民法に関する基礎知識
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プレミアムで見る民法は、権利と能力について細かく決めています。そもそも誰が権利の持ち主になれるのか、権利にはどんな顔ぶれがあるのか、判断の力が足りない人はどう守られるのか。この節では、その土台になる仕組みを順に見ていきます。
簡単にいうと
ざっくりいうと、民法の世界で「人」と呼ばれるのは生身の人間だけではありません。会社のような法人も含まれ、どちらも権利や義務の持ち主になれます。この立場を権利能力といいます。
民法でいう「人」には、生身の人間である自然人と、会社などの法人の両方が入ります。売買でいえば、代金を求める権利も、品物を引き渡す義務も、この「人」のところに集まります。
こうして権利や義務の持ち主になれる者を権利・義務の主体といい、権利や義務をもつことができる立場そのものを権利能力(私権の享有)といいます。生まれた時点で誰もがこの立場を与えられる、というのが出発点です。
具体例
鈴木さんがA株式会社から製品を買ったとします。鈴木さんには製品を引き渡せと求める権利が生まれ、A社には代金を払えと求める権利が生まれます。生身の人間と会社という違いはあっても、どちらも同じように権利の持ち主として扱われます。

権利能力と権利の主体
試験のポイント
簡単にいうと
ざっくりいうと、私人に与えられた権利は「何についての権利か」と「どう働く権利か」の2つの切り口で並べ直せます。
私権とは、私法によって私人に与えられた権利のことです。切り口を2つ用意すると整理しやすくなります。
何についての権利か(内容で分ける)
どう働く権利か(作用で分ける)
簡単にいうと
ざっくりいうと、権利は好き勝手に振り回せるものではありません。公共の福祉、信義誠実、濫用の禁止という3つの枠がかかっています。
私権の行使は無制限ではなく、民法第1条が3つの枠をはめています。いずれも民法全体にかかる一般原則です。
公共の福祉の原則(民法第1条1項)
権利を使うにあたっては、公共の福祉に沿っていなければなりません。
信義誠実の原則(信義則)(民法第1条2項)
権利を使うときも義務を果たすときも、信義に従って誠実に行わなければなりません。条文の数は少ないのに適用の場面が広く、民法でいちばん重い一般原則とされています。
権利の濫用の禁止(民法第1条3項)
形のうえでは正当な権利であっても、濫用にわたる使い方は許されません。
具体例
簡単にいうと
ざっくりいうと、法律行為をするには、物事を正しく判断できる力と、ひとりで有効に行為ができる立場の2つが要ります。どちらかが足りない人を守る仕組みが用意されています。
意思能力
権利能力は誰もが生まれつきもっています。ただし赤ちゃんや泥酔している人には、物事を正しく判断する力がありません。この判断の力を意思能力といい、これを欠く者を意思無能力者といいます。
意思無能力者がした法律行為は無効です。はじめから効力がまったく生まれていなかった扱いになります。
言葉の整理もしておきましょう。
行為能力
簡単にいうと
ざっくりいうと、意思表示は「こういう効果がほしい」という気持ちを外に出すことです。ところが本心と出したものがずれていたり、だまされていたりすると、どこまで有効かが問題になります。民法はずれ方ごとに答えを用意しています。
意思表示とは、一定の法律効果がほしいと思って、それを外に表すことです。売買でいえば、片方が「売ろう」、もう片方が「買おう」と示して、それを互いに伝える行為がこれにあたります。
やっかいなのは、心の中にある意思と、外に出した表示とが食い違っている場面です。民法はずれ方を分けて答えを決めています。
心裡留保(民法第93条)
本人が、自分の本心と違うと分かったうえで表示している場面です。冗談がその典型です。相手を守る必要があるので原則は有効ですが、相手が本心でないと知っていたとき(悪意)、または知ることができたとき(有過失)は無効になります。この無効は、善意の第三者には主張できません。
虚偽表示(通謀虚偽表示)(民法第94条)
当事者が示し合わせて、売る気も買う気もないのに売買をよそおう場面です。当然に無効ですが、この無効も善意の第三者には主張できません。
錯誤(民法第95条)
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具体例
AがBにカメラを売る約束をしたとします。Bはまず「カメラを引き渡せ」と求められるので請求権をもち、受け取ったあとは「これは自分のものだ」と言える支配権、つまり所有権をもちます。もしBが未成年者で親の同意なく契約していたなら、親は取消権という形成権を使って契約をほどけます。

私権の分類
試験のポイント

私権の制限(基本原則)
試験のポイント
ひとりで有効に法律行為ができる立場を行為能力といい、これが十分でない者を制限行為能力者といいます。次の4つです。
後ろの3つは、障害の重い順に成年被後見人、被保佐人、被補助人と並びます。制限行為能力者がした法律行為は原則として取り消せることにして、これらの人を守っています。
取り消されればその行為は無効になります。なお取消権は、追認ができるようになった時(たとえば法定代理人がその行為を知った時)から5年、または行為の時から20年で消えます(民法第126条)。
具体例
17歳の高校生が親の同意なく高価なパソコンを買ったとします。未成年者は制限行為能力者なので、親はこの売買を取り消せます。取り消せば契約ははじめから無かったことになり、代金と商品をお互いに返すことになります。買った側が「もう使ってしまった」と言っても、この結論は変わりません。

意思能力と行為能力
試験のポイント
勘違いです。2つに分かれます。
その勘違いが、法律行為の目的や取引上の社会通念に照らして重要なものであれば取り消せます。ただし本人に重大な過失があれば、原則として取り消せません。取消しは、善意かつ無過失の第三者には主張できません。
瑕疵ある意思表示(民法第96条)
詐欺や強迫によってゆがめられた意思表示です。瑕疵とは法律上のキズという意味です。
強迫を受けた人には落ち度がなく、守る必要がとりわけ強いからです。ここが詐欺との分かれ目になります。
効力が生まれるのはいつか
民法は到達主義をとっています。通知が相手方に届いた時点で効力が生まれ、出した時点ではありません。
具体例
1,000万円で土地を売るつもりが、書類に「100万円」と書いてしまったとします。これは表示の錯誤で、重要なものであれば取り消せます。ただし、その書き間違いが本人のひどい不注意によるものなら、原則として取り消せません。
もうひとつ。「駅前開発で値上がりする」とうそをつかれて土地を買った場合は詐欺なので取り消せます。ただし売り手がすでにその土地を、事情を知らず落ち度もない第三者に転売していたら、その人に対しては取消しを主張できません。

意思表示のズレと第三者の保護
試験のポイント
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