組織構造論
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プレミアムで見る組織のかたちを決める前に、押さえておきたい基本の区分があります。ラインとスタッフです。ラインは事業そのものを担う職能、スタッフはそれを支える職能。この2つの違いは、職能の内容と権限関係から生まれています。とくに「スタッフはラインへの直接的な命令の権限をもたない」という点は、前節の命令統一性の原則と直結する頻出論点です。
簡単にいうと
ラインは「それがないと事業が成り立たない」職能、スタッフは「ラインを助ける」職能。スタッフは命令できず、助言と補佐をするだけ、というのが最重要ポイント!
① 組織構造の形態を決めるということ
分けたものが全体として噛み合うように調整されなければ、組織としての成果は出ません。だとすれば、組織構造の形を決めること、つまり組織編成とは、分業と調整をどう設計するかを決めることだといえます。
ここでは、組織編成にあたっての基本概念である「ラインとスタッフ」を押さえます。
② ラインとスタッフの違いはどこから生まれるか
ラインとスタッフは、組織構造を決めるうえでの基本概念であり、その違いは職能の内容と権限関係から生まれています。
違いが生まれる源が2つある、という点を覚えておきましょう。
・職能の内容……何をする職能か
・権限関係……命令できるかどうか
③ ライン
ラインとは、経営活動の基本的職能です。
「基本的職能」の線引きは論者によって揺れますが、具体例を出せば購買・製造・販売です。いずれも企業の目的達成を直接担っており、それが抜けたら経営活動そのものが立ち行かなくなる種類の職能です。
それを欠いたら経営活動が成り立たないというのが、ラインの判定基準です。製造業なら、作る人と売る人がいなければ事業になりません。
④ スタッフ
スタッフは、ラインの活動を支援していく職能であり、いわば間接的職能
| ライン | スタッフ | |
|---|---|---|
| 職能の性格 | 経営活動の基本的職能 | ラインの活動を支援する間接的職能 |
| 判定の基準 | それを欠いたら経営活動が成り立たない | ラインを助ける立場にある |
| 具体例 | 購買、製造、販売 | 経営企画室、財務部、システム部など |
| 権限 | 指揮命令の権限をもつ | ラインへの直接的な命令の権限をもたない |
| 主な役割 | 企業の目的達成を直接行う | 専門領域に関する助言、補佐 |
⑥ ラインアンドスタッフ組織
ラインアンドスタッフ組織を図にすると、経営者の下に、
・スタッフとして経営企画室が経営者の横に置かれ
・財務部、システム部がスタッフとして
・購買部、製造部、販売部がラインとして
並べられています。
経営企画室が経営者のすぐ横に置かれているのは、経営者を直接補佐する立場にあることを表しています。
⑦ ラインとスタッフは固定ではない
注意したいのは、何がラインで何がスタッフかは業種によって変わるという点です。
製造業では情報システム部門はスタッフですが、システム開発を業とする会社では、システム開発こそがラインです。「それを欠いたら経営活動が成り立たないか」という基準に立ち返って判断することになります。
具体例
同じ「人事部」が、2つの会社でどう位置づけられるかを見てみましょう。
製造業A社での人事部(スタッフ)
A社のラインは購買部、製造部、販売部です。この3つを欠いたら、部品を作って売るという事業が成り立ちません。
人事部は、
・採用計画の立案を支援する
・評価制度を設計し、運用を助ける
・労務トラブルについて助言する
いずれもラインの活動を支援する間接的職能です。
権限関係がはっきり現れた場面 製造部で長時間労働が常態化していました。人事部は「このままでは法令違反になる」と判断します。
しかし人事部は、製造部の従業員に直接「帰りなさい」とは言えません。できるのは、
・製造部長に対して是正を求める(助言)
・経営会議に問題を報告する(補佐)
・改善のための人員配置案を作る(助言)
ことまでです。ラインへの直接的な命令の権限をもたないとは、こういうことです。
人材派遣業B社での人事部門(ライン)

ラインとスタッフの違い
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❶ なぜ生まれたか
スタッフは、ラインの管理職能の複雑化によって、経営者・管理者が管理活動を十分に遂行できなくなったために生まれてきた経緯があります。
前節の統制範囲の原則で、管理の幅を広げる工夫のひとつに「スタッフ部門の創設など、管理者の例外処理能力を補強する構造を構築する」が挙げられていたことを思い出してください。スタッフは、まさにその役割を担う存在として生まれました。
❷ 何をするか
スタッフは、専門領域に関する助言、補佐を行うことがその職能であり、ラインへの直接的な命令の権限をもたないことが特徴です。
ここが最重要の論点です。
スタッフは助言と補佐をするだけで、命令はできない。
なぜなら、スタッフがラインの従業員に直接命令を出せば、その従業員は直属の上司とスタッフの2方向から命令を受けることになり、前節で学んだ命令統一性の原則に反してしまうからです。
⑤ 比較
一方、B社の事業は「人を採用して、顧客企業に派遣する」ことです。採用と人材管理を担う部門を欠いたら、事業そのものが成り立ちません。
したがってB社では、人材採用部門と人材管理部門がラインであり、むしろ経理部やシステム部のほうがスタッフになります。
同じ「人事」という名前でも、その会社の事業にとって基本的職能かどうかで区分が変わる。ラインとスタッフは、部門名で決まるものではないということです。
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