貨幣需要
貨幣市場とIS-LM分析
この節では、ケインズの流動性選好理論に基づく貨幣需要を学びます。貨幣の取引需要と投機的需要、債券価格と利子率の関係、流動性のわなについて理解しましょう。
債券価格と利子率の関係
簡単にいうと
債券価格と利子率は逆に動く!債券価格が上がると利子率は下がり、下がると利子率は上がる。シーソーの関係だよ!
マクロ経済学では資産は貨幣と債券の2種類のみと仮定。
債券価格と利子率の関係:
額面1,000円、利子額100円の債券の場合:
- 債券価格1,000円のとき: 利子率
- 債券価格2,000円のとき: 利子率
債券価格↑ → 利子率↓、債券価格↓ → 利子率↑(逆の関係)
この関係を理解することが、投機的需要の理解の基礎となる。
具体例
額面1,000円、利子額100円の債券:
- 債券価格500円で購入: 利子率
- 債券価格2,000円で購入: 利子率
利子率が高い(債券が安い)とき → 「今が買い時!」→ 債券を買う → 貨幣需要減少
試験のポイント
- ・要は「債券価格と利子率はシーソーの関係(逆相関)」
- ・利子率=利子額/債券価格の公式から理解する
- ・この関係が投機的需要の根拠になる
取引需要と投機的需要
簡単にいうと
お金を持ちたい理由は2つ!「日常の買い物用(取引需要)」と「債券投資のタイミング待ち(投機的需要)」!
ケインズの流動性選好理論では、貨幣需要(流動性需要)を2つに分類:
①取引需要 :
- 日常の取引に必要な貨幣への需要
- 国民所得の増加関数(所得が多いほど取引も多い)
- 利子率には依存しない
②投機的需要 :
- 資産運用のために貨幣を保有する需要
- 利子率の減少関数(利子率が低いほど貨幣で保有したい)
- 利子率低い → 債券価格高い → 「今後値下がりするかも」→ 貨幣で保有
- 利子率高い → 債券価格安い → 「今が買い時」→ 債券購入 → 貨幣需要減少
貨幣需要関数:
具体例
、 のとき:
, の場合:
試験のポイント
- ・要は「取引需要は所得Yの増加関数、投機的需要は利子率iの減少関数」
- ・2つの需要の決定要因の違いが最重要
- ・貨幣需要関数 はLM曲線導出の基礎
流動性のわな
簡単にいうと
利子率がもう下がりようがないほど低いとき、みんな「債券買っても損するだけ」と思って全部現金で持つ!これが流動性のわな!
流動性のわな(liquidity trap)とは、利子率が極端に低い水準に達した場合、投機的需要が無限大になる状態。
- 利子率が最低水準 → 債券価格が最高水準
- 「これ以上債券価格は上がらない(下がるだけ)」と全員が予想
- 誰も債券を買わず、すべての資産を貨幣で保有しようとする
- 貨幣需要曲線が水平になる
流動性のわなにおける政策効果:
- 金融政策は無効: 貨幣供給を増やしても利子率が下がらない → 投資増加なし
- 財政政策は有効: IS曲線の右シフトで直接的に国民所得を増加できる(クラウディング・アウトが発生しない)
具体例
利子率が0.01%(ほぼゼロ)の状態で:
日銀が買いオペでマネーサプライを増加 → 利子率は0.01%のまま変わらない → 投資は増えない → GDP増加なし
一方、政府支出を増加 → IS曲線右シフト → 利子率が変わらないのでクラウディング・アウトなし → GDPが乗数倍で増加
試験のポイント
- ・要は「利子率が下限に張り付いて金融政策が効かなくなる状態=流動性のわな」
- ・流動性のわなでは「金融政策無効・財政政策有効」が最頻出ポイント
- ・LM曲線が水平になることとの対応も重要
まとめ
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