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企業間連携

企業戦略(成長戦略)

不確実性の高い経営環境において、企業が単独で競争優位を築くことは難しくなっています。そこで注目されるのが、他の企業や組織との連携です。このセクションでは、垂直的統合・水平的統合といった統合の方向性から、M&Aの具体的な形態や手法、さらに戦略的提携やジョイントベンチャーなど多様な企業間連携の仕組みを整理します。試験では各手法の違いや特徴が頻出するため、正確に区別できるようにしましょう。

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垂直的統合と水平的統合

簡単にいうと

企業が他社と一体化する「統合」には、サプライチェーンの上流・下流に向かう垂直方向と、同業種の企業同士が手を組む水平方向の2パターンがあるよ。方向によってメリットが違うから、しっかり区別しよう。

統合とは、ある企業が別の企業と事実上一つの事業体になることを指し、大きく垂直的統合と水平的統合に区分される。垂直的統合は、原材料の調達段階から最終製品の販売に至るまでの業務の流れ(バリューチェーン)に沿って、複数の生産・流通段階を一つの企業内に取り込む形態である。川下方向(販売・顧客側)への統合を前方統合、川上方向(原材料・部品側)への統合を後方統合と呼ぶ。例えば完成品メーカーが直営店を展開する場合は前方統合、小売業者が自社ブランド製品の製造を開始する場合は後方統合に該当する。垂直的統合の利点としては、隣接する工程をまとめることで中間在庫や輸送にかかるコストを削減できること、また業務全体の調整や管理が容易になることが挙げられる。一方、水平的統合は、同種の製品分野を扱う企業同士が結合することで事業領域を拡大する形態であり、規模の経済やシナジー効果の獲得を目的として実施される。なお、「流通」の観点で見ると垂直関係、「製造」の観点で見ると水平関係になるなど、どの視点から捉えるかで関係性の見え方が変わる点にも注意が必要である。

試験のポイント

  • 前方統合と後方統合の方向を正確に覚えること
  • 前方統合=川下(販売側)、後方統合=川上(原材料側)は頻出論点
  • 垂直的統合のメリットとして「中間在庫・輸送コストの節約」「業務の調整・管理の容易さ」の2点がよく問われる
  • 統合の内部化に伴う取引コストの観点は第2編第1章第6節「外部環境と組織」とも関連する
  • 水平的統合の目的である規模の経済・シナジー効果もセットで押さえておくこと
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M&Aの形態

簡単にいうと

M&Aには「合併」「株式買収」「営業譲渡(事業譲渡)」の3つの基本形態があるよ。合併にも吸収合併と新設合併の2種類があって、図で整理すると覚えやすいよ。

M&AはMergers and Acquisitionsの略で、企業の合併や買収を総称する概念であり、企業が統合を進める際の代表的な手段である。M&Aの形態は大きく3つに分けられる。第一に合併は、複数の企業が法的に完全に一体化して一つの法人となる行為である。合併には吸収合併と新設合併の2形式があり、吸収合併では合併当事者のうち1社が存続会社として残り他社は解散する。新設合併ではすべての当事者企業がいったん法人格を消滅させ、新たに設立された企業に統合される。第二に株式買収は、対象企業の発行済株式を取得して子会社化する方法であり、新株発行による増資引受けや株式交換なども含まれる。第三に営業譲渡(事業譲渡)は、企業の営業資産(設備・権利・ブランド・特許など)を相手方に譲り渡す手法で、譲渡の範囲は当事者間の合意により柔軟に設定できるため、特定の事業部門のみを切り出して移転することも可能である。また、主に株式公開買付けを活用した吸収合併を繰り返し、互いに関連のない多様な事業分野を統合した企業形態をコングロマリットと呼ぶ。1960年代後半のアメリカでコングロマリット・ブームが発生したが、多くは業績悪化に至った。

M&Aの主要形態として合併(吸収合併・新設合併)、株式買収、営業譲渡を示すツリー図

M&Aの形態

手法
正式名称
内容
合併(吸収合併)
Absorption Merger
合併当事企業のうち1社を存続させ、他社を吸収して解散させる方式
合併(新設合併)
Consolidation Merger
当事企業すべてを解散し、新たに設立した法人に統合する方式
株式買収
Stock Acquisition
対象企業の発行済株式を取得し、子会社化する方式。新株引受けや株式交換を含む
営業譲渡
Business Transfer(事業譲渡)
企業の営業資産(設備・ブランド・特許等)を譲渡する方式。範囲を柔軟に設定可能

