プロモーション戦略
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プレミアムで見るプロモーション戦略を適切に構築するためには、プロモーションミックスを構成する各手法の具体的な内容を知る必要があります。
この節では、4つの手法のうち広告を扱います。
広告とは、メッセージの発信企業が、媒体を通して、製品や企業などについての情報を消費者に伝達する手法のことです。
また、これらは消費者の購買意思決定に際して非常に重要な役割を果たすものであるため、消費者の心理についても十分な理解をもつことが必要になります。
押さえるのは3つ。広告の分類、広告効果の測り方、そして消費者の反応モデルです。
接触効果の指標は計算を伴うので、数値例を最後まで解けるようにしておきましょう。
簡単にいうと
広告は3つの切り口で分類できるよ。製品ライフサイクル別、媒体別、そしてその他。順に見ていこう!
① 製品ライフサイクル(PLC)別分類
情報提供型広告(開拓的広告)
主にPLCの導入期から成長期にかけて実施されるものであり、新製品そのものに対しての需要を喚起させるために行われる広告です。
説得型広告(競争的広告)
主にPLCの成長期から成熟期にかけて実施されるものであり、ある製品の特定ブランドごとに、その品質、性能、価格などの優位性を訴えていく広告です。
リマインダー型広告(維持的広告)
主にPLCの成熟期に実施されるものであり、特定ブランドの需要水準とブランド名の記憶を維持するために行われる広告です。
簡単にいうと
広告の効果は3段階で測るよ。見てもらえたか、覚えてもらえたか、売れたか。この順番だよ!
① 広告効果の3段階
広告の効果を測定する段階には、接触効果、心理効果、売上効果の3段階があります。
② 接触効果
接触効果とは、広告の実施により、消費者がその広告へどのくらい接触したか(どの程度の消費者が視聴したのか)を測定することにより確認できるものです。
そのための指標としては次のものがあります。
視聴率
テレビ所有世帯のうち番組が放送されている時間に、特定の放送局にチャンネルを合わせている世帯や個人の割合のことであり、世帯視聴率と個人視聴率があります。
簡単にいうと
広告を見てから買うまでの心の動きを段階に分けたモデルだよ。AIDAにMが入るとAIDMA。順番で覚えよう!
① 反応モデルとは
企業からのあらゆるコミュニケーション活動による刺激とその反応について、消費者の心理的な過程を段階的にとらえるものとして、いくつかのモデル化がなされています。
② AIDAモデル
セールスパーソンによる短期間の対人的なコミュニケーション活動(人的販売)に対しては、消費者は次の心理的プロセスをたどります。
Attention(注目)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Action(行為)
③ AIDMAモデル
広告などによるコミュニケーション活動に対しては、広告に接触してから購買に至るまでに時間的な間隔があるため、AIDAモデルの途中段階にMemory(記憶)というステップが追加されました。
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3つの違いは、何に対して需要を起こすかです。
第14章2節で見たPLC各段階の広告方針と重なります。成熟期に「ブランドの違いとベネフィットを強調する」のは、説得型広告にあたります。
そして成熟期の広告では、機能面での差別化よりもイメージ面での差別化が重要になることが多いとされます。製品そのものの差が小さくなるためです。
③ 広告媒体別分類
マスコミ広告
新聞、雑誌、テレビ、ラジオのマスコミュニケーション手段を用いた広告です。
SP広告
マスコミ広告以外の手段(屋外広告、交通広告など)を利用した広告です。
具体的には次のものがあります。
④ 印刷媒体の性質
ここが出題された論点です。
次の言い方は誤りです。
「新聞・雑誌といった印刷媒体は、広告変更の柔軟性は高いが、メッセージの寿命は短い」
特に雑誌は広告変更がしにくく、メッセージ寿命は他の媒体に比べ長くなります。
月刊誌なら、入稿してから発売まで1か月以上かかります。一度刷ってしまえば差し替えられません(変更しにくい)。
一方、雑誌は読み返されたり、待合室などに置かれて長く読まれたりします(寿命が長い)。
⑤ その他の分類
ティーザー広告
商品を隠したり一部を小出しにしたりするなどの方法で、消費者の好奇心をよび起こし、関心や興味を惹きつける予告編のような広告です。
アドバトリアル
編集記事の中に広告を折り込む雑誌の広告形態のことで、記事体広告ともよばれます。
インフォマーシャル
