人的資源管理
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プレミアムで見る前の節で決めた総額を、どんな項目に分けて配るか。それを設計するのが賃金体系管理です。そして、どんな単位で計算して支払うかを決めるのが賃金形態管理。この2つが賃金制度管理の中身にあたります。
この節の山場は、基本給の4類型です。年功給・職務給・職能給・成果給の4つは、それぞれ第1節から第3節までで学んだ人事制度の考え方と一対一で対応しています。日本型・欧米型・成果主義という流れを、賃金の側から見直す節だと考えてください。
簡単にいうと
給与明細の項目が、どういう枝分かれでできているか。ここを1回整理しておくと、あとの話が全部見通せるよ!
① 現金賃金の枝分かれ
現金賃金は、次のように枝分かれしています。上から順にたどってみてください。
まず、定期賃金と賞与に分かれます。
定期賃金はさらに、所定内賃金と所定外賃金に分かれます。
所定内賃金は、あらかじめ決められた労働時間に対して支払われる部分で、基本給と手当(諸手当)からなります。
所定外賃金は、決められた時間の外で働いたことに対する部分で、時間外労働手当、休日出勤手当、深夜労働手当などがこれにあたります。
② 賃金体系の中心は所定内賃金
こうした賃金項目のなかで、賃金体系の中心に位置づけられるのが、基本給と諸手当からなる所定内賃金です。
所定外賃金は働いた時間で変わり、賞与は業績で変わります。制度として設計できるのは、所定内賃金の部分だということです。
③ 基本給と諸手当
基本給は、賃金の基本部分で、同一の賃金体系が適用される従業員全員に支払われるものです。誰にでも支払われる、という点が特徴です。
諸手当は、受給資格のある従業員に支給されるもので、3つに分かれます。
具体例
課長のYさんの給与明細を、枝分かれに沿って分解してみます。
所定内賃金
小計 41万7千円
所定外賃金
Yさんは管理監督者にあたるため、時間外労働手当は支給されません(第14節の労働時間の規定で扱います)。
定期賃金の合計 41万7千円
ここに加えて、夏と冬に賞与が支給されます。
こうして並べると、Yさんの所定内賃金のうち基本給は32万円で、全体の約77%。残りの23%は手当で、そのうち大半が生活手当です。
もしYさんが独身で賃貸に住んでいなければ、同じ役職・同じ仕事でも月に3万5千円少ないことになります。手当の比重が大きい体系には、こうした性格があります。

賃金体系と基本給の決め方
試験のポイント
簡単にいうと
基本給を「何で」決めるか。年齢か、仕事か、能力か、成果か。この4つが、そのまま人事制度の考え方に対応しているんだ!
① 4つの類型
基本給は、年功給、職務給、職能給、成果給に分類できます。
年功給は、日本で従来より一般的であったもので、従業員の年齢、勤続年数、学歴などの属人的な要素を中心に決定される基本給です。
職務給は、職務の重要性や困難度で職務の価値づけを行い、その職務価値を基準として決定される基本給です。
職能給は、職務遂行能力を基準として決定される基本給です。第1節・第2節で扱った職能資格制度の等級に応じて支払われます。
成果給
簡単にいうと
何を単位に計算して払うか、という話だよ。時間で測るか、仕事の量で測るか。2つに分かれるんだ!
