製品戦略
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プレミアムで見る多くの製品にはブランドが付されています。
ブランドとは、企業および企業の製品・サービスを他の企業(製品・サービス)と識別し、差別化するために、企業が独自に使用する名称やマークのことです。
定義のなかで大事なのは、識別と差別化という2つの働きです。どれが誰の製品かを見分けさせ、そのうえで他と違うと感じさせる。この2つを担うのがブランドです。
この節では、ブランドを2つの観点から分類します。誰が使うか(使用者による分類)と、どう冠するか(採用戦略)です。
とくに後者の5類型は、2つの軸のマス目で決まる形になっており、軸の読み方さえ押さえれば迷いません。
簡単にいうと
作った人のブランドか、売る人のブランドか。スーパーの棚を思い浮かべると分かりやすいよ!
① ナショナルブランド(製造業者ブランド)
ナショナルブランドとは、メーカーが、自社が製造・販売する製品に使用するブランドのことです。
② プライベートブランド(販売業者ブランド)
プライベートブランドとは、卸売業者もしくは小売業者が、自ら企画・開発した製品について使用するブランドのことです。
流通業者ブランド(ストアブランド)ともよばれます。
③ 見分け方は「誰のブランドか」
2つの違いは、そのブランドの持ち主が誰かです。
作った会社の名前が付いていればナショナルブランド、売っている店の名前が付いていればプライベートブランドです。
④ よくある取り違え
ここが出題されたことのある論点です。
「メーカー名がつけられる場合と独自の商品名がつけられる場合があり、前者をプライベート・ブランドと呼ぶ」
という言い方は誤りです。
メーカー名をつけるのは、ナショナルブランドであり、かつファミリーブランド(次のテーマで扱います)にあたります。
プライベートブランドは、メーカーではなく
具体例
スーパーの飲料売場を思い浮かべてください。
ナショナルブランド
飲料メーカーが作り、自社の名前を冠して売っている緑茶。テレビCMが流れ、全国どの店でも買えます。1本150円。
プライベートブランド
その隣に、そのスーパーの名前が付いた緑茶が並んでいます。1本105円。
企画したのはスーパーで、製造は別のメーカーに委託しています。広告は打っておらず、この店でしか買えません。
なぜ安くできるのか
広告費がかかっていないこと、そのスーパーの店舗数ぶんをまとめて発注できること、卸を通さず直接取引していることが効いています。
メーカー側の事情
この緑茶を作っているのは、実は隣に並ぶナショナルブランドとは別の、知名度の低い中堅メーカーです。
自社ブランドでは棚を取れませんが、プライベートブランドの製造を請け負うことで工場を止めずに済んでいます。
同じ棚に並ぶ2本の緑茶の裏に、まったく違う事情があるわけです。
試験のポイント
簡単にいうと
複数の製品に、どうブランド名を付けるか。2つの軸のマス目で5つに分かれるよ!
① 2つの軸で見る
企業は通常、複数の製品を取り扱っていますが、その製品が類似しているか否かによって、ブランドの冠し方を異なるものにするケースが多くあります。
具体的には、取り扱っている製品群を、次の2つの次元で見比べた際の状況によって、ブランドの採用戦略は5つのパターンに区分されます。
② 5つのパターン
ⅰ ファミリーブランド(統一ブランド)… 標的市場も、製品ライン間のイメージ・競争地位も同質的
個々の製品ラインをバラバラに広告・販促するよりも、統一されたイメージで訴求するほうが新製品を導入する際に受け入れられやすいため、
簡単にいうと
名前が似ているけど、まったく別のものだよ。「1社の中の話」か「2社をまたぐ話」かで分かれるんだ!
① ダブルブランド
ダブルブランドは、共通のブランド(多くは社名)と個々のブランド名を組み合わせたブランドの付け方です。
前のテーマで見たとおり、1つの企業のなかでの冠し方の話です。
② ダブルチョップ
ダブルチョップとは、1つの商品に対して2つの異なる企業のブランドを併記することをいいます。
多くの場合、ナショナルブランドとプライベートブランドの両方を併記する形になります。
なお、このように2つの異なる企業のブランドを併記するのは、コ・ブランディングともいいます。
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⑤ 両者の力関係
プライベートブランドは、流通業者が企画し、製造をメーカーに委託する形が一般的です。
流通業者から見れば、広告費がかからないぶん安く売れ、利益率も高くなります。そして、その店でしか買えないので客を引きつけられます。
メーカーから見れば、工場の稼働を埋められる一方、自社のナショナルブランドと棚で競うことになります。
第16章で扱うチャネルの話で、流通業者の力が強まるとどうなるかを見ますが、プライベートブランドの広がりはその表れのひとつです。
社名や社名の一部が利用されることが多く、コーポレートブランドともよばれます。
ⅱ ダブルブランド… 標的市場は同質だが、製品ライン間の競争地位やイメージが異質的
統一的なブランドと個々のブランドを組み合わせます。統一的なブランドの認知度を利用しつつ、個々の製品ラインの特徴をもうひとつのブランドで表現します。
ⅲ ブランド・プラス・グレード… 標的市場は異質だが、製品ライン間のイメージ・競争地位は同質的
統一的なブランドを採用しつつ、各製品ラインにグレードの違いを打ち出していきます。
