インターネット
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プレミアムで見るインターネットは、通信プロトコルにTCP/IPを用いた、世界中のコンピュータを接続した巨大なネットワークです。この節では、まず家庭や会社がそこへつながるための接続サービスを押さえ、続いてインターネット上で端末を見分けるための番号であるIPアドレスを詳しく見ていきます。IPアドレスは32ビットを8ビットずつ区切った数字の並びにすぎませんが、その中に「どのネットワークか」と「そのネットワークの何番目の端末か」という2つの情報が畳み込まれています。サブネットマスクとCIDRは、この境目をどこに置くかという話にほかなりません。令和5年度・6年度と続けて出題されている頻出分野です。
簡単にいうと
インターネットにつなぐには、まず事業者と契約するところから!有線なら光ファイバ、無線ならWi-Fiや5G。5Gの3つの特徴は、そのまま出題されるから押さえておこう。
① インターネットとISP
インターネットは世界中のコンピュータを接続した巨大なネットワークであり、その敷設や管理は専用の事業者であるインターネットサービスプロバイダ(ISP:Internet Service Provider)が行っています。
私たち個人や企業がインターネットに接続するためには、ISPが提供するインターネット接続サービスを利用しなくてはなりません。
② ブロードバンド通信サービス
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| ケーブルインターネット | ケーブルテレビのネットワークを使用してインターネット接続を提供するサービス |
| FTTH(Fiber To The Home) | 光ファイバケーブルを各家庭に引き込むことで、高速なデータ通信が可能なサービス。光ファイバを利用するため、データ回線終端装置としてONUが必要になる |
| 無線ブロードバンド | Wi-Fiや4G、5Gなどの無線通信技術を使用してインターネット接続を提供するサービス。特にモバイル機器でよく利用されている |
FTTHは「Fiber(光ファイバ)To The Home(家庭まで)」の略で、名前がそのまま内容を表しています。第4章で学んだONUが必要になるのは、
具体例
中小企業の回線選びを考える
10名のオフィスでインターネット回線を選ぶ場面を想定します。
選択肢の比較
| 手段 | 速度 | 安定性 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| FTTH(光回線) | 速い | 高い | オフィスの常時利用 |
| ケーブルインターネット | 中程度 | 中程度 | 光が来ていない地域 |
| 無線ブロードバンド(5G・WiMAX) |

インターネット接続サービス
試験のポイント
簡単にいうと
格安SIMがなぜ安いか、考えたことある?電波塔を自分で建てていないからなんだ。MNOとMVNOの違いは、ここが分かれば一発だよ!
① MNOとMVNO
MNO(Mobile Network Operator)とは、携帯電話などの物理的な移動体通信インフラを自社で保有し、通信サービスを提供する事業者です。
一方、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)とは、これらのインフラを自社で保有せず、MNOからその基盤を借りて自社ブランドで通信サービスを行う事業者です。MVNOは仮想移動体通信事業者ともよばれます。
② なぜMVNOという仕組みがあるのか
移動体通信サービス事業を展開するには国から認められた免許が必要になり、一般的には各国で3〜4社程度しか免許を得ることができません。
免許をもったMNOの通信インフラを利用することで、免許をもたないMVNOでも事業を展開することが可能になります。
電波は有限の資源です。同じ周波数帯を複数の事業者が勝手に使えば混信するため、国が免許で割り当てています。したがって、電波を使う事業者は原則として数社に限られます。
簡単にいうと
IPアドレスは、住所でいえば「町名」と「番地」がくっついたもの。どこまでが町名かを決めるのがサブネットマスクとCIDRだよ!/16 みたいな表記の意味が分かれば、この論点は取れる。
① IPアドレスとは
IPアドレスとは、インターネットにおいて端末を一意に識別する番号です。
インターネット接続を行う端末にはIPアドレスの指定が必要であり、データ送信の際には宛先となる端末のIPアドレスを設定します。
現在インターネットで用いられているIPアドレスは、32ビット体系のIPv4(Internet Protocol version 4)です。
② IPアドレスの体系
IPv4のアドレスは、全32ビットを8ビットごとに区切って10進数表記をし、ネットワークアドレス部とホストアドレス部から構成されます。
| 部分 |
|---|
簡単にいうと
世界でただ1つの番号がグローバル、社内だけで通じる番号がプライベート。会社の代表電話と内線番号の関係だと思うと、NATとNAPTの違いもすぐ分かるよ!
