ハードウェア
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プレミアムで見る記憶装置には、CPUのすぐそばにある極小・超高速のものから、机の引き出しにしまってある大容量・低速のものまで、幅広い顔ぶれがあります。なぜ1種類にまとめられないのかというと、読み書きを速くしようとすると記憶容量あたりの製造コストが跳ね上がるからです。この節では、その板挟みをどう解決しているかを階層という形で整理し、階層のすき間を埋めるキャッシュメモリ、主記憶の容量不足を補う仮想記憶、そして容量や転送を効率よく使うためのさまざまな技術を順に見ていきます。ヒット率から実効アクセス時間を求める計算は、本試験でそのまま問われる頻出論点です。
簡単にいうと
速いメモリは高くて小さい、安いメモリは遅くて大きい。この板挟みを解くために、性格の違うメモリをピラミッドに積み上げたのが記憶装置の階層だよ!上に行くほど速くて小さい、下に行くほど遅くて大きい。この向きだけは絶対に外さないで。
① なぜ階層になるのか
記憶装置にはさまざまなものがあり、それぞれの目的に適した媒体が用いられます。
たとえば、コンピュータ内のすべての処理に介在するCPU、そしてCPUが処理を行う際に一時的にプログラムやデータを保存する主記憶装置には、読み書きが高速な媒体を用いる必要があります。ところが、記憶装置は読み書きを高速にしようとすると記憶容量あたりの製造コストが高くなるため、高速処理が必要な記憶装置は記憶容量が小さくなります。
一方、長期的にプログラムやデータを保存する補助記憶装置は、大容量であることが求められるため、読み書きはさほど高速ではない、安価な媒体が用いられます。
つまり「速さ」と「容量」はトレードオフの関係にあり、どちらか一方だけを満たす記憶装置では実用にならない、ということです。そこで性格の違う記憶装置を何段にも積み重ね、上の層が下の層の遅さを隠すという構成が取られます。これが記憶装置の階層です。
② 階層の全体像
上から順に、速く・小さく・高価なものが並びます。
| 階層 | 記憶装置 | 使われる素子 | 速度 | 容量 | 容量あたりの単価 |
|---|---|---|---|---|---|
具体例
記憶装置の階層を、図書館で調べものをする場面に置き換えてみましょう。速さと容量が逆向きになる理由が、直感的につかめます。
| コンピュータ | 図書館の場面 | 速さ | 量 |
|---|---|---|---|
| レジスタ | いま目で追っている1行 | 一瞬 | 1行だけ |
| キャッシュメモリ | 机の上に開いている数冊 | 手を伸ばすだけ | 数冊 |
| 主記憶装置 | 机の横のブックトラックに積んだ本 | 立ち上がれば届く | 数十冊 |

記憶装置の階層ピラミッド
試験のポイント
簡単にいうと
補助記憶装置は、もうハードディスク一択の時代じゃないんだ。SSDに置き換わり、さらに「どこに置いてどうつなぐか」という話に広がっていくよ。DAS・NAS・SANの3つは、つなぎ方の違いで整理すると一発!
