システム構成技術
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プレミアムで見るシステムの信頼性評価とは、一定の条件下で安定して処理を行う能力についての評価です。前の節で学んだ性能評価が「速さ」を測るものだとすれば、信頼性評価は「止まらなさ」と「戻りやすさ」を測るものです。信頼性を評価する要素としてRASISという用語が知られており、その中心にあるのがMTBF・MTTR・稼働率という3つの指標です。計算式そのものは単純ですが、何を何で割るのかを取り違えると答えが大きく変わります。令和4年度・7年度と続けて出題されている頻出分野です。
簡単にいうと
RASISは信頼性を評価する5つの要素の頭文字!第6章のCIA(3つ)とは別物だから、混ぜないようにね。そして指標が付いているのは3つだけ、というのも押さえどころだよ。
① 信頼性評価とは
システムの信頼性評価とは、一定の条件下で安定して処理を行う能力についての評価です。
信頼性を評価する要素として、RASISという用語が知られています。
② RASIS
RASISは、信頼性を評価する5つの要素の頭文字を取ったものです。
| 概念 | 内容 | 指標 | 指標のよしあし |
|---|---|---|---|
| 信頼性(R:Reliability) | システムの故障のしにくさ | 平均故障間動作時間(MTBF) | 大きいほどよい |
| 可用性(A:Availability) | システムを使用できる割合 |
具体例
設例 RASISの要素
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和4年度第21問 改題)
> a 可用性とは、高い稼働率を維持できることを意味し、ターンアラウンドタイムで測定する。
> b 完全性とは、データが矛盾を起こさずに一貫性を保っていることを意味する。
> e RASISとは、可用性・完全性・機密性の3つを指している。
解答 a:× b:○ e:×
aの誤りは「性能評価の指標を持ち込んだこと」
| 評価の種類 | 指標 |
|---|---|
| 性能評価 | 帯域幅、レイテンシ、スループット、レスポンスタイム、ターンアラウンドタイム |

RASIS
試験のポイント
簡単にいうと
MTBFは「どれだけ長く動くか」、MTTRは「どれだけ早く直るか」。そしてこの2つから稼働率が決まる!式は単純だけど、分母に何が入るかを取り違えないでね。
① 平均故障間動作時間(MTBF:Mean Time Between Failure)
ある故障が修復した時点から、次の故障が発生するまでの平均時間を意味します。何時間に1回故障するかを表したものです。
MTBFは、以下のようにして求められます。
簡単にいうと
複数の装置を組み合わせたとき、全体の稼働率はどうなる?直列は「全部動かないとダメ」、並列は「どれか1つ動けばOK」。この違いが、そのまま計算式の違いになるよ。
① 装置を組み合わせたときの稼働率
前のテーマでは、1つの装置の稼働率を求めました。実際のシステムは複数の装置で構成されるため、組み合わせたときの全体の稼働率を考える必要があります。
組み合わせ方には、直列と並列の2つがあります。
② 直列システム
すべての装置が動いていなければ、システム全体が動かない構成です。
| 例 | 内容 |
|---|---|
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| 大きいほどよい |
| 保守性(S:Serviceability) | 保守の行いやすさ | 平均修復時間(MTTR) | 小さいほどよい |
| 完全性(保全性)(I:Integrity) | データが矛盾を起こさずに一貫性を保っていること | — | — |
| 安全性(S:Security) | 災害やセキュリティ攻撃への耐性 | — | — |
③ 5つを2組に分ける
| 組 | 要素 | 特徴 |
|---|---|---|
| 指標がある3つ | 信頼性・可用性・保守性 | 数値で測れる |
| 指標がない2つ | 完全性・安全性 | 数値化しにくい |
指標が付いているのはR・A・Sの3つだけ——これが表を読むときの要点です。
④ 3つの指標の向き
| 指標 | よしあし |
|---|---|
| MTBF(平均故障間動作時間) | 大きいほどよい |
| 稼働率 | 大きいほどよい |
| MTTR(平均修復時間) | 小さいほどよい |
MTTRだけが「小さいほどよい」です。第1章のCPIと同じ構造で、1つだけ向きが逆という点が狙われます。
理由を考えれば当然です。修復にかかる時間は短いほうがよいからです。
