消費者購買行動と組織購買行動
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プレミアムで見る前の節で見たとおり、消費者は自ら情報を集めて判断します。では、その判断はどういう順で進むのか。それを段階に分けたのが購買意思決定プロセスです。
コトラーは、消費者が製品を購買する際には次の5つの段階を通過するとしています。
問題認知 → 情報探索 → 代替品評価 → 購買決定 → 購買後の行動
この節は、企業経営理論のマーケティング分野で最も出題の多い部分のひとつです。
関与、口コミ、準拠集団、ブランド・カテゴライゼーション、アサエルの購買行動類型、認知的不協和。いずれも繰り返し問われています。
5つの段階のどこの話をしているのかを意識しながら読み進めてください。
簡単にいうと
買い物は「欲しい」と気づくところから始まるんだ。そして探すときは、まず自分の記憶から探すんだよ!
① 問題認知
購買意思決定のプロセスは、消費者がニーズを認知するところから始まります。
ニーズとは、人間が感じる欠乏状態です。
たとえば空腹感は、自らの体の内部から発生して感じる場合もあれば、おいしそうな匂いなどの外部の刺激から発生する場合もあります。
② 内からと外から
ここが押さえどころです。
ニーズは、本人の内側から自然に湧くとは限りません。外からの刺激によって呼び起こされることもあります。
だからこそ、企業のマーケティングに意味があります。店頭の匂い、季節の陳列、広告。これらは問題認知そのものを作り出す
簡単にいうと
口コミは、満足した人より不満を持った人のほうが活発なんだ。ここ、引っかけどころだよ!
① 口コミとは
口コミとは、商品などについて消費者同士で情報の交換や共有をすることです。
② 3つの性質
口コミには、次の性質があります。
ⅰ 関与が高い製品ほど探索される
関与が高い製品やサービスほど、口コミ情報を探索する傾向が強くなります。
前のテーマで見たとおり、関与が高いと積極的に情報探索を行うからです。その探索先のひとつが口コミです。
ⅱ 後半の段階ほど影響が大きい
口コミ情報の影響は、意思決定の後半の段階になるほど大きくなります
簡単にいうと
自分の行動に影響を与える集団のことだよ。3つの種類と、3つの影響の仕方があるんだ!
① 準拠集団とは
準拠集団とは、消費者の態度や行動に影響を与える集団(あるいは個人)のことです。
② 3つの分類
準拠集団は、大きく次の3つに分類されます。
拒否集団も準拠集団に含まれる、という点に注意してください。近づきたい集団だけでなく、
簡単にいうと
どれだけ手間をかけて買うか、という分け方だよ。3つのタイプがあるんだ!
① 3つのタイプ
消費者の購買決定行動は、購入する製品や消費者の特性によって、3つのタイプに分類できます。
ⅰ 定型的問題解決(日常的反応行動)
価格が安く、購買頻度が高い製品などを購買するときの、最も単純な購買行動です。
消費者は製品についてよく知っており、どのようなブランドが流通しているかも知っています。
そのため、特にこだわりがあるわけではないが、いつも同じブランドを購入する(定型的)ことが多いなど、購買決定のために労力や時間を費やさないタイプです。
ⅱ 限定的問題解決
消費者が、製品そのものについてはよく知っているが、どのようなブランドが流通しているのかを知っているわけではないため、購買決定のために
簡単にいうと
消費者の頭の中で、ブランドがどう仕分けられているか。だんだん絞り込まれていく様子を追ってみよう!
① 代替品評価
情報探索により収集した複数の代替可能なもの(代替品)の情報を比較検討し、その評価を行います。
評価によって購買するブランドを絞り込んでいくことになります。
② ブランド・カテゴライゼーション
このことに関連して、各ブランドが消費者の頭の中でどのように位置づけられているのかを理解するための考え方として、ブランド・カテゴライゼーションがあります。
③ 4つの段階で絞り込まれる
ⅰ 知名段階
消費者にとって購買が可能なすべてのブランドを
簡単にいうと
関与の高さと、ブランドの違いをどう感じるか。この2軸で4つに分かれるよ!
