IT資産管理
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プレミアムで見るクラウドコンピューティングとは、インターネットなどを介してデータやアプリケーションなどのコンピュータの資源をサービスの形で利用者に提供するコンピューティングの形態です。この節では、それを支える技術(とくにサーバの仮想化技術)、サービス提供範囲による分類(SaaS・PaaS・IaaS)、利用環境による分類(パブリック・プライベート・ハイブリッド・コミュニティ)、そして関連用語を学びます。令和3年度から7年度まで毎年のように出題されている、この科目の最重要分野のひとつです。
簡単にいうと
クラウドの特徴は「どのサーバにアクセスしているのかを意識することなく使える」!従来のクライアントサーバシステムとの違いはここだよ。支える技術は仮想化・分散・セキュリティの3つ。
① クラウドコンピューティングとは
クラウドコンピューティングとは、インターネットなどを介してデータやアプリケーションなどのコンピュータの資源をサービスの形で利用者に提供するコンピューティングの形態です。
② 何が変わったのか
従来は手元のコンピュータの中にあったデータやソフトウェア、ハードウェアの機能をインターネット上のサーバ群に移行し、必要に応じて必要な分だけ利用します。
| 従来 | クラウド | |
|---|---|---|
| データ | 手元のコンピュータ | インターネット上のサーバ群 |
| ソフトウェア | 同上 | 同上 |
| ハードウェアの機能 | 同上 |
具体例
「どのサーバかを意識しない」ことの意味
従来のクライアントサーバシステム
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 接続先 | 社内の業務サーバ(192.168.0.10) |
| そのサーバが止まったら | 業務が止まる |
| 能力を増やしたい | そのサーバを増強する |
クラウド
| 項目 | 内容 |
|---|---|

クラウドコンピューティングと支える技術(1/2)

クラウドコンピューティングと支える技術(2/2)
試験のポイント
簡単にいうと
3つの型! ホスト型・ハイパーバイザ型・コンテナ型。令和7年度第2問で3つとも入れ替えて出題されたよ。「ホストOSがあるか」「ゲストOSがあるか」で区別しよう。
① 3つの型
サーバの仮想化技術には、「ホスト型」「ハイパーバイザ型」「コンテナ型」があります。
② ホスト型
ホスト型では、ホストOS上に仮想化ソフトウェアを動作させ、その上で1つ以上のゲストOSを稼働させる技術です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ホストOS | 仮想化ソフトウェアをインストールするOS |
簡単にいうと
SaaS・PaaS・IaaSは「事業者がどこまで提供するか」!SaaSが一番広く、IaaSが一番狭い。そして「どこからが利用者の責任か」が令和6年度で問われたよ。
① サービス提供範囲による分類
クラウドコンピューティングは、サービス事業者が提供するサービスをユーザが利用するものですが、提供されるサービスの範囲により3つに分類されます。
② SaaS(Software as a Service)
SaaSは、サービス事業者が各種アプリケーション(ソフトウェア)までをサービスとして提供する形態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供範囲 | 各種アプリケーション(ソフトウェア)まで |
簡単にいうと
パブリック・プライベート・ハイブリッド・コミュニティの4つ!令和6年度第6問で4つとも問われたよ。コミュニティクラウドの「共通の懸念事項を持つ異なる組織」という表現がポイント。
① 利用環境による分類
クラウドコンピューティングは、従来オープンなネットワークであるインターネット上でサービスを提供するものでしたが、それを発展させた形態が登場しています。
利用環境により分類すると、3つに分類されます(これに加えてコミュニティクラウドがあります)。
② パブリッククラウド
パブリッククラウドは、業界・業種を問わず企業や個人に向けてクラウド環境を提供するオープンな形態です。
プライベートクラウドの登場により、その対義語として用いられるようになりました。
| 項目 |
|---|
簡単にいうと
残りは4つ! オンプレミス・クラウドコントローラ・コロケーション・リフト&シフト。リフト&シフトは「まずそのまま移し、あとで最適化する」——2段階であることが大事だよ。
① オンプレミス(on-premises)
オンプレミスとは、ユーザ企業などが情報システムのインフラ(基盤)を自社で保有し、自社が管理する設備において運用する形態を指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を | 情報システムのインフラ(基盤) |
| どうする | 自社で保有し、自社が管理する設備において運用する |
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| 利用の仕方 | すべて保有 | 必要に応じて必要な分だけ |
③ 従来との最大の違い
現在のインターネットは、サービスを提供する側(=サーバ)とサービスを利用する側(=クライアント)が通信し合うことでサービスを実現するクライアントサーバシステムを基本としています。
しかし、クライアントがどのサーバにアクセスしているのかを意識することなく、クラウド(=「雲:インターネット」を意味する)にアクセスしさえすればサービスを利用できる点が従来と大きく異なるところです。
| 従来 | クラウド | |
|---|---|---|
| どのサーバか | 意識する | 意識しない |
| アクセス先 | 特定のサーバ | クラウド |
「どのサーバかを意識しない」がクラウドの本質
④ 「クラウド」という語
| 語 | 意味 |
|---|---|
| cloud | 雲:インターネット |
ネットワーク図でインターネットを雲の形で描く慣習から来ています。
⑤ クラウドのメリット
ユーザにとって大規模な初期投資が不要になる点や、システムの利用量に合わせて柔軟にサービスを変更できる点などがメリットです。
| メリット |
|---|
| 大規模な初期投資が不要 |
| システムの利用量に合わせて柔軟にサービスを変更できる |
⑥ クラウドコンピューティングを支える技術
3つの技術が挙げられます。
⑦ 仮想化技術
仮想化技術とは、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークなど、物理的なシステム構成に依存することなくシステムを利用できる技術です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークなど |
| できること | 物理的なシステム構成に依存することなくシステムを利用できる |
⑧ 分散技術
分散技術とは、複数のコンピュータを連携させて、1つのものとして動作させる技術です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| やること | 複数のコンピュータを連携させる |