① なぜ2種類あるのか
IPアドレスはインターネットにおいて端末を一意に識別する番号ですが、その数には限りがあるため、実際にはグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスという2種類のアドレスが使用されています。
32ビットで表せるアドレスは約43億個です。世界の人口と機器の数を考えれば、まったく足りません。そこで、インターネットに直接出るアドレスと、組織内だけで使うアドレスを分けるという工夫が生まれました。
② グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスとは、インターネットにアクセスするための世界中で重複することのないIPアドレスです。
グローバルIPアドレスは全世界で管理されているアドレスであるため、容易に取得することは難しく、企業内のすべてのコンピュータにグローバルIPアドレスを付与することはできません。企業に割り当てられるグローバルIPアドレスは少数となり、複数のコンピュータで共有する形となります。
③ プライベートIPアドレス
簡単にいうと
32ビットでは足りなくなったから、128ビットにした——それがIPv6!でも変わったのは桁数だけじゃないんだ。セキュリティも設定の手間も改善されているよ。
① なぜIPv6が必要になったのか
IPv4のIPアドレスは、世界的なインターネットの普及に伴って、割り当て可能なアドレスが枯渇しています。この問題を解決するものとして、IPv6とよばれる次世代バージョンのIPが策定されました。
32ビットで表せるアドレスは 億個です。世界の人口を下回るうえ、1人が複数の機器を持つ現在では、まったく足りません。前のテーマで学んだプライベートIPアドレスとNAPTは、この不足をしのぐための工夫でしたが、根本的な解決にはなりません。
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③ モバイル通信サービス
モバイル通信では、スマートフォンなどから4G/LTE(4th Generation/Long Term Evolution)回線などを利用したネットワークを利用します。また、広範囲で高速な通信が可能なWiMAX(World Interoperability for Microwave Access)も普及しています。
④ 5G(5th Generation)
4Gを更に高速化した5Gの実用化も進んでいます。これまでの4Gと比べ、次の3つの特徴があります。
| 特徴 | 意味 |
|---|---|
| 超高速 | 通信速度が大幅に向上する |
| 多数同時接続 | 多くの機器が同時につながる |
| 超低遅延 | 応答までの待ち時間が極端に短い |
5Gは、モノが主体のコミュニケーション(IoT通信)に対応するモバイル通信技術方式です。
3つの特徴とIoTの関係
| 特徴 | IoTでの意味 |
|---|---|
| 超高速 | 高精細な映像やセンサーデータを送れる |
| 多数同時接続 | 大量のセンサーやデバイスを1つの基地局で収容できる |
| 超低遅延 | 遠隔手術や自動運転のように、遅れが許されない用途に使える |
「速い」だけなら4Gでも足りる場面が多くあります。5Gが本当に変えるのは、同時接続数と遅延です。第13章で学ぶIoTや超スマート社会の話と直結する論点です。
⑤ Massive MIMO
5Gでは、通信速度が低速になりがちな人が多く集まる場所でもアンテナ数を増やすことで快適なモバイル通信が実現できるMassive MIMO(マッシブMIMO)というネットワーク技術を採用しています。
第4章で学んだMIMO(複数のアンテナで帯域を広げる技術)を、さらに大規模にしたものです。Massive は「大量の」という意味で、アンテナを数十〜百単位で使います。
⑥ テザリング
他にも、携帯端末やスマートフォンなどを無線LANのアクセスポイントのように利用し、PCやゲーム機をインターネットに接続するテザリング機能なども広く利用されています。
tethering は「つなぎ止める」という意味の英語です。スマートフォンが中継役(アクセスポイント)になり、他の機器をインターネットへつなぎます。
第4章で学んだインフラストラクチャモードを、スマートフォンが担っている形です。出張先や外出先で、ノートパソコンをインターネットにつなぐ手段としてよく使われます。
| 環境に左右される |
| 仮設事務所、移転が多い、工事ができない |
無線が選ばれる場面
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| ビルの都合で光回線の工事ができない | 工事不要ですぐ使える |
| 数か月で移転する予定がある | 持ち運べる |
| バックアップ回線として用意したい | 光回線が切れたときの予備 |
最後のバックアップという使い方が重要
第7章で学ぶ事業継続の観点から、回線の二重化は有効な対策です。光回線が工事や障害で使えなくなったとき、モバイル回線があれば最低限の業務は続けられます。
2つの回線を別の事業者にするのが定石です。同じ事業者だと、その事業者の障害で両方が同時に止まりかねないからです。
テザリングの落とし穴