① アサエルの購買行動類型
購買行動の分類の仕方として、アサエルの購買行動類型があります。
アサエルの購買行動類型とは、次の2つの要素によって、消費者がどのような購買行動をとるかを分類するものです。
② 4つの類型
ⅰ 情報処理型(関与が高い・知覚差異が大きい)
製品や購買行動に対する関心が高く、こだわりがあり、ブランド間の差が大きく感じられる際の購買行動です。
簡単にいうと
買って終わりじゃないんだ。期待を高くしすぎると、良い製品でも不満になってしまうよ!
① 満足と不満足はどう決まるか
消費者は、購買したものの内容などが期待に合致したものであれば満足を、期待に沿わなければ不満足を感じます。
② 期待との比較で決まる
ここが最も重要な点です。
満足は、製品の絶対的な水準では決まりません。事前の期待と、実際の経験との比較で決まります。
したがって、次のことが起こります。
消費者の主観として事前の期待が高すぎる場合には、客観的には十分な水準を有した製品やサービスであっても、不満足(不協和)を感じることになります。
③ 期待を上げすぎない
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③ 情報探索
ニーズを感じた消費者は、それを満たすための情報探索を開始します。
④ 内部探索と外部探索
情報探索には次の2つがあります。
通常は、まず内部探索を行い、それで不十分だと感じれば外部探索を行います。
順番があるという点に注意してください。前の節で見た情報処理モデルの「内部情報を用いて外部情報を解釈する」という考え方と同じ構図です。
⑤ 関与
関与とは、消費者の中心的価値と財・サービスなどの対象との結びつきです。
製品に対する関与が高いということはその製品に対してこだわりがあるととらえることができ、この場合には積極的に情報探索を行います。
⑥ 関与が高まる要因
製品に対する関与が高まる要因としては、次の3つが挙げられます。
3つとも、失敗したときの痛手が大きいという共通点があります。
高い買い物で間違えれば金銭的な損失が大きい。めったに買わないものは、次の機会まで間違いを引きずる。人に見られるものは、選択が自分の評価に跳ね返る。
だから慎重になり、積極的に調べるわけです。
⑦ 知識
知識とは、消費者が過去に使用(体験)した経験によって保持している、製品やサービスについての知識です。
⑧ 関与と知識は別物
前の節でも触れましたが、重要なので繰り返します。
関与が高いことと、知識が豊富であることは別です。
関与はこだわりの強さ、知識は過去の経験から得た蓄積。測っている次元が違います。
初めて住宅を買う人は、関与が極めて高い一方、知識はありません。毎日コーヒーを飲む人は、豆の知識が豊富でも缶コーヒーへの関与は低いかもしれません。
具体例
同じ「冷蔵庫が壊れた」という場面から、2人の探索を追ってみます。
問題認知
Aさんは、朝起きたら冷蔵庫が冷えていないことに気づきました。体の内側からではなく、目の前の事態から問題を認知しています。
Bさんの冷蔵庫はまだ動いています。しかし、家電量販店で新製品の省エネ性能の表示を見て「うちのは電気代がかかっているのでは」と思いました。外からの刺激が問題認知を作り出した例です。
内部探索から始まる
2人とも、まず自分の記憶を探ります。
Aさんは前回の買い替えが12年前で、そのときのメーカー名くらいしか覚えていません。内部探索では足りないと感じます。
外部探索へ
Aさんは比較サイトを3日見て、店頭を2軒回りました。
関与が高い理由
Aさんの関与は高くなります。3つの要因がすべて当てはまるからです。
関与が高くても知識はない
Aさんは3日調べましたが、「真空チルド」と「パーシャル」の違いが最後まで分かりませんでした。
こだわって調べているのに、判断がつかない。関与は高く、知識は乏しいという状態です。
一方、家電販売員のCさんは知識が豊富ですが、自分の冷蔵庫は「冷えれば何でもいい」と考えています。知識は豊富、関与は低い。
2つが独立していることが、この2人を並べるとよく分かります。

