企業戦略(成長戦略)
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プレミアムで見る競争優位の源になる経営資源には、研究者によっていろいろな呼び名が付けられてきました。そのなかでもよく使われるのがケイパビリティとコアコンピタンスです。この2つは厳密には論者によって認識が違いますが、試験対策としては共通点と、あえて言うなら何が違うのかを押さえておけば十分です。短い節ですが、多角化の議論への橋渡しになる大事な内容です。
簡単にいうと
どちらも「独自性を生み出す組織の力」のこと。ほぼ同じものと思ってOK。あえて違いを言うなら、コアコンピタンスは多角化のときに活きる力、という使われ方をするよ!
① 呼び名はいろいろある
競争優位の源となる経営資源については、研究者によって多様な呼称が用いられています。そのなかでもよく用いられるものにケイパビリティとコアコンピタンスがあります。
② 2つの共通点
この2つはともに、
・「独自性を生み出す組織能力」といった無形の経営資源のこととして用いられ、
・「模倣困難性が高い」という点でも共通しています。
厳密には識者によって認識が異なっていますが、基本的にはほぼ同じことであるととらえて差し支えありません。
③ あえて違いを挙げるなら
一般の用法を見るなかであえて違いを挙げるのであれば、コアコンピタンスは企業が多角化戦略(複数の事業を展開する戦略)を実行する際に活用することができる、特にコアとなる経営資源、ということで用いられることが多くなっています。
つまり、「さまざまな市場や製品に展開する際に活かすことができる経営資源」ということです。
| ケイパビリティ | コアコンピタンス | |
|---|---|---|
具体例
コアコンピタンスの3つの条件を、精密機器メーカーJ社で確かめてみましょう。
J社のコアコンピタンスは「微小な液体を狙った位置に正確に吐き出す技術」です。もともとは事務機器のインク吐出ヘッドのために20年かけて磨いた技術でした。
❶ 顧客に利益をもたらすか 印字が精細になり、インクの消費も減ります。顧客の便益にはっきりつながっています。
❷ 競合他社に真似されにくいか 吐出口の加工精度、インクの粘度管理、温度による挙動の補正が複雑に絡み合っており、社内でも「どれが効いているか」を切り分けられません。因果関係の不明性が高い状態です。
❸ 複数の商品や市場に展開できるか ここが決定的でした。J社はこの技術を、
・布地に直接印刷する産業用プリンタ
・液晶パネルの有機材料の塗布装置
・微量の試薬を分注する医療用の検査機器
へと横展開しています。事務機器市場が頭打ちになっても、同じ技術を軸に3つの新しい事業が立ち上がりました。
ひとつの技術が、複数の事業の共通の土台になっている。これがコアコンピタンスが多角化と結びつけて語られる理由です。

ケイパビリティとコアコンピタンス
試験のポイント
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| 独自性を生み出す組織能力(無形の経営資源) |
| 同左 |
| 模倣困難性 | 高い | 高い |
| あえて言えばの違い | 組織能力全般 | 多角化の際に横展開できる、特にコアとなる資源 |
| 主な論者 | ストーク、エバンス、シュルマンら | ハメル、プラハラード |
④ 多角化の話への橋渡し
「さまざまな市場や製品に展開する際に活かせる」というコアコンピタンスの性格は、このあと学ぶ多角化の議論に直結します。
多角化がうまくいくかどうかは、「新しい事業でも使い回せる資源を持っているか」で大きく変わります。第8節で学ぶシナジーや範囲の経済性は、まさに「ひとつの資源を複数の事業で使うことで得られる効果」の話です。
⑤ コアコンピタンスの3つの条件
ハメルとプラハラードは、コアコンピタンスと呼べるものの条件として次の3つを挙げています。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 顧客に利益をもたらす | 顧客が価値を認める便益につながっていること |
| 競合他社に真似されにくい | 模倣困難性が高いこと |
| 複数の商品や市場に展開できる | ひとつの事業に閉じず、横に広げられること |
VRIOのV(価値)とI(模倣困難性)に加えて、横展開できるかという条件が入っているのが特徴です。ここがコアコンピタンスらしさだといえます。
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