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テキスト/企業経営理論/競争回避の戦略

競争回避の戦略

事業戦略(競争戦略)

業界で得た利益を守るためには、新たな参入者を阻む「参入障壁」が不可欠です。規模の経済性や経験曲線効果など、代表的な参入障壁の仕組みを学びます。

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競争回避の戦略(参入障壁)

簡単にいうと

せっかく儲かっている業界でも、次々と新規参入されたら利益が薄まります。新参者を防ぐ「壁」について学びましょう。

競争回避の戦略とは、業界の既存企業が利益の減少を防ぐために、新たに業界へ参入しようとする企業に対して参入障壁を築くことです。ポーターの戦略論の考え方では「自社の有利な位置取りとその防衛」に焦点を当てます。5つの競争要因のひとつである「新規参入企業の脅威」の大きさは、現在の参入障壁の程度や、既存の競争企業からの反発の度合いによって左右されます。

【参入障壁の主な要因(完全版)】

①【規模の経済性】企業の規模や生産量が拡大するほど、製品1個あたりの平均費用が低下していく現象です。同一のことをコスト面から表現すると、生産要素(原材料・資本・労働者など)の投入量を増やしたとき、その増加分以上に産出量が増えていくことであり、これを「収穫逓増」と呼びます。つまり、産出量を増やすために必要な生産要素を逓減させることが可能となります。規模の経済性が働く業界では、新規参入企業も既存企業と同等のコスト水準を実現するために大量生産体制を整えなければならず、参入初期から巨額の投資と大量生産を行う必要があるため、大きなリスクを伴います。

②【経験曲線効果】製品の累積生産量が増えるにつれて、製品1単位あたりの生産コストが一定の比率で低減していくという経験則です。この効果は主に、作業を繰り返すことによる作業者の熟練(学習効果)、生産工程の見直し、生産設備の改良などによって生じると考えられています。

③【製品の差別化】業界内の既存企業の製品が十分に差別化されている場合、新規参入企業は顧客を獲得するために多大なマーケティング費用やブランド構築の投資を要します。

④【巨額の投資】参入にあたって莫大な初期資本を必要とする業界では、資金調達の難しさ自体が参入の壁となります。

⑤【政府の許認可】法規制や免許制度によって参入が制限されている業界では、制度そのものが障壁として機能します。

規模の経済性が「生産規模の拡大により単位あたりコストが下がる」(静的)のに対し、経験曲線効果は「累積生産量が増大するに従いコストが減少していく」(動的)である点が本質的な違いです。前者はある時点のスケールに関する性質であり、後者は時間を通じた蓄積に関する性質です。

具体例

半導体業界では巨額の設備投資が参入障壁となります。既存企業は何世代もの経験曲線効果を積み上げており、新規参入企業がいきなり同じコスト水準を達成するのは困難です。

項目
規模の経済性
経験曲線効果
性質
静的(ある時点の生産規模)
動的(累積生産量の蓄積)
コスト低減の要因
大量生産による固定費の分散(収穫逓増)
作業者の熟練(学習効果)・工程改善・設備改良
測定軸
生産規模(ある時点の量)
累積生産量(これまでの経験)
主な例
工場の大型化で単位コスト減
同じ製品を作り続けて効率向上
キーワード
収穫逓増・固定費分散
学習曲線・習熟・経験則

試験のポイント

  • 規模の経済性と経験曲線効果の違い(静的 vs 動的)は定番の出題ポイントです
  • 「規模の経済=ある時点での生産量が多いとコストが下がる」「経験曲線=累積生産量が多いとコストが下がる」と整理しましょう
  • また、参入障壁の要因として規模の経済性・経験曲線効果・製品差別化・巨額投資・政府許認可の5つを漏れなく覚えることが重要です
  • 収穫逓増の概念(投入量の増加分以上に産出量が拡大すること)も問われることがあります

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