雇用と物価水準
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プレミアムで見るAS(Aggregate Supply)曲線(総供給曲線)は、各物価水準において総供給がどれだけなされるかを示す曲線です。企業の生産活動により財・サービスが供給されますが、ここでは「労働者が多く雇用されれば、それだけ総供給が増加する」と考えます。そのため、まず労働市場(=生産要素市場)について学習します。
この節の山場は、古典派理論とケインズ理論の対立です。同じ労働市場を見ているのに、名目賃金率が伸縮的に動くかどうかという一点の違いから、「非自発的失業は存在しない」と「非自発的失業は存在し得る」という正反対の結論が出てきます。
この対立が、次節のAS曲線の形(垂直か屈折か)を決め、さらに政策の効果についての結論まで分けることになります。令和3年第22問、令和4年第7問、令和6年第20問と、くり返し問われている論点です。
簡単にいうと
労働市場では、企業が買い手で家計が売り手。取引を決めるのは「手取りで何が買えるか」=実質賃金率だよ!
① 労働市場とは
労働市場とは、労働力を取引する市場のことです。
企業は財を生産するために、家計から労働力を調達してかわりに賃金を支払います。
つまり、労働の需要者は企業(=雇うほう)です。
一方、家計は企業に労働力を供給し、かわりに賃金を受け取ります。
つまり、労働の供給者は家計(=労働者、雇われるほう)です。
財の市場とは需要者と供給者が逆になるので、ここを取り違えないようにしてください。
| 市場 | 需要者 | 供給者 |
|---|---|---|
| 生産物市場 | 家計・政府・海外 | 企業 |
| 労働市場 | 企業 | 家計 |
具体例
実質賃金率の考え方を、具体的な場面で確かめましょう。
場面: 会社が来年の賃上げを3%と決めた
ケース1: 物価上昇率が1%のとき
名目賃金率は3%上がり、物価は1%上がるので、
実質的に2%豊かになりました。働く人にとっては得です。
企業から見ると、賃金という費用が売上の伸びより速く増えたので、

労働市場の需要と供給
試験のポイント
簡単にいうと
賃金が安ければ企業はたくさん雇う。だから労働需要曲線は右下がり。その根拠が「古典派の第一公準」だよ!
① 労働需要曲線の形
労働の需要者は企業です。
労働市場の需要量と供給量は実質賃金率(名目賃金率を物価水準で除したもの)に依存するため、
縦軸に実質賃金率、横軸に労働需要をとったグラフで表されます。
労働需要曲線は右下がりの形状となります。
感覚的に、実質賃金率が低いほど企業の労働需要量は増えるととらえればよいでしょう。
簡単にいうと
賃金が高ければ働きたい人が増える。だから労働供給曲線は右上がり。その根拠が「古典派の第二公準」だよ!
① 労働供給曲線の形
労働の供給者は家計です。
労働需要と同様、労働供給量は実質賃金率に依存するため、
縦軸に実質賃金率、横軸に労働供給をとったグラフで表されます。
労働供給曲線は右上がりの形状となります。
感覚的に、実質賃金率が高いほど家計の労働供給量は増えるととらえればよいでしょう。
簡単にいうと
名目賃金がすんなり下がるか、なかなか下がらないか。この一点の違いから、失業についての結論が真っ二つに分かれるの!
