IT資産管理
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プレミアムで見るエッジコンピューティングは、IoTなどで発生する膨大なデータをクラウドですべて処理するのではなく、IoT機器やその近くに配置したコンピュータ(エッジ環境)でデータを処理する技術です。クラウドコンピューティングと比べて「通信量削減」「セキュリティリスクの低減」「低遅延」という3つのメリットをもたらします。令和3年度・6年度・7年度と繰り返し出題されている分野です。3つのメリットを、それぞれ「なぜそうなるのか」まで含めて押さえましょう。
簡単にいうと
定義はシンプル!「IoT機器やその近くに配置したコンピュータでデータを処理する技術」。令和7年度ではこの一文がそのまま正解肢として出たよ。背景のIoTとセットで理解しよう。
① エッジコンピューティングとは
エッジコンピューティングは、IoTなどで発生する膨大なデータをクラウドですべて処理するのではなく、IoT機器やその近くに配置したコンピュータ(エッジ環境)でデータを処理する技術です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 処理する場所 | IoT機器やその近くに配置したコンピュータ(エッジ環境) |
| 対比されるもの | クラウドですべて処理すること |
② クラウドの得意分野
現在、クラウド上でさまざまなデータ処理を行うことが主流となっており、クラウドは高機能なコンピュータ性能や拡張性の高いデータ保存領域があり、これらのリソースを多く利用する処理に適しています。
| クラウドの強み |
|---|
| 高機能なコンピュータ性能 |
| 拡張性の高いデータ保存領域 |
具体例
設例 エッジコンピューティング
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和7年度第8問)
> エッジコンピューティングは、IoT機器や、その近くに配置したコンピュータでデータを処理する技術である。
解答 ○
定義がそのまま正解肢として出題されています。
押さえるべきキーワード
| キーワード | 内容 |
|---|---|
| IoT機器や、その近くに配置したコンピュータ | 処理の場所 |
| クラウドですべて処理するのではなく | 対比 |
なぜIoTでデータが膨大になるのか
工場の設備を例に

エッジコンピューティング
試験のポイント
簡単にいうと
メリットの1つ目と2つ目!通信量削減は「費用対効果の観点から」、セキュリティは「データを秘匿しながらも稼働状況収集が可能」——この言い回しを押さえよう。
① 通信量削減
エッジ側(機器側)で生成した膨大なデータをすべてクラウド上に伝送した場合、通信コストも莫大になるため、無制限に全てのデータをクラウドに送信することは費用対効果の観点から困難です。
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 通信コストが莫大になる | 費用対効果の観点から困難 |
② エッジ側での対応
エッジ側でデータを整形・変換して必要なデータのみを選定したり、非常時の警報等といった必要なデータのみを送信することでデータ量を削減できます。
簡単にいうと
3つ目のメリット!「ネットワークを介した応答の時間が不要になる」からリアルタイムな処理と分析が可能になるんだ。自動運転が代表例だよ。
① 低遅延
データが生成された機器からクラウド上にデータを伝送し、クラウドで処理した結果を機器に返送する場合、データ転送の往復に時間を要し機器側での処理が遅延します。
| 方式 | 流れ |
|---|---|
| クラウド | 機器 → クラウド → 処理 → 機器(往復に時間を要する) |
② エッジ側で処理する場合
一方、エッジ側(データを収集した機器側)でデータ処理を行えば、ネットワークを介した応答の時間が不要になるため、リアルタイムな処理と分析が可能です。
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| 適している処理 |
|---|
| これらのリソースを多く利用する処理 |
③ IoT時代の課題
一方で、IoT時代ではあらゆるモノがネットワークに繋がり、日々膨大なデータが生成されています。
たとえば、工場の装置や車のセンサー等から生成するデータは膨大な量になります。
モノから発生するデータすべてをクラウド側に集約していては、クラウド側のリソースがいくらあっても追いつきません。
これが、エッジコンピューティングが注目を集めている背景です。
