マーケティングマネジメント戦略の展開
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プレミアムで見るマーケティングマネジメントプロセスの最初の2段階、環境分析と目標設定を扱います。
マーケティング環境の分析では、企業の外部環境に対してその機会(Opportunity)と脅威(Threat)の分析を、また企業の内部資源に対してはその強み(Strength)と弱み(Weakness)の分析を行います。
これがSWOT分析です。第1章で経営戦略の道具として学んだものが、ここではマーケティングの出発点として使われます。
分析だけで終わらせず、そこから数字の目標へ落とすところまでがこの節の範囲です。売上高、利益、市場シェア、そしてイメージ。4つの目標の性格の違いも押さえておきましょう。
簡単にいうと
外の環境は、遠いものと近いものに分かれるんだ。自社では動かせない大きな流れと、直接やり取りする相手だよ!
① 外部環境は2つに分かれる
企業の外部環境は、マクロ的外部環境とミクロ的外部環境に大別されます。
② マクロ的外部環境
次の6つがあります。
③ PEST分析
外部環境をとらえるための方法としてPEST分析があります。
PEST分析とは、次の4つの側面から外部環境を把握するものです。
具体例
国内で紙おむつを作るW社が、環境を分析してみます。
マクロ的外部環境
このうちPEST分析で拾えるのは、経済・技術・政治法律の3つです。人口動態はPESTの枠に入りません。
しかしW社にとって、出生数の減少と高齢化こそが最大の論点です。PEST分析だけに頼ると、いちばん重い変化を見落としかねない。枠組みは道具であって、答えではありません。
ミクロ的外部環境
機会と脅威の識別
高齢化は、乳児用おむつ事業にとっては脅威ですが、大人用おむつ事業にとっては機会です。
同じ事象でも、どの事業から見るかで正反対になります。W社は、この分析をもとに大人用への比重の移し方を検討しました。

マーケティング環境の分析と目標設定
試験のポイント
簡単にいうと
今度は自分の中を見る番だよ。強みか弱みかは、比べる相手があって初めて決まるんだ!
① 内部資源の種類
企業内部の経営資源には、次のようなものがあります。
第1章で学んだヒト・モノ・カネ・情報という分け方と重なります。「その他」に入っている社風やブランドは、第1章でいう見えざる資産にあたるものです。
② 強みと弱みの分析
強みと弱みの分析
簡単にいうと
分析したら、次は数字の目標だよ。売上だけじゃ足りない理由を考えてみよう!
① 目標はどこから出てくるか
経営目的は経営目標と経営理念から構成されますが、ここでのマーケティング目標は、経営目標としての企業全体の数値目標から導き出されてくると考えてよいものです。
マーケティングが勝手に目標を立てるのではなく、全社の目標を受けて設定される、という上下関係があります。
② 売上高目標
企業の経営目標のなかで、最も普遍的なものは売上高です。したがって、マーケティング目標として最も重要で、かつ一般的な目標はこの売上高目標になります。
③ 利益額、利益率目標
マーケティング目標としての売上高を達成することは重要ですが、それだけでは不十分です。
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マクロ的外部環境の6つのうち、人口動態的環境と自然的環境を除いた4つにあたります。PESTが扱うのはマクロの側だけで、次に見るミクロの側は含まれません。
④ ミクロ的外部環境
次の4つがあります。
⑤ 2つの違いは「自社が働きかけられるか」
分け方の軸は、企業との距離です。
マクロ的外部環境は、一企業の力では動かせません。景気も人口も法律も、与えられた条件として受け止めるしかない。できるのは、変化を読んで先に手を打つことだけです。
ミクロ的外部環境は、企業が直接やり取りする相手です。消費者には働きかけられますし、供給業者とは交渉できます。
この違いがあるので、対応の仕方も変わります。マクロには適応し、ミクロには働きかける。第1章で学んだ環境適応の考え方が、ここにも通じています。
⑥ 機会と脅威の分析
外部環境の分析とは、新規事業の開発や既存事業の拡大の要因となる可能性のある事象と、逆に、既存事業の維持に対して脅威となるであろう事象を識別することです。
ここで大事なのは、同じ事象が機会にも脅威にもなりうるという点です。
高齢化は、介護用品を売る会社には機会ですが、若者向け衣料を売る会社には脅威です。事象そのものに機会と脅威の別があるのではなく、自社にとってどちらかを判断するのが分析の仕事です。
