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契約の種類

債権・契約

民法には13種類の典型契約(有名契約)が定められています。契約は『双方が対価的な義務を負うか』『財産的な出捐があるか』『物の引渡しが必要か』などの視点で分類できます。ここでは各契約の特徴と分類方法、さらに典型契約以外の契約も学びます。

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契約の分類

簡単にいうと

簡単にいうと、契約は5つの切り口で仕分けできます。『民法に名前があるか』『双方が義務を負うか』『対価があるか』『物の引渡しが必要か』『書面が必要か』の5つです。

契約には次のような分類方法があります。

❶ 典型契約(有名契約)と非典型契約(無名契約)

  • 典型契約:民法にその契約の名前が書いてある(規定のある)13種類の契約です。贈与・売買・交換などがあります。
  • 非典型契約:民法に規定がない契約(名前が書いていない)です。リース契約やフランチャイズ契約が代表例です。

❷ 双務契約と片務契約

  • 双務契約:契約の各当事者が互いに対価的な意味を有する債務を負担する契約です。売買・賃貸借・請負・雇用などがあります。
  • 片務契約:当事者の一方のみに債務が生じる契約です。贈与・無償委任・無償寄託などがあります。

❸ 有償契約と無償契約

  • 有償契約:当事者双方が互いに対価的な意味を有する出捐(=財産上の損失)をする契約です。売買・賃貸借・請負などがあります。
  • 無償契約:当事者の一方は対価的な経済的出捐をしない契約です。贈与・使用貸借などがあります。

❹ 要物契約と諾成契約

  • 要物契約:当事者間の合意のほかに、物の引渡しが必要な契約です。典型契約では書面(電磁的記録)によらない消費貸借のみです。
  • 諾成契約:当事者間の合意だけで成立する契約です。贈与・売買・賃貸借などほとんどの契約がこれにあたります。

❺ 要式契約と不要式契約

  • 要式契約:契約の成立に一定の方式を要する契約です。保証契約、婚姻などがあります。
  • 不要式契約:特定の方式を要しない契約です。ほとんどの財産上の契約がこれです。

具体例

たとえば友人にタダで本をあげる贈与契約は、片務契約(義務はあげる側だけ)・無償契約(もらう側は対価を払わない)・諾成契約(合意で成立)です。一方、本を1,000円で売る売買契約は、双務契約(両者とも義務を負う)・有償契約(代金と本を交換)・諾成契約です。

民法に定められた13種類の典型契約を、双務/片務、有償/無償、諾成/要物、目的の4つの視点で一覧表にまとめた比較表。

典型契約(13種類)のまとめ

分類
分類A
分類B
規定の有無
典型契約(民法に規定あり13種)
非典型契約(民法に規定なし)
義務の方向
双務契約(双方が義務)
片務契約(一方のみ義務)
対価の有無
有償契約(双方が出捐)
無償契約(一方のみ出捐)
成立要件
要物契約(合意+引渡し)
諾成契約(合意のみ)
方式の要否
要式契約(書面等が必要)
不要式契約(方式不要)

試験のポイント

  • ・5つの分類軸とその組み合わせを覚えましょう
  • ・典型契約で唯一の要物契約は『書面によらない消費貸借』です
  • ・双務契約と片務契約の区別は同時履行の抗弁権にも関わる重要ポイントです
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13種類の典型契約

簡単にいうと

簡単にいうと、民法が名前をつけて規定している契約は13種類あります。『財産を移転する契約』『財産を利用させる契約』『役務や労働力を利用する契約』『その他の契約』の4グループに分けると覚えやすいです。

民法に定められた13種類の典型契約を目的別に整理します。

【1】財産の移転を目的とする契約

❶ 贈与:当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することで効力が生じる契約です。

❷ 売買:当事者の一方が財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対して代金を支払うことを約して効力が生じる契約です。手付とは、売買契約などの有償契約の締結の際に当事者の一方が相手方に交付する金銭のことです。買主が売主に手付を交付した場合、契約の成立から履行に着手するまでの間は、買主はその手付を放棄して、売主はその倍額を償還して契約の解除ができます。

❸ 交換:当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約して効力が生じる契約です。

【2】財産の利用を目的とする契約

❹ 消費貸借:当事者の一方が種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約し、相手方から金銭その他の物を受け取る(原則)ことで効力が生じる契約です。金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)が代表的です。民法上の原則は無利息(無利息)で、特約があれば有利(利息付き)となります。書面(または電磁的記録)で締結されていれば諾成契約として成立しますが、書面によらない場合は要物契約(物の引渡しが必要)です。

