プロモーション戦略
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プレミアムで見るこの節では、4つのプロモーション手法の残り2つ、人的販売と販売促進を扱います。
前の節で見たとおり、この2つはプッシュ戦略の中核です。
人的販売は、人が出向いて1対1で伝える手法。販売促進は、その場で買う動機を作る手法です。
販売促進は種類が多いので、消費者向けと流通業者向け(リベート)に分けて押さえてください。
最後に、4つの手法を束ねる考え方であるIMC(統合型マーケティングコミュニケーション)を扱います。
簡単にいうと
人が直接、1対1で伝える手法だよ。コストは高いけど、複雑な話も伝えられるんだ!
① 人的販売とは
人的販売とは、販売員などが主に店頭において顧客に対して1対1でメッセージを口頭で伝える活動です。
この際の対応により、購買へつながるかはもちろん、商品や店舗に対するイメージが形成されます。
② コストと位置づけ
人的販売は、相対的には消費者1人あたりの情報伝達コストが高くなります。
しかし、高額商品の販売などにおいては重要なプロモーション手段となるため、販売員個人への信頼(人格信頼)や企業信頼を醸成することがとくに重要になります。
③ なぜ高額商品で重要になるのか
第13章2節で見た関与を思い出してください。
価格が高いほど関与は高まり、消費者は積極的に情報を探します。そして失敗したくないので、慎重になります。
そういう相手には、一方的な広告より、尋ねられたことに答えられる人のほうが効きます。
さらに、第14章1節で見た信用財——買った後でも良し悪しが分からないもの——では、誰から買ったかが判断材料になります。人格信頼が重要になるのは、そのためです。
④ メリット
具体例
住宅展示場での接客を例に見てみます。
個別ニーズへの対応
来場した家族に、営業担当が尋ねます。
「お子さまは何年生ですか」「ご実家は近いですか」「車は何台お持ちですか」
答えに応じて、子ども部屋の配置、二世帯の可能性、駐車場の広さと説明する内容を変えていきます。
広告ではこれができません。相手に合わせられるのが人的販売の強みです。
複雑な情報の伝達
住宅ローンの金利タイプ、断熱等級と光熱費の関係、税制の優遇措置。
15秒のCMでは到底伝わりません。口頭でやり取りしながらでなければ伝えられない内容です。
人格信頼が効く場面
住宅は3,000万円を超える買い物で、しかも買った後でも良し悪しが分かりにくい。
20年経たないと、断熱性能の差は実感できません。
だから、最後は「この人なら信用できるか」で決まります。人格信頼と企業信頼を醸成することが重要、というのはこのことです。
デメリットが出る場面

人的販売と販売促進の位置づけ
試験のポイント
簡単にいうと
その場で買う気にさせる仕掛けだよ。消費者向けと流通業者向けで分けて覚えよう!
① 販売促進とは
販売促進とは、消費者の購買意欲や販売店の販売意欲を喚起する活動の総称です。
定義に販売店も入っている点に注意してください。相手は消費者だけではありません。
② 消費者向けの販売促進
POP広告
小売店舗の店頭に展示・陳列する販促用広告物であり、スタンド、ポスター、陳列台など多くの種類が存在します。
なお、POPとは「Point of Purchase」(購買時点広告)のことです。
店頭における非計画購買を促進するとともに、販売効率を向上させることができます
簡単にいうと
4つの手法をバラバラに打つのではなく、ひとつのメッセージに束ねる考え方だよ!