| 背景 | 内容 |
|---|---|
| あらゆるモノがネットワークに繋がる | IoT |
| 日々膨大なデータが生成される | 工場の装置、車のセンサーなど |
| すべてをクラウドに集約できない | リソースが追いつかない |
④ クラウドとエッジの構成の違い
クラウドコンピューティング
| 構成 |
|---|
| クラウド ⇔(ネットワーク接続)⇔ デバイス |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイムラグ | 数百ミリから数秒 |
エッジコンピューティング
| 構成 |
|---|
| クラウド ⇔(ネットワーク接続)⇔ エッジコンピューティング ⇔(ネットワーク接続)⇔ デバイス |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エッジとデバイス間のタイムラグ | 数ミリから数十ミリ秒 |
⑤ 間に1階層が入る
| クラウドのみ | エッジあり | |
|---|---|---|
| 階層 | 2層(クラウド・デバイス) | 3層(クラウド・エッジ・デバイス) |
| デバイスから最も近い処理 | クラウド | エッジ |
⑥ 通信遅延の比較
エッジコンピューティングは、クラウドコンピューティングに比べ、通信遅延を100分の1程度にすることができ、リアルタイム処理を必要とするM2MやIoT端末への対応において優れています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通信遅延 | 100分の1程度にできる |
| 優れている対象 | リアルタイム処理を必要とするM2MやIoT端末 |
⑦ M2Mとは
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| M2M(Machine to Machine) | 機械と機械が人を介さず通信すること |
⑧ エッジでの処理の流れ
エッジコンピューティングでは、データをクラウド上のサーバに集約せず、ネットワークの「エッジ(縁)」に分散して保持し、そこで処理して、必要なデータだけをクラウド上に送ります。
| 順 | 内容 |
|---|---|
| ① | データをネットワークの「エッジ(縁)」に分散して保持する |
| ② | そこで処理する |
| ③ | 必要なデータだけをクラウド上に送る |
「必要なデータだけを送る」——これが3つのメリットの源泉です。
⑨ 3つのメリット
クラウドコンピューティングと比べて、「通信量削減」「セキュリティリスクの低減」「低遅延」という3つのメリットをもたらします。
| メリット |
|---|
| 通信量削減 |
| セキュリティリスクの低減 |
| 低遅延 |
高速応答が求められる自動運転などの分野でも不可欠な技術になりつつあります。
⑩ 3つのメリットの関係
| メリット | 何によってもたらされるか |
|---|---|
| 通信量削減 | 必要なデータだけを送るから |
| セキュリティリスクの低減 | 生のデータを外に出さないから |
| 低遅延 | 近くで処理するから |
いずれも「エッジで処理する」という1つの特徴から導かれます。
⑪ クラウドを置き換えるものではない
| 処理 | どこで |
|---|---|
| リアルタイム処理、一次的な処理 | エッジ |
| 大量データの蓄積、分析、学習 | クラウド |
役割分担の関係
| エッジ | クラウド |
|---|---|
| その場で判断する | 全体を見て学習する |
| 必要なデータを選別する | 蓄積して分析する |
⑫ 第11章とのつながり
第11章で学んだ情報システムの変遷で、2010年代半ば以降=エッジコンピューティング(分散コンピューティング)という位置づけでした。
| 時期 | 形態 |
|---|---|
| 2000年代〜 | 集中(クラウド) |
| 2010年代半ば〜 | 分散(エッジ) |
集中と分散の往復の、現在の位置がエッジ——この歴史的な文脈も押さえておきましょう。
| 取得する頻度 |
|---|
| 1日のデータ数 |
|---|
| 温度 | 1秒に1回 | 86,400件 |
| 振動 | 1秒に100回 | 8,640,000件 |
| 電流 | 1秒に10回 | 864,000件 |
| 稼働状態 | 1秒に1回 | 86,400件 |
設備1台で1日約960万件
| 設備数 | 1日のデータ数 |
|---|---|
| 1台 | 約960万件 |