① 身近な補助記憶媒体
SDカード
記憶媒体としてフラッシュメモリを用いた記憶装置です。小型化が進んでいることが特徴であり、パソコンやデジタルカメラなどに用いられています。サイズ違いのmicroSDカードなども同じ系統です。
フラッシュメモリドライブ(SSD:Solid State Drive)
記憶媒体としてフラッシュメモリを用いたドライブ装置です。ハードディスク(HDD)と比べた特徴は次のとおりです。
| 比較項目 | SSD | HDD |
|---|---|---|
簡単にいうと
CPUはめちゃくちゃ速いのに、主記憶が遅いせいで待たされてる。その待ち時間を減らすための「よく使うものを手元に置いておく箱」がキャッシュメモリ!ヒット率から平均読み出し時間を求める計算は、そのまま本番で出るよ。
① なぜキャッシュメモリが要るのか
主記憶装置はCPUで処理するプログラムやデータを一時的に保存し、CPUは主記憶装置以外のデータを処理することができません。しかし、CPUの処理速度に対して主記憶装置の読み書きの速度は遅いため、主記憶装置がボトルネックになり、コンピュータ全体の性能が低下してしまいます。
これを解消するため、CPUの中にキャッシュメモリとよばれる高速な記憶装置が内蔵されています。キャッシュメモリは主記憶装置のデータの一部を蓄え、主記憶装置に代わってCPUとのデータのやり取りを行います。
② なぜ一部を置くだけで効くのか
CPUが主記憶にアクセスする場合、特定のアドレスに繰り返しアクセスすることが大変多いという性質があります。したがって、一度アクセスしたデータを主記憶よりも高速なキャッシュメモリに記憶しておくことにより、次のアクセスはキャッシュメモリに対して行えばよいことになります。この機能をキャッシュ機能といいます。
「繰り返し同じところを読む」という性質があるからこそ、容量の小さいキャッシュメモリでも大きな効果が出ます。もしCPUが毎回まったくばらばらの場所を読むのであれば、キャッシュを置いても当たらず、意味がありません。
簡単にいうと
主記憶が足りないとき、補助記憶を「メモリのふり」をさせて使うのが仮想記憶!ただし、やりすぎると出し入ればかりで仕事が進まなくなる。これがスラッシングで、試験では原因と対策がセットで問われるよ。
① 仮想記憶装置とは
仮想記憶装置(または仮想記憶方式)とは、補助記憶装置を利用することで、実装されている主記憶の容量を超える空間を作り出す方式のことです。仮想記憶装置により、主記憶の容量を超えるプログラムを実行することができます。
主記憶が実記憶、補助記憶が仮想記憶に該当します。主記憶の容量を超えるプログラムやデータは仮想記憶に格納され、必要に応じて実記憶に読み込まれます(ロード)。
② スワッピング(ページング)
実記憶に空き領域がない場合は、当面使われそうにない内容を仮想記憶に追い出し、空いた領域に必要な内容を読み込みます。これをスワッピングといいます。
また、ページングともいい、実記憶に読み込むことをページイン
簡単にいうと
ここは用語のまとめ売りコーナー!ただ並べて覚えるとすぐ混ざるから、「主記憶の話か、補助記憶の話か」で仕分けよう。ガーベージコレクションとデフラグメンテーションの区別は、まさにそこが決め手だよ。
① ガーベージコレクション
主記憶装置上の領域において、動的な割当と開放を繰り返した結果、利用できないほどの小さな未使用断片領域が生じた際、断片化された領域を集めて利用できる大きさにまとめる処理のことです。コンパクション、メモリコンパクションともよばれます。
似た用語としてデフラグメンテーションがありますが、両者は対象が違います。
| 用語 | 対象 |
|---|---|
| ガーベージコレクション(コンパクション) | 主記憶装置 |
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| レジスタ(CPU内) |
| — |
| 最速 |
| 最小 |
| 最高 |
| 2 | キャッシュメモリ | SRAM | ↑ | ↑ | ↑ |
| 3 | 主記憶装置 | DRAM |
| 4 | ディスクキャッシュ | DRAM | ↓ | ↓ | ↓ |
| 5 | 補助記憶装置(ハードディスク装置、SSD、CD-ROM装置など) | — | 最遅 | 最大 | 最安 |