③ 比較しなければ強みは決まらない
定義のなかで最も大事なのが、比較してという部分です。
「技術力がある」だけでは強みとはいえません。競合他社がもっと高い技術力を持っていれば、それは弱みになります。
強みと弱みは、その企業だけを見ても判定できない。必ず比べる相手が要ります。
この点は、外部環境の機会と脅威が「自社にとってどちらか」で決まるのと同じ構図です。SWOTの4つは、いずれも関係のなかで決まるということです。
④ SWOT分析としてまとめる
外部環境の分析から機会(Opportunity)と脅威(Threat)、内部資源の分析から強み(Strength)と弱み(Weakness)。
この4つを組み合わせたものがSWOT分析です。
分析の目的は、4つを並べることではありません。強みを機会に当てる、弱みが脅威と重なるところを避けるといった打ち手を導くためのものです。
具体例
地方都市で3店舗を営む書店X社が、内部資源を分析しました。
単に並べただけの分析
これでは強みか弱みか分かりません。
比較を入れた分析
SWOTとして組む
外部環境を見ると、オンライン書店の伸長が脅威、学校の探究学習の必修化が機会です。
X社は、「学校との関係(強み)を、探究学習の広がり(機会)に当てる」という方針を立て、学校向けの選書サービスを始めました。
一方、品揃えの点数(弱み)でオンライン書店(脅威)と正面から競う道は取らないことにしています。
試験のポイント
また、利益の絶対額に加えて、利益率を目標に設定することも重要になります。
利益率目標には、次の2つがあります。
④ なぜ売上だけでは足りないのか
売上高だけを目標にすると、売るための費用が歯止めなく膨らみます。
値引きすれば数は出ます。広告費を積めば認知は取れます。しかし、そこで消えた費用は売上高の数字には表れません。
だから利益額を置く。さらに、投じた資本に見合っているかを見るために利益率を置く。3つは積み上がる関係にあります。
⑤ 市場占有率(マーケットシェア)目標
市場占有率とは、目標とした市場の全需要のなかで、自社製品の売上高が占める割合のことです。
多くの成熟市場においては、市場占有率の向上なくして売上高の増加を図ることは難しい状況にあるといえます。
市場そのものが伸びていないのですから、売上を増やすには他社の分を取るしかありません。そのためには、競合他社との競争関係を考慮しなければなりません。
すなわち、競争戦略のどのタイプ(差別化戦略、低コスト戦略など)を採用するのか、あるいは自社の競争上の地位がどこにあるのか(リーダー、チャレンジャーなど)を明確にすることが重要であり、それに応じて市場占有率目標が設定されることになります。
第2章で学んだ競争戦略と競争地位別戦略が、ここで目標設定の前提として効いてきます。
⑥ 企業・製品イメージ目標
この目標は、市場のリーダー企業が設定することが多く、企業の名声や製品の好イメージを市場で確立するものです。
ただし、イメージを数値目標として把握することは、これまでの目標に比べて難しい点に注意する必要があります。
リーダー企業が設定することが多いのには理由があります。シェアで追う立場の企業は、まず数字を取ることに資源を振り向けざるをえません。イメージという測りにくい目標に投資できるのは、すでに地位を固めた企業です。
具体例
調味料メーカーY社の来期のマーケティング目標を組み立ててみます。
全社の経営目標「3年後に売上500億円、営業利益率8%」と決まっています。
売上高目標マーケティング部門は、来期の売上高目標を420億円と置きました。
利益額・利益率目標ここで売上高だけを置いてしまうと、値引きと広告で数字を作る誘惑が生まれます。
そこで、営業利益28億円(売上高営業利益率6.7%)も同時に置きました。さらに、新工場への投資が回収できているかを見るため、ROIも指標に加えています。
市場占有率目標Y社の主力である和風だしの市場は、この5年横ばいです。成熟市場なので、売上を伸ばすにはシェアを取るしかありません。
Y社は業界2位のチャレンジャーです。そこで、リーダー企業が手薄な業務用市場でシェアを18%から22%へ引き上げる目標を置きました。
企業・製品イメージ目標Y社はこの目標を、主力の和風だしでは設定していません。
ただし、リーダーの地位にある製品が1つだけあります。業務用のかつお節で、シェア45%。この分野では「プロが選ぶかつお節」というイメージの確立を目標に掲げています。
同じ会社のなかでも、地位によって置く目標が変わることが分かります。
試験のポイント
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