| 結果 | 1つのものとして動作させる |
⑨ セキュリティ技術
セキュリティ技術とは、インターネットなど、不特定多数の利用者が存在するネットワークで安全にデータをやり取りするための技術です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | 不特定多数の利用者が存在するネットワーク |
| 目的 | 安全にデータをやり取りする |
⑩ 3つの技術の役割
| 技術 | 果たす役割 |
|---|---|
| 仮想化技術 | 物理的な制約から切り離す |
| 分散技術 | 複数を1つに見せる |
| セキュリティ技術 | 共用でも安全にする |
なぜこの3つが必要なのか
| クラウドの特徴 | 必要な技術 |
|---|---|
| どのサーバかを意識しない | 仮想化技術、分散技術 |
| 必要な分だけ使う | 仮想化技術 |
| 複数の利用者で共用する | セキュリティ技術 |
⑪ 第6章・第7章とのつながり
| 第6章・第7章で学んだこと | ここでの関係 |
|---|---|
| クライアントサーバシステム | クラウドの基本となる形 |
| 暗号化、認証 | セキュリティ技術の中身 |
| 分散処理 | 分散技術 |
基礎技術の組み合わせでクラウドが成り立っている——この見方で整理すると理解しやすくなります。
| サービスのURL |
| 実際のサーバ | どこにあるか利用者は知らない |
| 1台止まったら | 他のサーバが処理する |
| 能力を増やしたい | 申し込めば増える |
利用者から見て何が変わるか
| 場面 | 従来 | クラウド |
|---|---|---|
| サーバの故障 | 業務が止まる | 気づかない |
| 利用者が増えた | 重くなる | 自動で対応 |
| 機器の更新 | 移行作業が必要 | 意識しない |
「意識しない」ことが価値
3つの技術がどう働いているか
仮想化技術
| 物理 | 仮想 |
|---|---|
| 1台の高性能サーバ | 10台の仮想サーバとして使う |
| 10台のサーバ | 1台の巨大なサーバとして使う |
両方向にできる
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| 小さな処理が多数 | 1台を分割して使う |
| 大きな処理が1つ | 複数台を束ねて使う |
分散技術
| 場面 | 動き |
|---|---|
| アクセスが集中 | 複数のサーバに振り分ける |
| 1台が故障 | 残りで処理を続ける |
| データの保管 | 複数箇所に複製する |
「複数箇所に複製する」の意味
| 1箇所に保管 | 複数箇所に複製 | |
|---|---|---|
| 故障時 | 失われる | 残る |
| 災害時 | 失われる | 別拠点に残る |
第7章で学んだ障害対策——デュプレックスシステム、ミラーリング——と同じ発想が、大規模に実装されています。
セキュリティ技術
| 課題 | 対応する技術 |
|---|---|
| 通信の盗聴 | 暗号化(SSL/TLS) |
| なりすまし | 認証(多要素認証) |
| 他の利用者からの覗き見 | 論理的な分離 |
| 不正アクセス | アクセス制御 |
「他の利用者から見えない」ことの保証
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 同じサーバなら他社のデータが見える | 論理的に分離されている |
それでも懸念が残る場面
| 業種・データ | 懸念 |
|---|---|
| 医療情報 | 法令上の制約 |
| 金融情報 | 同上 |
| 設計図面 | 競合への流出 |
このためにプライベートクラウドがある——第4テーマで学びます。
中小企業がクラウドを選ぶ理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 初期投資が不要 | 資金繰りが楽 |
| IT担当者が不要 | 運用は事業者が行う |
| すぐ始められる | 申し込んで即日 |
| やめやすい | 契約期間の範囲で |
| 場所を選ばない | どこからでも使える |
「必要に応じて必要な分だけ」の実例
繁忙期のあるネット通販
| 時期 | 必要な能力 | クラウドでの対応 |
|---|---|---|
| 通常期 | サーバ2台分 | 2台分の料金 |
| セール期 | サーバ10台分 | 一時的に10台分 |
| セール後 | 2台分に戻す | 料金も戻る |
オンプレミスなら
| 対応 | 結果 |
|---|---|
| 10台分を用意 | 通常期は8台分が遊ぶ |
| 2台分しか用意しない | セール時にサイトが落ちる |
「サイトが落ちる」ことの損失
| 状況 | 損失 |
|---|---|
| セール当日にアクセスできない | 売上の機会損失 |
| 顧客の信頼 | 失う |
| SNSで拡散 | 評判の低下 |
クラウドはこの問題を構造的に解決します。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a クラウドコンピューティングでは、クライアントがどのサーバにアクセスしているのかを意識することなくサービスを利用できる。
> b 仮想化技術とは、物理的なシステム構成に依存することなくシステムを利用できる技術である。
> c 分散技術とは、1つのコンピュータを複数に分けて動作させる技術である。
解答 a:○ b:○ c:×
| 仮想マシン上のOS |
③ ホスト型の構成
| 層(下から) |
|---|
| ハードウェア |
| ホストOS |
| 仮想化ソフト |
| ゲストOS(複数) |
| アプリケーション |
④ ホスト型のメリットとデメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 既存のシステム環境で手軽にサーバ仮想化を実現できる |
| デメリット | ゲストOSがハードウェアリソースにアクセスするためにはホストOSを経由する必要があるため、オーバーヘッドとよばれる余分なリソースの消費が多くなる |
オーバーヘッドとは
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| オーバーヘッド | 余分なリソースの消費 |
ホストOSを経由する分だけ無駄が生じる——これがホスト型の構造的な弱点です。
⑤ ハイパーバイザ型
ハイパーバイザ型は、広義と狭義のハイパーバイザ型が存在しますが、ここで取り上げるハイパーバイザ型は、ネイティブ型ハイパーバイザとします。
ハイパーバイザ型は、単一の物理マシン上に直接、仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザ)を動作させ、その上で1つ以上の仮想マシンを稼働させる技術です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 仮想マシン | 各仮想マシンが独立してゲストOSやアプリケーションを実行できる仮想的なコンピュータ |
⑥ ハイパーバイザ型の構成
| 層(下から) |
|---|
