製品戦略
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プレミアムで見る製品ライフサイクル(PLC)そのものは、第3章10節ですでに扱いました。ここでは、PLCとマーケティング戦略との関連を見ていきます。
つまり、「いまこの製品はどの段階にいるか」が分かったとき、4Pをどう組み替えるかという話です。
覚えるべき項目は多く見えますが、実は段階ごとの性質からほとんど導けます。
発売段階は誰も知らない。成長段階は競合が増える。成熟段階は市場が伸びない。衰退段階は引き際を考える。
この4つの状況に置かれたら何をするか、という順で読み進めてください。
簡単にいうと
まずは各段階で「売上・コスト・利益・顧客・競合」がどうなるか。ここが分かると、打ち手は自然に決まるよ!
① 5つの項目で段階を見る
製品ライフサイクルの各段階は、次の5つの項目で特徴づけられます。
ⅰ 売上
ⅱ コスト(顧客一人当たり)
ⅲ 利益
具体例
家庭用のロボット掃除機を例に、4つの段階を追ってみます。
発売段階
1台10万円。売れるのは月に数百台。開発費が重く、利益はマイナスです。
買うのは「新しいものをまず試したい」という革新者。作っているのは世界で1社だけで、競合はいません。
成長段階
口コミが広がり、売上が急増します。生産量が増えて1台あたりのコストが下がり、利益が増加。
同時に、他社が次々と参入してきます(競合が増加)。買い手は、評判を確かめてから動く早期採用者です。
成熟段階
普及率が7割に達し、売上はピーク。コストは最も低く、利益は高水準です。
買い手は平均的な多数採用者。「みんな使っているから」という理由で買う層です。
競合は十数社まで増えたあと、価格競争に耐えられない会社から退き始めます(安定、そして減少へ)。

製品ライフサイクルの各段階とマーケティング戦略
試験のポイント
簡単にいうと
段階ごとに「何を目指すか」が変わるんだ。知ってもらう → シェアを取る → 守って稼ぐ → 引き際、という流れだよ!
① 4つの目標
段階ごとのマーケティング目標は、次のようになります。
発売段階 … 製造、認知、試用
まだ誰も知りません。作れる体制を整え、存在を知ってもらい、一度使ってもらうところまで持っていくのが目標です。
成長段階 … 市場シェアの最大化
市場そのものが伸びている時期です。ここで取った位置が、後の成熟段階での利益を決めます。
だから利益よりシェアを優先します。
成熟段階 … 市場シェアを維持しつつ、利益を最大化
市場が伸びなくなりました。シェアを増やそうとすれば、他社との消耗戦になります。
簡単にいうと
製品・価格・流通・広告・販売促進を、段階ごとにどう変えるか。表で一気に押さえよう!
① 製品
② 価格
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ⅳ 顧客
ⅴ 競合他社
② 顧客の並びは普及理論と同じ
顧客の欄は、第4章3節で学んだイノベーター理論(普及理論)の並びそのものです。
革新者 → 早期採用者 → 前期多数採用者・後期多数採用者 → 遅滞者。
製品が普及していく順に、買い手の層が入れ替わる。PLCの段階とは、その入れ替わりを売上の側から見たものだ、と捉えると2つの理論がつながります。
③ コストと利益のずれに注意
ここが引っかけどころです。
コストは発売段階で最も高く、その後下がり続けます。生産量が増えて規模の経済が効き、経験効果も働くからです。
利益は発売段階でマイナスです。開発費と初期の販売促進費を回収できていないからです。
そして利益のピークは成熟段階であって、売上のピークと同じ段階に来ます。
「コストが下がるのだから利益は衰退段階が最大」とはなりません。売上が落ちるからです。
④ 競合他社の動きが成熟段階で折り返す
競合他社は、成長段階で増え、成熟段階で安定したのち減少に転じます。
市場が伸びなくなると、体力のない企業から退出していくためです。第3章10節で見た製品ライフサイクルの話が、ここでは競争構造の変化として現れています。
衰退段階
より高機能な新方式が登場し、売上が減少。残った買い手は、まだ買い替えていない遅滞者です。
コストは低いままですが、売上が落ちるので利益は減少します。
