寡占市場
不完全競争
この節では寡占市場を学びます。少数の企業が相互依存関係のもとで戦略的に行動する寡占市場の基本モデル(クールノー・ベルトラン・シュタッケルベルク)、ゲーム理論の基礎(ナッシュ均衡・囚人のジレンマ)、そして屈折需要曲線による価格硬直性の説明を理解します。
寡占モデル
簡単にいうと
寡占市場ではライバルの出方を考えながら自社の戦略を決める!クールノー・ベルトラン・シュタッケルベルクの3つのモデルがあるよ!
寡占市場では少数の企業が相互依存関係のもとで意思決定を行う。市場集中度の指標としてハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)がある。HHI=各企業のシェア(%)の二乗の和。独占なら (最大)。代表的な寡占モデル3つ:
クールノーモデル: 同質財を供給する2社が相手の供給量を所与として、自社の最適供給量を同時に決定。
ベルトランモデル: 差別化された財を供給する2社が相手の価格を所与として、自社の最適価格を同時に決定。
シュタッケルベルクモデル: 2社が生産量を戦略変数とするが、先導者(リーダー)が先に生産量を決め、追随者(フォロワー)がそれを見て最適生産量を決定。先導者が有利(先手の利益)。
具体例
HHI計算例: 4社のシェアが40%, 30%, 20%, 10%のとき、HHI = 40² + 30² + 20² + 10² = 1600 + 900 + 400 + 100 = 3000。4社均等シェア(25%ずつ)なら HHI = 25² × 4 = 2500。
試験のポイント
- ・要は「クールノー=数量の同時決定、ベルトラン=価格の同時決定、シュタッケルベルク=数量の逐次決定(先手有利)」の3モデルの区別が最重要
- ・HHIの計算問題も頻出
- ・クールノーモデルでは各社が相手の生産量を所与として反応関数を導出し、連立して均衡を求める
ゲーム理論と囚人のジレンマ
簡単にいうと
寡占企業の駆け引きを分析するのがゲーム理論!囚人のジレンマでは「裏切り合い」が均衡になっちゃうんだよ!
ゲーム理論は相互依存関係にある意思決定者(プレイヤー)の戦略的行動を分析する理論。標準型ゲーム(同時手番)はペイオフマトリックス(利得行列)で表現。支配戦略: 相手がどんな戦略をとっても自分にとって最適な戦略。ナッシュ均衡: 各プレイヤーが相手の戦略を所与として、自分の戦略を変更するインセンティブがない状態。囚人のジレンマ: 両者とも協調すれば双方にとって望ましいが、各自の支配戦略が非協調(裏切り)となり、パレート効率的でない均衡に陥る。繰り返しゲームでは協調行動が実現する可能性がある。
具体例
A社とB社が「高価格」「低価格」を選択。ペイオフ表:
| B: 高価格 | B: 低価格 | |
|---|---|---|
| A: 高価格 | (10, 10) | (-5, 15) |
| A: 低価格 | (15, -5) | (3, 3) |
A社: Bが高価格→低価格が有利(15>10)。Bが低価格→低価格が有利(3>-5)。→A社の支配戦略は低価格。B社も同様。ナッシュ均衡は(低価格, 低価格)=(3,3)。しかし(高価格, 高価格)=(10,10)の方が両者とも得→囚人のジレンマ。
試験のポイント
- ・要は「各プレイヤーが自分の利得を最大化するように行動した結果、社会的に最適でない均衡になりうる」のが囚人のジレンマ
- ・ペイオフマトリックスからナッシュ均衡を見つける手順(各プレイヤーの最適反応に下線→両方下線が引かれたセル)を確実にマスター
- ・支配戦略均衡とナッシュ均衡の違いを区別する
屈折需要曲線
簡単にいうと
自分が値下げするとライバルも追随するけど、値上げしてもライバルは追随しない!だから需要曲線が折れ曲がるの!
屈折需要曲線は寡占市場における価格の硬直性を説明するモデル。前提: ①自社が値下げ→ライバルも追随(客を奪われないため)。②自社が値上げ→ライバルは追随しない(客を奪えるため)。結果: 需要曲線が現在の価格で屈折する(値上げ方向は急傾斜=需要大きく減少、値下げ方向は緩傾斜=需要あまり増えない)。MR曲線に不連続部分(ギャップ)が生じる。MCがこのギャップの範囲内で変化しても、最適生産量と価格は変わらない→価格の硬直性。
具体例
現在の均衡が(Q₀, P₀)のとき、P₀より値上げ→ライバル追随せず→自社の需要大幅減(急な需要曲線に沿う)。P₀より値下げ→ライバルも追随→自社の需要増加は小さい(緩やかな需要曲線に沿う)。MCがMC₁からMC₂に変化してもMRのギャップ内なら、Q₀, P₀は変わらない。

屈折需要曲線とMRのギャップ
試験のポイント
- ・要は「値下げは追随される、値上げは追随されない→需要曲線が折れる→MRにギャップ→価格が動かない」という連鎖が核心
- ・MR曲線の不連続(ギャップ)の意味とMCの変化が価格に影響しない理由を説明できるようにする
- ・屈折需要曲線は価格の硬直性を説明するモデルであることが頻出
まとめ
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