| ハードウェア |
| ハイパーバイザ |
| ゲストOS(複数) |
| アプリケーション |
⑦ ハイパーバイザ型の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | ホストOSが存在しない点 |
| メリット | ホスト型に比べてサーバのリソース(CPU、メモリなど)をより効率的に利用できる |
| デメリット | 既存のホスト型をそのまま利用できないため、専用の物理サーバを用意する必要があり、ホスト型と比較すると手軽には利用できない |
「ホストOSが存在しない」が最大の特徴
| ホスト型 | ハイパーバイザ型 | |
|---|---|---|
| ホストOS | ある | ない |
| ゲストOS | ある | ある |
⑧ コンテナ型
コンテナ型は、アプリケーションやライブラリなどをパッケージ化し、ホストOSのカーネルを直接利用することで、ゲストOSなしでアプリケーションを稼働させる技術です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| やること | アプリケーションやライブラリなどをパッケージ化する |
| 利用するもの | ホストOSのカーネルを直接利用する |
| 特徴 | ゲストOSなしでアプリケーションを稼働させる |
⑨ コンテナ型の構成
| 層(下から) |
|---|
| ハードウェア |
| (カーネル)ホストOS |
| コンテナエンジン |
| アプリケーション(コンテナとして複数) |
⑩ コンテナ型のメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| どこでも起動できる | コンテナエンジン(コンテナ管理ソフトウェア)さえあればどこでも起動できるのが最大のメリット |
| 環境要因によるバグを減らせる | テスト環境で動作したものをそのまま本番環境に展開することができる |
| コストを下げられる | 開発コストだけでなく運用コストも下げることができる |
| 軽く速い | ゲストOSを持たない分、ハイパーバイザ型よりオーバーヘッドが少なく、軽く速い処理が行える |
⑪ カーネルとは
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| カーネル | OSの中核部分 |
コンテナエンジンはカーネルとよばれるOSの中核部分を利用して動作しているため、ゲストOSを持ちません。
⑫ 3つの型の比較
| 項目 | ホスト型 | ハイパーバイザ型 | コンテナ型 |
|---|---|---|---|
| インストール方法 | ホストOS上に仮想化ソフトをインストール | 物理マシン上にハイパーバイザとよばれる仮想化ソフトウェアを直接インストール | ホストOSに仮想的なユーザ空間(コンテナ)を構築 |
| 処理スピード | 遅い | 中程度 | 速い |
| リソースの効率性 | 低い | 中程度 | 高い |
| 運用の複雑さ | 中程度 | 複雑 | シンプル |
⑬ 判別のキーワード
| 選択肢の語 | 対応する型 |
|---|---|
| ホストOS上に仮想化ソフトウェアを動作させ、その上で1つ以上のゲストOSを稼働 | ホスト型 |
| 物理マシン上に直接、仮想化ソフトウェアを動作させ、その上で1つ以上のゲストOSを稼働 | ハイパーバイザ型 |
| アプリケーションやライブラリなどをパッケージ化し、ホストOSのカーネルを直接利用 | コンテナ型 |
| ゲストOSなしで | コンテナ型 |
⑭ 判別の手順
| 問い | 答え |
|---|---|
| ゲストOSがあるか | ない → コンテナ型 |
| (ゲストOSがある場合)ホストOSがあるか | ある → ホスト型/ない → ハイパーバイザ型 |
この2段階で確実に判別できます。
具体例
設例 仮想化技術
> 仮想化技術に関する次の記述の正誤を判定せよ。(令和7年度第2問 改題)
> ア コンテナは、物理マシン上に直接、仮想化ソフトウェアを動作させ、その上で1つ以上のゲストOSを稼働させる技術である。
> イ コンテナは、ホストOS上に仮想化ソフトウェアを動作させ、その上で1つ以上のゲストOSを稼働させる技術である。
> ウ ハイパーバイザは、アプリケーションやライブラリなどをパッケージ化し、ホストOSのカーネルを直接利用することで、ゲストOSなしでアプリケーションを稼働させる技術である。
解答 ア:× イ:× ウ:×
3つすべてが入れ替わっている
| 選択肢 | 書かれている内容 | 本来の型 |
|---|---|---|
| ア(コンテナ) | 物理マシン上に直接、ゲストOSを稼働 | ハイパーバイザ型 |
| イ(コンテナ) | ホストOS上に仮想化ソフト、ゲストOSを稼働 | ホスト型 |
| ウ(ハイパーバイザ) | ゲストOSなしで稼働 | コンテナ型 |
「ゲストOSなし」がコンテナの目印
| 型 | ゲストOS |
|---|---|
| ホスト型 | ある |
| ハイパーバイザ型 | ある |
| コンテナ型 | ない |
アとイの違いに注目
| ア | イ | |
|---|---|---|
| 仮想化ソフトを動かす場所 | 物理マシン上に直接 | ホストOS上 |
この一語の違いが、ハイパーバイザ型とホスト型を分けます。
なぜ3つの型が生まれたのか
段階①:ホスト型(手軽さ)
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| 既に使っているパソコンやサーバがある | その上に仮想化ソフトを入れるだけ |
| 手軽に試せる | 専用機器が不要 |
開発者が手元で試すのに適しています。
段階②:ハイパーバイザ型(効率)
| 課題 | 対応 |
|---|---|
| ホストOSを経由する無駄 | ホストOSをなくす |
| リソースが有効に使えない | より効率的に利用できる |
本番環境で多数の仮想サーバを動かすのに適しています。
段階③:コンテナ型(軽さと可搬性)
| 課題 | 対応 |
|---|---|
| ゲストOSも重い | ゲストOSをなくす |
| 環境が違うと動かない | パッケージ化してどこでも動かす |
「テスト環境で動いたのに本番で動かない」問題
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| ライブラリのバージョンが違う | 動作が変わる |
| 設定が違う | 同上 |
| OSのバージョンが違う | 同上 |
コンテナ型で解決する
| 従来 | コンテナ型 | |
|---|---|---|
| 持っていくもの | アプリケーションだけ | アプリケーション+ライブラリ+設定 |
| 動作 | 環境依存 | どこでも同じ |
「テスト環境で動作したものをそのまま本番環境に展開できる」
第9章とのつながり
| 学んだこと | コンテナとの関係 |
|---|---|
| 継続的インテグレーション | 頻繁な統合とテストを支える |
| DevOps | 開発と運用で同じ環境を使える |
| アジャイル開発 | 頻繁なリリースを支える |
コンテナ技術がDevOpsを実用的にした——この関係は押さえておく価値があります。