購買意思決定プロセスの5段階
試験のポイント
「そもそも何を買うか」を考えている段階より、「AとBのどちらにするか」まで絞り込んだ段階のほうが、他人の評価が効いてくる、ということです。
ⅲ 不満のほうが活発
ここが最も問われる点です。
口コミは、不満を抱いた人のほうが活発に行われます。
「苦情処理に満足した人は、苦情処理に不満を抱いた人に比べ、その経験を多数の人に口コミで伝える」という言い方は誤りとして扱われます。
③ なぜ不満のほうが広がるのか
満足は「当たり前のことが起きた」と受け取られます。わざわざ人に話す動機が生まれにくい。
不満は「起きるはずのないことが起きた」と受け取られます。誰かに聞いてほしい、という気持ちが強く働きます。
企業から見れば、良い経験は黙って持ち帰られ、悪い経験は言い広められるという非対称があるということです。
苦情処理に力を入れる意味は、満足を広めてもらうためというより、不満が広がるのを止めるところにあります。
具体例
同じ通販サイトで、2人の顧客が同じトラブルに遭いました。注文した商品が届かなかったのです。
Dさんの場合(苦情処理に満足)
問い合わせたところ、1時間で返信があり、翌日には代替品が届き、送料も返金されました。
Dさんは「ちゃんとしてるな」と思いました。そして、それきりです。誰にも話していません。
Eさんの場合(苦情処理に不満)
問い合わせフォームから送っても3日返信がなく、電話は20分待たされ、最後は「配送業者に聞いてください」と言われました。
Eさんはその日のうちにSNSに投稿し、友人3人に話し、レビューに星1つを付けました。
広がり方の差
同じ会社の同じトラブルです。しかし、外に出た情報はDさんが0件、Eさんが5件以上。
満足した人は黙り、不満の人は語る。この非対称が、口コミの基本的な性質です。
段階による影響の違い
Fさんが炊飯器を買おうとしている場面を考えます。
「そろそろ買い替えようか」と考え始めた段階では、口コミはあまり効きません。まだ何を比べればいいかも分からないからです。
しかし、2機種まで絞り込んだ段階では、レビューを何十件も読み比べます。ここで星1つのレビューが1件あるだけで、候補から外れることもあります。
後半の段階ほど影響が大きいというのは、こういうことです。

準拠集団の3類型
試験のポイント
③ 3つの影響
消費者が準拠集団から受ける影響には、次のものがあります。
ⅰ 情報的影響
情報の獲得に関して与える影響です。
情報を提供する側の知識や専門性、信用度が高いほど、影響は大きくなります。
また、新製品など、評価が難しい経験財の場合により大きな影響を与えます。
ⅱ 功利的(規範的)影響
集団の規範・ルールに従う圧力を個人に与えるものです(個人が準拠集団に応えようとする)。
ルールに従えば報酬が得られる、従わなければ制裁される、行動が観察されている、といった場合、より大きな影響を与えます。
ⅲ 価値表出的影響
自己概念を高める、あるいは維持するという動機に関連し、そのために準拠集団を利用するものです。
具体的には、準拠集団と似た行動を採ることで自らと準拠集団を結び付けようとします。
④ 3つを見分ける
3つは、何のために集団を参照しているかで分かれます。
同じ「先輩と同じ腕時計を買う」でも、「先輩が詳しいから間違いない」なら情報的影響、「浮きたくないから」なら功利的影響、「あの先輩のようになりたいから」なら価値表出的影響です。
⑤ 製品の特性によって影響は変わる
準拠集団からの影響は、製品の特性によって異なります。
「高級品/必需品」と「公的(public)/私的(private)」という2つの軸で製品を4つに分類すると、次のようになります。
カテゴリー採択(その製品を購入するか否か)は、「高級な製品」の場合に準拠集団の影響を受けます。
ブランド選択(購入することに決めた状況においてどのブランドを購入するか)は、「公的な製品」の場合に準拠集団の影響を受けます。
⑥ なぜその対応になるのか
理由を考えると覚えやすくなります。