「上に行くほど速い・小さい・高い/下に行くほど遅い・大きい・安い」——この3つの向きがそろっていることが、この図の要です。試験では矢印の向きを逆にした図が示されることがあるので、速度と容量が逆向きという点を必ず確認してください。
③ それぞれの階層の役割
1 レジスタ
レジスタはCPU内部で一時的にデータの保存を行うための記憶装置です。記憶装置の中では最上層にあたり、最も高速で、最も小容量です。いま計算しようとしている数値そのものを置いておく場所で、容量は数十バイト程度しかありません。
2 主記憶装置
主記憶装置はCPUが直接アクセスすることができ、CPUが処理を行う際に一時的にプログラムやデータを保存する記憶装置です。補助記憶装置に保存されているプログラムやデータは主記憶装置上に展開され、CPUはこれらのデータに対して処理を行います。
コンピュータの性能を高めるためには、主記憶装置の容量を大きくすること、主記憶装置に高速な媒体を用いることが必要であり、高速な読み書きが可能な半導体メモリを用いることが多くなっています。
3 補助記憶装置
補助記憶装置は、CPUが直接アクセスすることができず、プログラムやデータを長期的に保存するための記憶装置です。大容量であることが求められるため、安価なハードディスクを用いることが主流でしたが、近年では半導体メモリの一種であるフラッシュメモリを用いたSSD(Solid State Drive)が多く流通しています。
④ 階層のすき間を埋める2つのキャッシュ
階層の中で、2と4は名前に「キャッシュ」が付いています。この2つは、隣り合う階層の速度差を埋める緩衝材として置かれています。
どちらも「上の階層が下の階層を待たされないようにする」という同じ発想から生まれています。置かれる場所と使う素子が違うだけです。
| 閲覧室の入口にある返却待ちの棚 |
| 少し歩く |
| 数百冊 |
| 補助記憶装置 | 書庫にある全蔵書 | 申請して取り寄せ | 数十万冊 |
なぜ全部を机の上に置かないのか
机の広さには限りがあるからです。同じように、CPUのすぐそばに置ける高速なメモリは、物理的にも費用的にも限られます。「では全部を書庫に置けばいいか」というと、今度は1行読むたびに取り寄せを申請することになり、調べものが一向に進みません。
階層が効く理由
現実の調べものでは、いま開いている本を何度も読み返すのがふつうです。だから机の上に置いておけば、ほとんどの参照は机の上で済みます。コンピュータでも同じで、CPUが主記憶にアクセスする場合、特定のアドレスに繰り返しアクセスすることが大変多いという性質があります。この性質があるからこそ、小さな上位層が大きな下位層の代わりを務められるのです。
確認してみましょう
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a 記憶装置の階層では、上位の層ほど高速で大容量である。
> b レジスタはCPU内部にあり、記憶装置の中で最も高速かつ最も小容量である。
> c キャッシュメモリにはSRAM、主記憶装置にはDRAMが用いられることが多い。
解答 a:× b:○ c:○
| データの読み書き |
| 高速 |
| 低速 |
| 駆動部分 | モータでディスクを回転させる必要がない | ディスクを回転させる |
| 消費電力 | 大幅に少ない | 多い |
| 耐衝撃性 | 高いといわれている | 低い |
| OSのインストール | 通常のHDDと同様に可能 | 可能 |
SSDが速い理由も、消費電力が少ない理由も、耐衝撃性が高い理由も、すべて回転する円盤と磁気ヘッドという機械部品を持たないという1点から説明できます。読み出したい場所へヘッドを移動させる待ち時間がないので速く、モータを回さないので電気を食わず、落としても壊れる部品がないので衝撃に強い、というわけです。
② ストレージのつなぎ方——DAS・NAS・SAN
記憶装置を「どこに置き、どうつなぐか」という観点で分類すると、次の3つになります。
DAS(Direct Attached Storage)
ネットワークを経由せずサーバに直接接続されるストレージです。もっとも素朴な形で、サーバの中に入っている内蔵ディスクや、サーバの背面にケーブルで直結した外付けディスクがこれにあたります。構成が単純で速い反面、そのサーバからしか使えません。