中小企業に関係あるか
| 立場 | 関わり |
|---|---|
| 利用者として | 意識しない(クラウドの内部で使われている) |
| 自社で開発する場合 | 関わる |
間接的には大きく関わる
| 恩恵 | 内容 |
|---|---|
| クラウドの料金が下がる | リソースが効率的に使えるため |
| サービスの提供が速い | 申し込んですぐ使える |
| 品質が安定する | 環境要因のバグが減る |
「なぜクラウドは安くて速いのか」の答えが仮想化技術——この理解があると、クラウドの性格が見えてきます。
処理スピードとリソース効率の順序
| 型 | 処理スピード | リソースの効率性 |
|---|---|---|
| ホスト型 | 遅い | 低い |
| ハイパーバイザ型 | 中程度 | 中程度 |
| コンテナ型 | 速い | 高い |
両方とも同じ順序
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 層が少ないほど速い | オーバーヘッドが小さい |
| 層が少ないほど効率的 | 同上 |
運用の複雑さは順序が違う
| 型 | 運用の複雑さ |
|---|---|
| ホスト型 | 中程度 |
| ハイパーバイザ型 | 複雑 |
| コンテナ型 | シンプル |
ハイパーバイザ型が最も複雑
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 専用の物理サーバが必要 | 手軽には使えない |
| 専門知識が要る | 設計と運用 |
この表は、そのまま出題されうる形なので押さえておきましょう。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a ホスト型では、ゲストOSがハードウェアリソースにアクセスするためにホストOSを経由する必要があるため、オーバーヘッドが多くなる。
> b ハイパーバイザ型は、ホストOSが存在しない点が特徴である。
> c コンテナ型は、ハイパーバイザ型よりオーバーヘッドが多く、処理スピードが遅い。
解答 a:○ b:○ c:×

サーバの仮想化技術(1/2)

サーバの仮想化技術(2/2)
試験のポイント
③ SaaSでの責任分界
SaaSを利用する場合、クラウドサービス事業者が提供するアプリケーションを利用するためのデータやアプリケーション上で生成したデータを管理する責任はクラウドサービス利用者が負います。
| 管理する責任 | 誰が |
|---|---|
| アプリケーションを利用するためのデータ/アプリケーション上で生成したデータ | クラウドサービス利用者 |
④ ASPとSaaSの関係
一般的に、「ASP」と「SaaS」は、明確には区分されていません。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| ASP(Application Service Provider) | 汎用的なアプリケーションの機能をネットワーク経由で複数のユーザに提供する事業者 |
⑤ PaaS(Platform as a Service)
PaaSは、アプリケーションを稼働させるための基盤(プラットフォーム)までをサービスとして提供する形態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供範囲 | アプリケーションを稼働させるための基盤(プラットフォーム)まで |
⑥ PaaSでの責任分界
PaaSはクラウドサービス事業者がハードウェアやネットワークを管理する責任を負います。
| 管理する責任 | 誰が |
|---|---|
| ハードウェアやネットワーク | クラウドサービス事業者 |
⑦ IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSは、サーバ、CPU、ストレージなどのインフラまでをサービスとして提供する形態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供範囲 | サーバ、CPU、ストレージなどのインフラまで |
⑧ IaaSでの責任分界
IaaSはクラウドサービス利用者がミドルウェアやOSを管理する責任を負います。
| 管理する責任 | 誰が |
|---|---|
| ミドルウェアやOS | クラウドサービス利用者 |
⑨ 3層で整理する
システムを3つの層に分けて考えます。
| 層(上から) |
|---|
| アプリケーション |
| ミドルウェア/OS |
| ハードウェア/ネットワーク |
サービス事業者が提供・保守する範囲
| 分類 | 提供・保守する範囲 |
|---|---|
| SaaS | アプリケーション + ミドルウェア/OS + ハードウェア/ネットワーク(すべて) |
| PaaS | ミドルウェア/OS + ハードウェア/ネットワーク |
| IaaS | ハードウェア/ネットワーク |
⑩ 利用者が管理する範囲
| 分類 | 利用者が管理する範囲 |
|---|---|
| SaaS | データ |
| PaaS | アプリケーション + データ |
| IaaS | ミドルウェア/OS + アプリケーション + データ |
事業者の範囲が広いほど、利用者の範囲は狭い——この対応関係が出題の中心です。
⑪ 判別のポイント
| 選択肢の語 | 対応 |
|---|---|
| アプリケーション(ソフトウェア)までを提供 | SaaS |
| 基盤(プラットフォーム)までを提供 | PaaS |
| サーバ、CPU、ストレージなどのインフラまでを提供 | IaaS |
| 利用者がミドルウェアやOSを管理 | IaaS |
| 事業者がハードウェアやネットワークを管理 | PaaS(SaaS、IaaSでもそうだが、PaaSの説明として出題) |
⑫ CaaS(Cloud as a Service)
3分類を発展させたものとして登場した分類です。
CaaSは、クラウドサービスの類型のひとつで、クラウド上で他のクラウドサービスを提供するハイブリッド型を指します。
インターネット、VPN、または専用ネットワーク接続を介して各種サービスへのアクセスを提供するクラウドコンピューティングソリューションのひとつです。
CaaSで提供するサービスには、IaaS、PaaS、およびSaaSなどが含まれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何か | クラウド上で他のクラウドサービスを提供するハイブリッド型 |
| 接続 | インターネット、VPN、または専用ネットワーク接続 |
| 含まれるもの | IaaS、PaaS、およびSaaSなど |
⑬ DaaS(Desktop as a Service)
DaaSは、利用する端末には最低限の機能しかもたせず、サーバ側でアプリケーションやファイルなどの資源を管理するシステムや技術です。
クラウド上でOSやアプリケーションが動作し、必要に応じてそれらを呼び出して利用します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 端末 | 最低限の機能しかもたせない |