必需品は、買うかどうかを迷いません。冷蔵庫は誰でも買います。だから「買うか否か」に他人の影響が入る余地がない。高級品は「そもそも買うべきか」を迷うので、周囲がどうしているかが効きます。
私的な製品は、人に見られません。だからどのブランドを選んでも他人には関係ない。公的な製品は人目に触れるので、ブランドの選択が他人の目を意識したものになります。
具体例
大学2年生のGさんの買い物を、4つの製品カテゴリーで見てみます。
公的な高級品 ― ゴルフクラブ
サークルの先輩たちが皆やっているから始めました(カテゴリー採択に影響)。
そして、練習場で他の人に見られるため、皆と同じ有名ブランドを選びました(ブランド選択にも影響)。
両方に影響が及ぶのが、この区分です。
私的な高級品 ― 家庭用ゲーム機
友人が皆持っているので買いました(カテゴリー採択に影響)。
しかし、部屋に置くもので誰にも見られません。だから、どのメーカーのどの型番かは価格と性能だけで決めました(ブランド選択には影響しない)。
公的な必需品 ― 腕時計
時計は誰でも持ちます。「買うかどうか」で迷うことはありません(カテゴリー採択には影響しない)。
しかし、手首は人目に触れます。就職活動を控えたGさんは、「学生っぽく見えないもの」を選びました(ブランド選択に影響)。
私的な必需品 ― マットレス
誰でも寝具は使います。そして寝室は人に見せません。
Gさんは価格だけで決めました。どちらにも準拠集団の影響が及びません。
3つの影響が働いた場面
腕時計を選ぶとき、Gさんには3つの力が働いていました。

アサエルの購買行動類型
試験のポイント
ⅲ 拡大的問題解決(包括的問題解決、発展的問題解決)
価格が高く、購買頻度が低い製品などを購買するときの、複雑な購買行動です。
消費者は製品についても、流通しているブランドについてもよく知らないため、情報収集を行ってブランド間の比較を行うなど、購買決定のために多くの(拡大的に)労力や時間を費やすタイプです。
② 知識の有無で3段階
3つは、何をどこまで知っているかで並びます。
知らないことが増えるほど、調べる手間が増える。この対応で覚えると確実です。
③ 対応する製品の特徴
定型的問題解決から拡大的問題解決へ向かうにつれて、対応する製品の性質も変わります。
④ 関与が高ければ定型的ではない
ここが出題の的です。
関与が高い時点で、定型的問題解決ではありません。
「特定の製品カテゴリーに対する関与が高い場合、知識が少ない人より多い人のほうが、満足の最大化を目指して、限定的な意思決定プロセスをとりやすい」
という言い方は正しいものとして扱われます。関与が高いのだから定型的ではありえず、知識が多いぶん拡大的にまでは至らない。だから限定的になる、という筋道です。
具体例
同じ日に3つの買い物をしたHさんを追ってみます。
朝 ― 牛乳(定型的問題解決)
コンビニで、いつもと同じメーカーの牛乳を取りました。所要時間5秒。
牛乳という製品も、どんなブランドが並んでいるかも知っています。そして180円の買い物に手間をかける理由がありません。
昼 ― 出張先の駅で買う土産(限定的問題解決)
職場への土産です。菓子折りという製品はよく知っていますが、その土地にどんなブランドがあるかは知りません。
10分ほど売場を見て回り、パッケージと値段と個数を見比べて決めました。
製品は知っているがブランドを知らない。だから、ある程度の手間だけかかりました。
夜 ― 住宅ローンの借り換え(拡大的問題解決)
そもそも借り換えという仕組みをよく知りません。どの金融機関が何を出しているかも知りません。
Hさんは3週間かけて、解説記事を読み、シミュレーションを試し、3つの金融機関に相談に行きました。
製品もブランドも知らない。だから多くの労力と時間がかかりました。
知識が増えると変わる
なお、Hさんがもし1度借り換えを経験していれば、仕組みは分かっているので拡大的にはなりません。
しかし金額が大きく関与は高いままなので、定型的にもなりません。限定的問題解決に落ち着くことになります。
試験のポイント