① 均衡実質賃金
労働市場の需給を均衡させる実質賃金率水準を均衡実質賃金といいます。
物価水準が与えられると、実質賃金率が均衡実質賃金となるように、名目賃金率が決定されます。
ただし、古典派理論とケインズ理論では、名目賃金率のとらえ方が異なります。
(なお、ここでいう古典派理論とは、ケインズ理論以前のマクロ経済学主流理論という意味です。)
② 古典派の想定
名目賃金率は伸縮的に動き、労働市場は常に均衡する
(非自発的失業は存在せず、常に完全雇用が実現する)
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② 実質賃金率
労働需要、労働供給は、ともに実質賃金率に依存します。
実質賃金率 は、
名目賃金率 (Wage)を物価水準 で除すことで求められます。
③ なぜ名目ではなく実質なのか
月給30万円という数字(名目賃金率)だけでは、豊かさは分かりません。
物価が2倍になれば、同じ30万円で買えるものは半分です。
働く人にとって大事なのは「いくらもらえるか」ではなく「それで何が買えるか」です。
企業にとっても、「賃金という費用が、売上(=物価×数量)に比べて重いかどうか」が問題です。
だから、労働市場の分析では実質賃金率を使います。
第8章の実質貨幣供給量 とまったく同じ発想です。
名目の金額を物価で割って、実質の量に直す。
マクロ経済学では何度も出てくる操作なので、ここで慣れておきましょう。
④ 具体例
| 名目賃金率 | 物価水準 | 実質賃金率 |
|---|---|---|
| 30万円 | 1.0 | 30万円 |
| 30万円 | 1.2 | 25万円 |
| 36万円 | 1.2 | 30万円 |
| 30万円 | 0.8 | 37.5万円 |
名目賃金率が同じ30万円でも、
物価が上がれば実質賃金率は下がり、物価が下がれば実質賃金率は上がります。
この「物価が下がると実質賃金率が上がる」という点が、この節の最重要ポイントです。
後半で見るように、ケインズ理論での非自発的失業は、まさにここから生まれます。
⑤ グラフの軸
労働市場の分析では、次の軸を使います。
第9章に入ってから軸が次々に変わるので、
どの図の軸が何かを毎回確認する習慣をつけておいてください。
| 分析 | 縦軸 | 横軸 |
|---|---|---|
| IS-LM分析 | 利子率 | 国民所得 |
| AD-AS分析 | 物価 | 国民所得 |
| 労働市場 | 実質賃金率 | 雇用量 |
ケース2: 物価上昇率が5%のとき
名目では上がったのに、実質では2%減りました。
買えるものが減ったわけです。
企業から見ると、賃金の伸びより物価(=売上の単価)の伸びのほうが大きいので、
人を雇う余裕が出ます。
数字でも確かめる
月給30万円、物価水準1.0の状態から出発します。
| 名目賃金率 | 物価水準 | 実質賃金率 | |
|---|---|---|---|
| もとの状態 | 30.0万円 | 1.00 | 30.00万円 |
| ケース1 | 30.9万円 | 1.01 | 30.59万円 |
| ケース2 | 30.9万円 | 1.05 | 29.43万円 |
たしかに、ケース1では実質賃金率が上がり、ケース2では下がっています。
物価だけが動いた場合(名目賃金率が変わらない場合)
ここが本節の要になる場面です。
| 物価水準 | 名目賃金率 | 実質賃金率 |
|---|---|---|
| 1.25 | 30万円 | 24.0万円 |
| 1.00 | 30万円 | 30.0万円 |
| 0.80 | 30万円 | 37.5万円 |
物価が下がったのに名目賃金率が変わらないと、実質賃金率が上がってしまいます。
働く人にとっては「同じ給料で買えるものが増えた」ので、一見よいことです。
しかし企業から見ると、実質的な人件費が重くなったということです。
売上単価(物価)は下がったのに、払う給料は変わらないのですから。
すると企業は雇用を減らします。
これが、後半で見るケインズ理論の非自発的失業が生まれる仕組みです。
「デフレは雇用に悪い」という話の理屈
ニュースで「デフレは経済に悪い」と言われるとき、
根拠の1つがこれです。
物価が下がっても賃金はすぐには下がらないので、
実質的な人件費が重くなり、企業が雇用を減らす。
理論で学んだことが現実の議論と直結している、分かりやすい例です。
② 古典派の第一公準
このグラフは、古典派の第一公準という考えにもとづいて導かれます。
古典派の第一公準とは、
労働の需要量は企業の利潤最大化行動により決定されるという考えのことです。
③ 利潤最大化条件
ここでの利潤最大化条件は、次のとおりです。