| 10台 | 約9,600万件 |
| 50台 | 約4.8億件 |
すべてをクラウドに送ると
| 項目 | 問題 |
|---|---|
| 通信量 | 回線が持たない |
| 通信費用 | 莫大 |
| クラウドの保管費用 | 同上 |
| 処理の負荷 | 追いつかない |
エッジで処理すると
| 処理 | 送るデータ |
|---|---|
| 1分間の平均を取る | 1日1,440件 |
| 異常値のみ送る | 1日数件 |
960万件 → 1,440件——通信量が数千分の1になります。
車のセンサーの例
| センサー | 用途 |
|---|---|
| カメラ | 周囲の認識 |
| ミリ波レーダー | 距離の測定 |
| LiDAR | 立体的な形状の把握 |
| 各種の状態センサー | 速度、加速度、操舵角 |
自動運転で生成されるデータ量
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 1時間あたり | 数テラバイト規模 |
すべてをクラウドに送ることは現実的でない
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 通信量 | モバイル回線では不可能 |
| 遅延 | 判断が間に合わない |
| 通信断 | トンネル、山間部 |
3つ目がとくに重要
| 状況 | クラウド依存の場合 |
|---|---|
| トンネルに入って通信が切れた | 判断できなくなる |
車載のコンピュータで判断する(エッジ)から、通信が切れても走れる
「通信遅延100分の1」の意味
| 方式 | タイムラグ |
|---|---|
| クラウド | 数百ミリ秒から数秒 |
| エッジ | 数ミリ秒から数十ミリ秒 |
時速60kmで走る車の場合
| タイムラグ | 進む距離 |
|---|---|
| 1秒 | 約16.7m |
| 100ミリ秒 | 約1.7m |
| 10ミリ秒 | 約0.17m |
1秒の遅延で16.7m進む——衝突を避けるには間に合いません。
中小企業の現場でのエッジ
例1:小売店の来客カウント
| 方式 | 送るデータ |
|---|---|
| 映像をすべて送る | 膨大 |
| エッジで人数を数えて送る | 1時間ごとの人数だけ |
効果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通信費用 | 大幅に削減 |
| プライバシー | 映像が外に出ない |
| 即時性 | リアルタイムで表示できる |
例2:製造ラインの不良品検知
| 方式 | 動き |
|---|---|
| クラウドで判定 | 画像を送り、結果を待って、排除する |
| エッジで判定 | その場で判定し、即座に排除する |
ラインが高速な場合
| ライン速度 | クラウドで間に合うか |
|---|---|
| 1分に10個 | 間に合う |
| 1秒に10個 | 間に合わない |
例3:設備の異常停止
| 方式 | 停止までの時間 |
|---|---|
| クラウドで判断 | 往復の通信時間 + 処理時間 |
| エッジで判断 | 処理時間のみ |
数秒の差が損害を決める
| 状況 | 影響 |
|---|---|
| 異常のまま数秒動き続けた | 不良品が数十個発生 |
| 設備が損傷した | 修理費用と停止期間 |
「エッジ」の実体は何か
| 形 | 例 |
|---|---|
| 機器に内蔵されたコンピュータ | AIカメラ、スマートセンサー |
| 工場内に置いたサーバ | エッジサーバ |
| 通信機器に組み込まれた処理 | 基地局 |
| 店舗のレジ端末 | その場で処理 |
中小企業は「製品として買う」
| 製品 | 内蔵されているエッジ処理 |
|---|---|
| AI搭載カメラ | 人物検知、カウント |
| スマートレジ | 商品認識 |
| 設備監視装置 | 異常判定 |
「エッジコンピューティング」という名前で売られていなくても、中身はそれ——この理解があると、製品を選ぶときの判断ができます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a エッジコンピューティングは、IoTなどで発生する膨大なデータをクラウドですべて処理するのではなく、IoT機器やその近くに配置したコンピュータでデータを処理する技術である。
> b エッジコンピューティングは、クラウドコンピューティングに比べ、通信遅延を100分の1程度にすることができる。
> c エッジコンピューティングでは、すべてのデータをクラウド上のサーバに集約して保持する。