「モバイル回線があればテザリングで十分」と考える場合、次の点に注意が必要です。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| データ通信量の上限 | 業務利用では上限に達しやすい |
| 同時接続台数の制限 | 数台までしかつなげないことが多い |
| バッテリー消費 | スマートフォンの電池が急速に減る |
| 通信の安定性 | 場所や時間帯で大きく変動する |
臨時の手段としては有効だが、常用には向かない——これが実務上の位置づけです。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a FTTHは光ファイバケーブルを各家庭に引き込むサービスであり、データ回線終端装置としてONUが必要になる。
> b 5Gは、これまでの4Gと比べ「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という特徴がある。
> c テザリングとは、携帯端末を無線LANのアクセスポイントのように利用してPCなどをインターネットに接続する機能である。
解答 a:○ b:○ c:○
いずれも正しい記述です。3つの特徴(超高速・多数同時接続・超低遅延)は、そのまま問われることがあるので、セットで覚えておきましょう。
そのままでは競争が起こりにくいため、インフラを借りて参入できる道を開いたのがMVNOです。いわゆる格安SIMの事業者がこれにあたります。
③ 2つを見分ける
| MNO | MVNO | |
|---|---|---|
| Virtual(仮想) | なし | あり |
| インフラ | 自社で保有 | MNOから借りる |
| 免許 | 必要 | 不要 |
| 各国での数 | 3〜4社程度 | 多数 |
| 別名 | — | 仮想移動体通信事業者 |
MVNOの「V」がVirtual(仮想)であることを押さえれば、「自前の設備を持たない」という性格が名前から導けます。第4章で学んだVPNの「V」と同じ発想です。
④ 経営戦略の観点から
この構図は、企業経営理論で学ぶ参入障壁の話そのものです。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 参入障壁 | 免許制度と、基地局を建てる巨額の設備投資 |
| 障壁を迂回する方法 | 設備を持たず、借りて事業を行う |
| MVNOの強み | 設備投資が不要なので、低価格で提供できる |
| MVNOの弱み | 借りている帯域の範囲でしか提供できない(混雑時に速度が落ちる) |
格安SIMが混雑時間帯に遅くなるのは、この構造的な理由によります。なぜ安いのかを理解すれば、その限界も見えてくるという例です。
⑤ データローミング
データローミングとは、いつも使っている通信事業者の電波が届かない土地へ行ったときに、その土地の事業者の電波を借りて通信できるようにする仕組みです。
たとえば、日本国内で使っている端末を海外旅行に持参した際、データローミングにより現地でも使用することが可能となります。
roaming は「歩き回る、放浪する」という意味です。契約している事業者の圏外でも、提携先の事業者の網に間借りして通信するしくみです。
⑥ SIMフリー端末(SIMロックフリー端末)
SIMフリー端末とは、特定の通信事業者に縛られず、どの通信事業者のSIMカードでも通信を行うことができる端末のことです。
SIMカードとは
SIMカード(Subscriber Identity Module Card)とは、電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードです。
スマートフォンやタブレットなどで通信するには、端末にSIMカードを内蔵して使用します。
⑦ SIMロックの経緯
国内の大手通信事業者で販売されている端末には、他の事業者のSIMカードを使用できないようSIMロックがかかっている場合が多かったのですが、海外ではSIMフリー端末が主流であり、国内ではSIMロック端末は原則禁止となりました。
SIMロックがあると何が起きるか
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 事業者を変えると端末も買い替え | 端末代が乗り換えの障壁になる |
| 海外で現地のSIMを使えない | データローミングの高い料金を払うことになる |
| 中古端末の流通が制限される | 端末の資産価値が下がる |
利用者が事業者を変えにくくなることが、SIMロックの実質的な効果でした。これは企業経営理論でいうスイッチングコストを高める施策にあたります。
原則禁止となったのは、この障壁が競争を妨げると判断されたためです。技術的な制約ではなく、競争政策上の判断で決まった、という点が興味深いところです。
具体例
MVNOを利用するかどうかの判断
従業員20名の会社が、業務用スマートフォンの回線を見直す場面を考えます。
比較
| 項目 | MNO(大手) | MVNO(格安SIM) |
|---|---|---|
| 月額費用 | 高い | 安い(半分以下のことも) |
| 通信速度(混雑時) | 安定 | 落ちることがある |
| サポート窓口 | 店舗がある | オンライン中心 |
| 法人向けの管理機能 | 充実 | 事業者による |
| 障害時の対応 | 自社で復旧 | MNO側の障害は待つしかない |