入手可能集合は、次の2つに分類されます。
ⅱ 処理段階
知名集合は、さらに次の2つに分かれます。
ⅲ 考慮段階
処理集合は、次の3つに分類されます。
ⅳ 選好段階
最終的には、想起集合の中から購買するブランドが選択されます。
④ ふるいが4回かかる
この考え方の要点は、買ってもらうまでに4つのふるいがあるということです。
⑤ どこで落ちているかで打つ手が変わる
この整理が実務で役立つのは、落ちている場所によって手当てが違うからです。
非知名集合にとどまっているなら、必要なのは認知を広げることです。広告が効きます。
非処理集合にとどまっているなら、名前は知られているのに中身が伝わっていない。必要なのは製品の特徴を伝えることです。
保留集合に入っているなら、検討はされたが理由があって見送られている。必要なのはその理由を取り除くこと、たとえば価格の見直しや不安の解消です。
「売れていない」という一つの結果に対し、打つべき手はまったく違ってきます。
具体例
炭酸水を買おうとしているIさんの頭の中で、ブランドがどう仕分けられているかを見てみます。
入手可能集合 … 近所のスーパーに並ぶ12ブランド
知名段階
このうちIさんが名前を知っているのは7ブランド(知名集合)。残る5つは目に入っていません(非知名集合)。
この5社にとって、Iさんは最初のふるいで落ちた客です。どれだけ品質が良くても、選ばれる土俵に上がっていません。
処理段階
7つのうち、炭酸の強さや産地まで知っているのは4つ(処理集合)。残る3つは「聞いたことがある」だけです(非処理集合)。
考慮段階
4つのうち、
選好段階
Iさんは想起集合の2つのうち、その日セールだったほうを手に取りました。
各社の打つべき手
非知名集合の5社には、そもそも認知が要ります。試飲や陳列の改善が効きます。
非処理集合の3社は、名前は届いています。何が違うのかを伝えるべき段階です。
保留集合の1社は、検討はされました。価格が理由なので、内容量を増やすか価格の根拠を伝えるかで動かせます。
同じ「Iさんに買われなかった」でも、4社の課題はまったく違います。
試験のポイント
ⅱ バラエティ・シーキング型(関与が低い・知覚差異が大きい)
製品や購買行動に対する関心は高くないが、ブランド間の差が大きいと感じるため、色々なブランドを買って試す行動を起こします。
ペットボトルやスナック菓子など、反復的に購買されるが、味などに違いがあると認識している場合に生じます。
ⅲ 不協和解消型(関与が高い・知覚差異が小さい)
製品や購買行動に対する関心は高いが、どのブランドも同じように見え、購買後に自らの選択が正しかったのかに不安を感じることになります。
ⅳ 習慣型(関与が低い・知覚差異が小さい)
製品や購買行動に対する関心が低く、どのブランドも大差ないと考えるため、いつも購買しているブランドか最も低価格なブランドを選択します。
③ 認知的不協和
不協和解消型に出てくる認知的不協和とは、人間が自己の内部で矛盾が生じた際に生じる心理的な緊張状態をいいます。
そのため、あらためて自らが購入したブランドや購入しなかったブランドの広告などを見て、その認知的不協和を解消しようとします。
よって、このような購買行動になることが多い製品の場合には、広告に不安を解消させるような要素を入れておくことが重要になります。
④ 買った後に広告を見る
ここが面白いところです。
普通、広告は買う前に効くものだと考えます。しかし不協和解消型では、買った後にこそ広告が読まれます。
「自分の選択は正しかった」と確かめたいからです。
だから、この型にあたる製品の広告は、買わせるためだけでなく、買った人を安心させるためにも設計されます。
⑤ 取り違えやすい組み合わせ
「差が分かりやすく、低価格で特にこだわりもなく購入できる商品に対して、消費者は多くを検討することなく、慣習的な購買行動をとりやすい」
という言い方は誤りです。
差が分かりやすいのなら、ブランド間知覚差異は大きい。こだわりがないのなら、関与は低い。
この組み合わせは習慣型ではなく、バラエティ・シーキング型にあたります。