NAS(Network Attached Storage)
既存のネットワーク(LAN)に直接接続し、コンピュータなどからネットワークを通じてアクセスできるストレージです。ハードディスクとネットワークインタフェース、OSなどを一体化した単機能サーバであり、記憶装置をネットワークに直接接続したように見えることからこのようによばれます。
ファイル共有の用途に向いており、複数のパソコンから同じフォルダを見にいく、という使い方ができます。
SAN(Storage Area Network)
ファイバチャネルやTCP/IPなどの伝送方式を利用して構築されたストレージ専用のネットワークです。SANを導入することにより、複数のサーバで記憶装置を共有し、それぞれのサーバに必要な容量を割り当てるような仕組みを構築できます。
SANの形態にはいくつかの種類がありますが、現在は複数のサーバと記憶装置をSANスイッチとよばれる機器につなぐ構成が一般的です。
③ 3つを見分ける決め手
| ネットワークを経由するか | 何のためのネットワークか | 見え方 | |
|---|---|---|---|
| DAS | しない(直接接続) | — | サーバの中のディスク |
| NAS | する(既存のLAN) | 汎用のLANを共用 | ネットワーク上の共有フォルダ |
| SAN | する(専用ネットワーク) | ストレージ専用に構築 | サーバから見ると自分のディスク |
決め手は「既存のLANに相乗りするのがNAS、ストレージ専用のネットワークを別に敷くのがSAN」という点です。NASとSANは名前の文字が同じで並び替えただけなので、定義文を丸暗記すると本番で入れ替わります。「Aがどこに付くか」ではなく「専用の線を引くかどうか」で判別してください。
具体例
設例 NASとSAN
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和5年度第10問 改題)
> c NASは、ファイバチャネルやTCP/IPなどの転送方式を利用して構築されたストレージ専用のネットワークである。
> d SANは、既存のネットワーク(LAN)に直接接続し、コンピュータなどからネットワークを通じてアクセスできるストレージである。
解答 c:× d:×
2つの選択肢がきれいに入れ替わっている、というのがこの設例の作りです。どちらか一方を確実に覚えていれば、両方判定できます。
覚える取っかかり
「NASのNはNetwork(既存のLANにつなぐ)」「SANのSはStorage専用のArea(専用の領域を別に作る)」と、頭文字から意味をたぐる方法があります。
より実務に近い覚え方としては、規模で並べるのもよいでしょう。
| 規模 | 選ばれるもの | 典型的な場面 |
|---|---|---|
| 小 | DAS | 1台のサーバで完結する業務 |
| 中 | NAS | 部署内でファイルを共有したい |
| 大 | SAN | 複数の基幹サーバが大容量を分け合う |
小規模な会社が部署共有のためにネットワークにつなぐ箱を1台買う、というのがNASのイメージです。SANはデータセンタ規模の話で、専用のスイッチを買ってストレージ専用の配線を別に敷く、という投資が前提になります。
SSDについて
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和5年度第1問 改題)
> SSDはデータの読み書きがHDDに比べ高速化されており、モータを使ってディスクを回転させる必要がないため消費電力も大幅に少ない。
解答 ○
SSDの特徴は「機械部品がない」という1点から芋づる式に導けます。高速・低消費電力・耐衝撃性が高い、という3点セットで押さえておきましょう。

DAS・NAS・SANの構成比較
試験のポイント
③ ヒット率と実効アクセス時間
データがキャッシュメモリに存在する確率をヒット率といいます。このヒット率とキャッシュメモリを含めたデータの平均読み出し時間(実効アクセス時間)の関係は、次のようになります。
式の形は加重平均です。ヒットしたとき(確率 )はキャッシュの速さで済み、外れたとき(確率 )は主記憶まで取りに行く、という2つの場合を重みづけて平均しているだけです。公式として丸暗記するより、この構造で理解したほうが、条件が変わっても対応できます。
④ ディスクキャッシュ