解答 a:○ b:○ c:×
| 方法 |
|---|
| データを整形・変換して必要なデータのみを選定する |
| 非常時の警報等といった必要なデータのみを送信する |
③ 2つの方法の違い
| 方法 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 整形・変換して選定 | 加工してから送る | 1分間の平均値を送る |
| 必要なときだけ送る | 条件を満たしたときだけ送る | 異常値のときだけ送る |
④ データ量削減の効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 通信コストの削減 | 送る量が減る |
| 回線の負荷軽減 | 同上 |
| クラウドの保管費用の削減 | 保管する量が減る |
| 処理の負荷軽減 | 同上 |
⑤ セキュリティリスクの低減
工場の装置等のセンサーの一部のデータを外部に出したくない場合、そのままでは、クラウド上にデータを送信することができません。
一方、エッジ側でデータを加工して結果のみをクラウドへ伝送することで、データを秘匿しながらも工場の機器全体の稼働状況収集が可能になります。
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 一部のデータを外部に出したくない |
| 対応 | エッジ側でデータを加工して結果のみをクラウドへ伝送する |
| 効果 | データを秘匿しながらも工場の機器全体の稼働状況収集が可能になる |
⑥ 「秘匿しながらも収集できる」
| 生データを送る | エッジで加工して送る | |
|---|---|---|
| 外に出るもの | 生データ | 加工した結果のみ |
| 秘密は守れるか | 守れない | 守れる |
| 全体の把握 | できる | できる |
両立できる——これがエッジによるセキュリティリスク低減の本質です。
⑦ 外部に出したくないデータの例
| データ | 出したくない理由 |
|---|---|
| 装置の詳細な運転条件 | 製造ノウハウそのもの |
| 配合の情報 | 同上 |
| 生産量の詳細 | 取引先に知られたくない |
| 個人が映った映像 | プライバシー |
⑧ 「加工して結果のみ」の例
| 生データ | 加工した結果 |
|---|---|
| 1秒ごとの温度・圧力・回転数 | 「正常」または「異常」 |
| 人物が映った映像 | 「来店者数 25人」 |
| 詳細な運転条件 | 「稼働率 82%」 |
⑨ プライバシーの観点
| 方式 | 個人情報 |
|---|---|
| 映像をクラウドに送る | 個人が識別できる情報が外部に出る |
| エッジで集計して数だけ送る | 個人情報は外に出ない |
個人情報保護の観点からも有効
| 考え方 | 内容 |
|---|---|
| そもそも外に出さない | 漏えいのリスクがない |
第11章で学んだリスクの回避——リスク要因の根本的排除により、当該リスクが発生しない状態にする——に相当します。
⑩ 2つのメリットの関係
| メリット | 送るもの |
|---|---|
| 通信量削減 | 量を減らす |
| セキュリティリスクの低減 | 中身を加工する |
どちらも「そのまま送らない」ことによる効果
| 生データをそのまま送る | 加工して送る | |
|---|---|---|
| 通信量 | 多い | 少ない |
| 秘密の流出 | リスクあり | リスクが小さい |
同じ対応で2つの課題が解決される——これがエッジの効率の良さです。
具体例
通信量削減を数字で見る
状況:工場の設備20台にセンサーを設置する
生データをすべて送る場合
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| センサー数 | 設備1台につき5個、計100個 |
| 取得頻度 | 1秒に10回 |
| 1件あたりのデータ量 | 50バイト |
| 1日のデータ量 | 100 × 10 × 86,400 × 50 = 約4.3GB |
| 1か月 | 約130GB |
通信費用と保管費用
| 項目 | 月額の目安 |
|---|---|
| 通信(モバイル回線を使う場合) | 数万円〜数十万円 |
| クラウドの保管費用 | 数千円〜 |
| 処理費用 | データ量に応じて |
エッジで加工して送る場合
| 加工 | 送るデータ |
|---|---|
| 1分間の平均・最大・最小 | 100 × 3 × 1,440 = 432,000件/日 |