⑤ 第6章のCIAとの関係
第6章で学んだ情報セキュリティの3要素(CIA)と、RASISは重なる部分があります。
| CIA(第6章) | RASIS(本節) | |
|---|---|---|
| 可用性 | Availability | Availability |
| 完全性 | Integrity | Integrity |
| 機密性 | Confidentiality | — |
| 信頼性 | — | Reliability |
| 保守性 | — | Serviceability |
| 安全性 | — | Security |
可用性と完全性は共通しています。一方、CIAの機密性はRASISに含まれず、RASISの信頼性・保守性はCIAに含まれません。
RASISに「機密性」は含まれない——令和4年度の本試験では、この点を突いた誤りが出されました。
⑥ 5つの要素を順に説明する
信頼性(Reliability)
システムの故障のしにくさです。どれだけ長く故障せずに動き続けられるか、という観点です。
可用性(Availability)
システムを使用できる割合です。第6章でも学んだとおり、必要なときに使えることを表します。
保守性(Serviceability)
保守の行いやすさです。故障したときに、どれだけ早く直せるかという観点です。
完全性・保全性(Integrity)
データが矛盾を起こさずに一貫性を保っていることです。第3章で学んだACID特性の一貫性と同じ考え方です。
安全性(Security)
災害やセキュリティ攻撃への耐性です。第6章で学んだ内容が、ここに位置づけられます。
⑦ 信頼性と可用性の違い
似ているので整理しておきます。
| 信頼性 | 可用性 | |
|---|---|---|
| 測るもの | 故障のしにくさ | 使用できる割合 |
| 指標 | MTBF | 稼働率 |
| 問い | どれだけ長く壊れないか | どれだけの時間使えるか |
故障しにくくても、いったん壊れたら直るまで何日もかかるなら、可用性は低くなります。逆に、頻繁に壊れるがすぐ直るなら、可用性は高く保てます。
この関係は、次のテーマで学ぶ稼働率の式に表れています。
可用性(稼働率)は、信頼性(MTBF)と保守性(MTTR)の両方から決まる——これが式の意味です。
⑧ 覚え方
RASIS の5文字を、次のように結びつけます。
| 文字 | 英語 | 日本語 |
|---|---|---|
| R | Reliability | 信頼性 |
| A | Availability | 可用性 |
| S | Serviceability | 保守性 |
| I | Integrity | 完全性 |
| S | Security | 安全性 |
Sが2つある(Serviceability と Security)点に注意してください。
| MTBF、MTTR、稼働率 |
別の分野の指標が混ざっていないかを確認する——この読み方が有効です。
eの誤りは「数と中身」
| 誤り | 内容 |
|---|---|
| 3つとしている | 正しくは5つ |
| 機密性を含めている | 機密性はCIAの要素でRASISには含まれない |
CIAとRASISを混ぜた誤りです。第6章で学んだCIAは3つ、本節のRASISは5つ——数からして違います。
自社システムをRASISで点検する
従業員100名の会社の基幹システムを、5つの観点で点検してみます。
| 要素 | 確認すること | 現状の例 |
|---|---|---|
| 信頼性 | 年に何回故障するか | 年2回 |
| 可用性 | 年間で何時間使えないか | 年24時間(稼働率99.7%) |
| 保守性 | 1回の故障で何時間止まるか | 平均12時間 |
| 完全性 | データの矛盾が起きていないか | 月次で照合している |
| 安全性 | 災害や攻撃への備えがあるか | バックアップは遠隔地にない |
改善の優先順位を考える
| 改善案 | 効果 | 費用 |
|---|---|---|
| 保守契約を見直して復旧を速くする | MTTRが短くなり稼働率が上がる | 中 |
| 機器を冗長化する | MTBFが実質的に伸びる | 高 |
| 遠隔地にバックアップを置く | 安全性が上がる | 低〜中 |
MTTRを短くするほうが、MTBFを伸ばすより安いことが多い
機器を壊れにくくするには、高価な機器や冗長構成が要ります。一方、復旧を速くするのは、
といった手立てで実現でき、費用を抑えられます。
第3章で学んだバックアップの復旧訓練が、まさにMTTRを短くする取組みです。「取っているが戻せない」状態では、MTTRが無限大になってしまいます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a 信頼性の指標はMTBFであり、大きいほどよい。
