
代金を払わない相手の預金を差し押さえて取り立てるのが直接強制です。取り壊すはずの建物をそのままにしている相手に代わって業者に壊させ、その費用を請求するのが代替執行です。そして「1日遅れるごとに1万円」と決めて払わせ、自分から動くよう仕向けるのが間接強制です。

強制履行の3つの方法
試験のポイント
ここで押さえたいのが、民法は解除について債務者の落ち度を求めていないことです。債務者に故意も過失もなくても、債権者は契約を打ち切れます。解除は制裁ではなく、縛られ続けるのはおかしいという発想に立っているからです。
そのうえで民法は、解除を催告が要るものと要らないものに分けています。
催告による解除(催告解除)
一方が債務を履行しない場合に、相手方が相当の期間を定めて催告し、その期間が過ぎても履行がなければ解除できます(民法第541条本文)。履行遅滞のときの解除がこれにあたります。
ただし、その不履行が契約や取引上の社会通念に照らして軽微なときは解除できません(民法第541条ただし書)。
催告によらない解除(無催告解除)
次の場合は、催告を飛ばしてただちに契約の全部を解除できます(民法第542条1項)。
1. 債務の全部の履行ができなくなったとき(履行不能)
2. 債務者が全部の履行を拒むと、はっきり示したとき
3. 債務の一部の履行ができない場合、または債務者が一部の履行を拒むとはっきり示した場合で、残りだけでは契約の目的を果たせないとき
4. ある時期までに履行がなければ意味がなくなる契約で、履行遅滞があったとき(定期行為。クリスマスケーキを12月24日の朝までに納めるような契約です)
5. 契約の目的を果たすに足る履行が見込めないとき
また、債務の一部の履行ができなくなったとき、債務者が一部の履行を拒むとはっきり示したときは、債権者はその一部について催告なしにただちに解除できます(民法第542条2項)。
債権者の側に落ち度がある場合
不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は解除できません(民法第543条)。もしこれを認めてしまうと、契約から抜け出したいがために債権者がわざと不履行を引き起こす、ということが起こりうるからです。
具体例
内装工事が期日までに終わらない場合は、相当の期間を定めて催促したうえでなければ打ち切れません。ところが開店披露のその日に間に合わせる約束だったのなら定期行為にあたり、期日を過ぎた時点で催促なしに打ち切れます。同じ遅れでも、遅れること自体が致命傷かどうかで扱いが変わります。

契約解除と催告の要否
試験のポイント
やり直しができないとき、売主がやり直しを拒むとはっきり示したときなどは、催告なしに減額を求められます。
こちらも、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであれば使えません。
損害賠償請求(民法第564条、565条)
契約と合っていない物を引き渡された場合などで、債務不履行による損害賠償の要件がそろったときに請求できます。裏を返せば、双方に落ち度がないときは損害賠償だけができません。4つのうちこれだけ扱いが違うので、ここが狙われます。
契約の解除(民法第564条、565条)
解除の要件(催告解除・無催告解除)がそろえば、買主は契約を打ち切れます。
買主の通知義務(民法第566条)
上の4つを使うには、買主が契約に合っていないことを知ってから1年以内に、その旨を通知しておく必要があります(民法第566条本文)。「権利を行使せよ」ではなく「通知せよ」で足りるところが、買主の負担を軽くしています。
注意点が2つあります。
1. 対象になるのは種類または品質の不適合です。数量の不適合にこの期間の縛りはなく、消滅時効の一般のルールによります
2. 売主が引渡しのときにその不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかったときは、この縛りから外れます(1年を過ぎてから通知してもかまいません。民法第566条ただし書)。この場合も消滅時効の一般のルールによります
請負についても同じ趣旨の条文が置かれています(民法第637条1項)。責任を問えなくなるのは「引渡しのとき」から1年ではなく、「注文者が不適合を知ったとき」から1年以内に通知しなかった場合です。起算点を取り違えないようにしましょう。
具体例
買った機械に不具合があり、売主にも買主にも落ち度がなかったとします。買主は修理を求めることも、代金を減らしてもらうことも、契約を打ち切ることもできますが、損害賠償だけは請求できません。反対に、不具合が買主の使い方から生じたのであれば、4つとも一切使えません。

契約不適合責任の救済方法
試験のポイント
プレミアムプラン
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