| 異常時のみ詳細 | 1日数十件 |
| 1日のデータ量 | 約22MB |
比較
| 方式 | 1日のデータ量 | 比率 |
|---|---|---|
| 生データ | 約4.3GB | 100% |
| エッジで加工 | 約22MB | 約0.5% |
200分の1——通信費用も保管費用も大幅に下がります。
何を残し、何を捨てるか
| データ | 扱い |
|---|---|
| 通常時の詳細データ | エッジで一定期間保持し、その後破棄 |
| 統計値(平均・最大・最小) | クラウドへ送る |
| 異常時の詳細データ | クラウドへ送る |
| 異常の前後数分の詳細 | クラウドへ送る |
「異常の前後を送る」が実務的に重要
| 状況 | 必要なもの |
|---|---|
| 異常が起きた | その瞬間のデータ |
| 原因を調べたい | 直前の変化 |
「異常の前に何が起きていたか」が原因究明の鍵——だから前後の詳細データを残します。
エッジでの一時保持
| 期間 | 保持するもの |
|---|---|
| 直近1時間 | 全データ |
| 直近1日 | 1分ごとの統計値 |
| それ以前 | 破棄 |
異常が起きたら、保持している詳細データをクラウドへ送る——この仕組みが一般的です。
セキュリティリスクの低減の実例
状況:受託加工業。複数の得意先の製品を製造している
課題
| 懸念 | 内容 |
|---|---|
| 設備の運転条件が外に出る | 自社の加工ノウハウ |
| 生産量が分かる | 得意先ごとの取引量 |
| クラウド事業者に見られる懸念 | 契約上は守秘されるが不安 |
エッジでの対応
| 生データ | クラウドへ送るもの |
|---|---|
| 加工温度、送り速度、回転数 | 送らない |
| 品目コード、得意先コード | 送らない |
| 稼働/停止の状態 | 送る |
| 稼働率 | 送る |
| 異常の有無 | 送る |
得られること
| 目的 | 達成できるか |
|---|---|
| 設備の稼働率を把握したい | できる |
| 異常を早期に発見したい | できる |
| 保全の計画を立てたい | できる |
守れること
| 秘密 | 守れるか |
|---|---|
| 加工条件 | 守れる |
| 取引先の情報 | 守れる |
「データを秘匿しながらも稼働状況収集が可能」——これが実現します。
小売店での例
状況:来店客の分析をしたい
| やりたいこと | 必要なデータ |
|---|---|
| 来店者数 | 人数 |
| 滞在時間 | 時間 |
| 回遊経路 | 移動の軌跡 |
| 年代・性別の傾向 | 推定値 |
映像をそのまま送る場合の問題
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 個人情報 | 顔が映っている |
| 法令上の制約 | 取扱いの規制 |
| 顧客の不安 | 「監視されている」 |
| 通信量 | 膨大 |
エッジで処理する場合
| 処理 | 送るデータ |
|---|---|
| 映像から人物を検出 | 人数 |
| 年代・性別を推定 | 推定値のみ |
| 滞在時間を計測 | 時間 |
| 映像そのもの | 送らない。端末内で破棄 |
この方式の利点
| 利点 | 内容 |
|---|---|
| 個人情報が外に出ない | 漏えいのリスクがない |
| 説明しやすい | 「映像は保存していません」 |
| 通信量が少ない | 費用が安い |
顧客への説明
| 説明 | 受け取られ方 |
|---|---|
| 「カメラで撮影しています」 | 不安 |
| 「人数を数えるだけで、映像は保存していません」 | 納得しやすい |
プライバシーへの配慮は、技術的な設計で示せる——この点は、診断士として助言できる実務的な論点です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a エッジ側でデータを整形・変換して必要なデータのみを選定することで、データ量を削減できる。
> b エッジ側でデータを加工して結果のみをクラウドへ伝送することで、データを秘匿しながらも工場の機器全体の稼働状況収集が可能になる。
> c エッジコンピューティングでは、すべてのデータをクラウドに送信するため、通信コストが増加する。
解答 a:○ b:○ c:×

通信量削減とセキュリティリスクの低減(1/2)

通信量削減とセキュリティリスクの低減(2/2)
試験のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 処理する場所 | エッジ側(データを収集した機器側) |