判断の軸
| 使い方 | 向いているもの |
|---|---|
| 営業担当が外出先でメールと地図を見る程度 | MVNOで十分 |
| 現場から動画で状況を共有する | 速度が要るのでMNO |
| 止まると業務が完全に停止する | MNO、あるいは2社併用 |
費用だけで決めない
月額の差が1人あたり2,000円なら、20名で年間48万円の差になります。無視できない金額ですが、通信が遅くて業務が滞る損失がそれを上回るなら、安いほうが高くつきます。
第11章で学ぶIT投資管理の考え方——費用だけでなく、それによって得られる効果と、失われるリスクを合わせて評価する——が、こうした身近な判断にも当てはまります。
海外出張とデータローミング
海外出張の多い企業では、通信費が思わぬ負担になることがあります。
| 手段 | 費用の目安 | 手間 |
|---|---|---|
| データローミング(そのまま使う) | 高額 | なし |
| 定額のローミングプラン | 中程度 | 事前申込 |
| 現地のSIMカードを買う | 安い | SIMフリー端末が必要 |
| レンタルWi-Fi | 中程度 | 受取・返却の手間 |
3つ目にSIMフリー端末が効いてくる
SIMロックがかかっていれば、現地のSIMカードを差しても使えません。SIMフリー端末であれば、現地で安価なプリペイドSIMを買って差し替えるだけで済みます。
国内でSIMロック端末が原則禁止となったことで、この選択肢が誰にでも開かれました。制度の変更が、実務上の選択肢を増やした例といえます。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a MVNOは、移動体通信インフラを自社で保有し通信サービスを提供する事業者である。
> b データローミングにより、日本国内で使っている端末を海外でも使用することが可能となる。
> c SIMカードとは、電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードである。
解答 a:× b:○ c:○

モバイル通信に関する用語(1/2)

モバイル通信に関する用語(2/2)
試験のポイント
| ネットワークアドレス部 | どのネットワークに属しているのかを表す |
| ホストアドレス部 | ネットワーク内部での個々の端末を表す |
例
| 表記 | 値 |
|---|---|
| 2進数 | 10010110 00100000 00011001 00000011 |
| 10進数 | 150 . 32 . 25 . 3 |
8ビットずつ4つに区切り、それぞれを10進数にしてドットでつなぐ——これがIPv4の表記法です。8ビットで表せる範囲は0〜255なので、各区画は0〜255の値になります。
③ 住所にたとえる
| IPアドレス | 住所 |
|---|---|
| ネットワークアドレス部 | 町名(ネットワークごとに共通) |
| ホストアドレス部 | 番地(端末ごとに異なる) |
同じLANにつながっている端末は、ネットワークアドレス部が共通で、ホストアドレス部だけが違います。ちょうど、同じ町内の家が同じ町名を共有し、番地で区別されるのと同じ構造です。
④ 境目はどこにあるのか
ここが要点です。32ビットのうち、どこまでがネットワークアドレス部で、どこからがホストアドレス部なのかは、アドレスの数字を見ただけでは分かりません。
現在では、ネットワークアドレス部とホストアドレス部を可変に設定できるサブネットマスクやCIDR(Classless Inter-Domain Routing)を使用することが一般化しています。
⑤ サブネットマスク
サブネットマスクとは、コンピュータに設定されたIPアドレスのうち、ネットワークアドレス部に使用するビット数を表す32ビットの数値です。
例
サブネットマスクが2進数で「11111111 11111111 00000000 00000000」、10進数で「255.255.0.0」ならば、IPアドレスのうち上位16ビットがネットワークアドレス部、下位16ビットがホストアドレス部であることを意味します。
読み方のコツ
サブネットマスクは、1が並んでいる部分がネットワークアドレス部、0が並んでいる部分がホストアドレス部を表します。
| サブネットマスク | 1の個数 | ネットワークアドレス部 |
|---|---|---|
| 255.255.0.0 | 16個 | 上位16ビット |
| 255.255.255.0 | 24個 | 上位24ビット |
| 255.0.0.0 | 8個 | 上位8ビット |
255は2進数で11111111(1が8個)です。したがって255がいくつ並んでいるかを数えて8倍すれば、ネットワークアドレス部のビット数が出ます。
⑥ CIDR
CIDRとは、コンピュータに設定されたIPアドレスのうち、ネットワークアドレス部のビット長(先頭から何ビットまでがネットワークアドレス部であるか)を「/(スラッシュ)」で表す表記法です。
例
「211.11.0.1/16」ならば、IPアドレスのうち上位16ビットがネットワークアドレス部、下位16ビットがホストアドレス部であることを意味します。
⑦ 2つは同じことを別の書き方で表している