主記憶装置と補助記憶装置との速度差を埋めるために、両者の中間に置かれるメモリです。ハードディスクドライブにディスクキャッシュを搭載する場合もあれば、主記憶装置の一部をディスクキャッシュ領域として利用する場合もあります。
キャッシュメモリが「CPU↔主記憶」の緩衝材であるのに対し、ディスクキャッシュは「主記憶↔補助記憶」の緩衝材です。どの2階層の間に挟まっているかで見分けてください。
⑤ 補足:コンピュータ上での情報の単位
計算問題を解くときに単位を間違えると答えが桁違いになるので、ここで整理しておきます。
人間の世界では数を10進数で表すのが一般的ですが、コンピュータの世界では2進数を用います。2進数では0と1のみであり、2種類の数を用いてさまざまな数値を表します。また、2進数を扱いやすくするために16進数(0〜9とA〜Fの16種類の記号を使う表記法)もよく利用されます。16進数は2進数4桁ごとに1桁で表せるため、長い2進数を短く、読みやすく表記できます。
| 情報の単位 | 内容 |
|---|---|
| ビット(bit、通常は小文字bで表す) | 2進数の1桁。情報の最小単位 |
| バイト(byte、通常は大文字Bで表す) | 8ビット=1バイト(2進数8桁)。情報の基本単位 |
たとえば256バイトの情報は、 ビットの情報と同じです。
また、ビットをまとめて扱う単位として次のものがあります。
| 大きい側 | 値 | 小さい側 | 値 |
|---|---|---|---|
| K(キロ): | 1,000 | m(ミリ): | 0.001 |
| M(メガ): | 1,000,000 | μ(マイクロ): | 0.000001 |
| G(ギガ): | 1,000,000,000 | n(ナノ): | 0.000000001 |
| T(テラ): | 1,000,000,000,000 | p(ピコ): | 0.000000000001 |
アクセス時間の問題ではナノ秒(秒)、転送速度の問題ではMbps(メガビット毎秒)がよく登場します。ビット(b)とバイト(B)の取り違えは8倍の誤差になるので、単位の大文字・小文字にも注意してください。
具体例
設例1 実効アクセス時間を求める
> 次の条件で、主記憶装置への平均読み出し時間(実効アクセス時間)を計算せよ。
> ・主記憶装置の平均アクセス時間は70ナノ秒である。
> ・キャッシュメモリの平均アクセス時間は20ナノ秒である。
> ・ヒット率は90%である。
解答 25ナノ秒
主記憶装置への平均読み出し時間は、キャッシュメモリの平均アクセス時間と主記憶装置の平均読み出し時間をヒット率で加重平均した、次の式で求めることができます。
$\begin{aligned}
\text{平均読み出し時間} &= T_c \times P_h + T_m \times (1 - P_h) \\
&= 20 \times 0.9 + 70 \times 0.1 \\
&= 18 + 7 \\
&= 25 \text{(ナノ秒)}
\end{aligned}$
この結果が意味すること
キャッシュがなければ毎回70ナノ秒かかっていたところが、25ナノ秒まで縮みました。約2.8倍の高速化です。キャッシュメモリの容量は主記憶よりはるかに小さいにもかかわらず、これだけの効果が出るのは、ヒット率が90%と高いからにほかなりません。
設例2 ヒット率が下がるとどうなるか
同じ条件でヒット率が60%に下がった場合を計算してみます。
25ナノ秒→40ナノ秒と、1.6倍に悪化しました。ヒット率が実効アクセス時間を決定的に左右することがわかります。キャッシュメモリを大きくする、あるいはプログラムの書き方を工夫してアクセスするアドレスをまとめる、といった改善が意味を持つのはこのためです。
設例3 逆算する
> 主記憶のアクセス時間が100ナノ秒、キャッシュのアクセス時間が10ナノ秒のシステムで、実効アクセス時間を19ナノ秒にしたい。必要なヒット率はいくらか。
ヒット率を とおくと、
解答 90%
式の形さえ押さえておけば、どの値を問われても同じ1本の式から答えが出せます。

キャッシュメモリの仕組み
試験のポイント
| 用語 | 向き | 内容 |
|---|---|---|
| スワッピング(ページング) | 双方向 | 実記憶と仮想記憶の内容を交換すること全体 |
