外部効果
市場の失敗と政府の役割
この節では、市場の失敗の代表例である外部効果(外部性)を学びます。外部経済と外部不経済の違い、外部不経済がもたらす厚生損失、そしてピグー税やコースの定理などの是正手段を理解しましょう。
外部経済と外部不経済
簡単にいうと
市場の外で他の人にプラスの影響を与えるのが外部経済、マイナスの影響が外部不経済!公害が典型例だよ!
外部効果(外部性)とは、ある経済主体の活動が市場を介さずに他の経済主体に影響を及ぼすこと。
正の外部効果(外部経済): プラスの影響。例: 養蜂家と果樹園(受粉の恩恵)、教育(社会全体の生産性向上)。→ 供給が過少になる
負の外部効果(外部不経済): マイナスの影響。例: 工場の排煙による大気汚染、騒音。→ 供給が過大になる
どちらの場合も市場での自由な取引に任せてはパレート効率的な状態は実現されない。
具体例
アルミニウム工場が排出する煙に汚染物質が含まれ、近隣住民の健康に影響→外部不経済。工場は自社のコスト(私的限界費用PMC)だけで生産量を決めるが、社会的には汚染コストも含めた社会的限界費用SMC=PMC+限界外部費用で生産量を決めるべき。
試験のポイント
- ・要は「外部経済→社会的には足りない(過少供給)、外部不経済→社会的には多すぎる(過大供給)」の対応関係
- ・正の外部効果→過少供給、負の外部効果→過大供給
- ・PMC(私的限界費用)とSMC(社会的限界費用)の区別が重要
外部不経済の厚生損失と最適生産量
簡単にいうと
外部不経済があると、市場に任せた生産量は社会的に望ましい量より多すぎる!その差が死荷重になるの!
外部不経済がある場合、社会的限界費用SMC=私的限界費用PMC+限界外部費用。市場均衡では D=PMC(私的限界費用)で取引量Q₀が決まるが、社会的最適ではD=SMC(社会的限界費用)で取引量Q*(<Q₀)が決まる。市場均衡の生産量Q₀は社会的最適Q*を上回り、Q*からQ₀の間で死荷重(厚生損失)が発生する。死荷重=SMCとDの間の三角形の面積。
具体例
市場均衡で生産量Q₀=100のとき、SMC=PMC+外部費用のもとでの社会的最適はQ*=70。Q*=70からQ₀=100の区間でSMC>D→社会的にはこの分の生産は損失を生んでいる。

外部不経済の厚生損失
試験のポイント
- ・要は「市場に任せるとQ₀(多すぎ)、社会的にはQ*(少なめ)が最適で、その差が死荷重」ということ
- ・PMCとSMCのグラフから社会的最適生産量と市場均衡の差を読み取る問題が頻出
- ・死荷重の三角形の面積計算も出る
外部性の是正手段
簡単にいうと
外部不経済にはピグー税、外部経済には補助金!他にもコースの定理や合併で解決できることもあるよ!
外部性の是正手段(内部化の方法):
直接規制: 排出量の上限設定等
ピグー税: 負の外部効果をもたらす活動に対して、限界外部費用に等しい税を課す→PMC+税=SMCとなり社会的最適が実現
補助金: 正の外部効果をもたらす活動に補助金を交付→供給量増加
排出権取引: 排出枠を設定し市場で取引
コースの定理: 取引費用がゼロで所有権が明確に設定されていれば、当事者間の交渉で外部性は解消される(政府介入不要)。ただし現実には取引費用が存在するため完全には機能しにくい
合併: 外部不経済を発生させる主体と被害を受ける主体が合併することで外部性を内部化
具体例
ピグー税: アルミニウム1単位あたりt円の課税→供給曲線がt上方シフト→社会的最適生産量Q*が実現。コースの定理: 工場と漁師が交渉し、工場が漁師に補償金を支払って汚染量を調整→政府介入なしで最適に。
試験のポイント
- ・要は「ピグー税=外部費用分だけ課税して内部化、コースの定理=取引費用ゼロなら交渉で解決」の2つが最頻出
- ・ピグー税の余剰分析(課税前後の比較)は計算問題で出る
- ・コースの定理の前提条件(取引費用ゼロ+所有権の明確化)を正確に覚える
まとめ
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