> b 保守性の指標はMTTRであり、大きいほどよい。
> c 完全性と安全性には、RASISの表において指標が示されていない。
解答 a:○ b:× c:○
② MTTF(平均故障寿命)
平均故障間動作時間に類似した指標として平均故障寿命(MTTF:Mean Time to Failure)があります。
平均故障寿命は、一度壊れたら修理が不能な製品などに用いられる指標であることから、平均寿命ともいわれます。よって、MTTFも値が大きいほどよいといえます。
| MTBF | MTTF | |
|---|---|---|
| 対象 | 修理して使い続ける製品 | 一度壊れたら修理が不能な製品 |
| 意味 | 故障から次の故障までの平均時間 | 平均寿命 |
| 向き | 大きいほどよい | 大きいほどよい |
Between(間)が入っているMTBFは、故障と故障の「間」を測っています。修理して使い続けるからこそ、「間」が生じるわけです。
③ 稼働率
ある期間のシステムの全運転時間に対する稼働時間の割合を意味します。稼働率は、以下のようにして求められます。
④ 式の意味を読み解く
システムの一生は、動いている時間と止まっている時間の繰り返しです。
| 平均の長さ | |
|---|---|
| 動いている時間 | MTBF |
| 止まっている時間 | MTTR |
| 1周期の長さ | MTBF + MTTR |
稼働率=動いている時間 ÷ 1周期の長さ
分母は「MTBFとMTTRの和」です。「MTBFだけ」でも「MTTRだけ」でもありません。ここを取り違えると答えが変わります。
⑤ 平均修復時間(MTTR:Mean Time To Restoration)
故障が発生してから修復が完了するまでの平均時間を意味します。1回の平均修復時間を表したものです。
MTTRは、以下のようにして求められます。
⑥ 2つの式は同じ形
| 指標 | 式 |
|---|---|
| MTBF | 使用時間の和 ÷ 故障回数 |
| MTTR | 修復時間の和 ÷ 故障回数 |
どちらも「故障回数で割る」点が共通しています。違うのは分子だけです。
| 分子 | 指標 |
|---|---|
| 使用時間(動いていた時間) | MTBF |
| 修復時間(止まっていた時間) | MTTR |
⑦ 図で確認する
運用開始から3回の故障と修復があった場合を考えます。
| 区間 | 状態 | 記号 |
|---|---|---|
| 運用開始〜1回目の故障 | 稼働 | |
| 1回目の故障〜修復 | 停止 | |
| 修復〜2回目の故障 | 稼働 | |
| 2回目の故障〜修復 | 停止 | |
| 修復〜3回目の故障 | 稼働 | |
| 3回目の故障〜修復 | 停止 |
このとき、
稼働時間の平均がMTBF、停止時間の平均がMTTR——図で見ると一目瞭然です。
⑧ 3つの指標の関係
| 指標 | 何を表すか | 改善すると |
|---|---|---|
| MTBF | 壊れにくさ | 稼働率が上がる |
| MTTR | 直りやすさ | 稼働率が上がる |
| 稼働率 | 使える割合 | — |
MTBFを伸ばしても、MTTRを縮めても、稼働率は上がります。どちらから手をつけるかは、費用対効果で判断します。
⑨ 稼働率の目安
| 稼働率 | 年間の停止時間 |
|---|---|
| 99% | 約88時間(約3.7日) |
| 99.9% | 約8.8時間 |
| 99.99% | 約53分 |
| 99.999% | 約5分 |
9が1つ増えるごとに、停止時間が10分の1になります。「99%なら十分」と思いがちですが、年間88時間——3日半以上止まる計算です。
第12章で学ぶSLAでは、この稼働率を契約上の約束として定めます。「99.9%を保証する」といった記述は、年間8.8時間までの停止は許容されるという意味になります。
具体例
設例 稼働率を求める
> あるシステムの運用実績が次のとおりであった。MTBF、MTTR、稼働率を求めよ。
>
> | 区間 | 稼働時間 | 修復時間 |
> |---|---|---|
> | 1回目 | 460時間 | 12時間 |
> | 2回目 | 500時間 | 8時間 |
> | 3回目 | 480時間 | 10時間 |
MTBFを求める
(時間)
MTTRを求める
稼働率を求める
約97.96%
この結果をどう読むか
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| MTBF 480時間 | 約20日に1回故障する |