通常の宣伝よりも長い時間で、情報番組の形式で提供する広告です。
⑥ 3つに共通するもの
この3つは、いずれも広告らしくない形をとるという点で共通しています。
ティーザーは何の広告か明かさず、アドバトリアルは記事の形をとり、インフォマーシャルは番組の形をとる。
広告だと身構えられると見てもらえないので、その警戒を解くための形だと捉えると覚えやすくなります。
具体例
ある自動車メーカーが、新型車で3種類の広告を使い分けた例です。
導入期 ― 情報提供型広告
「ガソリンも電気も使わない、新しい動力の車」
この段階では、そもそもそういう車があることを知らせるのが仕事です。他社と比べる以前の話なので、製品カテゴリーそのものへの需要を起こします。
成長期〜成熟期 ― 説得型広告
他社も同じ方式の車を出してきました。
「航続距離は他社より120km長い」「充電時間は半分」
特定ブランドの優位性を、品質・性能・価格で訴えます。
成熟期 ― リマインダー型広告
市場が成熟し、どの社の車も性能が横並びになりました。
ここでの広告は、海沿いの道を走る映像にブランド名が出るだけ。性能の数字は出しません。
記憶を維持することが目的だからです。そして、機能で差がつかない以上、イメージ面での差別化が重要になります。
媒体の使い分け
雑誌広告の性質
自動車雑誌に出稿した広告は、入稿から発売まで6週間かかりました。その間に価格改定があっても差し替えられません。
一方、この雑誌は販売店の待合室に1年間置かれ、多くの来店客が手に取りました。メッセージ寿命は長いわけです。
その他の分類を使った例
発売の3か月前、車体の一部だけを映して「◯月◯日」とだけ出すCMを流しました(ティーザー広告)。
自動車雑誌には、記事の体裁で開発者インタビューを載せました(アドバトリアル)。
深夜枠で30分の番組を買い、開発の舞台裏を情報番組の形式で放送しました(インフォマーシャル)。

プロモーションの4手法と広告効果の測定
試験のポイント
一定期間に広告を1回以上見た人の、見込視聴者数に対する割合であり、製品(および広告)の導入期において特に重視される指標です。
GRP(累積到達率)
一定期間に広告を見た人の延べ総数の、見込視聴者数に対する割合です。
フリクエンシー(接触頻度)
一定期間に広告を見た平均回数であり、製品の特徴や競合製品との違いなどが複雑であるなど、消費者を説得するのに時間をかける必要性が高い状況において特に重視される指標です。
GRPをリーチで除して求めます。
③ リーチとフリクエンシーの使い分け
ここが押さえどころです。
リーチは「何人に届いたか」、フリクエンシーは「何回届いたか」です。
導入期は、まず存在を知ってもらう段階なので、広く届けること(リーチ)が重要になります。
説明が複雑な製品では、1回見ただけでは伝わりません。繰り返し届けること(フリクエンシー)が重要になります。
④ 計算の仕方
3つの関係は次のとおりです。
GRP = 平均視聴率 × 広告回数
フリクエンシー = GRP ÷ リーチ
⑤ 心理効果
心理効果は、消費者が広告を視聴したことにより、製品のブランドの認知度や製品の品質・性能などの理解度がどの程度向上したかを測定することにより確認できるものです。
心理効果を測定する尺度としては、ブランド知名度(第14章4節を参照)とブランド再生などがあります。
ブランド再生とは、製品カテゴリーの提示のみで特定ブランドが想起されることです。たとえば「朝食のシリアル食品」といえば特定の社名、といったことです。
⑥ 売上効果
売上効果は、広告の実施によって当該製品の売上高がどの程度増加したかを測定することで確認します。
この効果は、第12章で見た実験法などによって測定可能ですが、消費者が製品の購買を意図しても、小売店の店頭に製品が陳列されていなければ、その効果を正確に測定できないことに注意します。
⑦ 3段階は順に進む
3つは、見てもらう → 覚えてもらう → 買ってもらうという順番になっています。
接触効果が低ければ、心理効果も出ません。心理効果が出ても、店に品物がなければ売上効果になりません。
どの段階で止まっているかが分かることが、3段階に分けて測る意味です。
具体例
テレビ広告のデータから、4つの指標を実際に計算してみます。
与えられた数字
視聴率
1回目:70 ÷ 1,000 = 0.07 → 7%
2回目:50 ÷ 1,000 = 0.05 → 5%
GRP(累積到達率)
延べ人数で計算します。
(70+50)÷ 1,000 = 0.12 → 12
別の求め方でも同じ値になります。
平均視聴率 × 週当たり広告回数 = 6% × 2 = 12
(平均視聴率は(7%+5%)÷2=6%)
リーチ(到達率)
1,000人のうち、1回でも見たことのある人を100人と仮定します。