| サーバ側 | アプリケーションやファイルなどの資源を管理 |
| 動作する場所 | クラウド上でOSやアプリケーションが動作 |
⑭ DaaSの効果
DaaSを利用すると、PC所有による情報漏えいなどのセキュリティリスクへの対応も講じることができます。
| リスク | 対応 |
|---|---|
| PCの紛失・盗難による情報漏えい | 端末にデータがないため漏えいしない |
第7章で学んだシンクライアントと同じ発想を、クラウドで実現したものです。
具体例
設例 SaaS・PaaS・IaaSの責任分界
> 次の正誤を判定せよ。(令和6年度第11問 改題)
> ア IaaSを利用する場合、ミドルウェアやOSを管理する責任はクラウドサービス事業者が負う。
> イ PaaSを利用する場合、ハードウェアやネットワークを管理する責任はクラウドサービス利用者が負う。
> エ SaaSを利用する場合、クラウドサービス事業者が提供するアプリケーションを利用するためのデータやアプリケーション上で生成したデータを管理する責任はクラウドサービス利用者が負う。
解答 ア:× イ:× エ:○
アとイは「事業者」と「利用者」が逆
| 選択肢 | 書かれている責任者 | 正しい責任者 |
|---|---|---|
| ア(IaaS、ミドルウェア/OS) | 事業者 | 利用者 |
| イ(PaaS、ハードウェア/ネットワーク) | 利用者 | 事業者 |
判断の原則
| 層 | SaaS | PaaS | IaaS |
|---|---|---|---|
| アプリケーション | 事業者 | 利用者 | 利用者 |
| ミドルウェア/OS | 事業者 | 事業者 | 利用者 |
| ハードウェア/ネットワーク | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
この表を書ければ、すべて判定できます。
「データは常に利用者」
| 分類 | データの責任 |
|---|---|
| SaaS | 利用者 |
| PaaS | 利用者 |
| IaaS | 利用者 |
どの形態でも、自社のデータを守るのは自社——実務上も重要な原則です。
「ハードウェア/ネットワークは常に事業者」
| 分類 | ハードウェアの責任 |
|---|---|
| SaaS | 事業者 |
| PaaS | 事業者 |
| IaaS | 事業者 |
クラウドである以上、物理的な設備は事業者が持つ——当然ですが、確認しておきましょう。
分かれるのは中間の2層
| 層 | SaaS | PaaS | IaaS |
|---|---|---|---|
| アプリケーション | 事業者 | 利用者 | 利用者 |
| ミドルウェア/OS | 事業者 | 事業者 | 利用者 |
SaaS → PaaS → IaaS と進むにつれ、利用者の責任が1層ずつ増える
中小企業がどれを選ぶか
| 分類 | 適する場面 | 例 |
|---|---|---|
| SaaS | すぐ使いたい。IT要員がいない | 会計ソフト、グループウェア、販売管理 |
| PaaS | 自社でアプリを作りたい | 自社の業務アプリを開発 |
| IaaS | 既存システムを移行したい | オンプレミスのサーバをクラウドへ |
中小企業の大半はSaaS
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 管理する範囲が最小 | データだけ |
| すぐ使える | 申し込んで即日 |
| 費用が読める | 月額固定 |
| 更新が自動 | 常に最新 |
SaaSの制約
| 制約 | 内容 |
|---|---|
| カスタマイズできない | 標準機能の範囲 |
| 他システムとの連携が限られる | APIの範囲 |
| サービス終了のリスク | 事業者の都合 |
「カスタマイズできない」ことは短所か
| 見方 | 内容 |
|---|---|
| 短所 | 自社のやり方に合わない |
| 長所 | 業務が標準化される。TCOが下がる |
第9章で学んだBPR——業務をパッケージに合わせるという判断が、ここでも有効です。
IaaSを選ぶ場面
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 既存システムをそのまま移したい | OSレベルで同じ環境を作れる |
| 特殊なソフトを動かしたい | 自由度が高い |
| サーバの老朽化 | 機器の更新が不要になる |
ただし管理の負担は残る
| 利用者が管理するもの | 内容 |
|---|---|
| OS | 更新、セキュリティパッチ |
| ミドルウェア | データベース、Webサーバ |
| アプリケーション | 自社システム |
| データ | バックアップ |
「クラウドにしたのに管理が楽にならない」
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| クラウドなら管理不要 | IaaSでは管理の多くが残る |
この誤解を解くのが、この分類を学ぶ実務的な意味です。
DaaSの実務的な価値
状況:営業担当が顧客先でノートパソコンを使う
| 方式 | 端末が紛失したら |
|---|---|
| 通常のPC | 中のデータが漏えいする恐れ |
| DaaS | 端末にデータがないため漏えいしない |
DaaSの他の利点
| 利点 | 内容 |
|---|---|
| 端末が壊れても業務が続く | 別の端末からログインするだけ |
| 設定が統一される | 管理者が一括で管理 |
| 端末が安く済む | 高性能でなくてよい |
DaaSの課題
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 回線が必須 | 切れると何もできない |
| 費用 | 1人あたりの月額が継続的にかかる |
| 動作の軽快さ | ネットワーク経由のため遅く感じることも |
リスクの移転という見方
前章で学んだリスク対応で整理すると、
| リスク | DaaSによる対応 |
|---|---|
| PC紛失による情報漏えい | 回避(そもそも端末にデータを置かない) |
| 端末故障による業務停止 | 低減(代替端末で即再開) |
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a SaaSは、サービス事業者が各種アプリケーション(ソフトウェア)までをサービスとして提供する形態である。
> b PaaSは、アプリケーションを稼働させるための基盤(プラットフォーム)までをサービスとして提供する形態である。
> c DaaSは、利用する端末に多くの機能をもたせ、端末側でアプリケーションやファイルなどの資源を管理する技術である。
解答 a:○ b:○ c:×

クラウドサービス分類(SaaS/PaaS/IaaS)
試験のポイント
| 対象 | 業界・業種を問わず企業や個人 |
| 性格 | オープンな形態 |
| 語の由来 | プライベートクラウドの対義語として |
「対義語として用いられるようになった」
| 時期 | 呼び方 |
|---|---|
| プライベートクラウド登場前 | 単に「クラウド」 |
| 登場後 | 「パブリッククラウド」と区別 |
