企業戦略(成長戦略)
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プレミアムで見る前章の事業戦略が「ひとつの事業でどう勝つか」だったのに対し、この章の企業戦略は「会社全体として、どの事業をどう組み合わせるか」を考えます。複数の事業を持つ企業では、個々の事業で勝つだけでは足りません。限られた経営資源を、どの事業にどれだけ配るのか。伸ばす事業と畳む事業をどう見極めるのか。この章では、その判断を支える考え方を順に学んでいきます。
簡単にいうと
企業戦略は「どのリングに上がるか」を決める戦略。リングの上でどう戦うかを決める事業戦略とは、役割がまったく違うよ!
① 企業戦略(成長戦略)の定義
企業戦略(成長戦略)とは、企業が長期間にわたって持続的な成長を維持していくための基本的な構想です。具体的には、次のようなことを決めていきます。
・企業全体としてどのような領域で事業活動をしていくのか
・どのような新規事業を展開するのか
・各事業への経営資源の配分をどうするのか
つまり、複数の事業を展開している場合には、特定の事業において競争優位を築くことに加え、企業全体としてどのような経営を行っていくのかを、戦略的に組み立てていく必要があるということです。
② 主なテーマ
具体的なテーマの例としては、次のようなものが挙げられます。この章で学ぶ内容の一覧でもあります。
| テーマ | 何を決めるか | 節 |
|---|---|---|
| 企業ドメイン | 会社全体としての生存領域をどこに置くか | 第2〜3節 |
| リソースベースドビュー(ケイパビリティ) |
具体例
創業70年の写真フィルムメーカーを例に、企業戦略の働きを見てみましょう。
2000年代、デジタルカメラの普及により、この会社の柱だった写真フィルム事業の需要は急速に縮小しました。事業戦略のレベルでは、いくら工夫しても市場そのものが消えていくため、打てる手には限界があります。
そこで経営陣が企業戦略のレベルで決めたのが、次のことでした。
・フィルム事業は縮小し、生産設備を大幅に整理する
・フィルムの製造で培った薄膜を均一に塗る技術とコラーゲンを扱う技術を棚卸しする
・その技術が活きる領域として、液晶ディスプレイ用フィルムと化粧品、医薬品を新たな柱に据える
・そのために必要な資源は、M&Aで外から取り込む
「どの事業をやめ、どの事業を始め、そこにいくら配るか」。これはひとつの事業部では決められません。企業戦略がトップマネジメントの仕事だというのは、こういうことです。

経営戦略の3つのレベルと企業戦略の役割
試験のポイント
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| 第4〜5節 |
| 多角化 | どの方向に事業を広げるか | 第6〜9節 |
| PPM | 各事業に資源をどう配分するか | 第10〜11節 |
| 外部組織との連携 | 自前でやるか、他社と組むか | 第12〜13節 |
③ 企業戦略と事業戦略の違いを、もう一度
この2つの混同は、試験で最も多い取り違えのひとつです。違いをはっきりさせておきましょう。
| 企業戦略(成長戦略) | 事業戦略(競争戦略) | |
|---|---|---|
| 対象の範囲 | 企業全体 | 特定の事業 |
| 中心の問い | どの事業を、どんな組み合わせでやるか | その事業で、どうやって勝つか |
| 相手 | 主に自社の内側(資源配分の判断) | 競合他社 |
| 決める人 | トップマネジメント | ミドルマネジメント(単一事業ならトップ) |
| 代表的なテーマ | 企業ドメイン、多角化、PPM、M&A | 事業ドメイン、ポーターの競争戦略論、競争地位別戦略 |
④ なぜ「成長戦略」と呼ばれるのか
企業戦略が成長戦略とも呼ばれるのは、その中心の課題が長期にわたる成長の維持にあるからです。
ひとつの事業には必ず寿命があります(第10節で学ぶ製品ライフサイクル)。いま稼いでいる事業も、いずれ成熟し、衰退します。したがって企業が長く続くためには、いまの事業が元気なうちに、次の事業を育てておく必要があります。
この章で学ぶ多角化もPPMもM&Aも、煎じ詰めれば「次の柱をどうやって作るか」という同じ問いへの答えです。そう考えると、ばらばらに見えるテーマがひとつにつながって見えてきます。
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