| ページイン | 仮想記憶 → 実記憶 | 必要になった内容を読み込む |
| ページアウト | 実記憶 → 仮想記憶 | 当面使わない内容を追い出す |
このように、実記憶と仮想記憶の内容を交換することで、実記憶の容量を超えるプログラムやデータを扱うことができるようになります。アプリケーションからは、あたかもメモリがたくさんあるように見えます。
③ スラッシング
仮想記憶装置を採用しているパソコンでは、主記憶の容量が少ないと、スワッピングが多発し、処理速度が低下することがあります。これをスラッシングといいます。
スラッシングが起きる筋道は次のとおりです。
1. 主記憶のページ領域が不足する、あるいは多数のプログラムを同時に実行する
2. スワッピングが多発する
3. 処理能力が極端に低下する(スラッシング)
補助記憶装置への読み書きは主記憶より桁違いに遅いため、本来の計算よりも出し入れの時間のほうが長くなってしまう、という状態です。机が狭すぎて、本を出しては戻すだけで一日が終わってしまう、という状況を想像するとよいでしょう。
④ 対策
このようなときは、次の手立てで処理速度の向上が期待できます。
どちらも「実記憶に収まりきらない量を減らす」という同じ狙いです。CPUを速いものに交換しても、スラッシングは解消しません。原因が主記憶の不足にあるからです。ボトルネックのある場所に手を入れなければ効果は出ないという、システムの性能改善の原則がここにも現れています。
具体例
場面で理解する
Webブラウザで大量のタブを開き、同時に画像編集ソフトと表計算ソフトを立ち上げ、さらに動画を再生している——そんな状態でパソコンが極端に重くなった経験はないでしょうか。あれがスラッシングです。
何が起きているか
1. 実記憶(主記憶)にはすべてのプログラムのデータが収まりきらない
2. 画像編集ソフトに切り替えると、そのデータをページインするために、表計算ソフトのデータをページアウトする
3. 表計算ソフトに戻ると、今度は逆方向の入れ替えが起きる
4. 切り替えるたびに補助記憶装置との読み書きが発生し、待ち時間だけが積み上がる
タスクマネージャでディスクの使用率が100%に張り付いているのに、CPUの使用率は低い——という状態がまさにこれです。CPUは暇なのに全体が遅いという、ボトルネックの典型例といえます。
設例
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a 仮想記憶方式では、補助記憶装置を利用することで主記憶の容量を超えるプログラムを実行できる。
> b 実記憶に読み込むことをページアウト、仮想記憶に追い出すことをページインという。
> c スラッシングが発生した場合、CPUをより高速なものに交換することで確実に解消できる。
> d 主記憶の容量を増やすことや、同時実行するプログラムの本数を制限することは、スラッシングの対策となる。
解答 a:○ b:× c:× d:○
なぜbのような誤りが作りやすいのか
「仮想記憶」を主語にすると向きが逆転して見えるからです。基準はつねに実記憶(主記憶)と決めておけば、ページイン/ページアウトで迷うことはなくなります。

仮想記憶装置とスワッピング
試験のポイント
| デフラグメンテーション |
| 補助記憶装置 |
やっていること(散らばった空き領域をまとめる)はよく似ているので、どちらを対象にしているかだけを覚えれば区別できます。
② デュアルチャネル
同一規格のメモリを2枚メモリソケットに挿すことによりデータ処理を高速化する技術です。これらメモリは、2枚を1組とします。マザーボード上にはメモリソケットが複数存在し、セットとなるメモリを正しく組み合わせて挿すことでデュアルチャネルが機能します。
同じ容量を1枚で用意するのではなく、あえて半分ずつ2枚に分けて差す、というのがポイントです。2本の道を同時に使って運べるので、転送の帯域が広がります。
③ メモリインタリーブ
メモリアクセスを速くする工夫です。バンクという、それぞれ単独で動ける読み書きの口をいくつも用意し、同時に読みに行けるようにします。そのうえでアドレスを、バンクをまたぐ形で順ぐりに振っていきます。こうすると連続したアドレスが別々のバンクに散るので、同じバンクに順番待ちが生じるのを避けられます。
ここは図で考えるとわかりやすい論点です。アドレス1〜12を4つのバンクに割り当てるとき、