労働の限界生産物(限界生産力・限界生産性)= 実質賃金率
となるように労働量を決定する。
(※限界生産物=生産要素の投入量を1単位増加させたとき増加する生産量)
④ 意味を読み解く
ミクロ経済学の生産関数での考え方と同様、
労働量を1単位増加した場合の生産量と、それに伴う費用が一致する水準(労働量)に決定する
というものです。
具体的に考えてみましょう。
なので、この人を雇えば差し引き2単位の得です。雇います。
さらにもう1人雇うと、限界生産物は逓減して9単位になったとします。
なので、まだ得です。雇います。
もう1人では限界生産物が7単位になったとします。
なので、払う賃金のほうが高くつきます。雇いません。
こうして、限界生産物=実質賃金率となるところまで雇用する、というわけです。
⑤ なぜ右下がりになるのか
労働の限界生産物は、雇用量が増えるほど小さくなります(限界生産力逓減の法則)。
ミクロ経済学で学んだ「収穫逓減」と同じ性質です。
したがって、
実質賃金率が下がるほど雇用量が増えるので、労働需要曲線は右下がりになります。
⑥ ミクロとのつながり
ミクロ経済学で学んだ「限界生産物価値=賃金率」という条件と、
実質的には同じことを言っています。
両辺を で割ると、
労働の限界生産物=実質賃金率、という形になりました。
ミクロとマクロで表現が違うだけで、中身は同じです。
具体例
労働需要の決まり方を、数値で追ってみましょう。
設定: ある企業の労働の限界生産物が次のようだとします。
| 雇用量(人) | 労働の限界生産物 |
|---|---|
| 1 | 12 |
| 2 | 10 |
| 3 | 8 |
| 4 | 6 |
| 5 | 4 |
雇用量が増えるほど限界生産物が小さくなっています(限界生産力逓減)。
ケース1: 実質賃金率が10のとき
| 雇用量 | 限界生産物 | 実質賃金率 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 1人目 | 12 | 10 | → 雇う |
| 2人目 | 10 | 10 | → ちょうど境目 |
| 3人目 | 8 | 10 |
雇用量は2人です。
ケース2: 実質賃金率が6に下がったとき
| 雇用量 | 限界生産物 | 実質賃金率 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 1〜3人目 | 12, 10, 8 | 6 | すべて → 雇う |
| 4人目 | 6 | 6 | ちょうど境目 |
| 5人目 | 4 | 6 |
雇用量は4人に増えました。
まとめる
| 実質賃金率 | 雇用量 |
|---|---|
| 12 | 1人 |
| 10 | 2人 |
| 8 | 3人 |
| 6 | 4人 |
| 4 | 5人 |
縦軸に実質賃金率、横軸に雇用量をとってプロットすると、右下がりになります。
これが労働需要曲線です。
第7章の投資の限界効率曲線と同じ構造
第7章で、投資の限界効率が大きい順に並べると右下がりになり、
利子率と比べて実行する案件を決める、という話がありました。
ここでも、労働の限界生産物が大きい順に並べると右下がりになり、
実質賃金率と比べて雇う人数を決めています。
「限界○○と価格を比べて、限界○○が上回る分だけ実行する」
ミクロでもマクロでも、この考え方が何度も出てきます。
1つ理解すれば、残りは同じ型として処理できます。
試験での問われ方
→ 正しい。
→ 誤り。それは第二公準です(次のテーマ)。
試験のポイント
② 古典派の第二公準
このグラフは、古典派の第二公準という考えにもとづいて導かれます。
古典派の第二公準とは、
労働の供給量は家計の効用最大化行動により決定されるという考えのことです。
③ 意味を読み解く
家計にとって、働くことには2つの面があります。
実質賃金率が高ければ、1時間働いて得られる財が多くなるので、
余暇を犠牲にしてでも働く価値が出てきます。
逆に実質賃金率が低ければ、働いてもたいして買えないので、
休んでいたほうが効用が高い、ということになります。
したがって、実質賃金率が高いほど労働供給が増えるわけです。
(第2章のミクロ経済学で学んだ「労働供給の決定」と同じ考え方です。
所得と余暇の間の選択として、無差別曲線と予算制約線で分析しました。)
④ 2つの公準を並べる
| 古典派の第一公準 | 古典派の第二公準 | |
|---|---|---|
| 何を決めるか | 労働の需要量 | 労働の供給量 |
| 誰の行動か | 企業 | 家計 |
| 何を最大化するか | 利潤 | 効用 |
| 曲線の形 | 右下がり | 右上がり |
「第一が企業の需要、第二が家計の供給」と覚えてください。
⑤ 効率賃金理論(仮説)
