企業戦略(成長戦略)
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プレミアムで見る外部との連携の相手は、他の民間企業だけではありません。大学や研究機関と組む産学連携、そして業務の一部を外部に任せるアウトソーシングも、不確実性の高い環境のなかで自社の得意な領域に集中するための有力な手段です。どちらも中小企業にとって現実的な選択肢であり、診断士の実務でも助言する機会の多いテーマです。
簡単にいうと
業務の一部を外部に任せること。ねらいは単なるコスト削減じゃなくて、浮いた資源を自社の得意分野に集中させることだよ!
① アウトソーシングとは
事業構造の再構築によって、自社にとって付加価値が低いと判断された業務に関しては、アウトソーシングを活用することも多くなっています。
アウトソーシングとは、業務の一部について、外部の労働力を活用するものです。
② 対象となる業務
対象業務は広い分野にわたっており、情報システム関連から、総務、経理、営業、マーケティングなどがその代表的な例です。
かつては工場の生産工程や清掃・警備といった「現場の作業」が中心でしたが、いまでは経理や人事といった管理部門の業務、さらにはマーケティングのような企画的な業務まで広がっています。
③ なぜ使うのか
特に不確実性が高い経営環境においては、アウトソーシングを含む外部資源を活用することによって、自社のコア領域に集中することも有効です。
ここが大事なところで、アウトソーシングの目的は単なるコスト削減ではありません。限られた資源を、自社が本当に強い領域に振り向けるための手段です。第5節で学んだコアコンピタンスの考え方と直結しています。
④ アウトソーシングのメリット
| メリット | 中身 |
|---|---|
| 外部の専門性を活用できる | 自社で人を育てるより、専門業者のほうが質が高いことがある |
| 自社の得意分野に資源を集中させることができる | 手放した業務に使っていたヒトと時間を、コア領域に回せる |
| コスト削減が可能となる | 固定費を変動費に変えられる |
3つ目のコスト削減について補足すると、自社で人を雇えば人件費は固定費ですが、外部に委託すれば業務量に応じた変動費になります。第2章で学んだとおり、固定費が高い構造は需要が落ちたときに一気に苦しくなります。その意味でも、変動費化は不確実性への備えになるわけです。
⑤ 注意すべきこと
一方で、何でも外に出せばよいわけではありません。
コアコンピタンスに関わる業務をアウトソーシングしてしまうと、自社の競争優位の源そのものを手放すことになります。第4節で学んだVRIOでいえば、模倣困難性を支えていた社内の蓄積が、委託先に移ってしまうということです。
「付加価値が低いと判断された業務」を出す、という前提がついているのは、そのためです。
具体例
社員35名の産業機械メーカーX社が、3年かけて業務の棚卸しを行った例です。
外に出した業務
・給与計算と社会保険の手続き 社労士事務所に委託。法改正のたびに調べていた総務担当の負担が消えました。外部の専門性の活用です。
・自社サーバーの運用 クラウドサービスに切り替え。障害対応のために休日に呼び出されていた担当者が解放されました。
・一般的な板金部品の加工 特別な精度を要しない部品は協力会社に発注。自社の加工機を、精度が要る部品だけに使えるようになりました。
外に出さなかった業務
・制御ソフトの開発 コストだけを見れば外注したほうが安い見積りでした。しかし、この制御アルゴリズムこそがX社のコアコンピタンスです。外に出せば、委託先が同じものを他社にも提供できてしまいます。社長は「ここだけは絶対に出さない」と判断しました。
・顧客の現場での据付と調整 一見すると単純作業ですが、ここで顧客の使い方の癖や不満を直接聞くことが、次の製品開発の種になっていました。
結果 総務と情報システムに割いていた人件費が年間で約900万円減り、その分を制御ソフトの技術者2名の採用に充てています。浮いた資源をコア領域に集中させるという、アウトソーシングの本来のねらいどおりの使い方です。

アウトソーシングと産学連携
試験のポイント
簡単にいうと
企業と大学が組むこと。企業は技術を得て、大学は研究成果を実用化して研究資金も得る。お互いに得があるから続くんだね!