消費者が製品から受けるイメージは同質的なためブランドには共通部分があることが望ましい一方、標的市場は異なるため、違いをグレードによって表現します。
ⅳ 個別ブランド… 標的市場に加えて、製品ライン間のイメージや競争地位も異なる
製品ライン別に異なったブランドをつけます。
統一的なプロモーションを展開する根拠がないので、個々のブランドごとに特徴を訴求していきます。
結果的に、次の効果があります。
ⅴ 分割ファミリーブランド… 2つの次元のいずれもが中程度
製品ライン群を何らかの共通性に応じていくつかに分け、それぞれ異なったブランドをつけます。
③ マス目で覚える
縦に標的市場の類似性、横に製品ライン間の類似性をとると、4隅と中央に5つが配置されます。
両方似ていれば1つにまとめ、両方違えばバラバラにする。この両端さえ押さえれば、あいだの2つは「どちらが違うのか」で決まります。
④ ブランド・プラス・グレードの位置に注意
取り違えやすいのは、ブランド・プラス・グレードとダブルブランドの位置です。
グレードで違いを出すのは、買い手が違う(標的市場が異質)からです。同じ顔つきの製品を、上位・中位・下位に分けて違う層に売るわけです。
ダブルブランドは逆で、買い手は同じ(標的市場が同質)だが製品の顔つきが違うので、統一ブランドに個別の名前を足します。
具体例
5つの戦略を、実際の企業の例で見ていきます。
ファミリーブランド … マクドナルド、キッコーマン
扱うすべての製品に同じブランド名を冠します。買い手も似ていて、製品の顔つきも揃っているためです。
新製品を出すとき、すでにある信頼をそのまま引き継げるのが強みです。
ダブルブランド … キリンビール
「キリンラガー」「キリン一番搾り」のように、統一ブランド(キリン)と個別ブランド(ラガー、一番搾り)を組み合わせます。
買い手はどちらもビールを飲む層で同質ですが、製品の性格は違います。だから、会社の信用は共有しつつ、中身の違いはもうひとつの名前で表します。
ブランド・プラス・グレード … BMW
「7シリーズ」「5シリーズ」「3シリーズ」。
どれも同じ顔つきの車で、イメージは同質です。しかし、買い手の所得層は大きく異なります。
だから、ブランドは統一したまま、数字のグレードで違いを表すわけです。
個別ブランド … マース社
「ペディグリーチャム」(犬用フード)、「カルカン」(猫用フード)、「スニッカーズ」(チョコレート菓子)。
買い手も製品の性格もまったく違います。統一する根拠がないので、別々の名前を付けます。
この形の利点が分かる例です。もしチョコレートで問題が起きても、ペットフードの評判には及びません。
分割ファミリーブランド … 旧松下電器産業
「ナショナル」(白物家電)、「パナソニック」(AV機器)、「テクニクス」(音響機器)。
1つにまとめるほど似てはいないが、全部バラバラにするほど違ってもいない。だからいくつかの群に分けて、それぞれに名前を付けました。

ブランド採用戦略の5パターン
試験のポイント
2つを分ける線は、企業をまたぐかどうかです。
「キリン一番搾り」はどちらも同じ会社の名前なのでダブルブランドです。
スーパーのプライベートブランドに製造したメーカーの名前も併記されていれば、こちらはダブルチョップです。
④ 出題されている取り違え
次の言い方は誤りとして扱われます。
「ターゲットとする性別・年代、価格帯やイメージが異なる複数の製品ラインを展開する場合、メーカー名などを冠した統一的なブランドと個々のブランドを組み合わせたダブルチョップ戦略が適切である」
ダブルチョップは、2つの異なる企業のブランドを併記するものです。「メーカー名などを冠した統一的なブランドと個々のブランドを組み合わせる」のはダブルブランドです。
名前が似ているぶん、説明文だけを読むと引っかかります。「2社」という言葉が出てこなければダブルチョップではない、と覚えておくと確実です。
⑤ ダブルチョップが成り立つ理由
なぜ、わざわざ2社の名前を並べるのでしょうか。
流通業者から見れば、「あのメーカーが作っている」という安心を借りられます。プライベートブランドの弱点は「誰が作ったか分からない」という不安なので、そこを埋められるわけです。
メーカーから見れば、自社の名前を残したままその店の棚を確保できます。名前を出せない下請けに徹するより有利です。
互いの弱みを補い合う形になっているから、この併記が成り立ちます。
具体例
コンビニのコーヒー売場を例に、2つを見比べます。
ダブルブランドの例
飲料メーカーの製品が2つ並んでいます。
「〇〇」がメーカーの統一ブランド、「ブラック」「ラテ」が個々のブランドです。
買い手はどちらも缶コーヒーを飲む層で同じ。しかし中身の性格が違うので、名前を足しています。
1社のなかの話です。
ダブルチョップの例
その隣に、コンビニチェーンのプライベートブランドのコーヒーがあります。
パッケージには、コンビニの名前と、製造を請け負った焙煎会社の名前が両方印刷されています。
これがダブルチョップ(コ・ブランディング)です。
2つの異なる企業の名前が並んでいます。
なぜ両方載せるのか
コンビニ側は「安いけど味は大丈夫か」という不安を、老舗焙煎会社の名前で打ち消せます。
焙煎会社側は、自社ブランドでは入り込めなかった全国2万店の棚に、名前を残したまま並べられます。
見分け方
パッケージに並んでいる2つの名前が同じ会社のものか、違う会社のものか。ここだけ見れば区別がつきます。
試験のポイント
プレミアムプラン
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