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テキスト/企業経営理論/ターゲットマーケティング

ターゲットマーケティング

マーケティングマネジメント戦略の展開

マーケティング目標が設定された後は、その目標を達成するための市場の選定が行われます。市場を選定する際には、まずその市場を同じニーズをもつ消費者グループに細分化することが必要になります。ターゲットマーケティングは「市場細分化」「標的市場の設定」「市場ポジショニング」の3つのステップで構成されます。

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市場細分化(マーケットセグメンテーション)

簡単にいうと

「すべての人に売る」のではなく、似たニーズを持つ消費者をグループ分けする——これが市場細分化です。

市場細分化(マーケットセグメンテーション)とは、市場を一定の規模に保ちながら、かつ同質的なニーズをもつ消費者の集合に区分していく手法です。消費者の価値観や嗜好が多様化している現在、すべての消費者のニーズに単一製品で対応するマスマーケティングでは困難なため、ターゲットマーケティングが広く採用されています。

市場細分化の基準として、ジオグラフィック基準(地理的基準:地方・気候・人口密度など)、デモグラフィック基準(人口統計的基準:年齢・性別・所得・職業・学歴など)、サイコグラフィック基準(心理的基準:ライフスタイル・パーソナリティ・価値観など)、行動変数基準(購買行動に対する知識・態度・使用率・ロイヤルティなど)があります。

市場細分化のメリットとして、消費者の多様なニーズに適合した製品の提供が可能になる、マーケティング資源が有効に活用される、市場環境の変化に柔軟に対応できるといった点があります。

具体例

スポーツウェアメーカーが、年齢層(デモグラフィック)×ライフスタイル(サイコグラフィック)で市場を細分化し、「健康志向の50代」セグメントに特化したウォーキングウェアを開発する、といったアプローチが市場細分化の活用例です。

変数の種類
具体例
特徴
地理的変数
地域・都市規模・気候
地域特性に基づくセグメント
人口動態変数
年齢・性別・所得・職業・家族構成
最も多用される基本的な変数
心理的変数
ライフスタイル・価値観・パーソナリティ
内面的な特性によるセグメント
行動変数
使用頻度・ロイヤルティ・購買状況
実際の購買行動に基づくセグメント

試験のポイント

  • 4つの細分化基準(ジオグラフィック・デモグラフィック・サイコグラフィック・行動変数)は必須暗記です
  • サイコグラフィック変数は「マーケティングリサーチが必要」という点、サイコグラフィック基準と行動変数基準をまとめて「サイコグラフィック基準」とする場合もある点に注意
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標的市場の設定(コトラーの3パターン)

簡単にいうと

細分化した市場のうち、どこを狙うか? コトラーの3つのパターンとそれぞれのメリット・デメリットを学びます。

市場を細分化したら、市場セグメントの魅力度を測定する方法を開発し、標的セグメントを選択します。コトラーは標的市場の設定パターンとして、無差別型・差別型・集中型の3つを挙げています。

無差別型は、細分化された市場間の差異を考慮に入れず、単一の製品(マーケティングミックス)をすべての市場に投入していく方法です。消費者ニーズの相違点ではなく共通点に着目した設定方法であり、製造コスト・マーケティングコストが低減するメリットがありますが、単一製品ですべての消費者を満足させることは困難というデメリットがあります。

差別型は、細分化された市場ごとのニーズに適合した製品(マーケティングミックス)を複数の市場に対して投入していく方法で、全体の売上が向上するメリットがありますが、個別にマーケティングミックスを構築するためコスト増となります。

集中型は、細分化された市場の中から特定の市場に限定し、そこに最適な製品(マーケティングミックス)を投入していく方法で、経営資源の有効活用が図れますが、市場に対するリスクを分散させることができません。

具体例

ユニクロは幅広い層に同じ基本商品を提供する無差別型に近いアプローチ、トヨタは軽自動車から高級車まで各セグメントに車種を投入する差別型、フェラーリは超高級スポーツカー市場のみに集中する集中型のアプローチといえます。

試験のポイント

  • コトラーの3パターン(無差別型・差別型・集中型)の定義とメリット・デメリットは頻出です
  • 無差別型は「共通点に着目」、差別型は「各市場に適合した製品」、集中型は「特定市場に経営資源を集中」がキーワードです
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標的市場の設定(エーベルの5パターン)

簡単にいうと

エーベルはコトラーより細かく、5つのパターンで標的市場のとらえ方を分類しています。

エーベル(Abell, D.F.)は、標的市場のとらえ方を、全市場を対象とする「全市場浸透型」と、絞り込んだ市場を対象とする「単一セグメント集中型」「製品専門型」「市場専門型」「選択的専門型」という5つに分類しています。