| 書き方 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| サブネットマスク | 211.11.0.1/サブネットマスク 255.255.0.0 | 上位16ビットがネットワークアドレス部 |
| CIDR | 211.11.0.1/16 | 上位16ビットがネットワークアドレス部 |
CIDRのほうが圧倒的に短く書けます。「/16」と書くだけで、「255.255.0.0」と書いたのと同じ意味になるからです。
⑧ 対応表を作る
よく使う値を対応づけておくと、問題を解くときに速くなります。
| CIDR表記 | サブネットマスク | ネットワーク部 | ホスト部 |
|---|---|---|---|
| /8 | 255.0.0.0 | 8ビット | 24ビット |
| /16 | 255.255.0.0 | 16ビット | 16ビット |
| /24 | 255.255.255.0 | 24ビット | 8ビット |
⑨ ホストアドレス部のビット数から端末数が分かる
ホストアドレス部が ビットなら、表せる番地の数は 個です。
| CIDR | ホスト部 | 理論上の番地数 |
|---|---|---|
| /24 | 8ビット | 個 |
| /16 | 16ビット | 個 |
| /8 | 24ビット | 万個 |
ただし、すべてが0のアドレス(ネットワーク自体を表す)とすべてが1のアドレス(ブロードキャスト用)は端末に割り当てられないため、実際に使えるのは 個になります。
具体例
サブネットマスクを実際に読んでみる
例1
| 項目 | 値 |
|---|---|
| IPアドレス | 192.168.1.10 |
| サブネットマスク | 255.255.255.0 |
読み取れること
例2
| 項目 | 値 |
|---|---|
| IPアドレス | 211.11.0.1/16 |
読み取れること
なぜ境目を可変にするのか
かつては、IPアドレスの先頭の数字によって境目が固定されていました(クラスA・B・Cという方式)。
| クラス | ネットワーク部 | 収容できる端末数 |
|---|---|---|
| クラスA | 8ビット | 約1,677万台 |
| クラスB | 16ビット | 約6.5万台 |
| クラスC | 24ビット | 254台 |
問題は、選択肢が3つしかなかったことです。300台の端末をつなぎたい組織は、クラスCでは足りず、クラスBを割り当てられます。すると約6.5万個のアドレスのうち、6万個以上が無駄になります。
CIDRがこの無駄を解消しました。CIDRの「Classless(クラスを使わない)」という名前は、この経緯を表しています。
| 必要な端末数 | CIDR | 確保されるアドレス数 |
|---|---|---|
| 300台 | /23 | 512個 |
| 1,000台 | /22 | 1,024個 |
| 5,000台 | /19 | 8,192個 |
必要な規模に応じて、1ビット単位で割り当てられるわけです。IPv4アドレスの枯渇を遅らせるうえで、CIDRは大きな役割を果たしました。
実務で使う場面
| 場面 | 何を確認するか |
|---|---|
| パソコンがネットワークにつながらない | IPアドレスとサブネットマスクが正しいか |
| 別の拠点のサーバにアクセスできない | 同じネットワークか、ルータ経由か |
| 端末を増やしたら足りなくなった | ホストアドレス部のビット数が足りているか |
「同じネットワークかどうか」を判定する方法
2つのIPアドレスのネットワークアドレス部が一致すれば、同じネットワークです。
| 端末A | 端末B | サブネットマスク | 同じネットワークか |
|---|---|---|---|
| 192.168.1.10 | 192.168.1.20 | 255.255.255.0 | ○(192.168.1が一致) |
| 192.168.1.10 | 192.168.2.20 | 255.255.255.0 | ×(192.168.1と192.168.2で不一致) |
| 192.168.1.10 | 192.168.2.20 | 255.255.0.0 | ○(192.168が一致) |
同じアドレスの組でも、サブネットマスクが違えば結論が変わる——ここがこの論点の面白いところであり、試験で問われるところでもあります。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a IPv4のアドレスは全32ビットを8ビットごとに区切って10進数表記する。
> b サブネットマスクが255.255.255.0の場合、上位16ビットがネットワークアドレス部である。
> c CIDR表記の「/16」は、先頭から16ビットがネットワークアドレス部であることを表す。
解答 a:○ b:× c:○

IPアドレスの構造
試験のポイント
企業のLANに接続するコンピュータには、通常プライベートIPアドレスを割り当てておき、インターネット接続時に共有のグローバルIPアドレスを使用するという運用が一般的になっています。
これを実現するのが、NAT(Network Address Translation)およびNAPT(Network Address Port Translation)またはIPマスカレードです。