① IMCとは
IMC(Integrated Marketing Communications:統合型マーケティングコミュニケーション)とは、自社とその製品に関するメッセージに明快さ、一貫性(店舗の内外装、広告、HPなど)をもたせるために、マスコミ広告、セールスプロモーション、ダイレクトマーケティング、PRなどを戦略的に統合するという概念です。
② 何をめざすのか
つまり、自社あるいは自社製品がどのようなものであるかが消費者に明確に伝わるようなコミュニケーション活動(双方向性)を展開し、長期的な関係を構築するものです。
双方向性という言葉が入っている点に注意してください。一方的に発信するのではなく、受け手の反応を取り込みながら進めます。
③ コンシューマーインサイト
そのためには、消費者側が企業のコミュニケーション活動をどのように受け止めているのかをふまえるという、
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⑤ デメリット
⑥ 広告と裏返しの関係
人的販売の長所と短所は、広告とちょうど逆になっています。
広告は、一度に多くの人へ届くが、全員に同じ内容しか送れません。
人的販売は、相手に合わせて変えられるが、一度に1人にしか届きません。
そして、人的販売の質は人に依存します。第14章6節で見たサービスの品質の変動性と同じ問題です。だから教育訓練が要るわけです。
テレビCMなら一度に数百万人へ届きますが、ここでは1日16組が限界です。
そして、ベテランのAさんの成約率は32%、新人のBさんは8%。
同じ会社の同じ商品でも、人によって4倍の差が出ます。活動の質が販売員に依存する、というのはこういうことです。
発表会・展示会
メーカーが独自に行う新製品発表会や、業界企業が一堂に会して行う各種展示会などがこれにあたり、製品紹介と受注活動が同時に行われます。
サンプル
新製品のトライアル需要を促すために、製品見本を無料で提供するものです。
プレミアム
製品・サービスの購入意欲を喚起したり、認知度を高めたりする販促手段として用いられる景品類をいいます。
直接的な物品供与のほかに、クーポン、スタンプ、カード利用点数、現金などの提供、旅行やスポーツ観戦などへの招待なども含まれます。
ノベルティ
宣伝のために会社名、商品名、ブランド名などを入れて配る粗品のことです。
実演
販売する製品をその場で実際に使用し、その性能や特徴などのメリットを消費者に理解してもらうものです。
ポイントカード
消費者の購入金額に応じてポイントを加算し、ポイントに応じて割引を実施したり、金券などを提供したりするものです。
会員カード
顧客の組織化を図るためのものであり、会員になれば非会員よりも有利な価格で製品の購入が可能となるなどの便宜が図られるものです。
また、入手した顧客属性(氏名、年齢、職業など)を顧客データベースに登録して購買履歴を捕捉すれば、蓄積した顧客情報(誰が、いつ、何を、どれだけ購入したのかなど)を分析して品揃えや販売促進活動に活かすことができます。
③ プレミアムとノベルティの違い
紛らわしいので分けておきます。
プレミアムは購入を条件に渡す景品です。だから購入意欲の喚起につながります。クーポンや現金、招待なども含む広い概念です。
ノベルティは宣伝のために配る粗品です。社名や商品名が入っていて、購入は条件になりません。
④ ポイント制度が効く条件
ここが出題された論点です。
次の言い方は誤りです。
「頻繁に購入しない商品にポイント制度を適用すると、頻繁に購入する商品に比べて、その効果が大きく現れる」
ポイントが貯まりにくいため、効果は小さくなります。
年に1回しか買わないものでポイントを貯めても、使えるようになるまで何年もかかります。それでは次も買おうという動機になりません。
⑤ リベート(流通業者向け)
メーカーが流通業者に対して行うものであり、取引の際に価格の割引を行うのではなく、いったんは正規の価格で取引がなされ、一定期間経過後に現金もしくは現金同等物で、売り手から買い手に対して提供されるというものです。
流通業者との長期的な協力関係を維持するために用いられます。
⑥ 値引きとの違い
リベートの要点は、いったん正規の価格で取引し、後から戻すという点です。
その場で値引きすれば、それきりで終わります。
後から戻す形にすれば、一定期間の取引実績に応じて額を決められます。だから、継続して取引してもらう動機になる。
長期的な協力関係の維持という目的が、この仕組みから出ています。