| MTTR 10時間 | 1回の故障で丸1日近く止まる |
| 稼働率 97.96% | 年間で約178時間(7日以上)止まる |
業務に耐えるか
| 業務 | 判断 |
|---|---|
| 社内の情報共有 | 許容できることもある |
| 受注システム | 7日も止まれば重大な損失 |
| 生産ラインの制御 | 到底許容できない |
改善の2つの方向
方向1:MTBFを伸ばす(480時間 → 960時間に)
(98.97%)
方向2:MTTRを縮める(10時間 → 2時間に)
| 改善策 | 費用 |
|---|---|
| MTBFを2倍にする | 高信頼機器への交換、冗長化。高額 |
| MTTRを5分の1にする | 予備機の確保、手順書の整備、保守契約の見直し。比較的安価 |
「壊れないようにする」より「早く直せるようにする」ほうが安く済むことが多い——実務上の重要な示唆です。
MTTRを縮めるための具体策
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| 手順書を整備する | 誰でも同じ手順で復旧できる |
| 予備機を用意する | 交換だけで復旧できる |
| 保守契約を見直す | 駆けつけまでの時間が短くなる |
| 復旧訓練を行う | 手順書どおりに動けるか確かめられる |
| バックアップから戻す練習をする | 第3章のとおり、取るだけでは足りない |
訓練していない手順は、本番で機能しません。第6章で学んだCSIRTの話と同じで、平時の備えが有事の速さを決めます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a MTBFは「使用時間の和÷故障回数」で求められる。
> b 稼働率は「MTBF÷MTTR」で求められる。
> c MTTFは一度壊れたら修理が不能な製品などに用いられる指標であり、値が大きいほどよい。
解答 a:○ b:× c:○

MTBF・MTTR・稼働率
試験のポイント
| どれか1つでも止まれば、業務が止まる |
| パソコン → ネットワーク → サーバ | 同上 |
第2節で学んだ3層アーキテクチャは、この意味で直列の構成です。どの層が止まっても、利用者は使えません。
③ 直列システムの稼働率
装置Aの稼働率を 、装置Bの稼働率を とすると、
すべての装置が同時に動いている確率なので、掛け算になります。
④ 直列の性質——必ず下がる
稼働率は1以下の数なので、掛け合わせるほど小さくなります。
| 構成 | 各装置の稼働率 | 全体の稼働率 |
|---|---|---|
| 装置1つ | 0.99 | 0.99 |
| 直列2つ | 0.99 | |
| 直列3つ | 0.99 | |
| 直列5つ | 0.99 |
装置を増やすほど、全体の稼働率は下がります。
これは直感に反するようですが、壊れる可能性のある部品が増えるのだから当然です。第1章で学んだ「経路のうちいちばん弱いところが全体を決める」という原則の、数値版といえます。
⑤ 並列システム
いずれか1つの装置が動いていれば、システム全体が動く構成です。
| 例 | 内容 |
|---|---|
| Webサーバを2台並べる | 1台が止まっても、もう1台で処理を続けられる |
| 電源を二重化する | 片方が止まっても給電が続く |
次節・第6節で学ぶ冗長化は、この並列構成を作ることにほかなりません。
⑥ 並列システムの稼働率
装置Aの稼働率を 、装置Bの稼働率を とすると、
⑦ 式の意味を読み解く
直接「動いている確率」を求めるのは面倒なので、「両方とも止まっている確率」を求めて、1から引きます。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| 装置Aが止まっている確率 | |
| 装置Bが止まっている確率 | |
| 両方とも止まっている確率 | |
| 少なくとも片方が動いている確率 |
「全部だめな場合」を数えて、全体から引く——確率の計算でよく使う考え方です。
⑧ 並列の性質——必ず上がる
| 構成 | 各装置の稼働率 | 全体の稼働率 |
|---|---|---|
| 装置1つ | 0.9 | 0.9 |
| 並列2つ | 0.9 | |
| 並列3つ | 0.9 |
1台ずつ増やすごとに、9が1つずつ増えていきます。
稼働率0.9(年間36日停止)の装置でも、2台並べれば0.99(年間3.6日)、3台なら0.999(年間8.8時間)になります。
⑨ 2つを比べる
| 直列 | 並列 | |
|---|---|---|
| 条件 | すべて動いて初めて動く | 1つでも動けば動く |
| 式 | ||