④ 電話にたとえる
| IPアドレス | 電話 |
|---|---|
| グローバルIPアドレス | 会社の代表電話番号(外部から見える。世界で1つ) |
| プライベートIPアドレス | 内線番号(社内だけで通じる。他社と重複してよい) |
| NAT・NAPT | 交換機(外線と内線をつなぐ) |
内線番号の「101」は、どの会社にもあります。重複していても、社内でしか使わないから困らないのです。外にかけるときは、代表番号から発信します。
⑤ NATおよびNAPT(IPマスカレード)
NATおよびNAPTは、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する機能です。
| 名称 | 何を変換するか | 同時に割り当てられる数 |
|---|---|---|
| NAT | IPアドレスを変換する | 1つのグローバルIPアドレスに対して同時に1つのプライベートIPアドレス |
| NAPT | IPアドレスおよびポート番号を変換する | 1つのグローバルIPアドレスに対して同時に複数のプライベートIPアドレス |
LinuxにおけるNAPTの実装名をIPマスカレードとよびます。
⑥ 2つの違いを図で追う
NATの場合
| 変換前アドレス(プライベート) | 変換後アドレス(グローバル) |
|---|---|
| 192.168.0.2 | 220.125.7.30 |
| 192.168.0.3 | 220.125.7.31 |
1対1の対応表です。プライベートIPアドレスが2つあれば、グローバルIPアドレスも2つ必要になります。
LAN側からインターネットへパケットが送信されると、NATの機能により、送信元IPアドレスが変換されます。
グローバルIPアドレス宛にパケットが届くと、NATの機能により、対応するプライベートIPアドレスに変換されます。
NAPTの場合
| 変換前ポート番号 | 変換前アドレス(プライベート) | 変換後ポート番号 | 変換後アドレス(グローバル) |
|---|---|---|---|
| 20000 | 192.168.0.2 | 30000 | 220.125.7.30 |
| 20001 | 192.168.0.3 | 30001 | 220.125.7.30 |
グローバルIPアドレスが同じであることに注目してください。ポート番号で区別しているので、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有できます。
LAN側からインターネットへパケットが送信されると、NAPTの機能により、送信元IPアドレスと送信元ポート番号が変換されます。
グローバルIPアドレス宛にパケットが届くと、NAPTの機能により、ポート番号からプライベートIPアドレスが特定されて変換されます。
⑦ なぜNAPTが主流なのか
NATでは、同時にインターネットに出られる端末の数が、持っているグローバルIPアドレスの数に制限されます。10台の端末が同時に使うには、10個のグローバルIPアドレスが必要です。
NAPTなら、グローバルIPアドレスが1つあれば、何十台でも同時に使えます。ポート番号(0〜65535)で区別するからです。
家庭のブロードバンドルータは、通常NAPTで動いています。1つの契約(=1つのグローバルIPアドレス)で、家族全員のスマートフォンとパソコンが同時にインターネットを使えるのは、このためです。
⑧ 副次的な効果——セキュリティ
NAPTには、もうひとつ重要な効果があります。
外部から内部の端末に、直接アクセスできなくなるのです。外から見えるのはグローバルIPアドレス1つだけで、その内側に何台の端末があるかも、それぞれのアドレスも分かりません。
第6章で学ぶファイアウォールほど強力ではありませんが、意図しない外部からのアクセスを事実上遮断するという効果があります。これは、もともとアドレス不足への対策として生まれた技術の、思わぬ副産物でした。
具体例
設例 DNS・DHCP・NATの区別
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和6年度第9問 改題)
> DNSは、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する際に用いられる。
解答 ×
NATまたはNAPTの内容です。DNSは、ドメイン名とIPアドレスを対応させるシステムです(次節で学びます)。
3つの用語を区別する
| 用語 | 何をするか |
|---|---|
| DNS | ドメイン名 ⇔ IPアドレスの対応 |
| DHCP | IPアドレスなどの設定情報を自動的に割り当てる |
| NAT・NAPT | プライベートIPアドレス ⇔ グローバルIPアドレスの変換 |
3つとも「IPアドレスにかかわる何か」なので混同しやすいところです。何と何を対応づけているかで区別してください。
オフィスのネットワーク構成を読み解く
| 機器 | IPアドレス | 種類 |
|---|---|---|
| ブロードバンドルータ(外側) | 220.125.7.30 | グローバル |
| ブロードバンドルータ(内側) | 192.168.0.1 | プライベート |