労働市場の現実を説明する別の考え方も紹介されています。
効率賃金理論(仮説)とは、
**労働市場の需要と供給から決定される均衡賃金よりも高い賃金を労働者に支払うことで、
労働者の働く意欲が高まり生産性が高まる**というものです。
この賃金水準を効率賃金とよび、
企業は効率賃金がもたらす効果を考慮し、利潤が最大化する賃金率と雇用量を決定します。
なぜ高い賃金を払うのか
均衡賃金より高い賃金を払えば、人件費は増えます。
しかし、
これらの効果が人件費の増加を上回れば、企業にとって得になります。
試験での位置づけ
効率賃金理論は、均衡賃金より高い水準で賃金が決まりうることを説明する理論です。
賃金が高止まりすれば労働供給が需要を上回り、失業が生まれます。
非自発的失業を説明する理論の1つ、という位置づけで理解しておいてください。
用語として問われることがあるので、
「効率賃金=均衡賃金より高い賃金を払うことで生産性を高める」
という定義は押さえておきましょう。
具体例
労働供給の決まり方を、家計の判断として考えてみましょう。
設定: Aさんは、時給(実質)に応じて週に何時間働くかを決めます。
実質時給が低いとき(1,000円)
「週40時間働いても4万円。それなら30時間にして、
残りの時間は家族と過ごすほうが幸せだ。」
→ 労働供給は30時間
実質時給が上がったとき(2,000円)
「週40時間なら8万円。これだけもらえるなら、少し休みを削ってでも働こう。」
→ 労働供給は40時間
実質時給がさらに上がったとき(3,000円)
「週45時間で13.5万円。休みは減るが、その分の収入は大きい。」
→ 労働供給は45時間
まとめる
| 実質時給 | 労働供給 |
|---|---|
| 1,000円 | 30時間 |
| 2,000円 | 40時間 |
| 3,000円 | 45時間 |
縦軸に実質賃金率、横軸に労働供給をとると、右上がりになります。
経済全体で見ると
個人の労働時間だけでなく、働くかどうかの判断も含まれます。
実質賃金率が低ければ「この条件では働かない」という人が増え、
高ければ「それなら働こう」という人が増えます。
だから、経済全体の労働供給曲線も右上がりになります。
効率賃金理論の具体例
ある会社の労働市場の均衡賃金が月25万円だとします。
しかしこの会社は、あえて月30万円を払うことにしました。
なぜか
これらの効果で生産性が20%上がるなら、
賃金を20%上げても割に合う、という計算です。
その結果として何が起きるか
月30万円という高い賃金に、多くの人が応募します(労働供給が増える)。
しかし会社が雇うのは決まった人数だけです(労働需要は変わらない)。
試験のポイント
物価が変われば名目賃金率も同じだけ変わるので、実質賃金率は動きません。
実質賃金率が動かなければ、労働需要も労働供給も動きません。
したがって、いかなる物価水準が与えられても、名目賃金率が伸縮的に変化するので、
労働市場はつねに均衡し、 という雇用水準が実現します。
③ ケインズの想定
名目賃金率は下方硬直性をもつため、非自発的失業が存在し得る
上がるときは伸縮的に上がるが、下がるときは下がらない、というのがポイントです。
賃金の下方硬直性とは、「賃金(名目賃金率)は低下しにくい」という性質のことです。
労働組合との協約、雇用契約、最低賃金制度、
そして「給料が下がるのは嫌だ」という人間の心理などが理由とされます。
④ 自発的失業と非自発的失業
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 自発的失業 | 労働者が、現行の賃金では働かないことを選択するために生じる失業 |
| 非自発的失業 | 現行の賃金で働くことを希望しているにもかかわらず、就業できない労働者の失業 |
「働きたくないから働いていない」のが自発的失業、
「働きたいのに働けない」のが非自発的失業です。
古典派の想定では非自発的失業は存在しません。
失業しているのは「その賃金では働きたくない」と選んだ人だけ、ということになります。
⑤ ケインズ理論で非自発的失業が生じる仕組み
当初、物価水準が 、名目賃金率が 、
実質賃金率が で労働市場が均衡していたとします。
物価水準 が下落した場合
物価水準が から に下落すると、
実質賃金率が へと上昇します(名目賃金率は下方硬直的であるため)。
新たな実質賃金率 のもとでは、
労働需要 < 労働供給となり、超過供給分にあたる に相当する
非自発的失業が生じます。
このように、物価が下落すると、非自発的失業が増加する(雇用量が減少する)ことが分かります。
物価水準 が上昇した場合
物価水準が よりも上昇した場合、