そこで、取った位置を守りながら、利益を刈り取るという二正面の目標になります。
衰退段階 … コスト削減し、ブランド名で売る
市場が縮んでいきます。新たな投資は回収できません。
費用を絞り、これまでに築いたブランド名で売るのが目標になります。
② なぜ成長段階でシェアを優先するのか
ここが理解の勘所です。
成長段階は、市場が伸びているので、他社から奪わなくてもシェアを取れる時期です。新しく市場に入ってくる客を取ればよいからです。
成熟段階に入ると、そうはいきません。市場が伸びない以上、シェアを増やすには他社から奪うしかなく、消耗戦になります。
だからシェアは成長段階のうちに取っておく。第11章2節で「成熟市場では市場占有率の向上なくして売上高の増加は難しい」と述べたことの裏返しです。
③ 成熟段階の目標が2つある理由
成熟段階だけ「維持しつつ最大化」と2つの目標が並んでいます。
利益を取りにいって値上げすればシェアを失い、シェアを守りにいって値下げすれば利益を失う。両立が難しいからこそ、両方を目標に掲げる必要があります。
PLCのなかで最も舵取りが難しいのが、この段階です。
具体例
同じロボット掃除機メーカーの意思決定を、段階ごとに見てみます。
発売段階の判断
家電量販店に実演販売員を置き、1週間の無料貸出を始めました。赤字覚悟です。
目標は試用してもらうこと。使えば価値が分かる製品なので、まず触ってもらう以外に道がありません。
成長段階の判断
工場を増設し、価格を10万円から6万円に下げました。1台あたりの利益は減ります。
しかし、市場が年60%で伸びているうちにシェアを取っておくほうが得だと判断しました。ここで取り損ねると、後から奪うのは何倍も高くつきます。
成熟段階の判断
市場の伸びが止まりました。ここで価格を下げても、市場全体は増えません。他社と値下げ合戦になるだけです。
そこでこの会社は、価格を維持したまま上位機種を投入して客単価を上げ、同時に消耗品(フィルター、ブラシ)の販売で利益を積みました。
シェアは守り、利益は別の場所から取るという形です。
衰退段階の判断
新方式の掃除機が主流になりました。
この会社は広告を止め、生産を1ラインに絞り、在庫を売り切る方針に切り替えました。残った買い手には、長年使われてきたブランド名が効きます。
試験のポイント
③ 流通
④ 広告
⑤ 販売促進
⑥ 販売促進の山が2つある
ここが最も間違えやすい項目です。
販売促進は、発売段階で大規模に行い、成長段階でいったん控え、成熟段階でまた力を入れるという山が2つある形になります。
理由はそれぞれ違います。
発売段階の販売促進は、試してもらうため。知らない人に手を出させるには、後押しが要ります。
成長段階は、放っておいても需要が伸びている時期です。わざわざ費用をかける必要がありません。
成熟段階の販売促進は、他社ブランドから乗り換えさせるためです。市場が伸びない以上、他社の客を取るしかないからです。
「販売促進は発売段階から衰退段階へ向けて減り続ける」という言い方は誤りになります。
⑦ 流通の向きは広げてから絞る
流通は、選択的 → 拡大的 → さらに拡大 → 選択的という動き方をします。
最初は扱ってくれる店が限られますし、こちらも売り方を管理したい。だから選択的に絞ります。
売れ始めたら、手に入る場所を増やすほど売れるので拡大します。
衰退段階では、売れない販路を維持する費用が重くなるのでまた絞るわけです。
⑧ 広告の狙いが段階で変わる
広告は、知ってもらう(発売)→ 関心を持ってもらう(成長)→ 違いを分かってもらう(成熟)→ 絞る(衰退)と動きます。
成熟段階でブランドの違いとベネフィットを強調するのは、その段階では製品そのものの差が小さくなり、「どこが違うのか」を言わないと選ばれないからです。
具体例
同じロボット掃除機で、4Pの変化を並べてみます。
発売段階
成長段階
成熟段階
衰退段階
販売促進の動きに注目
大規模 → 控える → また力を入れる → 最低水準。
一本調子で減っていくのではなく、成熟段階でもう一度立ち上がることを覚えておいてください。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
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