| 不要になるもの | ネットワークを介した応答の時間 |
| 可能になること | リアルタイムな処理と分析 |
③ 「ネットワークを介した応答の時間が不要になる」
| クラウド | エッジ | |
|---|---|---|
| ネットワークの往復 | 必要 | 不要(または短い) |
| 応答時間 | 数百ミリから数秒 | 数ミリから数十ミリ秒 |
④ 遅延の内訳
クラウドで処理する場合、次の時間がかかります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 機器からクラウドへの送信 | ネットワークの伝送時間 |
| ② クラウドでの処理 | 処理時間 |
| ③ クラウドから機器への返送 | ネットワークの伝送時間 |
エッジでは①と③がほぼなくなる
⑤ なぜ距離が時間に影響するのか
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 物理的な距離 | 信号の伝わる時間 |
| 経由する機器の数 | 各機器での処理時間 |
| 回線の混雑 | 待ち時間 |
2つ目が大きい
| 経路 | 経由する機器 |
|---|---|
| 機器 → エッジ | 数台 |
| 機器 → クラウド | 多数(ルータ、スイッチ、基地局など) |
⑥ リアルタイム処理が必要な場面
高速応答が求められる自動運転などの分野でも不可欠な技術になりつつあります。
| 分野 | 求められる応答 |
|---|---|
| 自動運転 | ミリ秒単位 |
| 産業用ロボットの制御 | 同上 |
| 工場の異常停止 | ミリ秒〜秒単位 |
| 遠隔医療 | ミリ秒単位 |
| AR/VR | ミリ秒単位 |
⑦ M2Mとの関係
エッジコンピューティングは、リアルタイム処理を必要とするM2MやIoT端末への対応において優れています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| M2M(Machine to Machine) | 機械と機械が人を介さず通信すること |
人が介在しないからこそ速さが要る
| 人が介在する | M2M | |
|---|---|---|
| 許容される応答時間 | 数秒でも問題ない | ミリ秒単位 |
| 理由 | 人の反応のほうが遅い | 機械の動作速度に合わせる |
⑧ 3つのメリットのまとめ
| メリット | 仕組み | 効果 |
|---|---|---|
| 通信量削減 | 必要なデータのみを送信 | 通信コストの削減 |
| セキュリティリスクの低減 | 加工して結果のみを伝送 | データを秘匿しながら収集 |
| 低遅延 | エッジ側で処理 | リアルタイムな処理と分析 |
⑨ 3つのメリットが同時に得られる
| 1つの仕組み | 3つの効果 |
|---|---|
| エッジで処理する | 通信量削減・秘匿・低遅延 |
トレードオフではなく、同時に実現する——これがエッジコンピューティングの強みです。
⑩ エッジのデメリット
試験での出題は少ないものの、実務では次の点が課題になります。
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 機器の管理が分散する | 多数のエッジ機器を管理する必要がある |
| 更新の手間 | ソフトウェアの更新を各所に配る |
| 障害の把握が難しい | 分散しているため |
| 初期費用 | エッジ機器の調達 |
分散の代償として管理が複雑になる
| 集中(クラウドのみ) | 分散(エッジあり) | |
|---|---|---|
| 管理対象 | 少ない | 多い |
| 更新 | 1か所 | 多数 |
第11章で学んだ「集中と分散の往復」——どちらにも利点と欠点があり、状況に応じて選ぶ、という構造がここにも表れています。
具体例
低遅延が求められる場面を、具体的に見る
例1:自動運転
| 状況 | 必要な応答 |
|---|---|
| 前方に障害物を検知 | 即座にブレーキ |
時速60kmで走行中
| 応答時間 | 進む距離 |
|---|---|
| 500ミリ秒(クラウド) | 約8.3m |
| 10ミリ秒(エッジ) | 約0.17m |
8mの差が事故を分ける
さらに、通信が切れたら
| 方式 | 通信断時 |
|---|---|
| クラウド依存 | 判断できない |
| エッジ | 車載のコンピュータで判断を続ける |
「通信に依存しない」ことが安全に直結
例2:産業用ロボットの制御