前章で学んだオンプレミスと同じく、新しい形態が出てきたことで従来の形態に名前が付いたという経緯です。
③ プライベートクラウド
プライベートクラウドは、企業が自社専用のクラウド環境を構築し、社内の各部署やグループ会社に提供する形態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰のため | 自社専用 |
| 提供先 | 社内の各部署やグループ会社 |
④ プライベートクラウドの2つの実現方法
社内にクラウド環境を構築する場合もあれば、サービス事業者が提供するサービスを利用する場合もあります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| オンプレミス型 | 社内にクラウド環境を構築する |
| ホステッド型 | サービス事業者が提供するサービスを利用する |
「自社専用であればプライベートクラウド」——場所は問いません。
⑤ プライベートクラウドが使われる場面
主にセキュリティに懸念がある場合や企業独自の機能を利用したい場合などに用いられます。
| 場面 |
|---|
| セキュリティに懸念がある場合 |
| 企業独自の機能を利用したい場合 |
⑥ ハイブリッドクラウド
ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウドを併用する形態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を併用するか | パブリッククラウドとプライベートクラウド |
⑦ ハイブリッドクラウドに必要なもの
両者には、それぞれメリット/デメリットがあるために、次のものが必要になります。
| 必要なもの |
|---|
| 両者を使い分けるための方針 |
| 統合して管理できる仕組み |
| プログラムやデータをクラウド間で移動させる可搬性 |
⑧ コミュニティクラウド
コミュニティクラウドは、共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体の専用使用のために提供される形態です。
特定の業種が共用するクラウドサービスの形態で、複数の企業や団体が共通のニーズや要件をもつ場合に利用されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰のため | 共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体 |
| 性格 | 特定の業種が共用する |
⑨ コミュニティクラウドの位置づけ
コミュニティクラウドは、パブリッククラウドに比べ、セキュリティ、柔軟性の面で利点があります。
コミュニティクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの間に位置する形態です。
| 開かれ方 | |
|---|---|
| パブリッククラウド | 誰でも |
| コミュニティクラウド | 共同体の成員のみ |
| プライベートクラウド | 自社のみ |
⑩ 4つの分類を一覧で
| 分類 | 専用使用の範囲 |
|---|---|
| パブリッククラウド | 業界・業種を問わず企業や個人(オープン) |
| コミュニティクラウド | 共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体 |
| プライベートクラウド | 企業が自社専用(社内の各部署やグループ会社) |
| ハイブリッドクラウド | パブリックとプライベートを併用 |
⑪ 判別のポイント
| 選択肢の語 | 対応 |
|---|---|
| 業界・業種を問わずオープンに提供 | パブリッククラウド |
| 共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体の専用使用 | コミュニティクラウド |
| 企業が自社専用のクラウド環境を構築 | プライベートクラウド |
| パブリッククラウドとプライベートクラウドを併用 | ハイブリッドクラウド |
⑫ 令和6年度で問われた誤りの型
| 誤った記述 | 誤りの箇所 |
|---|---|
| ハイブリッドクラウドでは、複数のパブリッククラウドサービスを組み合わせて提供される | パブリッククラウドとプライベートクラウドを併用する形態 |
| パブリッククラウドでは、複数の利用者からなる単一組織の専用使用のために提供される | 単一組織の専用使用のために提供されている、という箇所が誤り |
| プライベートクラウドでは、営利を目的としない利用者の専用使用のために提供される | 営利を目的としない利用者、という箇所が誤り |
「単一組織の専用使用」はプライベートクラウド
「営利を目的としない」という限定はどこにもない
⑬ 自社専用の2つの形
| 形 | 内容 |
|---|---|
| オンプレミスの個別システム | 従来型 |
| プライベートクラウド | クラウドの仕組みを自社専用に |
どちらも「自社専用」——この2つとパブリッククラウドの間を行き来するのがハイブリッドクラウドです。
具体例
設例 利用環境による分類
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和6年度第6問 改題)
> イ コミュニティクラウドでは、クラウドサービスは、共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体の専用使用のために提供される。
> ウ ハイブリッドクラウドでは、クラウドサービスは、複数のパブリッククラウドサービスを組み合わせて提供される。
> エ パブリッククラウドでは、クラウドサービスは、複数の利用者からなる単一組織の専用使用のために提供される。
> オ プライベートクラウドでは、クラウドサービスは、営利を目的としない利用者の専用使用のために提供される。
解答 イ:○ ウ:× エ:× オ:×
3つの誤りの型を整理する
| 選択肢 | 誤りの型 |
|---|---|
| ウ | 併用する相手が違う(パブリック同士ではない) |
| エ | プライベートクラウドの説明を当てている |
| オ | 存在しない限定を加えている |
オの誤りが巧妙
| 実際 | 選択肢 | |
|---|---|---|
| プライベートクラウドの条件 | 自社専用であること | 営利を目的としないこと |
「非営利」という条件はどこにもありません。もっともらしい限定を加えることで誤りを作る、という型です。
4つの分類を、規模と業種で考える
パブリッククラウドが適する場面
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 一般的な業務 | 標準的な機能で足りる |
| 費用を抑えたい | 共用なので安い |
| すぐ使いたい | 申し込んで即日 |
中小企業の大半はこれ
| 使っているもの | 例 |
|---|---|
| メール | クラウドメール |
| グループウェア | スケジュール、掲示板 |
| 会計 | クラウド会計 |
| ファイル共有 | オンラインストレージ |
プライベートクラウドが適する場面