❺ 使用貸借:当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方が無償で使用・収益して契約終了時に返還することを約して効力が生じる契約です。消費貸借との違いは、借りたそのものを返す点です。

❻ 賃貸借:当事者の一方がある物の使用・収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約して効力が生じる契約です。不動産の賃貸を対象とした不動産賃貸借契約(マンションの賃借など)が代表的です。使用貸借との違いは、有償であるか無償であるかという点です。

【3】役務や労働力の利用を目的とする契約

❼ 雇用:当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約して効力が生じる契約です。

❽ 請負:当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約して効力が生じる契約です。建築物の建築やオーダーメイド製品の製造が代表例です。請負の報酬は原則として仕事の完成と引換えに支払われます。

❾ 委任:当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することで効力が生じる契約です。法律行為でない事務の委託は準委任といいます。委任は原則として無償であり、特約があれば有償になります。委任者は高度の信頼関係を基礎とする契約であるから、受任者は善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負います。

❿ 寄託:当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾して効力が生じる契約です。

【4】その他の契約

⓫ 組合:各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約して効力が生じる契約です。

⓬ 和解:当事者が互いに譲歩をして争いをやめることを約して効力が生じる契約です。

⓭ 終身定期金:当事者の一方が自己または相手方の死に至るまで、定期に金銭その他の物を給付することを約して効力が生じる契約です。現在ではほとんど利用されていません。

具体例

中小企業の経営で身近な典型契約としては、オフィスの賃貸借契約(賃貸借)、社員との雇用契約(雇用)、ウェブサイト制作の請負契約(請負)、税理士への顧問契約(委任・準委任)、銀行からの融資(金銭消費貸借)などがあります。

契約の名称
双務・片務
有償・無償
契約の目的
贈与
片務
無償
財産の移転
売買
双務
有償
財産の移転
交換
双務
有償
財産の移転
消費貸借
片務*
原則無償
財産の利用
使用貸借
片務
無償
財産の利用
賃貸借
双務
有償
財産の利用
雇用
双務
有償
労働力の利用
請負
双務
有償
労働力の利用
委任
双務(有償時)
原則無償
労働力の利用
寄託
片務
原則無償
労働力の利用
組合
双務
有償
共同事業
和解
双務
有償
紛争解決
終身定期金
片務(片務)
原則無償
定期給付

試験のポイント

  • R3-2(消費貸借)、R7-19(消費貸借)、R7-20(請負)、R2-22(委任)で出題実績あり
  • ・消費貸借:書面によれば諾成契約、書面によらなければ要物契約
  • 書面による場合は借主は受け取る前に解除可能
  • ・請負:報酬は仕事の完成と引換え、注文者は請負人が仕事を完成しない間はいつでも損害を賠償して契約を解除できる
  • ・委任:原則無償、受任者は善管注意義務を負う
  • 復受任者の選任は委任者の許諾等が必要
  • ・手付:買主は手付放棄、売主は倍額償還で解除可能(履行着手前まで)
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典型契約以外の契約

簡単にいうと

簡単にいうと、民法に名前がない契約(非典型契約)にも重要なものがあります。ファイナンスリース契約やフランチャイズ契約はビジネスで頻繁に使われる非典型契約です。

典型契約以外の代表的な契約を紹介します。

❶ ファイナンスリース契約

リース会社が利用者(ユーザー)に対してサプライヤーから購入したリース対象物件を貸し出し、定期にリース料金を受け取るという契約です。原則として、リース期間中は解約できず、解約した場合は違約金を支払わなければなりません。賃貸借との違いは、利用者が対象物件を選べることや、対象物件が消滅した場合も利用者は料金を支払わなければならないことです。

❷ フランチャイズ契約

フランチャイザー(本部)が開発したノウハウ・システム・商標の使用権・営業権などをフランチャイジー(加盟店)に提供し、フランチャイジーはフランチャイザーに対して加盟料などを支払うという契約です。フランチャイズ契約はBtoBの契約であり、本部と加盟店はともに独立の事業主体です。加盟店の保護のために、中小小売商業振興法に基づき、本部には取引条件等について書面による事前開示の義務があります。

具体例

たとえばコンビニエンスストアの経営は典型的なフランチャイズ契約です。本部がブランド名や仕入れシステムを提供し、オーナーが加盟金やロイヤリティを支払います。また、オフィスで使うコピー機やパソコンはリース契約で調達するケースが多いです。

試験のポイント

  • ・ファイナンスリース契約の特徴(中途解約不可・物件滅失でも料金発生)を覚えましょう
  • ・フランチャイズ契約で本部に書面による事前開示義務があることは重要です
  • ・いずれも非典型契約(民法に規定なし)である点を押さえましょう

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