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供給曲線

企業行動の分析

この節では、前節で学んだ利潤最大化条件 P=MCP = MC から供給曲線がどのように導き出されるかを見ていきます。結論として、個々の企業の供給曲線は限界費用曲線(MC曲線)の一部分と一致します。ただし、すでに市場に参入している企業と、これから参入を検討する企業とでは、供給曲線として採用されるMC曲線の範囲が異なる点に注意が必要です。また、供給量が価格変化に対してどれだけ敏感に反応するかを測る指標として供給の価格弾力性についても学びます。

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供給曲線の導出

簡単にいうと

供給曲線って結局、限界費用曲線そのものなんだよ!前の節で学んだP=MCの条件から自然に導き出されるの!ただし、どこから上が供給曲線になるかは「すでに業界にいるか」「これから入るか」で変わるんだよ~!

企業は利潤最大化のために P=MCP = MC となる生産量を選びます。これは「価格 PP が与えられたとき、MC(x)=PMC(x) = P を満たす xx が最適生産量」ということです。したがって、各価格水準に対して企業が供給したい量を対応づけたものが供給曲線であり、それはMC曲線そのものになります。

ただし、MC曲線の全体が供給曲線になるわけではなく、価格があまりに低い場合には企業は生産を行いません。具体的にどこまで価格が下がったら生産をやめるかは、企業の立場によって2つのケースがあります。

ケース1: すでに市場に参入している企業

既存企業は固定費用をすでに支出しています。そのため、売上が可変費用さえカバーできるなら(PAVCminP \geq AVC_{min})、操業を続けた方が損失を小さくできます。したがって既存企業の供給曲線は、MC曲線のうち操業停止点(AVCAVC の最小点)より上の部分です。

ケース2: これから市場に参入する企業

新規参入企業はまだ固定費用を投じていません。参入するかどうかの判断基準は、全ての費用を回収できるかどうか、つまり PACminP \geq AC_{min} です。この条件が満たされない限り参入しないため、新規参入企業の供給曲線はMC曲線のうち損益分岐点(ACAC の最小点)より上の部分になります。

市場全体の市場供給曲線は、個々の企業の供給曲線を横方向に足し合わせた(水平和をとった)ものです。つまり、各価格水準における全企業の供給量を合計して得られます。

具体例

費用関数 C(x)=x36x2+15x+8C(x) = x^3 - 6x^2 + 15x + 8 の場合を考えます。

操業停止点の計算:

AVC(x)=x26x+15AVC(x) = x^2 - 6x + 15 の最小値は x=3x = 3AVC(3)=6AVC(3) = 6 です。したがって、既存企業は P6P \geq 6 のとき供給を行います。

損益分岐点の計算:

AC(x)=x26x+15+8xAC(x) = x^2 - 6x + 15 + \frac{8}{x} の最小値は x3.52x \approx 3.52AC8.2AC \approx 8.2 です。新規参入企業は P8.2P \geq 8.2 のとき市場に参入します。

いずれのケースでも、供給量は MC(x)=3x212x+15=PMC(x) = 3x^2 - 12x + 15 = P を解いて求めます。

MC・AC・AVCの3曲線を描き、MC曲線のうちAVC最小点(操業停止点B)より上の部分を太線で強調して供給曲線として表示。損益分岐点AとP_A・P_Bの価格水準を破線で示す

供給曲線の導出(MC曲線との関係)

企業の立場
供給曲線の範囲
判断基準
既存企業(参入済み)
MC曲線の操業停止点より上
PAVCminP \geq AVC_{min}
新規参入企業
MC曲線の損益分岐点より上
PACminP \geq AC_{min}
市場全体
各企業の供給曲線の水平和
全企業の供給量を合計

試験のポイント

  • 既存企業の供給曲線はMC曲線のAVC最小点(操業停止点)より上、新規参入企業はMC曲線のAC最小点(損益分岐点)より上という違いを正確に区別する
  • 「供給曲線=MC曲線(の一部)」は最も基本的な結論なので確実に押さえる
  • 市場供給曲線は個々の企業の供給曲線の水平和(横方向の合計)であることも頻出
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供給の価格弾力性

簡単にいうと

価格が変わったとき、供給量がどれくらい変わるかを数値で表したのが「弾力性」だよ!需要の弾力性と同じ考え方なんだけど、供給側バージョンって感じ。グラフの傾きと関係していて、傾きが緩やかなほど弾力性が大きいの!

供給の価格弾力性とは、価格が1%変化したときに供給量が何%変化するかを示す指標です。計算には変化率(変化量を元の値で割ったもの)の概念を使います。

まず変化率の定義を確認しましょう。ある変数 xxx0x_0 から x1x_1 に変化した場合、変化率は Δxx0=x1x0x0\frac{\Delta x}{x_0} = \frac{x_1 - x_0}{x_0} です。

供給の価格弾力性 eSe_S は、供給量の変化率を価格の変化率で割ったものとして定義されます。

eS=ΔS/SΔP/P=ΔSΔP×PSe_S = \frac{\Delta S / S}{\Delta P / P} = \frac{\Delta S}{\Delta P} \times \frac{P}{S}

弾力性が大きい(eS>1e_S > 1)場合、供給量は価格変化に対して敏感に反応します。弾力性が小さい(eS<1e_S < 1)場合、供給量は価格変化に対して鈍感です。

グラフ上では、傾きが緩やか(フラット)な供給曲線ほど弾力性が大きく傾きが急(スティープ)な供給曲線ほど弾力性が小さいという関係があります。直感的には、同じ価格上昇幅に対して傾きが緩い方が供給量の変化幅が大きくなるためです。

具体例

価格が P=10P = 10 から P=15P' = 15 に上昇したとき、供給量が S=20S = 20 から S=40S' = 40 に増加した場合、

ΔP=1510=5\Delta P = 15 - 10 = 5ΔS=4020=20\Delta S = 40 - 20 = 20

eS=ΔSΔP×PS=205×1020=4×0.5=2e_S = \frac{\Delta S}{\Delta P} \times \frac{P}{S} = \frac{20}{5} \times \frac{10}{20} = 4 \times 0.5 = 2

弾力性が2ということは、価格が1%上昇すると供給量が約2%増加することを意味します。eS>1e_S > 1 なので、この供給は価格変化に対して弾力的であると言えます。

急傾斜のS1と緩傾斜のS2の2本の供給曲線を描き、同じ価格変化に対する供給量の変化幅を矢印で比較。S1は弾力性小、S2は弾力性大であることを図示

供給の価格弾力性の比較

試験のポイント

  • 弾力性の公式 eS=ΔSΔP×PSe_S = \frac{\Delta S}{\Delta P} \times \frac{P}{S} を正確に使えるようにする
  • 傾きが緩やか→弾力性大、傾きが急→弾力性小の対応関係は頻出
  • 変化率の計算では「変化量÷元の値」であり、変化後の値で割らないよう注意する
  • 需要の価格弾力性と同じ枠組みなので、あわせて整理しておくと効率的

まとめ

概念
定義・公式
ポイント
供給曲線(既存企業)
MC曲線の操業停止点より上の部分
PAVCminP \geq AVC_{min} で供給
供給曲線(参入企業)
MC曲線の損益分岐点より上の部分
PACminP \geq AC_{min} で供給
供給の価格弾力性
(ΔS/S)÷(ΔP/P)(\Delta S / S) \div (\Delta P / P)
価格1%変化に対する供給量の%変化
弾力性と傾き
傾きが緩やかなほど弾力性大
供給量が価格変化に敏感

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