試験のポイント

  • 吸収合併と新設合併の違いは図表問題で頻出
  • 吸収合併=1社存続・他社解散、新設合併=全社解散・新会社設立の区別を明確に
  • コングロマリットは「無関連分野の統合」「1960年代後半の米国」がキーワード
  • 営業譲渡では譲渡範囲を自由に設定できる柔軟性が特徴として問われやすい
  • 株式買収における株式交換の仕組みも出題実績がある
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M&Aの手法

簡単にいうと

M&Aを実行するための具体的な手法にはTOB・LBO・MBO・MBI・EBOの5種類があるよ。誰が・どんな資金で買収するかで分類されているから、それぞれの違いを整理しよう。

M&Aにおいて株式を取得するための代表的手法は5つある。(1)TOB(Take Over Bid:公開買付け)は、買収側が対象企業の株式について価格・株数・買付期間等を公開し、株式市場を介さず株主から直接買い取る方法である。(2)LBO(Leveraged Buy Out)は、買収対象企業の資産や将来の収益力を担保として金融機関からの借入れや社債発行で資金を調達し、その資金で買収を行う手法である。(3)MBO(Management Buy Out)は、現在の経営陣が事業継続を前提に、自社の株式や事業部門を買い取って経営権を獲得する手法である。(4)MBI(Management Buy In)は、MBOの派生形であり、買収対象企業の外部から招かれたマネジメントチーム(同業界での経験者や企業再建の専門家など)が買収を実行する手法である。(5)EBO(Employee Buy Out)は、企業の従業員が自社の事業を買い取るか経営権を取得する手法である。M&Aのメリットとしては短期間で戦略展開が可能なことや自社の弱みを効率的に補えることがある。一方デメリットとして、短期間での意思決定ゆえに調査が不十分になるリスクや、人事・労務面での組織融合がスムーズに進みにくい点がある。こうしたリスクを軽減するため、買収前にデューデリジェンス(due diligence)と呼ばれる精密調査を行い、対象企業の資産価値や将来の収益見込みなどを多角的に検証・評価することが不可欠である。

試験のポイント

  • 5つの手法(TOB・LBO・MBO・MBI・EBO)の英語正式名称と内容の対応は必須暗記事項
  • 特にMBOは「現経営陣による買収」であり、過去問でオーナー社長が第三者に売却するケースとの引っかけが出題されている(H29年度)
  • LBOの特徴である「対象企業の資産を担保にした借入れ」も頻出
  • デューデリジェンスの意味と目的(資産価値・収益見込みの検証)は単独でも問われる重要用語
  • M&Aのメリット・デメリットの対比も整理しておくこと
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戦略的提携とその他の連携

簡単にいうと

M&Aのように完全に一体化するのではなく、お互いの独立性を保ちながら協力する方法もあるよ。合弁事業や戦略的提携は、それぞれの強みを持ち寄りつつ柔軟に協力できるのが魅力だよ。

企業間連携にはM&A以外にも多様な形態が存在する。合弁(ジョイントベンチャー)は、複数の企業が共同で出資して新たな事業体を設立し、各社の経営資源を結集して事業活動を展開する仕組みである。戦略的提携(アライアンス)は、複数の企業が契約に基づいて実現する協力関係を指す。その最大の特徴は、各企業がそれぞれの経営上の独立性を維持したまま連携できる点にある。パートナー企業同士は対等な立場で互いの経営資源を補い合い、単独では困難なスピーディーな事業展開を実現する。ただし、提携関係は通常ゆるやかな結びつきであり、将来的に提携を解消してライバル関係に戻る可能性もある。そのため、協調関係を維持しつつも相手の技術やノウハウをより多く吸収しようとする競争が生じやすく、協調と競争が同時に存在する状況が特徴的である。戦略的提携は、共同開発や合弁事業の設立のように企業が独自性を保ちながら緩やかなつながりを構築しつつ、資本参加や組織的統合を通じて経営資源の融合を図る取り組みである。また、コンソーシアムは特定の目的のために複数企業が一時的に連合体を形成する協力形態であり、大規模プロジェクトなどで活用される。

試験のポイント

  • 戦略的提携の3つの特徴「経営独立性の保持」「相互補完関係」「協調と競争の併存」は頻出ポイント
  • 合弁(ジョイントベンチャー)と戦略的提携の違いとして、合弁は新会社設立を伴うが提携は必ずしもそうではない点を区別すること
  • 過去問(R元年度)では、戦略的提携を「組織的に一体化すること」とする誤りの選択肢が出題されており、独立性維持が正解のカギとなる
  • コンソーシアムの特徴(目的限定・一時的連合)も基本事項として押さえること

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