名目賃金率は上方には伸縮的に変化すると想定するため、実質賃金率は一定の水準で保たれます。
つまり労働市場は均衡し、**物価水準が 以上に上昇しても、
雇用量は完全雇用 で一定**となります。
⑥ 2つの理論の対比
| 古典派 | ケインズ | |
|---|---|---|
| 名目賃金率 | 伸縮的(上にも下にも動く) | 下方硬直的(上には動くが下には動かない) |
| 物価が下落したとき | も下落 → 実質賃金率は不変 | は不変 → 実質賃金率は上昇 |
| 労働市場 | つねに均衡 | 物価下落時は超過供給(不均衡) |
| 非自発的失業 | 存在しない | 存在し得る |
| 雇用量 | つねに完全雇用 | 物価下落時は より少ない |
この違いが、次節でAS曲線の形(垂直か屈折か)を分けることになります。
具体例
ケインズ理論で非自発的失業が生じる過程を、数値で追ってみましょう。
設定
この実質賃金率30で労働市場が均衡し、雇用量は (万人)だとします。
物価が0.8に下落した
古典派の場合
名目賃金率も伸縮的に下がります。
実質賃金率は で変わりません。
労働需要も労働供給も変わらないので、雇用量は100のままです。
失業は生じません。
ケインズの場合
名目賃金率は下方硬直的なので、30のまま動きません。
実質賃金率は に上昇してしまいます。
このとき労働市場では
実質賃金率が30から37.5に上がったので、
実際の雇用量は、需要と供給の少ないほう、つまり85万人です。
非自発的失業は、
25万人が「今の賃金で働きたいのに雇ってもらえない」状態になりました。
物価が1.2に上昇した場合
ケインズの場合でも、名目賃金率は上方には伸縮的に動きます。
実質賃金率は で変わりません。
雇用量は100のまま、失業は生じません。
まとめる(ケインズ理論)
| 物価 | 名目賃金率 | 実質賃金率 | 雇用量 | 非自発的失業 |
|---|---|---|---|---|
| 0.8 | 30(硬直) | 37.5 | 85 | 25 |
| 1.0 | 30 | 30.0 |
物価が下がったときだけ失業が生じる、という非対称な結果になっています。
この表がAS曲線の形になる
雇用量が増えれば総供給が増えます。
| 物価 | 雇用量 | 総供給(国民所得) |
|---|---|---|
| 0.8 | 85 | 少ない |
| 1.0 | 100 | 完全雇用水準 |
| 1.2 | 100 | 完全雇用水準(変わらない) |
物価が 以下では、物価が上がるほど総供給が増える(右上がり)。
物価が より上では、総供給は完全雇用水準で一定(垂直)。
原点から完全雇用国民所得までは右上がりで、そこで垂直になる。
これが次節で学ぶケインズのAS曲線

労働市場と非自発的失業

古典派とケインズの労働市場
試験のポイント
プレミアムプラン
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決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。
覚え方は「第一が需要(企業)、第二が供給(家計)」です。
企業は利潤を、家計は効用を最大化する。ミクロ経済学の基本の対応そのままです。
しかもこの失業は、「その賃金では働きたくない」という自発的なものではありません。
「その賃金で働きたいのに雇ってもらえない」という非自発的失業です。
試験での問われ方
→ 正しい。
高い賃金です。
2つの公準の覚え方(再確認)
第一は企業(需要)、第二は家計(供給)。
「企業が先、家計が後」と1回覚えてしまえば、
「利潤最大化か効用最大化か」「右下がりか右上がりか」も自動的についてきます。
| 0 |
| 1.2 | 36(伸縮) | 30.0 | 100 | 0 |
労働市場の分析が、そのままAS曲線の形になっていることが確認できます。
設例(令和4年第7問に近い形)
問: 次の記述の正誤を判定せよ。
a 古典派理論では、名目賃金率が伸縮的であるため、非自発的失業は存在しない。
b ケインズ理論では、名目賃金率に下方硬直性があるため、物価が上昇すると非自発的失業が生じる。
c 自発的失業とは、現行の賃金で働くことを希望しているにもかかわらず就業できない失業である。
解答
a ○: そのとおりです。名目賃金率が伸縮的なら実質賃金率が均衡水準に保たれ、
労働市場はつねに均衡します。
b ×: 物価が下落すると非自発的失業が生じます。
物価が上昇する場合は名目賃金率も上がるので、実質賃金率は変わらず、失業は生じません。
向きが逆です。
c ×: それは非自発的失業の定義です。
自発的失業は「現行の賃金では働かないことを選択するために生じる失業」です。