単一セグメント集中型は1つの製品を1つの市場に投入するパターンです。製品専門型は1つの製品を複数の市場に投入するパターンです。市場専門型は1つの市場に複数の製品を投入するパターンです。選択的専門型は複数の製品と複数の市場を選択的に組み合わせるパターンです。全市場浸透型はすべての製品をすべての市場に投入するパターンです。

具体例

製パンメーカーのZ社が同一の製品をスーパー・コンビニ・学校・病院・レストランなど多様なチャネルに販売している場合、製品専門型に近いアプローチといえます(選択的専門型ではない)。

試験のポイント

  • エーベルの5パターンの名称と内容は出題されます
  • 特に「製品専門型」と「市場専門型」の違い(製品が1つか、市場が1つか)を正確に区別しましょう
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市場ポジショニング

簡単にいうと

ターゲット市場が決まったら、次は「競合と比べて自社をどう位置づけるか」。ポジショニングの考え方を学びます。

市場ポジショニング(分析)とは、競争上の位置づけを意味し、製品間における競合のなかで、いかにして自社製品が競合製品と差異を図って優位に立つかを検討することです。市場細分化の最終段階としてポジショニングを行い、競争市場で自社の占めたい位置を決定します。

ポジショニング分析では、消費者が意識する製品の知覚上の位置づけを表す知覚マップ(ポジショニングマップ)を作成し、当該製品の相対的な知覚上の位置づけを分析・評価します。知覚マップを作成することで、新製品ならば目標をどのポジションに置くか、既存製品ならばリポジショニングする必要があるのかを検討します。

ポジショニングには、競合製品との対比による位置づけと、自社の製品ラインでの位置づけという2つの意味合いがあります。自社の製品ラインにおける新製品のポジショニングを検討する際には、自社内でのカニバリゼーション(共食い:同一企業内の類似製品間で同一市場を奪い合う現象)を起こさないように注意する必要があります。

また、すでに多くの企業が製品を展開している市場をレッドオーシャン(競争の激しい領域)、未開拓の市場をブルーオーシャン(競合相手のいない領域)といいます。

具体例

自動車市場における知覚マップでは、縦軸に「スポーティー性」、横軸に「経済性」をとり、各ブランドの位置づけを可視化できます。空白領域があれば新たなポジショニングの機会となります。

試験のポイント

  • 知覚マップ(ポジショニングマップ)の概念、カニバリゼーション(共食い)の定義、レッドオーシャンとブルーオーシャンの違いは頻出です
  • ポジショニングは「消費者の知覚上の位置づけ」である点がポイントです
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マーケティングミックスの概要

簡単にいうと

ポジショニングが決まったら、いよいよ4Pの具体的な中身を決めていきます。各要素の検討事項を確認しましょう。

マーケティングミックスの開発と実行は、環境の分析・目標の設定・ターゲットの設定をふまえ、具体的なマーケティング戦略を開発し実行していくステップです。企業がマーケティング目標を達成するために、標的市場において求める競争的地位を規定し支援するための手段です。

各マーケティング要素について決定する事項としては、製品(Product)では製品の物的性質・特徴・品質・ブランド・保証・パッケージ・アフターサービス・製造販売する製品の種類など、価格(Price)では価格政策・価格設定方法・価格変更の理由と時期・値入れ・値引きなど、チャネル・物流(Place)では流通経路・流通業者の選定・評価・倉庫の数と立地・倉庫の設計・輸送手段・連送頻度・適正な在庫量など、プロモーション(Promotion)では広告目的・広告予算・広告媒体・広告表現・広告効果測定・販売員の人数・販売員の教育訓練・販売促進の種類・展開方法・パブリシティの目的・対象・実施方法などがあります。

それぞれの詳しい内容については、第5章「製品戦略」、第6章「価格戦略」、第7章「チャネル・物流戦略」、第8章「プロモーション戦略」で解説します。

具体例

高級チョコレートブランドが、品質にこだわった限定製品(Product)を高価格帯(Price)で百貨店中心に展開し(Place)、雑誌広告とSNSインフルエンサーを活用して認知を高める(Promotion)という、4Pを統合的に設計することがマーケティングミックスです。

試験のポイント

  • 4Pの各要素で検討すべき具体的な事項(製品の品質・ブランド、価格政策、流通経路、広告・販促等)を把握しておきましょう
  • マーケティングミックスは「標的市場における競争的地位を支援するための手段」であるという定義も重要です

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