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 機密性の高い情報を扱う | セキュリティに懸念がある場合 |
| 独自の業務がある | 企業独自の機能を利用したい場合 |
| 法令上の制約がある | データの保管場所の指定など |
中小企業では現実的か
| 方法 | 実現性 |
|---|---|
| 社内にクラウド環境を構築 | 費用と要員の面で難しい |
| 事業者のサービスを利用 | 可能だが費用が高い |
「自社専用であればプライベートクラウド」——事業者が提供する専用環境を借りる形なら、中小企業でも選択肢になります。
ハイブリッドクラウドが適する場面
| データ・システム | 置き場所 |
|---|---|
| 顧客の個人情報 | プライベート |
| 設計図面 | プライベート |
| グループウェア | パブリック |
| 会計 | パブリック |
| Webサイト | パブリック |
使い分けの方針を決める
| 基準 | 判断 |
|---|---|
| 漏えいしたときの影響が大きいか | 大きい → プライベート |
| 法令上の制約があるか | ある → プライベート |
| 標準的な機能で足りるか | 足りる → パブリック |
| 費用を抑えたいか | 抑えたい → パブリック |
「統合して管理できる仕組み」が課題
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 利用者の管理が二重になる | IDを両方に作る |
| どちらにデータがあるか分からなくなる | 管理が煩雑 |
| 連携が必要 | データの受け渡し |
これを解決するのが次テーマで学ぶクラウドコントローラです。
コミュニティクラウドが適する場面
| 業界 | 共通のニーズ |
|---|---|
| 医療 | 患者情報の厳格な管理。医療機関間の連携 |
| 金融 | 規制への対応 |
| 自治体 | 住民情報の管理。自治体間の標準化 |
| 教育 | 学籍情報。教育機関間の連携 |
中小企業でも関わる可能性がある
| 場面 | 例 |
|---|---|
| 業界団体が共通システムを持つ | 建設業の電子入札、受発注 |
| 組合が共同でシステムを持つ | 共同配送、共同購買 |
| サプライチェーンで共有 | 取引先との受発注 |
共同利用のメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 費用を分担できる | 1社あたりの負担が小さい |
| 業界特有の要件に合う | 汎用サービスでは足りない部分 |
| 標準化が進む | 取引の効率化 |
中小企業政策とのつながり
中小企業が共同で取り組むという発想は、中小企業経営・政策で学ぶ事業協同組合や中小企業連携組織の考え方と重なります。
| 政策 | IT分野での応用 |
|---|---|
| 共同事業 | 共同でのシステム導入 |
| 設備の共同利用 | コミュニティクラウド |
1社では持てないものを、複数社で持つ——この発想が、コミュニティクラウドの本質です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a プライベートクラウドは、企業が自社専用のクラウド環境を構築し、社内の各部署やグループ会社に提供する形態である。
> b コミュニティクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの間に位置する形態である。
> c プライベートクラウドは、必ず社内にクラウド環境を構築する必要がある。
解答 a:○ b:○ c:×

利用環境による分類(1/2)

利用環境による分類(2/2)
試験のポイント
② オンプレミスの対比
オンプレミスは、クラウドコンピューティングやiDCを利用する運用形態と対比して用いられます。
| 形態 | 保有・管理 |
|---|---|
| オンプレミス | 自社で保有し、自社の設備で運用 |
| iDCの利用 | 自社で保有するが、事業者の設備に設置 |
| クラウド | 事業者が保有し、事業者が運用 |
3段階に分かれる
| 段階 | 機器の所有 | 設置場所 | 運用 |
|---|---|---|---|
| オンプレミス | 自社 | 自社 | 自社 |
| ハウジング(iDC) | 自社 | 事業者 | 自社または委託 |
| ホスティング | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
| クラウド | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
③ クラウドコントローラ
クラウドコントローラとは、プライベートクラウドおよびパブリッククラウド、または複数のパブリッククラウドを横断的に管理するソフトウェアを指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何か | ソフトウェア |
| 何をする | 複数のクラウドを横断的に管理する |
④ クラウドコントローラが注目される背景
企業によるクラウド利用が拡大するにつれ、分散するデータベースやアプリケーションを統合する必要性が増し、クラウドコントローラが注目されています。
| 背景 | 内容 |
|---|---|
| クラウド利用の拡大 | 複数のクラウドを使うようになった |
| 分散するデータベースやアプリケーション | 統合する必要性が増した |
前テーマとのつながり
ハイブリッドクラウドに必要なものとして、「統合して管理できる仕組み」が挙げられていました。それを担うのがクラウドコントローラです。
⑤ コロケーション
コロケーションとは、ネットワークへの常時接続環境のもとに、サーバや回線接続装置などを共同の場所に設置することを指します。
事業として法人や個人に向けこのような共同の施設を提供するサービスをコロケーションサービス、またはハウジングサービスといいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何をする | サーバや回線接続装置などを共同の場所に設置する |
| 前提 | ネットワークへの常時接続環境 |
| サービス名 | コロケーションサービス、またはハウジングサービス |
⑥ ハウジングサービスとの関係
| 用語 | 関係 |
|---|---|
| コロケーションサービス | 同じもの |
| ハウジングサービス | 同じもの |
第3節で学ぶハウジングサービスと同一であることを押さえておきましょう。
⑦ リフト&シフト
リフト&シフトとは、情報システムをクラウドに移行する手法のひとつで、既存のシステムをそのままクラウドに移し、漸進的にクラウド環境に最適化していく方法です。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| リフト(Lift) | 既存のシステムをそのままクラウドに移す |
| シフト(Shift) | 漸進的にクラウド環境に最適化していく |
⑧ リフト&シフトの一般的な手順
オンプレミス環境で運用されている既存システムについて、アプリケーションやデータなどにはなるべく手を付けず、サーバやOSといった動作環境を仮想化環境へ移行します。