習慣型は「どのブランドも大差ない」と考える場合です。差が分かるなら、色々試したくなるのが自然です。
具体例
同じ人が、4つの製品で4つの型を示す様子を見てみます。
一眼レフカメラ ― 情報処理型
Jさんは写真が趣味で、関与が高い。そして各社のセンサーやレンズの違いをよく分かっています(知覚差異が大きい)。
半年かけて比較し、熟考して1台を選びました。そして今では、そのメーカーのレンズばかり買い足しています。ロイヤルティの高い顧客になっています。
スナック菓子 ― バラエティ・シーキング型
こだわりはありません(関与が低い)。しかし、味の違いははっきり分かります(知覚差異が大きい)。
だからJさんは、毎回違う味を買います。飽きるからです。
生命保険 ― 不協和解消型
家族のための大きな買い物で、関与は高い。しかし、各社の商品説明を読んでもどれも同じに見えました(知覚差異が小さい)。
契約した後、Jさんは不安になりました。「本当にこれでよかったのか」。
そして、契約した会社のパンフレットを読み返し、他社の広告も見比べました。買った後に情報を求めているわけです。
この保険会社が「契約後も専任担当がつきます」という訴求を広告に入れているのは、この不安を見越してのことです。
ティッシュペーパー ― 習慣型
関心もなく(関与が低い)、どれも同じだと思っています(知覚差異が小さい)。
Jさんはいつも、そのとき最も安いものを取ります。考える時間はゼロです。
試験のポイント
広告で期待を煽りすぎると、良い製品を作ったのに不満を生むという事態が起きます。
そして、前のテーマで見たとおり不満を抱いた人のほうが口コミは活発です。
期待を上げて売った分だけ、後から悪い口コミが広がる。短期の売上と引き換えに、長期の評判を損なうことになります。
④ 購買後の行動が次の購買につながる
購買後の行動は、5段階の最後に置かれていますが、そこで話が終わるわけではありません。
ここで得た経験は、第1テーマで見た内部情報(知識)として蓄積されます。
そして次に同じ製品カテゴリーを買うとき、内部探索の材料になります。
満足した経験があれば、そのブランドは想起集合に入りやすくなり、やがて定型的問題解決へと移っていきます。
不満足だった経験があれば、そのブランドは拒否集合に入ります。一度入ると、なかなか出てきません。
5つの段階は、一周して次の購買の入口に戻る。そう捉えておくと、この節全体が一本につながります。
具体例
同じ性能のノートパソコンを、2社が違う売り方をした結果を比べてみます。
K社 ― 期待を最大限に上げた
広告では「起動3秒」「バッテリー20時間」「軽量で疲れ知らず」と訴えました。
実際に買った人が使ってみると、起動は5秒、バッテリーは実使用で12時間、重さは1.1kgでした。
製品として悪くありません。同価格帯では十分に優秀な部類です。
しかし、レビューには「広告ほどではない」「20時間は嘘」という声が並びました。
期待が高すぎたため、客観的には十分な製品が不満足を生んだわけです。
L社 ― 期待を抑えて売った
同じ性能の製品を、「バッテリーは実使用で12時間前後」「重さ1.1kg。毎日持ち歩ける範囲です」と、実測に近い数字で訴えました。
買った人は「思ったより持つ」と感じ、レビューには「表示どおりで信頼できる」という声が並びました。
同じ製品、違う結果
2社の製品は、ほぼ同じ性能です。違ったのは、期待の作り方だけでした。
次の購買への影響
K社の製品を買った人は、次に買い替えるとき、K社を拒否集合に入れるでしょう。
L社の製品を買った人は、次はほとんど調べずにL社を選ぶかもしれません。定型的問題解決に近づいていきます。
購買後の行動が、次の購買の入口に戻っている。この循環が見えると、期待を煽ることの危うさが分かります。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
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