企業戦略(成長戦略)
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プレミアムで見る企業戦略では、企業がどのような製品・市場領域で事業を行っていくかを決めます。経営戦略論のパイオニアであるアンゾフは、製品と市場をそれぞれ既存と新規に分けた2×2のマトリックスで、成長の方向を4つに整理しました。シンプルですが応用範囲が広く、この章の後半で学ぶ多角化の議論への入り口にもなる枠組みです。
簡単にいうと
製品が既存か新規か、市場が既存か新規か。この2×2で成長の方向が4つに分かれる。多角化だけが「両方とも新規」だよ!
① 4つの展開エリア
経営戦略論のパイオニアであるアンゾフは、製品=市場マトリックスによって、経営戦略の展開エリアを4つに分類しました。成長ベクトルとも呼ばれます。
| 製品(技術):既存 | 製品(技術):新規 | |
|---|---|---|
| 市場:既存 | 市場浸透戦略 | 新製品開発戦略 |
| 市場:新規 | 新市場開拓戦略 | 多角化戦略 |
このうち、多角化戦略を除く3つ(市場浸透・新市場開拓・新製品開発)をまとめて拡大化戦略と呼びます。いまある製品か、いまある市場のどちらかは手元に残したまま広げていく、という共通点があるためです。
② それぞれの中身
❶ 市場浸透戦略(既存市場 × 既存製品)
具体例
創業30年、子ども向け英会話教室を運営するK社の4つの選択肢を並べてみましょう。現在は市内10教室で、小学生を教えています。
市場浸透戦略 いまの小学生向け英会話教室のまま、地域の小学校前でのチラシ配布とSNS広告を強化し、通っていない家庭に通ってもらう。既存の教室と講師で対応できるので追加投資は少なく済みます。
新市場開拓戦略 同じ小学生向けのカリキュラムを、隣県の未進出エリアに展開する。あるいは、同じ内容をオンラインで全国の家庭に届ける。教材もノウハウもそのまま使えます。
新製品開発戦略 いま通っている生徒とその家庭に対して、中学生向けの継続コースや英検対策講座を新たに用意する。顧客との信頼関係はすでにあるので、告知コストがほとんどかかりません。
多角化戦略 英会話とは関係のない学習塾向けの教室管理システムを開発して他社に販売する。顧客も製品もまったく新しく、ソフトウェア開発の人材も採用しなければなりません。最もリスクが高い方向です。
K社はまず新製品開発戦略(中学生コース)から着手しました。既存の顧客基盤を活かせるため、初年度から在籍生徒の4割が継続し、新規獲得コストをかけずに売上を伸ばせたからです。

アンゾフの成長マトリックス

アンゾフの製品=市場マトリックス
試験のポイント
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既存市場に既存製品を投入する戦略です。広告宣伝や価格などのマーケティング要素を有効活用して市場シェアを拡大し、経営目標の達成を目指します。
いまの商品を、いまのお客に、もっと買ってもらう。最もリスクが低い方向ですが、市場が成熟していると伸びしろは限られます。
❷ 新市場開拓戦略(新規市場 × 既存製品)
新規市場に既存製品を投入する戦略です。既存製品を従来未開拓であった市場(新しい顧客層や土地など)に展開して売上を向上させます。
海外進出や、女性用製品を多少アレンジして男性用に販売することなどがこの例です。
❸ 新製品開発戦略(既存市場 × 新規製品)
既存市場に新製品を投入する戦略です。新しい機能を付け加えて今までとは異なる品質の製品を創造する、大きさや色などが異なる追加機種を開発する、などの方法があります。
具体的には、自動車や携帯電話などの製品で新機種を追加したり、デザインを変更したりするなどのモデルチェンジ政策に見られます。
❹ 多角化戦略(新規市場 × 新規製品)
新規市場に新製品を投入する戦略です。ここでの多角化戦略は、次節で学ぶ分類でいえば無関連多角化を意味します。
製品も市場も新しいため、4つのなかで最もリスクが高い方向です。その一方で、既存事業が行き詰まったときの逃げ道にもなります。
③ リスクの序列
4つを並べると、手元に残すものが多いほどリスクが低いという関係が見えます。
| 戦略 | 残すもの | リスク |
|---|---|---|
| 市場浸透 | 製品も市場も | 最も低い |
| 新市場開拓 | 製品 | 中 |
| 新製品開発 | 市場(顧客との関係) | 中 |
| 多角化 | どちらも残らない | 最も高い |
④ エーベルの3次元枠組との関係
第3節で学んだエーベルの3次元枠組(顧客・機能・技術)と重ねると、理解が深まります。
・新市場開拓戦略……技術と機能はそのままで、顧客を広げる
・新製品開発戦略……顧客はそのままで、機能や技術を新しくする
・多角化戦略……顧客も機能も技術も新しくする
アンゾフの2軸を、エーベルが3軸に細かくした、という関係でとらえておくと両方が記憶に残りやすくなります。
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