① 賃金形態とは
賃金形態とは、賃金の計算および支払いの形態のことをいいます。
前のテーマの賃金体系が「何を基準に額を決めるか」だったのに対し、賃金形態は「どういう単位で計算して払うか」の話です。別の問いに答えているので、混ぜないよう注意してください。
② 時間を基準とする形態
賃金を支払う基準として時間を採用すると、次のような形態になります。
時間給、日給、週給、月給、年俸
左から右へ、区切る単位が長くなっていきます。
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④ 基本給と手当の性格の違い
基本給が全員に支払われるのに対して、手当は条件を満たす人だけに支払われる。ここが分かれ目です。
家族手当は扶養家族がいる人だけ、住宅手当は持ち家がない人だけ、役職手当は役職に就いている人だけ。手当が増えると賃金の中身は複雑になり、同じ仕事をしている人のあいだで額に差がつきます。
近年、家族手当や住宅手当を廃止して基本給に組み入れる動きがあるのは、属人的な要素で差がつくことへの見直しです。第3節で見た成果主義の流れと同じ向きにあります。
② 4つは何を見ているのか
4つの違いは、基本給を決める物差しをどこに置くかです。
年功給と職能給は人に付く、職務給は仕事に付く、成果給は結果に付く。こう整理すると、第2節で学んだ職能資格制度と職務等級制度の対比がそのまま重なります。
③ 職能給と成果給の境目
この2つは紛らわしいので、線を引いておきます。
職能給は能力を持っていることに対して払うものです。使う機会がなくても、身に付けていれば等級は上がります。
成果給は能力を発揮できたことに対して払うものです。持っているだけでは足りず、実際に発揮して結果に結びついたかを見ます。
第3節で見たとおり、職能給の下では能力が下がらない建前なので賃金も下がりにくく、結果として人件費が高止まりしました。成果給はその問題への答えとして持ち込まれたものです。
④ 4類型と人事制度の対応
この章をここまで読んできた流れで整理すると、4つの類型は章全体の縮図になっています。
基本給の話が単独で出てきているわけではない、ということが分かると、記憶の支えになります。
具体例
同じ「営業課の主任、35歳、勤続12年」のZさんが、4つの体系の会社でそれぞれいくらもらうかを考えてみます。
年功給の会社35歳・勤続12年・大卒という属性から、基本給は31万円。同期入社の人は、仕事の中身にかかわらずほぼ同額です。
職務給の会社「営業主任」という職務に33万円という値が付いています。Zさんが35歳でも25歳でも、この職務にいる限り33万円。課長職に異動すれば、その日から課長の職務給になります。
職能給の会社Zさんの職能資格は4級で、4級の職能給は30万円。もし異動して営業以外の仕事に就いても、4級である限り30万円のままです。能力が身に付いて5級に昇格すれば34万円に上がります。
成果給の会社前年度の目標達成率と、そこで発揮された能力の評価から基本給が決まります。達成率120%だった昨年は35万円でしたが、80%だった今年は29万円に下がりました。
同じ人、同じ仕事でも、物差しが違えば額も、額の動き方も変わります。
試験のポイント
賃金を支払う基準として仕事を採用すると、次のような形態になります。
出来高給、歩合給、業績給
こちらは、働いた時間の長さではなく、仕上げた量や挙げた成績で額が決まります。
④ どの形態が誰に使われているか
一般的な傾向は次のとおりです。
⑤ 時間基準と仕事基準で何が変わるのか
時間を基準にすると、収入が安定する代わりに、成果と賃金のつながりが弱くなります。月給なら、忙しい月も暇な月も同じ額です。
仕事を基準にすると、成果と賃金が直結する代わりに、収入が不安定になります。売れた月と売れない月で額が大きく変わります。
どちらが優れているという話ではなく、仕事の性質に合わせて選ぶものです。成果が個人の努力に強く左右される仕事なら仕事基準が合い、チームで動く仕事や、成果が外部要因に左右されやすい仕事なら時間基準が合います。
具体例
住宅リフォーム会社で、3つの職種の賃金形態を見てみます。
設計担当(正社員)… 月給制
図面を引く仕事は、案件の大きさによって手間が何倍も変わります。大型案件が続いた月も、小さな案件だけの月も同じ額。腰を据えて品質を上げてもらうには、この形が合っています。
施工スタッフ(パート)… 時間給制
現場の稼働は季節で大きく上下します。繁忙期は週5日、閑散期は週2日。働いた時間で払う形でなければ、会社も働く側も折り合いません。
営業担当(正社員)… 月給+歩合給
基本給として月25万円を保証したうえで、契約金額の1%を歩合給として上乗せします。
純粋な歩合給だけにしないのは、収入が不安定だと腰を据えた顧客対応がしにくくなるからです。時間基準の安定と、仕事基準の動機づけを半分ずつ取る形になっています。
試験のポイント
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