| パソコンA | 192.168.0.2 | プライベート |
| パソコンB | 192.168.0.3 | プライベート |
| プリンタ | 192.168.0.10 | プライベート |
パソコンAがWebサイトを見るとき
| 順番 | 動き |
|---|---|
| ① | 送信元192.168.0.2、宛先65.21.45.3のパケットを作る |
| ② | ルータがNAPTで変換。送信元を220.125.7.30:30000に書き換える |
| ③ | インターネット上のWebサーバに届く |
| ④ | Webサーバが220.125.7.30:30000に返信する |
| ⑤ | ルータがポート番号30000から192.168.0.2を特定し、書き換えて転送する |
| ⑥ | パソコンAに届く |
②と⑤が対になっている
行きで書き換えたものを、帰りで元に戻す——この対応表をルータが保持しているから、通信が成立します。
なぜ外部から中に入れないのか
外部の攻撃者が220.125.7.30にアクセスしても、ルータの対応表に該当する項目がなければ、どの端末に転送すべきか分かりません。したがって、内部の端末には届きません。
内側から始まった通信の応答だけが通る——これがNAPTの副次的なセキュリティ効果です。
外部にサーバを公開したい場合
社内のWebサーバを外部に公開したい場合は、この仕組みが逆に障害になります。外部からの通信が内部に届かないからです。
そこでポートフォワーディング(特定のポート宛の通信を、決まった内部の端末に転送する設定)を行います。ただしこれは、意図的に穴を開ける行為なので、第6章で学ぶセキュリティ対策とあわせて慎重に設計する必要があります。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a グローバルIPアドレスは、インターネットにアクセスするための世界中で重複することのないIPアドレスである。
> b NATは、IPアドレスおよびポート番号を変換することで、1つのグローバルIPアドレスに対して同時に複数のプライベートIPアドレスを割り当てる。
> c LinuxにおけるNAPTの実装名をIPマスカレードという。
解答 a:○ b:× c:○

NATとNAPT
試験のポイント
② IPv6の3つの特徴
IPv6には以下の特徴があり、IPv4の弱点を補う特徴を備えています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 128ビットのIPアドレス空間 | 十分なアドレス数を確保できる |
| セキュリティ機能の装備 | IPsecの機能を標準で装備 |
| プラグアンドプレイ | 装置をつなぐだけで、自動的に各種設定が行われる |
なお、IPsec(security architecture for Internet Protocol)とは、IPパケットを用いた通信においてセキュリティ機能を実現するプロトコルです。
③ 128ビットがどれだけ大きいか
| バージョン | ビット数 | アドレス数 |
|---|---|---|
| IPv4 | 32ビット | 億個 |
| IPv6 | 128ビット | 個 |
96ビット増えただけに見えますが、アドレス数は 倍になります。地球上のあらゆる砂粒に1つずつ割り当ててもなお余る、という規模です。
枯渇の心配が事実上なくなるため、プライベートIPアドレスとNAPTで節約する必要もなくなります。
④ 3つの特徴が互いにつながっている
| 特徴 | IPv4での状況 | IPv6でどう変わるか |
|---|---|---|
| アドレス数 | 不足している | 十分にある |
| セキュリティ | IPsecは任意の追加機能 | 標準で装備 |
| 設定 | 手動またはDHCPが必要 | つなぐだけで自動設定 |
アドレスが足りていれば、すべての端末にグローバルIPアドレスを与えられます。そうなればNAPTが不要になり、端末同士が直接通信できるようになります。
ところが、直接通信できるということは、外部から直接狙われるということでもあります。NAPTによる「意図せぬ遮蔽」がなくなるため、セキュリティ機能を標準で備えておく必要が生じました。これがIPsecの標準装備です。
3つの特徴は、独立に足されたのではなく、互いに必然的につながっている——こう理解しておくと、記憶に残ります。
⑤ アドレスの構成
IPv4はネットワークアドレス部とホストアドレス部から構成されましたが、IPv6はプレフィックスとインタフェースIDから構成されます。
IPv6のプレフィックスはIPv4のネットワークアドレス部に、IPv6のインタフェースIDはIPv4のホストアドレス部にそれぞれ該当します。
| IPv4 | IPv6 | |
|---|---|---|
| ビット数 | 32ビット | 128ビット |
| 前半 | ネットワークアドレス部 | プレフィックス |
| 後半 | ホストアドレス部 | インタフェースID |
役割は同じで、名前とビット数が変わっただけです。「どのネットワークか」+「その中のどの端末か」という構造は共通しています。
| 対応 | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| どのネットワークか | ネットワークアドレス部 | プレフィックス |