次に、移行しやすく実業務に影響が小さいシステムを、同じ仮想化環境で構築されたクラウドサービス上に移行します。
| 順 | 内容 |
|---|---|
| ① | アプリケーションやデータにはなるべく手を付けない |
| ② | サーバやOSといった動作環境を仮想化環境へ移行する |
| ③ | 移行しやすく実業務に影響が小さいシステムから、クラウドサービス上に移行する |
⑨ なぜ「そのまま移す」のか
| 一度に最適化 | リフト&シフト | |
|---|---|---|
| 移行の難易度 | 高い | 低い |
| リスク | 大きい | 小さい |
| 期間 | 長い | 段階的 |
| 初期の効果 | 大きい | 限定的 |
まず確実に移し、後から改善する——これがリフト&シフトの考え方です。
⑩ 「実業務に影響が小さいシステムから」
| 順序 | システムの例 |
|---|---|
| 先に移す | 社内向けの情報共有、テスト環境 |
| 後に移す | 基幹業務システム |
影響の小さいもので経験を積む——移行の失敗リスクを抑える実務的な工夫です。
⑪ 4つの用語を一覧で
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| オンプレミス | インフラを自社で保有し、自社が管理する設備において運用する形態 |
| クラウドコントローラ | 複数のクラウドを横断的に管理するソフトウェア |
| コロケーション | サーバなどを共同の場所に設置すること。ハウジングサービスと同じ |
| リフト&シフト | 既存システムをそのままクラウドに移し、漸進的に最適化する移行手法 |
具体例
リフト&シフトを実際に進める
状況:中小製造業が社内の5つのシステムをクラウドへ移行する
| システム | 業務への影響 | 移行の難易度 |
|---|---|---|
| ファイルサーバ | 中 | 低 |
| グループウェア | 低 | 低 |
| 販売管理 | 高 | 高 |
| 生産管理 | 高 | 高 |
| テスト環境 | なし | 低 |
移行の順序
| 順 | システム | 理由 |
|---|---|---|
| ① | テスト環境 | 失敗しても影響がない。経験を積む |
| ② | グループウェア | 影響が小さい |
| ③ | ファイルサーバ | 移行しやすい |
| ④ | 販売管理 | 経験を積んでから |
| ⑤ | 生産管理 |
「リフト」の段階でやること
| やること | やらないこと |
|---|---|
| サーバやOSを仮想化環境へ移す | アプリケーションの作り直し |
| 同じ構成のまま動かす | データ構造の変更 |
「シフト」の段階でやること
| やること | 効果 |
|---|---|
| クラウド特有の機能を使う | 自動で増減する仕組みなど |
| 管理を自動化する | 運用の手間が減る |
| 不要な機能を整理する | 費用が下がる |
なぜ2段階に分けるのか
| 一度にやる場合のリスク | 内容 |
|---|---|
| 移行と改修を同時に行う | 問題が起きたとき原因が分からない |
| 期間が長くなる | その間、改善が止まる |
| 失敗したときに戻せない | 影響が大きい |
「変更は1つずつ」という原則
| 変更 | 問題発生時 |
|---|---|
| 1つだけ変えた | 原因はその変更 |
| 複数を同時に変えた | どれが原因か分からない |
第9章で学んだテストの考え方と同じ原則です。
リフト&シフトの注意点
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 「リフト」だけで終わらない | 最適化しないと費用が下がらない |
| そのまま移すと割高になることがある | クラウドの料金体系に合っていない |
「そのまま移すと割高」の例
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| 常時稼働のサーバをそのまま移した | オンプレミスより高くなることも |
| 使っていない時間も課金される | 夜間や休日 |
最適化で下がる例
| 施策 | 効果 |
|---|---|
| 夜間は停止する | 稼働時間分だけの課金に |
| 能力を実態に合わせる | 過剰な性能を削る |
| 不要なデータを整理する | 保管費用が下がる |
「シフト」をやらないと、クラウドの利点が出ない——この点を経営者に伝える必要があります。
クラウドコントローラが必要になる状況
複数のクラウドを使っている中小企業
| 用途 | 使っているサービス |
|---|---|
| メール・グループウェア | A社のサービス |
| 会計 | B社のサービス |
| 販売管理 | C社のサービス |
| ファイル共有 | D社のサービス |
起きる問題
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| IDとパスワードが4組 | 利用者の負担。使い回しの温床 |
| 入退社時の手続きが4回 | 削除漏れのリスク |
| どこに何があるか分からない | データの所在が不明 |
| 費用が把握しづらい | 4か所の請求 |
「削除漏れ」のリスクが深刻
| 状況 | リスク |
|---|---|
| 退職者のIDが残っている | 不正アクセスの可能性 |
| 4つのうち1つを消し忘れる | 気づかない |
対応の方向
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| シングルサインオン(SSO) | 1つのIDで複数サービスに |
| ID管理の一元化 | 入退社の手続きを1回に |
| 利用状況の可視化 | 何を誰が使っているか |
中小企業でもできる簡易な対応
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 利用サービスの一覧を作る | サービス名、用途、契約者、費用、ID数 |
| 入退社のチェックリストを作る | 消し忘れを防ぐ |
| 定期的に棚卸しする | 年1回、不要なIDを削除 |
この一覧を作るだけでも効果が大きい
| 発見 | 内容 |
|---|---|
| 使っていないサービスの契約が残っている | 解約できる |
| 同じ用途のサービスが重複している | 統合できる |
| 退職者のIDが残っている | 削除する |
第11章で学んだCIO的な役割——全体像を把握するという仕事の、具体的な中身がこれです。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a オンプレミスとは、ユーザ企業などが情報システムのインフラを自社で保有し、自社が管理する設備において運用する形態である。
> b リフト&シフトとは、既存のシステムをそのままクラウドに移し、漸進的にクラウド環境に最適化していく方法である。
> c クラウドコントローラとは、クラウドサービスの利用料金を自動的に最適化するソフトウェアである。
解答 a:○ b:○ c:×

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