プログラムは連続したアドレスを順に読むことが多いので、わざとバラして置くことで競合を避けるという発想です。
④ ECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)
メモリ上のデジタル情報は、ノイズなどに干渉されて内容が変化することがあります。信頼性を向上させるため、変化したビットを正しく訂正できる機能をもつメモリが存在します。このような変化(=誤り)を自動的に検知し、訂正する技法をECC(誤り訂正符号)といいます。
元のデータに誤り訂正用の情報を付加し、算術結果からビットの誤りを検出して訂正するハミング符号という手法が採用されています。
誤りを検出するだけの手法(パリティチェックなど)と異なり、ECCは訂正までできる点が特徴です。サーバや基幹システムのように、1ビットの化けが致命傷になりうる用途で使われます。
⑤ シンプロビジョニングとシックプロビジョニング
シンプロビジョニングは、ストレージを仮想化して割り当てておき、実データの増加に応じて物理的なストレージを増設する管理技術です。必要に応じてメモリ容量を増設できるため、効率的なリソース利用が可能です。
一方、ストレージを仮想化して割り当てる際に、必要なストレージ容量を前もって物理的な記憶領域に実際に確保する方式をシックプロビジョニングとよびます。
| シンプロビジョニング | シックプロビジョニング | |
|---|---|---|
| 物理領域の確保 | 実データの増加に応じて後から | 割り当て時に前もって全量 |
| 名前の由来 | thin(薄い) | thick(厚い) |
| 利点 | 無駄なく効率的に使える | 容量不足が起きにくく性能が安定する |
シンプロビジョニングとシックプロビジョニングは、主にエンタープライズレベルのストレージソリューションで用いられる技術です。SSDやネットワークストレージ(NASやSAN)などの記憶媒体で使用されることが多くなっています。
「1TBを割り当てる」と宣言しても、実際に使っているのが100GBなら物理的には100GBぶんしか消費しないのがシン、宣言した瞬間に1TBを押さえてしまうのがシックです。thin(薄い)=必要なぶんだけ、と英語の意味から引けば取り違えません。
具体例
設例1 ガーベージコレクションとデフラグメンテーション
> 次の記述の正誤を判定せよ。
> a ガーベージコレクションは、補助記憶装置上の断片化された領域をまとめる処理である。
> b デフラグメンテーションは、主記憶装置上の断片化を解消する処理である。
> c ガーベージコレクションは、コンパクション、メモリコンパクションともよばれる。
解答 a:× b:× c:○
aとbは対象を入れ替えただけの、典型的なひっかけです。cにある別名「メモリコンパクション」にメモリという語が入っていることが、対象が主記憶であることの手がかりになります。
設例2 シンプロビジョニング
> 次の記述の正誤を判定せよ。(令和5年度第10問 改題)
> シンプロビジョニングは、ストレージを仮想化して割り当てておき、実データの増加に応じて物理的なストレージを増設する管理技術である。
解答 ○
設例3 メモリインタリーブの効果を数える
4つのバンクをもつメモリで、アドレス1〜8に連続してアクセスする場面を考えます。1回のアクセスに1単位時間かかり、同じバンクへの連続アクセスは順番待ちになるとします。
バンクごとに区切って割り当てた場合(バンク1に1・2、バンク2に3・4、バンク3に5・6、バンク4に7・8)
アドレス1と2は同じバンク1にあるため同時に読めず、待ちが生じます。
インタリーブした場合(バンク1に1・5、バンク2に2・6、バンク3に3・7、バンク4に4・8)
アドレス1・2・3・4はそれぞれ別のバンクにあるため、4つ同時に読めます。続く5・6・7・8も同様です。
連続アクセスという実際のプログラムの性質に合わせて配置を変えるだけで、待ち時間が消えるわけです。技術の狙いは「競合を避けること」であって、メモリそのものを速くしているわけではない——この点を押さえておくと、似た用語との区別がつきやすくなります。

その他の高速化技術・有効化技術
試験のポイント
プレミアムプラン
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