そして、第15章2節で見た内的参照価格の観点でも、表に出る取引価格は正規のままなので、値崩れを起こしません。
具体例
スーパーマーケットとその取引先の販促を見てみます。
POP広告
新商品の棚に「バイヤー一押し!」という手書きの札を付けました。
買う予定のなかった客が足を止めて手に取ります。これが非計画購買の促進です。
サンプル
新しいドレッシングの小袋を、野菜売場で無料配布しました。
トライアル需要を促すための無料提供です。
実演
同じ売場で、実際にサラダにかけて試食してもらいます。
その場で使って見せることで、説明だけでは伝わらない良さを理解してもらいます。
プレミアム
「3本買うと保冷バッグ進呈」。
購入が条件なので、購入意欲の喚起につながります。
ノベルティ
レジ横に、店名入りのボールペンを置いて自由に持ち帰ってもらいます。
買わなくてももらえます。目的は宣伝であって、購入の条件ではありません。
ポイントカードと会員カード
会員になると、ポイントが貯まり、会員価格でも買えます。
そして店は、誰が、いつ、何を、どれだけ買ったかを顧客データベースに蓄積し、品揃えの見直しに使っています。
ポイントが効かなかった例
この店は、隣接する家具売場でもポイント制度を始めました。
しかし家具は数年に一度しか買いません。
ポイントが貯まるころには有効期限が切れてしまい、効果はほとんど出ませんでした。
頻繁に購入しない商品では効果が小さい、というのはこういうことです。
リベート
ドレッシングのメーカーは、この店に対して1本180円の正規価格で納品しています。
そのうえで、半年間の取引数量が5万本を超えたら、超過分について1本あたり8円を現金で戻す契約を結んでいます。
最初から172円で売らない理由は2つあります。
ひとつは、継続して扱ってもらう動機になること。途中で棚から外せば、戻しを受け取れません。
もうひとつは、表に出る価格が180円のままなので、他店との取引価格にも影響せず、値崩れを招かないことです。
試験のポイント
コンシューマーインサイトとは、さまざまな消費者の情報を活用し、消費者の複雑な心理的側面(動機づけ、態度など)や行動的側面を理解することを指します。
④ なぜ統合が必要なのか
消費者から見れば、広告も、店頭のPOPも、ウェブサイトも、店員の応対も、すべて同じ会社からのメッセージです。
ところが企業の側では、広告は宣伝部、店頭は営業部、サイトは別の部署——と担当が分かれています。
放っておくと、それぞれが違うことを言い始めます。
広告では「上質」と言いながら、店頭では「激安」と大書きし、サイトでは機能の数を並べる。
受け手は、結局この会社は何なのかが分からなくなります。
⑤ 一貫性が欠かせない
次の言い方は正しいものとして扱われます。
「広告、販促、広報のいずれもが、企業の発信するコミュニケーション活動であり、これらは企業理念、企業戦略、事業戦略、ブランド戦略の中で一貫性をもち、いわば『ひとつの統一されたメッセージ』で結びつけられることが欠かせない」
⑥ 第14章4節とのつながり
第14章4節で見たブランド連想を思い出してください。
連想は、好ましく、ユニークで、結びつきが強いほど価値が高まりました。
結びつきを強めるには、あらゆる接点から同じメッセージが届く必要があります。
ばらばらのことを言っていては、何とも結びつかないからです。
IMCは、ブランドエクイティを積み上げるための運用方法だと捉えると、章全体がつながって見えます。
具体例
統合できていなかった会社が、IMCで立て直した例です。
ばらばらだったころ
ある紅茶ブランドの各部署は、それぞれ別のことを言っていました。
それぞれの部署は、自分の目標(認知率、販売数、滞在時間)に対して合理的に動いていました。
しかし消費者から見れば、
「高級なのか、安いのか、健康志向なのか」
が分かりません。
コンシューマーインサイトを取った
調査したところ、
消費者がどう受け止めているかが見えてきました。
ひとつのメッセージに束ねた
「夕方15分の、自分だけの時間」
これを軸に、すべての接点を揃えます。
双方向性
さらに、利用者が「自分の15分」を投稿できる場を作り、寄せられた声を次の広告に反映させました。
一方的に流すのではなく、受け取り方を取り込んで進める。これが双方向のコミュニケーションです。
結果
値引きをやめたのに、売上は18%伸びました。
どの接点でも同じことを言っているので、「このブランドはこういうもの」という連想が強く結びついたためです。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。