① 産学連携とは
産学連携とは、民間企業と大学などの教育機関や研究機関が連携して研究開発や事業を行うことをいいます。
② 日本での歩み
日本における産学連携は米国と比較して約20年程度遅れてスタートしたといわれています。
しかし1990年代後半以降、次のような法的な整備によって、いまだ十分ではないものの着実な進展が見られます。
| 整備の内容 | 何が可能になったか |
|---|---|
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| 大学の技術を企業へ移転する仕組みが整った |
| 国立大学教官等の兼業規定の緩和 | 大学の研究者が企業の仕事に関われるようになった |
| 国立大学の独立行政法人化 | 知的財産の大学への帰属が可能になった |
3つ目が特に重要です。かつては国立大学の研究者が生んだ発明の権利関係があいまいでしたが、大学自身が知的財産を持てるようになったことで、企業に対してライセンスを出せるようになりました。
③ TLO
技術移転を行う機関であるTLO(Technology Licensing Organization)が主に大学を拠点に設置され、大学の基礎研究の成果を企業に移転するという仲介機能を果たしています。
研究者と企業が直接交渉するのは、双方にとって負担が大きいものです。TLOが間に入って、特許の出願・管理・企業への売り込みを担うことで、研究成果が世の中に出やすくなります。
④ 産学連携によるメリット
産学連携は、企業側と大学側の双方に利点があります。だからこそ成り立つ関係です。
❶ 企業側のメリット
大学に技術源を求めることで、民間企業は自社資源をコア分野に集中することができます。
基礎研究には長い時間と大きな費用がかかります。そこを大学に任せられれば、企業は応用と事業化という自社の得意な領域に資源を振り向けられます。前のテーマのアウトソーシングと同じ発想です。
❷ 大学側のメリット
企業に技術を提供することで、大学は研究成果を実用化することができるとともに、さらなる研究のための資金を獲得することができます。
論文で終わっていた研究が、実際の製品になる。そして得られた資金で次の研究ができる。この循環が生まれます。
⑤ 大学発ベンチャー
産学連携の発展形として、大学発ベンチャーがあります。
大学発ベンチャーは、大学や研究機関と組みながら自前の技術を磨き、足りない技術力を補っています。ただし、それが事業として伸びるかどうかを分けるのは企業者能力のほうです。
優れた技術があれば事業になる、というわけではありません。誰に売るのか、いくらで売るのか、どうやって作るのか、資金をどう調達するのか。こうした事業を組み立てる力(企業者能力)が伴ってはじめて、技術は事業になります。この論点は第4章のベンチャー企業の節でさらに詳しく扱います。
具体例
地方の金属加工メーカーY社と、地元の国立大学の連携を追ってみましょう。
きっかけ Y社は溶接の技能には自信がありましたが、顧客から「溶接部の強度を数値で保証してほしい」と求められるようになりました。職人の勘に頼ってきたため、なぜ強いのかを説明する理論もデータも持っていなかったのです。
大学側の事情 同じ県内の大学に、金属の接合を専門とする研究室がありました。研究室には理論と測定設備がありましたが、実際の生産現場のデータを持っていませんでした。
TLOの仲介 大学のTLOが間に入り、共同研究の契約をまとめました。Y社の技術者が持ち込んだ溶接サンプルを研究室が解析し、強度が出る条件を数値で示す、という進め方です。
企業側が得たもの Y社は、解析のための設備投資も研究者の採用もせずに済みました。その分の資金を、溶接ロボットの導入という自社のコア分野に集中させています。さらに、強度を数値で示せるようになったことで、これまで入れなかった航空機部品の分野に参入できました。
大学側が得たもの 研究室は、実際の生産現場のデータという論文には得がたい材料を手に入れました。共同研究費として年間800万円が入り、その資金で大学院生2名を雇用しています。また、この技術は特許として出願され、大学に帰属する知的財産となりました。
双方に得があるからこそ、この関係は5年目に入っても続いています。
試験のポイント
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