| 装置を増やすと | 稼働率が下がる | 稼働率が上がる |
| 目的 | (構成上そうなる) | 信頼性を高めるために作る |
⑩ 組み合わせた構成
実際のシステムは、直列と並列が混在します。
例:Webサーバ2台(並列)+データベースサーバ1台(直列)
| 部分 | 稼働率 |
|---|---|
| Webサーバ部分(並列) | |
| データベースサーバ | 0.95 |
| 全体(直列に接続) |
冗長化していないデータベースサーバが、全体の足を引っ張っていることが分かります。
⑪ どこを冗長化すべきかが分かる
上の例で、Webサーバをさらに1台増やしても、
0.9405 → 0.9491 と、わずかしか改善しません。
一方、データベースサーバを2台にすると、
0.9405 → 0.9875 と、大きく改善します。
もっとも弱いところを冗長化するのが効果的——計算から、この結論が導けます。第1章から繰り返し出てきたボトルネックの原則が、数値で裏づけられるわけです。
具体例
計算してみる——3つの構成を比べる
稼働率0.9の装置を使って、3つの構成を作ります。
構成1:1台だけ
構成2:2台を直列
構成3:2台を並列
結果をまとめる
| 構成 | 稼働率 | 年間の停止時間 |
|---|---|---|
| 1台 | 0.9 | 約876時間 |
| 直列2台 | 0.81 | 約1,664時間 |
| 並列2台 | 0.99 | 約88時間 |
同じ2台でも、つなぎ方で結果が正反対
直列にすれば悪化し、並列にすれば改善する——装置の数ではなく、つなぎ方が決めるという点が、この計算の教訓です。
実務での適用——受注システムの構成を評価する
| 装置 | 稼働率 | 構成 |
|---|---|---|
| Webサーバ | 0.98 | 2台(並列) |
| アプリケーションサーバ | 0.98 | 1台 |
| データベースサーバ | 0.99 | 1台 |
| ネットワーク機器 | 0.999 | 1台 |
全体の稼働率を求める
| 部分 | 計算 | 稼働率 |
|---|---|---|
| Webサーバ(並列2台) | 0.9996 | |
| アプリケーションサーバ | — | 0.98 |
| データベースサーバ | — | 0.99 |
(1 - 0.9687) imes 8{,}760 = 0.0313 imes 8{,}760 pprox 274 時間
年間で約274時間、11日あまり止まる計算
どこを直すべきか
| 装置 | 稼働率 | 全体への影響 |
|---|---|---|
| Webサーバ | 0.9996 | すでに十分 |
| アプリケーションサーバ | 0.98 | もっとも低い |
| データベースサーバ | 0.99 | 2番目に低い |
| ネットワーク機器 | 0.999 | 十分 |
アプリケーションサーバを2台にすると、
| 対策 | 費用 | 稼働率の改善 |
|---|---|---|
| Webサーバを3台に | 中 | ほぼ効果なし |
| アプリケーションサーバを2台に | 中 | 大きく改善 |
| データベースサーバを2台に | 高(同期の仕組みが必要) | 改善するが費用も大 |
同じ費用なら、どこに使うべきかが数字で示せる——これがこの計算の実務的な価値です。
中小企業への助言
「サーバを二重化すべきか」という相談に対しては、
1. 止まったときの損害額を見積もる(1日あたりいくらか)
2. 現在の稼働率から、年間の停止時間を計算する
3. 1と2から、年間の期待損失を求める
4. 冗長化の費用と比べる
という手順で答えられます。第11章で学ぶIT投資管理の考え方そのものです。
「念のため二重化する」ではなく、数字で判断する——診断士として示せる価値がここにあります。
確認してみましょう
> 稼働率0.95の装置A、稼働率0.90の装置Bについて、次の稼働率を求めよ。
> a 直列に接続した場合
> b 並列に接続した場合
解答 a:0.855 b:0.995

直列システムと並列システムの稼働率(1/2)

直列システムと並列システムの稼働率(2/2)
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。
MTTRを5分の1にしたほうが、MTBFを2倍にするより効果が大きい
この例では、復旧を速くするほうが効果的でした。しかも、
| ネットワーク機器 |
| — |
| 0.999 |
| 全体(直列) | 約0.9687 |
0.9687 → 0.9880(年間約274時間 → 約105時間。11.4日 → 4.4日)
費用対効果の判断材料になる
並列にすると、どちらの装置単体よりも高くなる——これが冗長化の効果です。