| 状況 | 必要な応答 |
|---|---|
| 人が作業領域に入った | 即座に停止 |
| 部品の位置がずれている | 即座に補正 |
ロボットの動作速度
| 項目 | 速度 |
|---|---|
| アームの先端速度 | 毎秒数メートル |
500ミリ秒の遅延では、数メートル動いてしまう——安全柵の内側では致命的です。
例3:工場の品質検査
状況:1秒に5個の製品が流れるライン
| 方式 | 判定までの時間 | 間に合うか |
|---|---|---|
| クラウドで画像判定 | 500ミリ秒〜1秒 | 間に合わない |
| エッジで画像判定 | 50ミリ秒 | 間に合う |
間に合わないと何が起きるか
| 状況 | 結果 |
|---|---|
| 判定が遅れる | 不良品が次工程に流れる |
| 後で気づく | まとめて手直し、または廃棄 |
不良品が流れることの損害
| 段階 | 損害 |
|---|---|
| その場で排除 | その1個 |
| 次工程に流れた | 加工費用が無駄になる |
| 出荷された | 回収費用、信用の失墜 |
「早く見つけるほど安い」——第9章で学んだテストの原則と同じです。
例4:小売店のリアルタイム表示
状況:来店者数に応じてデジタルサイネージの表示を変えたい
| 方式 | 反応 |
|---|---|
| クラウドで処理 | 数秒遅れる |
| エッジで処理 | 即座 |
遅れると何が問題か
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| 客が通り過ぎた後に表示が変わる | 意味がない |
リアルタイム性が価値そのものである用途では、エッジが必須になります。
低遅延が不要な場面
すべてにエッジが必要なわけではありません。
| 用途 | エッジが必要か |
|---|---|
| 月次の売上分析 | 不要 |
| 在庫の日次集計 | 不要 |
| 顧客へのメール配信 | 不要 |
| 需要予測 | 不要 |
| 設備の異常停止 | 必要 |
| 品質のリアルタイム検査 | 必要 |
判断の基準
| 問い | 答えがYesなら |
|---|---|
| 秒単位の遅れが損害につながるか | エッジが必要 |
| 通信が切れても動き続ける必要があるか | エッジが必要 |
| データ量が膨大か | エッジが有効 |
| 外に出したくないデータがあるか | エッジが有効 |
中小企業での導入判断
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 月次の分析が目的 | クラウドのみでよい |
| 設備の異常検知が目的 | エッジを検討 |
| 映像の分析が目的 | エッジを検討(通信量とプライバシー) |
「まずクラウドで試す」も選択肢
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 少数の設備でクラウドに送って試す |
| ② | 効果が確認できたら台数を増やす |
| ③ | 通信量が問題になったらエッジを導入 |
小さく始めて、必要になってから拡張する——アジャイル的な進め方が、ここでも有効です。
エッジ導入時の注意点
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 機器の台数が増える | 管理の手間 |
| 更新の仕組み | 遠隔で更新できるか |
| 故障時の対応 | 予備機の確保 |
| 設置場所の環境 | 温度、粉塵、振動 |
最後の点が工場では重要
| 環境 | 対策 |
|---|---|
| 高温 | 産業用の機器を選ぶ |
| 粉塵 | 密閉型 |
| 振動 | 耐振動設計 |
一般的なパソコンを工場の現場に置くと、すぐ壊れます。産業用の機器は高価ですが、故障による停止を考えると妥当な投資になります。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a エッジ側でデータ処理を行えば、ネットワークを介した応答の時間が不要になるため、リアルタイムな処理と分析が可能である。
> b エッジコンピューティングは、リアルタイム処理を必要とするM2MやIoT端末への対応において優れている。
> c エッジコンピューティングのメリットは、「通信量削減」「セキュリティリスクの低減」「高い拡張性」の3つである。
解答 a:○ b:○ c:×

低遅延(1/2)

低遅延(2/2)
試験のポイント
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