100 ÷ 1,000 = 0.1 → 10%
延べ120人ぶんの視聴がありましたが、同じ人が2回見ているので、実人数は100人です。
フリクエンシー(接触頻度)
GRP ÷ リーチ = 12 ÷ 10 = 1.2回
100人が平均1.2回見た、ということです。
この数字をどう読むか
導入期の製品なら、リーチ10%は低すぎます。まだ9割の人に届いていません。広く届けるために、出稿する番組を増やすべき段階です。
説明が複雑な製品なら、フリクエンシー1.2回では足りません。1回見ただけでは理解できないからです。同じ人に繰り返し届けるために、同一番組への集中出稿を検討することになります。
心理効果の測定
広告後の調査で、「朝食のシリアルといえば」と尋ねたところ、このブランド名を挙げた人が18%から34%に増えました。
これがブランド再生の向上です。
売上効果の落とし穴
ところが、売上は7%しか伸びませんでした。
調べると、広告を見て買いに行った人のうち、4割が店頭で見つけられなかったことが分かりました。
棚の確保が追いついていなかったのです。
買う気になっても、店に無ければ売上にならない。この場合、広告の効果が低かったのではなく、正確に測定できていないということになります。
試験のポイント
④ MがなぜAIDAには無いのか
ここが2つを分ける理由です。
人的販売は、その場で説明を受けて、その場で買います。覚えておく必要がありません。
広告は、見た場所と買う場所が違います。テレビで見て、数日後にスーパーで買う。その間、覚えていなければ買えません。
だから広告のモデルにはMemoryが入るわけです。
この違いを押さえておけば、どちらがどちらか迷いません。
⑤ 5Aモデル
P.コトラーが、マーケティング4.0において顧客の購買に関する流れを提唱したものであり、次の5段階のプロセスを示しています。
Aware(認知)→ Appeal(訴求)→ Ask(調査)→ Act(行動)→ Advocate(推奨)
⑥ 5Aモデルで何が変わったか
従来のモデルとの違いは2つあります。
ひとつは、Ask(調査)が入ったこと。消費者が自分で調べ、他の人に尋ねる段階です。第13章1節で見た情報処理モデルの「能動的な消費者」という見方が表れています。
もうひとつは、Advocate(推奨)で終わること。
AIDAもAIDMAも買ったところ(Action)で終わりでした。5Aは、買った人が他の人に薦めるところまでを含みます。
第13章3節で見たカスタマー・ジャーニーが「推奨」で終わっていたのと同じ構造です。
⑦ 3つの並び
3つのモデルは、対象と時代で整理できます。
消費者が受け身から能動へ、そして発信する側へと変わってきた流れが、この3つに表れています。
具体例
同じ掃除機を、3つのモデルで追ってみます。
AIDAモデル ― 店頭での実演販売
Attention(注目)実演の音と人だかりで足が止まります。
Interest(興味)販売員が「この繊維の奥のゴミが取れます」と実演。興味を持ちます。
Desire(欲求)自分の家のカーペットを思い浮かべ、「うちでも使いたい」と思います。
Action(行為)その場で購入します。
所要時間は15分。見てから買うまでが続いているので、覚えておく必要がありません。だからMemoryの段階が要らないわけです。
AIDMAモデル ― テレビ広告
Attention(注目)夜のCMで目に留まります。
Interest(興味)「吸引力が落ちない」という訴求に興味を持ちます。
Desire(欲求)買い替えたいと思います。
Memory(記憶)——ここが分かれ目です。
この人が家電量販店に行くのは、2週間後の週末。その間、ブランド名を覚えていなければ、店で別の製品を買ってしまいます。
だから広告は、何度も流して記憶に残そうとします。
Action(行為)2週間後、店で指名買いします。
5Aモデル ― いまの買い方
Aware(認知)SNSでたまたま流れてきた動画で知ります。
Appeal(訴求)「音が静か」という点に惹かれます。
Ask(調査)——ここが新しい段階です。
レビューを30件読み、価格比較サイトで最安値を調べ、SNSで「使っている人いますか」と尋ねます。
企業が発信した情報ではなく、自分で集めた情報で判断しているわけです。
Act(行動)ネットで購入します。
Advocate(推奨)——ここも新しい段階です。
1か月使って満足し、使用動画を投稿します。それを見た別の人がAware(認知)の段階に入る。
買った人が、次の客を連れてくる。ここまで含めたのが5Aモデルです。
試験のポイント
プレミアムプラン
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