| どの端末か | ホストアドレス部 | インタフェースID |
prefix は「接頭辞」という意味で、アドレスの先頭部分を指します。
⑥ ICANN
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、インターネットで利用されるグローバルIPアドレス、ドメイン名などの標準化や割り当てを行う民間の非営利組織です。
インターネットの国際化に伴い、1998年に設立されたのがICANNです。同時に、ドメイン名の登録などについても競争原理を導入することになり、ICANNが登録受付業務を行う組織を世界中から募集しました。
⑦ なぜ中央の組織が要るのか
グローバルIPアドレスとドメイン名は、世界で重複してはならないものです。2つの組織が同じアドレスを使えば、どちらにデータが届くべきか決まりません。
したがって、誰かが一元的に管理し、重複しないように割り当てる必要があります。その役割を担っているのがICANNです。
民間の非営利組織であるという点も押さえてください。政府機関でも国際機関でもありません。インターネットが特定の国に属さない性格を持つことの表れです。
⑧ 第4章とのつながり
第4章で「インターネットはたくさんのルータを接続した巨大なネットワークであり、中央の管理者はいない」と学びました。これと矛盾するようですが、そうではありません。
| 何を | 誰が決めるか |
|---|---|
| データをどの経路で運ぶか | 各ルータが自律的に判断(中央の管理者なし) |
| どのアドレスを誰に割り当てるか | ICANNが一元的に管理 |
運用は分散、資源の割り当ては集中——この組み合わせが、インターネットという仕組みを成り立たせています。
具体例
設例 IPv6の特徴
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和4年度第8問 改題)
> a IPv6は128ビットのIPアドレス空間をもち、十分なアドレス数を確保できる。
> b IPv6はIPsecの機能を標準で装備している。
> c IPv6のインタフェースIDは、IPv4のネットワークアドレス部に該当する。
解答 a:○ b:○ c:×
なぜIPv6への移行は進まなかったのか
IPv6は1990年代に策定されましたが、普及には長い時間がかかりました。理由を整理すると、情報システムの移行がなぜ難しいのかが見えてきます。
| 障害 | 内容 |
|---|---|
| IPv4と互換性がない | IPv6の端末とIPv4の端末は、そのままでは通信できない |
| 機器の入れ替えが必要 | ルータ、サーバ、アプリケーションすべてが対応する必要がある |
| NAPTが延命策として有効だった | アドレス不足が「なんとかなって」しまった |
| 移行の費用に見合う利益が見えにくい | 使う側から見ると、できることは変わらない |
3つ目がとくに重要
NAPTによってアドレス不足をしのげたため、移行を急ぐ動機が弱まりました。「問題を緩和する対症療法が、根本的な解決を遅らせる」という構図です。
この教訓は情報システムの移行全般に当てはまる
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| 古いシステムに不満はあるが、なんとか動いている | 移行が先送りされる |
| 継ぎ足しの改修で当面をしのぐ | 構造がさらに複雑になる |
| いよいよ限界が来たときには、移行がさらに困難に | 費用も期間も膨らむ |
レガシーシステムの問題は、まさにこの経過をたどります。「動いているから」という理由で先送りした結果、移行できなくなる——IPv4からIPv6への移行は、その世界規模の実例といえます。
現在の状況
モバイル回線や新しい光回線では、IPv6での接続が標準になりつつあります。ただしIPv4との併用(デュアルスタック)が一般的で、完全な移行にはまだ時間がかかる見通しです。
中小企業として何を知っておくべきか
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 新しい回線を契約する | IPv6に対応しているか |
| 古い機器を使い続ける | IPv6対応の機器か |
| 社内システムを更新する | IPv6環境で動作するか |
「いま困っていないから」で判断せず、機器の更新時期に合わせて対応を進める——これが現実的な進め方です。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a ICANNは、グローバルIPアドレスやドメイン名の標準化や割り当てを行う民間の非営利組織である。
> b IPv6では、装置をつなぐだけで自動的に各種設定が行われるプラグアンドプレイに対応している。
> c IPsecとは、IPパケットを用いた通信においてセキュリティ機能を実現するプロトコルである。
解答 a:○ b:○ c:○
いずれも正しい記述です。ICANNが1998年に設立された民間の非営利組織であることも、あわせて押さえておきましょう。

IPv4とIPv6の違い
試験のポイント
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